2022/02/03 のログ
ご案内:「第三教室棟 教室」に真詠 響歌さんが現れました。
真詠 響歌 >  
《10/07 9:58監視役よりメッセージ。
 「歌える場所と機会を設けるという話、算段が付きました。
  既存の曲の使用が認められない為『平和』『平穏』をテーマに
  新規楽曲が作成可能な場合のみ実施可能です」》
《10/07 10:00
 監視対象:叫喚者よりメッセージ。
 「マジ? 10日ちょーだい」》
《10/07 11:32
 監視役よりメッセージ。
 「本当です。では10月の20日を予定日として準備を行います。
  ちなみに授業時間中に端末を使用して取り上げられた場合の
  再発行はございませんので、集中なさった方がよろしいかと」》
《10/07 11:35
 監視対象:叫喚者よりメッセージ。
 「うわ出た真面目ちゃん……オッケー、20日ね」》
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朝起きたら監視役さんの変更が告げられたりした。
担当、っていうのが無くなって朝に鍵を開けてくれる人も日替わりになるんだとか。
何だかんだちょくちょく要望を聞いてくれてたのに! チョロかったのに!
コンビニでパフェ買って来ただけなのに、良くない事でもしたかな。
―――したかも?
名残惜しくてちょっと前のメッセなんか見返したりしてしまう。

真詠 響歌 >  
「……めっちゃブルー」

監視役さんが言ってた次の機会って継続なのかな。
10月に歌わせてくれたきりで音沙汰無いし。
その時だって酷かった。場所は歓楽街の隅っこ。
ステージどころか情緒も設備もあった物じゃないし怪我人ばっかりで
ギター持って行ったらなんだコイツって目で見られたし。

「う゛ぇぇー、歌いたい……」

授業も終わって人もまばらな教室で溶ける。
あんな場所でも、歌わせてくれただけ嬉しかった。
一曲だけの弾き語り。監視役さんは耳塞いで聴いてくれなかったけど。

「……聴いてくれても良いじゃん――って"聴いちゃダメ"だから監視されてるんだっけ……」

歌ったのは『Peace』。急ぎで作った曲だったけど結構思い入れはある。
世界平和とかそういうの、ありったけ思う事突っ込んだから真っ当に歌ってもたぶん受けない。必要な所で響いてくれたら、それでいい。そういう曲。
そもそもなんで歌わせてくれたのかも、あの場所だったのかも
教えてもらえなかったんだけど。

ご案内:「第三教室棟 教室」に清水千里さんが現れました。
清水千里 > 真詠響歌と同じ教室の一角で、音楽を聴いている女性がいる。年は彼女より一回り上ぐらいに見えた。

「…………」

真詠響歌は彼女に気を留めるかもしれない――その女性が聴いていたのは《EssEnce》のカバーシングルだったのだから。

真詠 響歌 >  
一瞬幻聴かと思った。
歌いたいって気持ちが早って変な物でも聴こえているのかと。

「って現実だコレ」

教室の隅、そんなに大きな音じゃないけれど漏れ聞こえるのは自分達の歌。
表舞台から姿を消して久しいので、過去の自分達の断片が日の目を見ているとやっぱり嬉しい。
吸い寄せられるように寄って行って

「お、おねーさん? 結構音洩れちゃってますよ……?」

違う! いや、違わないんだけど!
でもいきなり聴いてくれてありがとうとか言うのも違うかなって。

清水千里 > 「……ああ、ごめんなさい。迷惑でしたね」

と、真詠に呼び掛けられて、女性は振り返る。
20代ぐらいの、大人な雰囲気の女性。

「”ご存じですか?” いい曲ですよ、これ」

と、耳に掛けていたイヤホンを外して彼女に見せつける。
わざとなのか、わざとじゃないのか。
真詠の心をくすぐるかのように、彼女たちのかつての歌に賛辞を投げかけるだろう。

真詠 響歌 >  
「迷惑って程でも。もう他に教室に残ってる人いなかったし」

背丈は――同じくらい? 座ってるから分かんない。
でも落ち着いた"大人"らしい雰囲気の人。

「え、えへへ……歌ってたの私達だし、ありがとうございます?」

見せつけるようにして表示された曲名と歌手、漏れ聞こえる音にちょっと感動。
こういう人にも聴いてもらえてるって事を"生"で感じられる機会ってあんまり無いもんね。
ご存じですとも。曲だけ知ってくれてるって感じかな?
ライブとかユニットとかそういうのじゃなくて、歌で『EE』を気に入ってくれた人。
お人形として売れたかったわけじゃなかったから、正直一番嬉しいよね。

清水千里 > 「そんなに謙遜しなくてもいいんですよ、真詠さん」

彼女の名前を清水は知っていた、
第二級監視対象《叫喚者》として。
わざわざ人のいない教室で、彼女の目の前で、
彼女の歌ったかつての曲を音漏れさせるなんて、
彼女と接触するにしても面倒な手を使ったものだと、清水自身も思う。

「ごめんなさい、あなたのこと実は知ってたんです。
私もあなたと同じ立場ですからね」

自分もまた監視対象であるのだと、暗に匂わせながら。
そう言って、彼女に握手を求める。

「でも、《EssEnce》――あなたの歌がよい音楽だと考えているのは、本当です」

真詠 響歌 >  
「謙遜だなんて……ってあれ、名前知ってるんだ?」

知っていて聴いてくれてるってもうファンでは。
握手しよう、握手。整列券とか予約とか無しの大安売りだよ!

同じ立場……?
語り掛けるような言葉を受け止めながらその中に感じる既視感のような物。
あっ、これ追影先輩と一緒だ。
クビにされた(なれた?)監視役さんの甲斐も無く未知との遭遇。

「私、実はあんまり詳しく聞かされてないから自分が叫喚者って
 言われてる事くらいしか知らないんだけど……まぁいっか。
 その辺りは"監視役"さん達が何とかしてくれるだろうし、真詠 響歌、二年生です」

どういう基準で選ばれているのかも知らないし、何人いるのかも知らされてない。
ただ、不自由な暮らしや何かしらの制限を受けているだけの理由があるという事らしい。

「歌を褒めてくれる人は皆友達……なんなら聴いてくれてるだけで感謝だよね。
 先輩のお名前は?」

握手に応じてしっかりと手を握って聴いてみる。
年上っぽい。追影先輩で3年だったっけ……じゃあ4年かな?

清水千里 > 「私は四年の清水千里。
――まあ、この学園では年齢なんてあまり関係ありませんけど。
会えて光栄です」

真詠の手を、清水はしっかりと握りこむ。
その手は彼女の年齢に似つかわしくないほどに、
どこか包み込むように大きく、どこか強かな温もりを秘めている。

「ええ、まあ彼らの監視なんて言うのは、実際のところ関係ないんです。たしかに、
貴女を知ったのは、彼ら――公安委員の情報を伝え聞いてのことですけど。
監視対象なんて、この学園の中にたくさんいますからね。
私はあなたの曲を聞いて、あなたと友達になれたらいいなと思ったんですよ」

真詠 響歌 >  
ビンゴ!! 4年生とも一緒の教室になれる常世学園のシステム万歳だね。
あれ、でも清水先輩ってこの授業今まで受けてたっけ……
流石に受講者全員を覚えたりはしてないけど、こうも綺麗な人だと覚えてそうなものだけど。

「年上とか年下とか、あんまり肩肘張ってても疲れちゃうしね。
 そういうのはオシゴトの時だけでって感じ」

オシゴトでも結構慣れた現場だとこんな感じの砕けた口調だけど、
初対面だともうちょっと真面目ぶって話してたり。

「監視対象って知ってる人達ってなんか皆敬遠してく、
 というかあんまりお話してくれないから嬉しい!
 うん! 立場とか気にせずお話しようよ。
 私モデルの仕事とかで出来てないけど、清水さんは部活とかやってる?」

あ、勝手に清水さん呼びしちゃった。
友達になれたら先輩後輩って呼ぶのも変だしね?
というか報告スレスレの声の大きさまで出てた気がする。
超えたら嫌な音のアラーム鳴ってオヤスミナサイ……

清水千里 > 「まったく、彼等の監視にも困ったものですね」

と、清水は苦笑する。風紀や公安の監視や、それに伴って交友が制限されることに対する苦労は、彼女とて同じだ。

「部活――ええ、いろいろと興味はあるんですが、やってないんです。
その代わり図書委員会に入っていて、何かと調べ事が多いんですが、
ああいうところ、暗室とかにずっといると、健康にはよくありませんからね、
たまにはこうやって外に出ることにしているんです」

「……そうだ、もしよかったら、今度博物館に来られませんか。
今私の企画した特設展示をやってましてね、いろいろ面白いものをお見せできますよ。
さすがに地下収蔵庫は開けられませんけどね」

”清水さん”呼びを彼女が気にした様子はなく。
名前の呼び方など、彼女はいちいち気にしないということなのだろう。
互いが互いに最低限の敬意を払っていることは前提の上なのである。

真詠 響歌 >  
「もー、ほんと。でも感謝もしてるんだよね監視役さん達には。
 私が好き勝手歌うと、誰かを傷つけるかも知れない――らしいし?
 ちゃんと誰かが見ててくれて、ダメな時にダメって言ってくれる」

これってありがたい事だと思うんですと、清水さんの苦笑につられるようにして笑う。
実際、異能や魔術だったり特殊技能ってカテゴリーはあるらしいけど私のソレがどういう物かは良くわかってない。
結果として起こった物事から逆算された懸念に基づく監視体制……だったっけ。

歌っちゃダメって言ったりここでこの曲なら歌っても良いって言われたり。
ちょっとしたモルモット気分。

「特設展示? え、何か面白そう。
 行きます行きます! いつ頃なら行けるかな……」

全然詳しくないし何が置かれてるとか知らないけど、特設展示って事ならそこで寧ろ清水さんの事とか知れそうだし。
スケジュール帳をパラパラ捲りながら。
あれ、結構暇あるな……ちょっと危機感。

「申請とかしなきゃいけないけど、博物館見てきます!
 って言ってダメとは言われないと思うし」

これでも勉学に励む学生の身文、勉強の一環として博物館くらい行ってもおかしくないでしょ。
前提に他の監視対象者から誘われて、というのを付けると間違いなくNG食らいそうだけど。

清水千里 > 「ええ、心配ないと思いますよ。ぜひいらしてください。
なにせ、今回の展示はある人のためだけに考えたんです。
斬新な展示になるって、施設課の人も張り切ってくださって。
いっぽうで随分と警備課の人からは文句を言われたんですが、
しかしそれだけ気合を入れましたからね」

と、それまで笑んでいた清水は、
少し真剣そうになって、真詠の目をじっと見つめた。

「――真詠さんは、また歌いたいと思いますか?
どこで歌っていいとか、どんなものを歌っていいとか、
そんな人に言われた範囲のことじゃなくて、
自分が考えたところのものを、
好きな場所で好きなように歌うという意味で」

その視線にはあけすけに、真詠を試す意志が含まれていた。

真詠 響歌 >  
「うん。――これあんまり清水さんとか委員の人の前で言うのはどうかなって思うけど
 普段あんまり博物館興味な……行かないから、何かそういう特別があると興味湧くかも。
 それだけ気合入ってるって言われたらもうね」

行くしかないでしょ、と。言ったところでこちらを見つめる双眸。
さっきまでニコニコしてたと思ったんだけど、こうなるとちょっとした凄みがある。
キラキラとかじゃなくて、なんだか凄く"深い"。
そういう異能とかなのかな。

「勿論。
 『EE』の頃からそうだったし、今だってそう。
 何時だって思った事を歌詞にしたいし、歌にしたい」

間髪入れない即答。
これだけは、嘘でもNOとは言えない。
ただ、その歌が誰かを傷つけるだけの物になるのは嫌だし、
自分の歌がまた『死を運ぶ』――だなんて言われるのはゴメンだ。

「……これ申請通るかな。
 特設展示だから今しかない!って言えば何とかなると思うけど」

チョロかったカンシヤクさんを返して。

清水千里 > 清水は真詠の即答を聞いて瞼を閉じた。
真詠の心の中を覗き込むかのようだった清水の深い視線は、
今や真詠の心に秘められた深い何かを見つけて驚いたようだった。
あるいは清水は真詠の返答を想定していたのかもしれないが、
清水は暫し痺れて動けなくなったように感じた。
そうしてようよう清水は、

「ええ――それが聞けて私はとても嬉しいんです。
ありがとう」

とだけ言った。


「博物館への外出許可については――ダメそうなら、なんとかしましょう。
私も多少ですが、そういう筋に伝手があるんです。
特設展示に行くぐらいのことに大した危険はないでしょうし、
彼等に溜まった貸しをそろそろ払ってもらわないといけませんからね」

真詠 響歌 >  
「あ、歌いたいってだけで今は喉の炎症が……えーっとなんだっけ。
 って監視対象同士にカバーストーリーも何もないか」

満足そうな清水さんの言葉を受けてしどろもどろ。
我ながら隠蔽工作としては穴だらけ。
でも歌いたいけど歌えないのは事実だから何の問題もないね!
辻褄合わせは私の領分じゃない。マネージャ―と監視役さん達の胃が痛むだけ。

「うん、連絡するか授業終わりにでも声かけてくれると助かるかな。
 なるべく早く行けるように相談してみる」

ふと気が付けば次の授業の時間も近い。
遅刻ひとつで雷が落ちるような学園体制ではないけれど、
遅刻癖があるだなんて噂になったらオシゴトにも響いちゃうしね。

「これ、私のアドレスと番号……なんだけど昼間くらいしか出れないかも?
 それじゃ、次の授業あるから今日はここでお別れなのです!」

言いつつメモ紙にサラサラと書いて行き。
図書委員に見せるという事でちょっといつも以上に気合入れて綺麗めに書いた物を渡す。
あれ……あんまし普段と変わんないかも。まぁいっか。

時間に追われるように席を立ち教室を後にする。
ドアを開けた所で厳めしい顔した監視役さんに注意されて知ったけれど、
彼女は第三級監視対象《悪運》と呼ばれているそうな。

以上が第二級監視対象《叫喚者》と第三級監視対象《悪運》のファーストコンタクトである……
って感じ? めっちゃ肌プニりたい綺麗さだったよね。

清水千里 > 「ええ、また連絡しますね」

と、清水は真詠の連絡先を受け取り。

「また会いましょう、真詠さん!」

と、口角を上げた華麗な笑みをこぼして、清水は彼女の後姿を見送った。

ご案内:「第三教室棟 教室」から清水千里さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 教室」から真詠 響歌さんが去りました。