2019/05/20 のログ
ご案内:「部室棟・路地裏」に小鳥遊 日和さんが現れました。
小鳥遊 日和 > ひぃ、ひぃぃ…。 な、なんで、なんでこんなことにぃ…。
(部室棟が立ち並ぶ一角。 建物と建物の間にこっそりと隠れ、息を殺す姿があった。
 人間を元にしていると思わしきそれは、本来なら腕がある部分が大きな翼となっている。
 小さく呼吸をするたびに、誰もが触りたくなるような大きく美しい胸の膨らみが揺れ、
 飾り尾羽はかすかな身じろぎにもさらさらと動いた。 パッとと見はハーピーの類に見えるだろうが、
 顔立ちを見れば、なるほど小鳥遊日和なのである。)

…たしか、研究発表用の衣装を作ってほしくてここに来て…。
(生徒も教師も、5月は研究発表のシーズンだった。
 発表用の衣装は諸事情により喪失してしまった自分は 服飾部を探して
 部室棟を求め、迷子になった結果たどり着いたのが『第666服飾部』という怪しげな場所であった。
 【魂と肉体の完全な融和は、完全な服飾によってのみ成しうる】…
 そんなスローガンが張ってある部室内で起こったことを思い出そうと、
 ゆっくりと呼吸を繰り返して記憶をたどる。)

小鳥遊 日和 > (かくかくしかじか…己の理由を明かすと、部長と思わしき人物はうなずいた。
 「なるほど、発表に使うための美しい姿をご所望ですか。
 わかりました、完璧に仕上げて差し上げましょう!
 小鳥遊先生は、お名前も良いですし鳥モチーフで決めてみますね」

 何でも良いのですけれど、と言おうとした瞬間に、幾人もの部員に取り囲まれる。
 そこから加工ともいうべき”服飾”が始まった。 科学と魔術を用い、自分の体が
 美しく飾り立てられていく。 蹴爪を備えた鳥の足、腕の代わりに大きな翼、
 柔らかな曲線を描く腰と魅力的なお尻へのライン、たわわな胸に、
 さえずるかのような高い声…。 「では最後は」と部長手が頭に伸びたところで、
 はっと我に返って逃げ出したのだ。 危なかった。 あと少し遅ければ、
 自分は往年の特撮ヒーローに出てくる怪人のように身も心も作り変えられていただろう。
 もっとも、手に入れたのはヒーローの肉体ではなくて愛らしいハーピーの姿だが。)

…とりあえず、部室棟から抜け出さないと…。
(服飾というからには、”脱ぐ”事はできるはずだ。 魔術にしろ科学にしろ、
 作り出されたものは解除できるはずというのが自分の考えである。
 だが、逃げ出す前に彼らに見つかったら…その時はアウトだ。
 ごくりと息を飲む。)

小鳥遊 日和 > (そーっと物陰から顔をだしたところで、自分を追っているらしき人影を見て
 慌てて頭を引っ込める。 再度捕まったら絶対最後まで”服飾”される。
 恐怖に鳥肌が立った。 鳥でも立つものは立つのだ。)

ぴぃぃ…。
(情けない鳴き声が口から漏れ、慌てて翼で口を抑える。
 自分がいることが追跡者にバレてはいけないのだ。
 不自由な体のまま、物陰を活用して部活棟をくぐり抜けるように
 そろそろと進んでいく。)

小鳥遊 日和 > (そろそろと注意深く進んでいたところで、突如浮遊感と共に視界がひっくり返る。
 混乱しながらもあたりを見回すと、自分は網にとらわれていた。)

た、たすけてーーーっ!!!
(ジタバタともがくも、鳥の翼とケヅメだけでは、網から逃れることはできない。
 ものすごく嬉しそうに迫ってくる第666服飾部の部長を目にしたところで意識は途絶えた。

その後しばらくの間、研究発表と授業をハーピー姿でこなす小鳥遊の姿が
見受けられたが、学内の生徒も教師も「小鳥遊先生はコスプレが好きだなあ」で
 済ませてしまい、もとに戻るのはそれなりにあとになったという。)

ご案内:「部室棟・路地裏」から小鳥遊 日和さんが去りました。