2020/06/09 のログ
ご案内:「部室棟ロビー」に神々廻 練子さんが現れました。
神々廻 練子 > 「だ」 「か」 「らァ!!アタシは部活とか興味ないの!!」

静謐……でもないロビーに怒号が響く。
少しばかりハスキーなその声の主は、一年の「神々廻 練子」である。

『そこをなんとか』と食い下がるのは、様々な部活の部員たち。
陸上部に野球部、サッカー部、体操部、おまけにラクロス部……
運動部という運動部が、練子をスカウトしようと必死に食らいつき、
練子はそれから逃げるようにロビーをあっちへこっちへ移動している。

「確かに運動は得意だし、大好きだけどさアタシは!
 あくまで自分がやりたいの!部活動とか向いてないのー!!」

神々廻 練子 > 『あっ逃げた!』『2階に逃げたぞ!』『えっあそこまで跳んだの?』

ワーワーと喧騒が違う色へと変化する。
どやどやとした騒ぎから、驚愕へと。

「ぐるるるる……」

若干野生帰りしている気はするが、ともかく吹き抜けのロビーの二階まで
跳び上がって、追手は回避したようだ。

ご案内:「部室棟ロビー」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 「忙しそうね」

そのロビー二階の片隅。
自販機横のベンチに腰かけていた女生徒が、可笑しそうに笑った。
とんとんと、ベンチの隣を叩く。

「良かったらこっちどうかしら?」
 

神々廻 練子 > 「ぁん?」

ぐん、と首がそちらを向く。どうも微妙に野生っぽいが……
ひょいっと手摺から飛び降り、ベンチへと腰掛ける。

「どーもありがとさん。いやーまいったまいった、しつこいのなんのってさあ。
 そんなに人の手借りてまで勝ちたいもんなのかなァ、ああいうの?」

日ノ岡 あかね > 「手段を選んで勝てないなら、そうなるんじゃないかしらね」

いうなり、半ば強引に少女の手を引いて、自販機の陰に押し込む。
ウェーブのかかったブルネットの髪が揺れて、微かにシャンプーの香りが漂った。

「少し黙ってて」

直後。

『確かこっちにいったはずだ!』
『追い詰めろ! あの身体能力、なんとしても体操部に!』
『いいえ! バレー部こそがあのジャンプ力を生かせるわ!』
『なにを、それをいうなら我が陸上部で高飛びを!!』

などと大所帯が駆け込みはじめ、素知らぬ顔でベンチに座っているブルネットの女生徒に。

『今ここを誰か通らなかったか!?』

と、口角泡を飛ばして尋ねるが。

「そっちいったけど」

女生徒はニコリと笑って渡り廊下の向こうを指さす。

『ありがとう! いくぞ!』
『おお!!』

などと騒ぎながら、追手の大所帯が消える。
そして、十分遠ざかったのを確認してから……女生徒はくすくすと笑って。

「人気者みたいね、アナタ」

そう、先ほど一方的に自販機に押し込んだ少女に……声を掛けた。

神々廻 練子 > 「そーいうもんかなー。アタシには分かんねえや!
 大体、自分達の力で勝てないならそれがげんか」

ぴたり、とその言葉を止められて、話を途中で切り上げる。
言われた通りに黙って……ついでに表情まで少し強張っている。

そうしてドタドタと音を立てて迫った大所帯が、
しかし目当ての女を目の前にして、気付かずに明後日の方向へ駆けていくのを眺めていた。

「……や~、助かった!ホントしつこいなァ。ありがと、えーっと……
 そういや名前聞いてないな!アタシは神々廻!神々廻 練子!」

ひょい、と自販機の影から首を出しつつ、変な体勢で自己紹介。

日ノ岡 あかね > 「レンコちゃんね。私はあかね。日ノ岡あかね。二年生よ。ダブりだから本当は三年生なんだけどね」

可笑しそうに笑って、改めて自己紹介をする。
放課後のロビーに、柔らかな西日が差し込んだ。

「良かったら少し御話しない? あの人たちから逃げ回っているなら、変に動き回らない方がいいでしょ?」

一度探した場所が二度探されるのはしばらく時間が経ってから。
希望的観測も多分に含まれるが、今回はおそらく「そうなる」だろう。

神々廻 練子 > 「あっ、先輩だったんスねぇ。ドーゾよろしくぅ。
 ……それもそっすね、部室棟ぐるっと見回るには時間かかるだろうし!」

そして再びベンチにどかっと座る。
気付いたらいつの間にかジュースを買っている。

「日ノ岡先輩はここで何してたんすかね。
 見学とかそのへん?」

日ノ岡 あかね > 「お散歩よ。何か面白い事はないかって探し回ってたの」

同じく、いつの間にか買っていたホットレモンティーのペットボトルに口をつける。
黒いチョーカー越しに、軽く喉が蠕動した。

「今日はその甲斐があったわ。おかげで、怪盗さんを匿う村娘みたいな気持ちになれたわ」

くすくすと、楽しそうに笑う。

神々廻 練子 > 「へぇー。面白い事とかそこらへんにゴロゴロあると思うんスけどね!」

例えば新作パフェ巡りとか、老舗の羊羹とか……
食い物関係ばっかりである。

「そりゃどうも!盗んだりはしないスけどね!
 でもまぁ、何にせよ楽しんでもらえたなら何よりッス!」

ぐびぐびと、少し薬っぽい緑の炭酸飲料を喉に流し込む。
チープだし体に悪そうな色と味だが、練子は昔から何故かこれが好きだ。

「ぷぁ。……面白いこと探し、もっと見つかると良いっすね!」

日ノ岡 あかね > 「大丈夫よ。ちゃんと彼らの『目』を『盗んだ』じゃない。今日のレンコちゃんは稀代の大泥棒ね」

食べ物の話を一つ一つ頷いて聞いて、最後に嬉しそうに頷く。

「ありがと、レンコちゃんは優しいわね。匿った甲斐があるわ」

練子とは対照的に、ちびちびとペットボトルのレモンティーを啜る。
全然減ってない。

「あんなに引っ張りだこなのに全部断るって事は、どこかに先約でもあるのかしら?」

神々廻 練子 > 「日ノ岡先輩の隠蔽の仕方に目を奪われたんじゃないっすか~?」

どやぁ、という擬音が書き文字で設置されそうな顔で、そう答えた。
あまり上手くないし意味もあんまり通ってない。

「ん?先約?いや~全然そんなの!
 アタシは自分がやりたいように運動するのが大好きなんで、人に言われてーとかみんなで一緒にーとか、そういうのは本当に苦手なんスよねー。」

ぐび、と喉を鳴らし、落ちてこなくなった内容物を目で覗き込んだ。
そして缶の中身を全て飲み干したのを確認すれば、それをくずかごに放り込む。
からんからんと、中身を抜かれた缶が良い音を立てた。

日ノ岡 あかね > 「あはははは! なら仕方ないわね。好きなようにやりたいなら、確かに一人でいるほうが気楽だし、健全だわ」

練子の言葉に、どこぞの面倒臭がりの喫煙者の横顔を思い出しながら……あかねは笑う。
校庭で練習している運動部の掛け声が、ただただ遠く聞こえた。

「そう言う事なら、今会って良かったわね。昔だったら、私もレンコちゃんの事、部活にスカウトしちゃってたかも?」

神々廻 練子 > 「……アタシ、一人でいるのが好きってわけじゃないんスよ。
 むしろ誰かと遊ぶのも楽しいんス。
 でも何というかこう……運動って、頭空っぽにできるじゃないスか。
 それが楽しくて。うーーん。」

自分でも、どうも言語化しにくい。
少なくとも、「運動」は好きだ。「皆との遊び」も好きだ。
だが、「一人で行う運動」は……なんと言うべきか、特別な感じがする。

「……部活って、何してたんスか?」