2020/06/10 のログ
日ノ岡 あかね > 「『楽しい事』よ。もうなくなっちゃったけどね」

意味深ににやぁっと笑って目を細める。
吹奏楽部の調子外れな金管楽器の音が聞こえる。

「だから、また『楽しい事』を探してるの。部活はもうしないけど……まぁ昔は昔、今は今よ」

ゆっくりと立ち上がって、ペットボトルを屑籠に捨てる。
いつの間にか、中身は無くなっていた。

「レンコちゃんのそれはいうなれば……別腹じゃないかしら? 誰かとする遊びの楽しさと、一人でする遊びの楽しさは別物。その感性、私は好きよ」

そういって、背を向けて歩き出し。

「『楽しい』に真摯な人は、私大好きよ。また会いましょうね、レンコちゃん」

そのまま、夕日の向こうに消えていく。
天窓から差し込む西日が……自販機のディスプレイを紅く彩っていた。

ご案内:「部室棟ロビー」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
神々廻 練子 > 「ふぅん。……代わりになにか見つかると良いッスねー。」

その言葉の裏に秘められた過去を、練子は知らない。
知る由もないし、知らないがゆえに知ろうとも思わない。
それでも、それで良いのかも知れない。

「別腹……そうかもしれないスね。別腹かぁ……
 ……よし、シュークリーム買って変えろ!ありがとッス日ノ岡先輩!またどこかで!
 よーし。」

そう言って、階段の方へ……行かず、ひょいっと吹き抜けを飛び降りる。
あわや大事故かと思った矢先、その体がごろりと回って衝撃を殺し、
そのまま下駄箱へと歩を進める。……追手が戻ってこないうちに帰らねば。

「ん、っしょ。……やべ、ボルト折れそう。また替えとかねえとなー。」

そして、自前のローラーブレードを履き……
ギャリギャリと地面を蹴って、すごい速度で去っていった。
……異能の盛大な無駄遣いであった。

ご案内:「部室棟ロビー」から神々廻 練子さんが去りました。