2022/01/25 のログ
ご案内:「部室棟 ロケット研究部 部室」におこんさんが現れました。
ご案内:「部室棟 ロケット研究部 部室」からおこんさんが去りました。
ご案内:「部室棟 ロケット研究会 部室」におこんさんが現れました。
ご案内:「部室棟 ロケット研究会 部室」に杉本久遠さんが現れました。
おこん > 目の前には、うなだれるロケット研究会のメンバー。
そしてその両脇には、真ん中の人物の腕をしっかりと掴む、これまたロケット研究会のメンバー。

うなだれるその人物を見下ろしながら、ゆっくりとおこんは口を開いた。
「罪状:ワシの買えんかったミニチュアを買ったあげく、自慢した。
 これはロケット研究会法第一条『ワシに喧嘩を売ったやつは処す』に違反しておる…。」

ゆっくりと、うなだれるメンバー…被告人の周りを回る。
その両脇を固めるメンバーも、当の被告人もピクリとも動かなかった。
判決が恐ろしいのだろう。

ぴたりと被告人の前に立ち、しゃがみこんで顔を覗き込む。
恐怖に怯えたその顔に、にっこりと微笑みかけた。

「判決は、『イワトビラキ100時間耐久プレイ』の刑じゃ。
 性根を可愛く叩き直して来るがよい。」


『いやだーッ!助けてくれッ!アイドルになりたくないーッ!!』
『安心しろ。 すぐに、なる。 身も心も、かわいい女の子アイドルにな。』
『まだ誰かとお付き合いすらしていないんだッ! 頼む、許してくれ―――ッ!!』
『誰かと付き合ったことがないなら、好都合だな。 アイドルはだれかと付き合ったりせん。』

被告人と、それを連れ去る人物…それらの会話を聞きながら、背中を見送る。
ロケット研究会のルールは厳しく、違反者には容赦がないのだ。

かくして、この部室にはおこんひとりである。

杉本久遠 >  
 そんな恐ろしい処刑に遭わされているロケット部部員が連れられて行く廊下。
 それをいつもの風景とでもスルーしながら、運動部らしいリズムのいい足音で走ってくる青いやつ。

「――おこん先生ッッ!!」

 どどーん!
 とでも音がなりそうなくらいに、勢いよく扉を開け放ち、青ジャージが現れる!
 運動部だ!

「先生ッ!
 どうか――オレに力を貸してくださいっ!」

 そのまま部室に滑り込み、土下座スライディングをかます!
 とりあえず勢いだけは一級品、杉本久遠の登場である!

 

おこん > 「おお、杉本くんではないか! 年末も良い働きであったのう、大好評じゃったぞ!」
突如猛烈な勢いで現れた相手に鷹揚に手を振る。
切羽詰まった様子の相手を見ると、ううむ、と眉をひそめた。

「しかし…土下座というのは関心せんのう。 まあまあ、その辺の椅子にでも座るがよい。
 なに、生徒の困りごとを聞いてやるのも教師の努めよ、なんでも言ってみるがよい。
 さっきの連中もしばらく戻ってこん。 まあ戻ってきても変わり果てておるがのう!」
ワハハ!と元気よく笑ってから、知覚ノイスを指し示して座るように促す。
自分は自分で机に座った。 身長差の問題である。

「ひょっとしてアレか? 常世サンタが『やりすぎ』とクレームを受けておる件とかか?
 それならいつものことじゃから気にすることはないが…。 そうでもないような気がするのう。」
年末にコンビを組んで企画をやっている仲である。
困っているならば一も二もなく助けたいのだが、相手の様子は明らかに尋常なそれではない。
 さては、と考えたことを口にしてから、首を傾げてみせた。

杉本久遠 >  
「――ハッ!?
 すみません、ちょっと余裕がなくなってました!」

 尊敬しつつも相方として馴染み深い教師にたしなめられると、ガバっ! と顔を上げて頭を低くしながら椅子に腰かける。

「いや、ありがとうございます。
 こう先生以外に頼れる人が思いつかなかったもので――」

 そう話つつも『いえいえ、常世サンタは過去最高人気でしたよ!』と答え。
 答え――答えるものの。
 答えた直後にため息がぼふぅ。

「そう、その、大好評だった常世サンタなんです。
 常世サンタなんですよ」

 いつもの元気だけは千人前、のような様子と打って変わって。
 どこかへにゃりと気骨が抜けているような様子だ!
 誰だこいつ!

 

おこん > 「かまわぬ! 人間焦ると予想もつかぬことをするでな。
 まあ、おぬしがこうなるのも珍しい事態ではあるが…。」
無茶で道理を殴りつける常世サンタの司会を張っている彼である。
並大抵のことで取り乱したりしないわけなのだから、今回はよほど特別な状況なのだろう。

「ワシしか頼れぬとは、ずいぶん信頼されたものじゃな!
 杉本くんには良くしてもらっておる。 何でも話してみなさい。」
人気のことを聞くとよかったと胸をなでおろすが、話は常世サンタだという。
はて、と首を捻り、机の上であぐらをかいた。

「常世サンタの人気ではなく、さりとて常世サンタの話であると?
 ふうむ…スポンサーから苦情が来たとかか?
 それともプレゼントを受け取った相手がクレームを入れて来たとかか?
 とはいえ、その2つもワシの手を借りるような事態かというと…そうも思えぬな。」
自問自答。 困っている、というかなんだか空気でも漏れていそうな相手を見据え、
ぽんと自らの膝を叩いた。

「考えてもわからぬ、話してみるがよい。 なに、驚いたりせぬよ!
 ワシとて数万以上の齢を経ておるから、安心せよ!」
ワハハ!と元気よく笑いながら、相手を促すことにした。
考えるより、相談を受ける方が早い。

杉本久遠 >  
「ああ、ありがとうございます!
 いえほんと、なにかアクシデントがあったわけじゃないんですが」

 なんと頼もしい教諭だろう。
 いやもう五年もコンビを組んでるのだから、それだけ信頼もしているのであるが。
 さて、というわけで早速悩み事をゲロるのだ。

「実は、その、常世サンタで、『SS本好き』って方から投稿があったじゃないですか――」

 そして、この男は何一つ隠さず告白していくのだ。
 実はその『SS本好き』さんが友人であった事。
 投稿の内容がそのまま自分と友人の事であった事。
 そして、一緒に寿司屋に行って、ネタ晴らしをされた事。
 ネタ晴らしを切っ掛けに、自分の気持ちが明確になってしまった事。
 さらには、感極まった上に勢いも止まらず、プロポーズめいた台詞『オレの妻になってくれ!』まで言ってしまった事。
 完璧に洗いざらい、信頼する先生にぶちまけるのだった。

「――という事なんです。
 オレ、どうしたらいいんですかね」

 なにぶちまけてるんだこの男。
 羞恥心は迷子です。
 

おこん > 「アクシデントではない、となると……?」
ますますわからない。 腕を組み、首を捻って相手の言葉に耳を傾ける。
狐耳をぴくぴくと動かしながら、相手の言葉に聞き入った。

「うむ、『SS本好き』……確か、寿司屋のチケットを当てたものであったのう。」
うん、うん、と相手の言葉にうなずいた後に、ゆっくりと息を吐いた。

「その、杉本くん。 それは…それはどうもこうもなくないかのう?!
 言ってしもうたんじゃろ、『妻になれ』て…言ってしもうたんじゃろ?!
 その上でどうしたらもこうしたらもないじゃろて!」

ひとしきりツッコんだ後一度深呼吸。
頭を振ってから一度落ち着いて、もう一度相手を見やる。
「どうしたら、というが…杉本くんはどうしたいんじゃ?
 その…言葉のアやだったからキャンセルで!なのか、
 それとも言ったことは守るぜっちゅう話なのか…。
 おぬしの意志がわかればワシも手伝えることがあろうがのう。」

うーむ、と唸って再度腕組み。 どうしようではなく、
彼がどうするべきか、どうしたいかなのだ。

杉本久遠 >  
「いや、もちろんオレは本気で言いましたよ!
 ただその、まだその、友人止まりでしかないといいますか――」

 ぽりぽりと頭を掻く。

「彼女がオレを信じてくれて、頼ってくれるようになりたいと思ってるんですが。
 その、実際どうしたらいいのかわからなくて、ですね」

 たはは、とちょっと情けなく笑う。
 なにを隠そう――いやなにも隠せてないが、この男、女性関係はへなちょこも良いところである。

「オレはその、エアースイムしかできない男ですし。
 常に彼女を一番にする事も――あいや!
 女性としては彼女を誰よりも愛する自信はあるんですけども!」

 まったく照れもせずにそんな事をのたまうのである。
 

おこん > 「うん。 うん。」
「うん。」
「うん……。」

「って惚気かい!!!! なっ、なにが…なにがなんなんじゃよ!?
 おぬしは何をワシに相談したいんじゃよ!?
 あれか? SS本好きと褥を共にする方法がしりたいのか?
 それともなんか…自信以外になにか、たとえばあれか?
 勃起不全とかか? そういうやつか? ワシじゃなくて泌尿器科の出番じゃが?」
むちゃくちゃハッピーな状態にあるのだから、何の相談があるというのだ。
おこんは困惑した。
めちゃくちゃ元気に彼女大好きアピールをしてくる相手に、
困惑しながらも頑張ってつっこむしかない。

杉本久遠 >  
「の、惚気!?
 いやそんな、惚気るような事なんて全然――って褥!?
 ぼっ――いやなに考えてるんですか先生!
 まだ所謂その、こ、恋人になれたわけでもないんですよ!」

 流石の杉本も、おこん先生の直球ツッコミには顔が赤くなって動揺しているようだ!
 なにせこの男、その手の放しにすら免疫ゼロである!
 男友達とY談すらしたことがない、今時の天然記念物である!

「そ、それにそういう事は、ちゃんと結婚して共に生きれるようになってからで――」

 もはや古代の遺物かもしれない。

「いえ、そうじゃなくてですね!
 だからえっと、彼女とその、より親しくなるにはどうしたらいいのかと。
 その、オレ、女性と異性として親しくなりたいと思うのも、はじめてでして、ですね」

 たはは、とやはりへなちょこの化石男子だった。
 

おこん > 「「惚気じゃろ今の!!!! 全校生徒に聞いてみるか!?
 100人が100人がノロケだっていうじゃろ!!!
 あと”恋人じゃない”っていうのは道理通っとらんじゃろ!!
 ”嫁になれ”って言っといてそれはどうがんばっても道理とおらんじゃろ!!!
 アレか? お見合い結婚か? なんで頬赤らめとんじゃオラ!!!」

柔らかい尻尾で相手の顔をぺしぺしと叩いた。
恥ずかしがっている場合じゃないのだ。 事態は想定以上に深刻である。

「嫁になれちゅうたんじゃろ!? 責任取れって!!
 生活の面もあるじゃろうけど、まずは自分の言葉に責任を持つんじゃよ!」
自分を見ろ!!!と強くアドバイスする。 彼女に告白をしたなら、
まずは彼女をよく見ろということなのだ。

「ははーん、親しくなるには、か。 相手に寄り添うのが大事じゃろ。
 男友達だったら、一緒にご飯食べたり、一緒に遊びに行ったり、一緒に映画見たり、
 もっと仲良かったらお家に行ったりキャンプ行ったりするじゃろ。
 相手が喜んでくれるように心遣いしながら付き合うのは、相手が誰であろうと一緒じゃよ。」
極めて真面目な回答であった。 そう、告白から始まった恋愛ならば、
まずは友達になるステップを順番に踏まねばならない…はずだ。

杉本久遠 >  
「わぷっ、わぺっ、とります!
 責任というか、彼女の全てを受け入れる覚悟もありますからっ!」

 そこはしっかり腹が決まってるのは、へなちょこでも多少マシなとこである。

「――な、なるほど?
 彼女が喜んでくれる事――な、なんだ?」

 頭を抱えるへなちょこ。
 女の子と遊ぶとか、まったく何も思いつかないのであった。
 

おこん > 「まあ、でもじゃぞ。 でもじゃぞ。 責任ちゅう言葉を重くとってはいかん。
 相手も人間、自分も人間なら、変節することもあろうからな…。
 それに縛られてお互い苦しい暮らしになるようなら、きちんと別れるのもお互いを思ってこそじゃぞ。
 そういった選択肢もあることを忘れてはならぬ。 少なくても今は忘れていてよいがのう。」
覚悟があるのはよい。 しかし、決まりすぎているのだ。
言うなれば肩に力が入っている。 尻尾でぺしぺしと叩きながら諭した。

「そう言うときは素直に聞いてみるんじゃよ。 『あなたのことがもっと知りたい』ってな!
 趣味はなんですか、観たい映画ありますかとか、食べものが好きならここに行きませんかとか。
 カッコつけたりせんでもよいんじゃよ。 お主とSS大好きはまだ友達になったばっかりなんじゃからな!」
我ながら自分の言葉にうなずく。 先生らしいこと言えている。自画自賛だ。

杉本久遠 >  
「別れる事も相手を想う故の選択ですか――さすが先生、とても深いお言葉ですね」

 感心しきりである。
 さすが年長者。
 人生経験の重みが違った。

「なるほど、直接聞いてみるのもアリなんですね!
 わかりました早速聞いてみます!」

 そう言って、最近新調した最新の携帯端末でメッセージを入力し始める。
 躊躇いという言葉が存在しないのだろうか。