2020/06/14 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にデザイア・ハートさんが現れました。
デザイア・ハート > 休日の図書館に、一人の女子制服を来た”少年”が、青く透き通った髪を靡かせながら、静かに本を探し歩いている。

「…うーん。」

時折、ひとつふたつ、本の背表紙に指を掛けて、そして軽く本を取り出しぱらぱらとページをめくっては元の位置に刺し戻す…という作業を繰り返しているようであったが。

デザイア・ハート > 「…やっぱりこの辺りは普通の本しかない、かぁ。」

いくらか歩き回り、本をおおよそ100ほどパラ見したころに、ぽつりと静かにそう呟く。どうやらここに足を運んだ目的は”普通ではない”本探しのようであった。

ご案内:「図書館 閲覧室」にエルピスさんが現れました。
エルピス > 「何か探してるの?」

 提出用の課題らしきレポートを脇に抱えた、栗色の髪の少女のような少年が顔を覗かせる。
 今日は眼鏡付きだ。

「こんにちは。デザイアちゃん。
 今日も蒸し暑いね。」

デザイア・ハート > 「んお…、エルピス?」

声がする方向に振り向けば見知った顔。
振り向くまでは一瞬の警戒の色を覗かせたが、振り向けばそれも四散する。

「どーも、最近の暑さには参るね、ホント。
そっちはなに、レポートでも書いてたの?メガネは似合ってるけど。」

エルピス >  
「そうそう。課題提出が出席よりも優先される講義は楽だからね。
 自分のペースで出来るし、出席する生徒も少ないし。
 僕みたいのにとっては都合がいいんだ。」
 
 眼鏡の位置を調整する。
 掛けなれていないらしい。

「メガネはほら、多少は印象変えた方がいいかなって。
 "デザイアちゃんみたいなこと"もできないしね。」

デザイア・ハート > 「なーるほど。
成果をちゃんと出せるなら出席不要は楽だもんね。
ボクは”出るだけでいい”のも楽だとは思うけど。」

向き直り、持ちかけていた本を仕舞う。

「イメチェンねぇー、そういう属性の人は引っかかりそうだけど…。
なにさー、ボクみたいって。」

くつくつと笑いながら、分かった上での質問を戯れに投げかける。

エルピス >  
「それもそうだけれどね。
 単位取るだけなら、出るだけで良い講義に紛れ込みながら別の講義の課題のレポートやるのが早いんだけれど……」

 "そこまでやると悪目立ちしそう。"
 なんて呟きつつ、仕舞われた本を視線で追う。
 何を読んでいたのだろうか、と。

「引っ掛かるって、もうー……あんまりからかわないでよ、デザイアちゃん。」

 恥ずかしそうに視線を逸らした。

「デザイアちゃんみたいなはデザイアちゃんだよ。
 僕は魔法もファッション(へんそう)も合わないからさ。」

 自分の、機械で出来た二本の右腕を見遣る。
 そのまま小さく首を振った。

デザイア・ハート > 「ふぅん……?
目立つのは苦手なのかい?」

目立つのが苦手というのは特に珍しい話ではない。、
なにより少なくともその見た目はどちらかと言えば目立ってしまう相手だ、そう思うのも無理からぬ事だが、少々ここは掘り下げてみようと問いかける事にした。

「あはは、本音だよ本音。実際、似あってるしね。

まったく、どういうことだいそれ?
魔法やまあ一般的なファッション(へんそう)はともかくとして、些細なイメージチェンジも立派なファッションだろうに。」

エルピス >   
「苦手と言うか、何と言うか……」

 自分の人差し指同士をつつきながら言い淀む。
 経歴や立場もあるが、結局の所は気難しいお年頃。

「腕の方が目立っちゃうからね。
 多少の印象は変わるから、ないよりは良いけれど……」

 誤魔化し切れないものがある、そう言いたいらしい。

デザイア・ハート > 「なんと言うか?」

ぐいっと、身を寄せて丸い顔を近づける。
覗きこむように紅い瞳が人差し指同士をつつく少年の顔を見据える。

「なるほどねぇ。」

腕の事を考えれば、確かに少々、そのファッションには制限がかかる。
しかして――

「でももったいないな。
仕立から必要な専用の服になっちゃうだろうけど、色々”着せ替え”が栄えそうな見た目なのにさー。ボクなら着せ替えてるね。」

エルピス >  
「っ、ううん……色々考えちゃってね。
 一目が多いとそれだけで色々気にしなきゃいけないし……」

 至近距離のデザイアに反射的に視線を逸らしてから見つめ直す。
 デザイアほど鮮やかではないが、赤茶色の瞳だ。

「えっと、僕男の子だよ? ……じゃなくて、ほら、
 お洒落もお金とセンスが要るからね。お仕事以外で"特注"のものを仕立てる余裕はないかな……」

デザイア・ハート > 「色々考えちゃう、か。
人目が気になるならまあ、しょうがないけど。」

けれどもいったい何を考えているのかに、ホンの少しの興味があった。
見詰め合う紅い瞳が交差して、その興味の視線が向けられる。

「知ってる~♪似合うならいいと思うけどね。
…へぇ、じゃあ”仕立てて来れば”問題ないわけだ。」

にんまりと、良い事を思いついたと麗しい唇の口角がつりあがる。

エルピス >  
「──特に学園内だと、『委員会』に近いから。」

 思考の一端が零れる。
 中てられそうになる程度には、恐怖の色が強く混じった声色だ。

 その雰囲気も束の間、デザイアが仕立ててくればと言えば──

「で、デザイア!? よ、よーく考えよう!? お金は大事だよ!?
 ほ、ほら、僕たちそんなにお仕事がある訳じゃないし……!!」

 あたふたしている。
 照れと恥じらいと緊張と、ほんのちょっとの興味が伺える。

デザイア・ハート > 「へぇ――”委員会”か。」

その言葉からその恐怖を感じ取れば、其処で言葉を止め、追求を止める。
それが恐らく経験によるトラウマかあるいは……ということには、ある程度の推察をするのは難しくはなかった。

何より今はそれより――

「んふふ♪いいのいいの、お金の方はそこまで困ってないし。
何よりほら、お隣なんだからなんていうのかな?相互協力?とかすべきかなって♪」

あたふたしている、かわいらしい隣人をつつく方が重要だ。

エルピス >  
「あっ羨ましい、僕の方はそんなに儲かってないのに。
 ……デザイアがいいなら、悪い気もしないけれど……。」

 お隣さんの稼ぎ具合を羨ましがりながらも押されれば通る。
 雰囲気にもすっかり流され、拒む素振りは最早見えない。

「……結構儲かってるの、デザイア?」
 
 それはそれとして"お隣さん"の仕事具合が気になるのだろう。
 何気ない調子で訊ねてくる。

デザイア・ハート > 「ははは、ボクの方はそれなりに”貯金”もあるからね。
稼ぎで見れば些細な差だと思うよ。忙しくはあるけどね。」

もっとも総合的な儲けで言えば、現金でない収入である事を考えれば、それなりなのであろうが。

「とりあえず、服を作るのは問題ないよ、お代も今回はいらないし。
……で、どうする?」

にんまりと笑みを浮かべ、距離を詰めて問いかける。

エルピス >   
「そっか。僕は一年生になる時に貯金を使い果たしちゃったから、その差なら納得。
 ……でもデザイアも気を付けてね。貯金って、なくなる時はあっという間だから。」

 慮るようなお節介。
 エルピス自身も便利屋を開くまではそれなりの蓄えがあったのだが、
 開業資金やら住居兼店舗の購入だとか挨拶回りやら何やらの身辺固めで貯金を使い果たしており、余裕はない。
 特に歓楽街とも落第街とも取れるような物件の吟味と登記には骨が折れたとは彼の言。

 どうする?と、面と向かって答えを求められれば──

「……よ、よろしくおねがいします。」

 お嫁にでも行くのか。
 そう思われかねないような、可愛い声で"お願い"をした。

デザイア・ハート > 「おやや?心配してくれてるのかい?ありがと♪」

どこか慮るようなお節介に、パチリとしたウィンクと共に礼を言う。

「先人の言葉として、貯金には気をつけておくよ。」

果たして目の前の少年の貯金が如何にして溶けたのかには興味がないと言えば嘘になるが、まあ、ここで聞くような事でもない。先人からの忠告として頭の片隅に留めておこう。

「…は~い、決定!
じっくりしっかりとエルピスの服をしたててあげよう♪
デザインの方構成に希望とかあるかい?」

ぐぐっとサムズアップの笑みを向けて、内心でごちそうさまと言いながら了承する。

エルピス >  
「ええと……あんまり詳しくないから、お任せしていい?」

 その手のことには明るくはない。
 厳密に言えば迷彩やら隠密に適した色選びや見破り方は心得としてあるのだが、ファッションとしてのそれではない。

 なので、素直におまかせすることにした。
 
「……便利屋としても、ファッションの知識ってあった方がいいのかな?」

デザイア・ハート > 「おっけー♪
お任せってことなら遠慮なく♪」

ひとまずとしてはそう、その顔や体格としっくり来る相応のファッションを仕立ててやろうと算段を立てる。
腕の方にもちょうどおぴったりと来るものを仕立てておけばきっと見違えるはずだ。

「というわけで今度キミの採寸を……。
と、うん?そうだねぇデートとかするならあった方がいいんじゃない?
ファッション知識はなんだかんだであって損はしないし。」

エルピス >  
「そっか……それで、えっと……採寸だね。
 お隣さん同士だし、仕事が入ってなかったら何時でも大丈夫。
 好きな時に来てくれたら嬉しいな。」

 確かにそうかも、と一人納得して頷く。

「……あっ、結構話し込んじゃったし、僕は一度帰るよ。
 またね、デザイア。──今日はありがとう。」

ご案内:「図書館 閲覧室」からエルピスさんが去りました。
デザイア・ハート > 「おっけおっけ♪
暇な時に道具持ってそっちに伺うよ。」

よくよく考えれば相手のお店をよく見た事はない。
この機に顔を出して見てみよう…という魂胆もあった。

「と…もうこんな時間か、ん、じゃーまたねエルピス。」

時計を見れば大分進んだ長針。
自身が図書館に避ける時間も限りがあった。

「…さて、ボクも帰るかな。
禁書…次こそは見つけないとね。」

ご案内:「図書館 閲覧室」からデザイア・ハートさんが去りました。