2020/06/26 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
■群千鳥 睡蓮 > 放課後。
時刻でいえば夕刻にさしかかろうとする中でも、窓から望める外はまだ明るい。
夏だ。少し遅めに来たのは、期末考査の準備をする学徒の邪魔をしないため。
その反面図書委員の邪魔になりかねないわけだが、そこは多数を優先させてもらった。
「……♪ ……いいね。 この背表紙が並んでる光景、すき……」
タイトルを指でなぞりながら、ほう、と溜め息。
未だ、熱心に自習中の生徒も居るだろう自習室から離れるように。
腕を背にまわして手を組み、上機嫌に書架を奥へ奥へと迷い込む。
前髪の奥の瞳が、見知った、あるいは見知らぬタイトルをなぞりながら、
つとめて足音を立てないような歩き方で。
「寮だとこうはいかないもんね。少し実家が恋しくなるな……。
……電書は便利だけど、並べられないのがよくない」
本の香り、存在感。読書は、まあ好きなほう。
右も左も、本、本、本。わるくない。
■群千鳥 睡蓮 > 書店や図書室を、こうして練り歩くのも好きだ。
受付で問い合わせれば目当ての本があるかどうかはすぐわかる。
けれどもこうして贅沢に時間を使うことでしか得られない感覚もある。
この蔵書、すべてを読むのにどれくらいかかるだろうか。
人の一生なら、ここで終えることだってできるだろう。恐らくは有意義に。
「……部活でお店開いたら、放課後は手伝うこともあるだろうし、ね。
いまのうちかな――ぱ、ぱ……ぱ……」
忙しくなる気配がある。そもそも学生は、忙しい。
それが充実した時間だと、恐らくは期待もあるだろう。
著者の名前を指で辿る。できれば原書がいい。読める言語なら。
「……あっ」
在る前提の話だ。ちょうどそこだけ、一冊、抜けていた。
前後を確認。少し周りを確認――そこだけない。
ちょうど、貸し出し中。首を傾ぐようにしながら、前髪の奥で睨みつける。癖だ。
唇をとがらせて、ふぅん……、と息を吐く。
■群千鳥 睡蓮 > 「借りたのアイツじゃないだろうな。
……いや……『全て頭に入っているとも』とか言うな、アレは」
こめかみに指を押し当てて、ぐりぐりと回す。
脳裏によぎった邪智暴虐の影をすぐさま忘れようとしつつ、
胸に生まれたモヤモヤを咀嚼する。
無軌道に読み漁るのもまたいいが、この時間からだと帰るのが朝になる。
深夜の学校には、よくない噂もあるという。とはいえ、何も借りないのも。
「タイトルなんだっけ、ラ・リベリ……んん。
どーしよっかな。なんかないかな」
来た道を征くのもいいが、たまには引き返すのも大事。
まあ、余暇時間だし、いい感じに潰れたと思えば、溜飲も下がる……かもしれない。
しばし練り歩く。何かないか探すように、左右の書架に視線を滑らせて。
ご案内:「図書館 閲覧室」に黒藤彩子さんが現れました。
■黒藤彩子 > 日も落ちそうな図書室に音が鳴る。本の落ちる音。
誰かが手の届かない高さの本に手を届かせようと、御行儀悪く本棚を登ろうとして足を踏み外した音。
「おごぁっ!?」
そしてカエルが潰れるような変な音──これは私の声だったりする。おもっきし尻餅をついて結構痛い。
視界がちかちかするのは、こういうのを俗に視界に星が散るとか言うのかな?なんてどうでもいい事が転がって
──その先に、誰かが居た。
「うわっ……いやうわっ。は無いよね、うん。ぬはは……今の見てた?」
前髪で目が隠れた誰かさん。一瞬、最近学内で噂の夜に出る幽霊?かと思って吃驚した顔をしちゃって
それから慌てて立ち上がる。
■群千鳥 睡蓮 > ―――誰かいる
音よりも前に気づいた――と思う。
居てもおかしくない相手。まず視線は上がって、そして落ちる様を見届けた。
呆けたようにそれを見守って、それだけじゃなんなので、立ち上がる姿に手をさしのべよう。
「……うん、ごめんね、みてた。
『おごぁっ!?』も聞いちゃった。
見てるだけじゃなくてね、助けてあげられたら良かったんだけど……だいじょうぶ?」
視える口元が苦笑い。見えぬ眉根をハの字に寄せた。
猫みたいだな。
くるりと体を横に向けて、彼女が手を伸ばしていたあたりを指さす。
自分を見た印象には、気を悪くする風もなく、小首を傾げてみた。
「『うわっ』てことは……ふふっ、わたしのせいで落ちたわけじゃなくって、なにより。
………どれ? 取ろうとしてたやつ」
■黒藤彩子 > 差し出された手をしっかと掴んで立ち上がり、そのまま握手するかのように握ってぶんぶんと振るかのよう。
「視られちゃってたかあ。センセ達には内緒にしてね。バレたら怒られちゃう」
ありがと、と伝えて手を離す私の顔は、多分ちょっと居心地の悪そうな感じ。
誤魔化すかのように頭を掻くけれど、生憎と髪の毛が揺れるだけ。
「いやこ~まさか人がいるとは思わなくって。御免ね、驚いたりして」
「本は……んーとアレアレ。『蒟蒻の歴史Ⅵ~超時空農法活用編~』。見え…ちょっと見えづらいな……」
親切そうな人が本棚を見上げて、指差して、首を傾げている。
夕暮れがそろそろ終わりそうな室内は照明こそあっても薄暗くて、多分、ちょっと見え辛い。
だから私は彼女と同じように指差して、意識を集中させて、その周囲に光を瞬かす。
細かに煌めく白色光。夜空に光る星のような異能を使って、本の背表紙を鮮やかに記す。
「これで見え……るといいな!どう?」
■群千鳥 睡蓮 > 「ううん。ここ、ほんと広いから、脚立持ってくるのめんどうだよね。
ないしょはもちろん。でも、わたしが悪いことしてるの見たときも、
見逃してくれたら嬉しい……かな?
けっこうごつんっていってたから……痛みがひかなかったら保健室、寄っていきなよ」
元気だなあ、とこちらも握り返して応じてみる。
掌の感触を探る。腕力、筋肉の動きも確認する。こちらも、ちょっと振ってみた。
「んー? それだけ? 幽霊とまちがえた、とかじゃなくて?
はいはい、どれどれ? ……ん、こんにゃく。こんにゃくの歴史、六巻……。
――こんにゃく? 六巻も出てるの? え、なにが書いてあるの?
だって、こんにゃくでしょ……? 農学部のひと……?」
困惑した。こう見えて、畑をたがやしているのかしら。
――あるいは、違法部活の機密文書のやりとりに珍書を使っている?
本棚を見上げながら、視界の隅の相手を凝視する。
分析しつつ、手を額にかざして確認。あれかな、とあたりをつけると、
本棚の棚板にそっとつま先をかけて、彼女同様に登ろうとして――
「え……」
蛍、というには、眩く、しかし細いきらめき。
克明に現世に浮かび上がった蒟蒻の歴史Ⅵ~超時空農法活用編~は、
意識から外れて、天体の中央に姿を浮かび上がらせる彼女を観て――
ばっと向き直った。あらためて彼女の手を、今度は両手で握り返す。
顔を寄せた。前髪の奥の黄金の瞳にも、星々がきらめいていた
高揚も露わに、腕をぶんぶん上下に振って、まくしたてる。
「――すっごい……すごい、すごい……!
これ、異能だよね……みたことがない……、魔術とは違うな……?
ひかりを操る……ちがう、なんだろう――きれいで、まぶしい……」
■黒藤彩子 > 振って振られて、背丈が上のあちらさんにそうされると私の身体はきっと流れるようにもなったのかも。
それはきっと閑話休題《それはさておき》ってもので。
「むむむむ……実はちょっと間違えた……。でも親切さんだもん、幽霊とは違うよね」
「そんでね、その本には……何が書いてあるんだろ。さっぱりわかんない!」
「いやさ、ほら、そろそろ前期試験だからお勉強しとかないとなあ~~って」
「ただずーっと自習室にいたら煙が出そうになっちゃって。なんか面白い本でも無いかな~って」
「よしんば私に判んなくてもトダーリンなら判るだろうし。あ、トダーリンっていうのはルムメの子でね──」
言葉を連ねて重ねて積み上げて、整理整頓のなっちゃいない感じになったから崩れていって
そこで私は光を瞬かせたまま空咳をしようとして、手を急に取られて瞳を瞬く。
「おわっ!……す、すごい?そーお?うへへ……うん、私の異能。"流星光底《レヴァリスター》"っていうの!」
「入学した時の検査の人が名前をくれてね。星の光みたいだからって。……きれいかあ。そっかあ」
そうして、直ぐに口が緩んで言葉が緩んで、前髪の奥に少し見える綺麗な色の瞳を視る。
「ありがと!……えっと、そうだ。貴方の御名前は何て言うのかな。私は黒藤彩子って言うの。一年生」
「趣味はイイカンジの石を拾ったりすること!」
眩い色だ。まるでお星さまのような。少し、羨ましく思いながらに言葉をまた重ねる。
■群千鳥 睡蓮 > 「名前をもらった――ということは相伝されているものではない……
先天性か後天覚醒か、いずれにせよ独立性のある――非常に興味深いな……
きれい――そう、星に視えた!わたしも!ということはこれは星、あるいは天体に……
……っ、あ、ああ、ごめん、ごめんね」
そこでようやく、瞳を覗き合う状況に気づいた。
冷静に立ち戻る。悪い癖だ。未知を識る。その価値を識るがゆえの。
鼻息荒く頬を染めていたことを恥じるように視線を彷徨わせつつ。
とん、と軽く本棚の支柱を、さりげなく膝で小突いておく。
「黒藤……さん、ね。 黒い、桐、それとも藤、かな?
さいこ、っていうのはどう書くんだろ――……ええとね」
手を解き、右手を彼女の眼前にそっと差し出した。
くるりと手首を回すと、前触れもなくそこには古びた革張りの手帳が現れる。
それを横にずらし、平静を取り繕った微笑を晒した。
「わたしは群千鳥(むらちどり)。千鳥の群って書いて。
……名乗ってくれたから、下の名前も。 睡蓮。 群千鳥 睡蓮ね。
異能は、この眼で観た異能や災異を、この手帳に記すこと。
わたしはこれ自体が趣味みたいなものかな。
……『イイカンジの石を見つける異能』なんかも、書いてあったりして?」
ころり、と都合よく、頭上から降ってくる蒟蒻の歴史Ⅵ~超時空農法活用編~。
それを左腕を翳してキャッチすると、そっと差し出して。
「はい、どうぞ、面白そうな本。 いまのはちょっとした手品。
……すぐ読みたいとは思うけど、もしよかったら……取ったお礼に、
黒藤さんのこと、その異能のこと、もうちょっと詳しく教えて欲しいな。
……トダーリン……さん? を待たせてなきゃだけど」
何者だろう。ヴォルフガング・トダーリンさんとかだろうか。
■黒藤彩子 > 言葉が渦を巻いて右の耳に入って左の耳に抜けていく。
星に視得たって言葉は、頭の中にちゃんと残しておくけれど。
「お、おおうおおう……ううん、大丈夫大丈夫」
気まずそうに視線を逸らす先に、先回るように身体ごと揺れてもう一度視線を合わせて唇を曲げる。
「うん、こくとう・さいこ。字はね、黒に藤の花の藤。彩子は……」
「……色彩の彩に子供の子。彩の一から了まで。華やかになりますようにって名前なの」
それから、昔、お母さんが教えてくれた名前の由来。昔、私を見てくれていた人がくれた名前の意味。
少し言葉に迷って。でも問われたらきちんと答えると何ということだろう。
突然目の前に使い込まれたと思しき本……ううん、手帳かな?そういった物が出て来て小さな声が出ちゃうの。
「ほうほうほほう……むらちどりすいれん……つまり──ラドリン!」
それは驚いた声で、次に出るのは御名前を聞いて感心したように唸る声。そしてあだ名を告げる声!
「へえー異能を手帳に……それも面白いなあ。図鑑を作るとか、そういう?」
威勢よく告げた後は眼をまあるくして手帳を覗き込むように身体を寄せて、
けれどもラドリンの手に本が落っこちてくるとそれは叶わない。あわや激突の危機だもん。
「おおっと手品ときた!へえ~器用さんだなあ。私は石を見つける異能とかはないもん。一つだけだよ」
「ただ、んーと頑張るとこうしゅばーっとレーザーになったり、なんか物が弾けたりするけど」
「トダーリンはだいじょぶじゃないかなー。お勉強してましたーって言えば……」
差し出された本を受け取り、頁を開きながらにラドリンの言葉に答えていく。
本の内容は加速すると時の流れも加速する事に着目した科学者による促成栽培の一端……という事らしい。
なんのこっちゃ?と頁を適当に捲ると、宇宙空間で行われた第4次超時空実験では制御装置が崩壊し、
数多の種芋が宇宙のデブリになる悲しい事件が発生したらしい事や、
数年後、軌道を周回していた筈の蒟蒻芋が玉蒟蒻へと変貌しているらしき観測報告が上がった事とか、
……なんだがよくわかんない。私の頭もぐるぐるしてきて玉になってしまうような気がした。
■群千鳥 睡蓮 > 「………へえ……一から了、はじめから、終わりまで……か。
すてき。じゃあ、そう在るように――しないとね――ふふ。
わたし、由来とか聞いたことないな。適当に名字で――え?ラドリン?」
名前の由来。考えたことがないわけでもなかったが、答えを識るのが少し怖くなった。
彼女も――そうだ。返答が淀みないのに、返答を迷うように視えた。含むところがみえた。
だから、相応しくあろう、と。告げたところで、
どう相応しくあればいいのかわからない呼称が飛んでくる。
ちょっと反応に困ったが――ここに来るまでに呼ばれていたあだ名に比べれば、
「ふっ、ふふ……! なにが詰まったのかわからないけど、それ、わたしのあだ名?
いーね、どうぞラドリンって呼んで。 なんかコイン入れたら回りそう――って
はっ、戸田燐……!トダーリンって戸田さん? あの、眼鏡の……青くて?」
めがねの?と手で顔の前で眼鏡を描くジェスチャー。
「えっ、集めてにやにやするんだよ。 わたしが嬉しい。それで十分。
ほらこうやって――ふふ、これは手品じゃなくて異能だよ。
プライバシーだから他のページは見せてあげられないけど……
困った時に、誰に頼ればいいか、これがあればわかるでしょ――って、え?」
手帳のページを見せる。万年筆に似た筆跡で、
さらさらと異能が自動書記されていく。黒藤彩子の異能。
星を彷彿とさせる光を操る異能。それは単独で光源であり、暗所で発光する。
――そこで止まった。100円玉を左手で取り出すと、指で弾いた。
天井の近くまで、それは銀色に、ときおりひらめきながら真上へ――そして落下してくる。
「…………これ、弾ける?」
■黒藤彩子 > 「うん。私ね、そうありたいからこの島に来たんだもの」
「何時か頑張って、鮮やかにあって、夜空に上がる花火みたいに──」
綺麗に光って瞬いて。そうすれば視てくれなくなった人が、また視てくれるんじゃないかって。
言いかかって、言葉が止まるのとラドリンが聴き返すのはきっとおんなじ。
だから私は自分の言葉をそれきりにしておくの。
「──うん、ラドリン!……あ、さん付けの方がいいのかな~大丈夫?よっしおっけまる!」
いえーい、と万歳するように手を上げると瞬く光も緩やかに上昇していくかのよう。
「ってトダーリンの事知ってるの?そうそう眼鏡かけてて、青くて綺麗な髪の毛の!」
そうした中でジェスチャーに声を跳ね上げさせて、身を乗り出すようにして喜んじゃう。
どうして嬉しいのかは、ちょっと判らないけれど、少なくともイイコトのように思えるんだもの。
「おお蒐集……うんうん、わかる、彩子ちゃんそーゆーのすっごいわかる。綺麗に並べると何だかイイカンジだし」
「なるほど困った時ようにもなる。ラドリンってばきちんとしているなあ。備えあれば何も無し。だっけ」
ラドリンの抜かりない様子には何度も頷いて趣味と実益を兼ねる感じに感心しちゃう。
「……ほ?」
──けれどもそれは金属の弾かれる音と、問う声に消える。
私は釣られるように其方を視て、次に見上げて、意味を理解する。
「……………」
銀色の百円玉。暗がりに閃くものを見て、視て、観て。視線と光を合わせる。
白色光の群は収束し、その色を白から黄に変えて渦となる。
合された百円玉は光に触れると雷光のように瞬いて、室内が一瞬真昼のようになって
弾かれて本棚に歪な形となってめり込んだ。
「……いよっし出来た!ふっふー、ちゃーんと異能制御の授業だって出てるもんね!」
「実技試験だってあるじゃんか。抜かりなく練習してまーす!」
それを見届けて私はふんすと鼻息を荒くして胸を張る。張ってもラドリンには全然及ばないけれど、それはわすれる!
■群千鳥 睡蓮 > 「ラドリン、でいいよ。来たばっかりだし、一年だし。
そうそう。集めるのが――好き。イイカンジの石……だっけ?
じゃあ、きっと戸田さんと黒藤さんのお部屋、彩り華やかなんだろうね。
蒐集、集める、つみかさね……楽しいよね、その、集まったすべてとは、
ぜんぶ、最初から出会うことが決まってるんだ――だからすべてが特別。
わたしと、あなたも、そう――レヴァリスター。その異能も。星の、ひかりの……?」
彼女の視線を追いかける。起点となるのは瞳か視線か。
視界が白く染まる。幻想的な光景。光は確かに彼女の意志で動いたように視えた。
眩いなかでも凝視したまま、黙して見守った。
もとの薄闇に戻った後、ハンカチを取り出して、それを手に被せながら本棚の窪みに指をいれた。
「……ただの、光を発する異能じゃない――な。
星は、夜闇のなかから、ひとや獣を導くしるべ。そういう異能かと思ってたけど。
そうじゃない、いや、それだけじゃないんだ、彩子さんのは」
記述の修正をする必要がある。と冷静に考えながらも。
胸を張る彼女の、その克己の成果を観る瞳はまぶしげだ。
「花火にも……星にも、いかづちにも、きっとなれるよ、なんにだって。願えば。
うん、凄いな……すごいよ。 もっと識りたい、この力のことも、あなたのことも。
あなたがこの力を持っていることにも、なにかしらの必然性――
意味があるはず――その意味のことも」
手帳を閉じる。頬が紅潮する。
ねえ、と距離を詰めた。間近から覗き込む。真っ直ぐな瞳。柔らかい微笑。
黒藤彩子という、いつか彼方の星を――みずからの世界に捉えようとする。
「ね。 良ければ、おともだちになってもらえないかな。
あなたが、その花火のようなひとになるまで――観てたい。
当然、こまったときには、わたしに頼ってくれて構わないから……どう?」