2020/08/30 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」に彩紀 心湊さんが現れました。
彩紀 心湊 > さて、夏休みも終わり。
もうあと一日かと迫ろうというその日に、黒髪の女性はあいも変わらず図書館に入り浸ってはゆったりと本を読んでいた。

夏の初めこそ、色々と行事が重なり多忙の限りを尽くしていたがようやくのんびりと日を過ごせるようになったというわけだ。

「ふぁ……。」

小さく欠伸をしながらも、トントンとペンでノートを叩く。
夏休みの宿題…というわけでもなく、それは魔術についてのレポートであった。

彩紀 心湊 > 彩紀心湊が扱える魔術には限りがある。
それらは全て、初歩と呼ばれるものであり、基礎と呼ばれる部類のもの。
そういった簡易的な魔術が記された書ならば図書館にも置いてあるだろうと足を運んだ次第ではあるが、思った以上に多い。

魔術ともなれば、余計にだ。
火を起こすにしても、水を生み出すにしても、何をするにしても基本的なものは存在する。
箒を動かし掃除をさせる魔術など、こんなふうに調べなければ出会うこともなかっただろうと思う。

「……しかし、単調になってくると暇ね…。」

欠伸をしていた理由といえば、飽きが来たからである。
もともと、本を読むのが好きなのであってこうして執筆活動をするのには向いていないのだ。
はぁ…と息を付けばややぐったりめに机へ伏した。

彩紀 心湊 > 「…このネズミを喋らせる魔術とか何に使うのよ…ネズミとか見たことないけど。」

地下水路にでもいけばいるのかもしれないが、わざわざ行く理由もない。
おまけに喋らせるだけで特に意思疎通出来るとも限らないというおまけつきである。

「…勉強ねぇ。」

そもそもとして、こうして一人勉強しているのにも程々の理由がある。
事を遡れば期末テスト。
実習の成績こそ、よくはないものの、現状を先生に報告した結果…「出来ないのは仕方はない、元より才能が問われる分野でもある。」となだめられるも、「それはそれとして勉強しない理由にはならない。」とも言われ、宿題とは言わずともこうしてレポートを作成するよう指示された次第である。

彩紀 心湊 > 宿題でもない以上、特にやる必要もないではあるのだが、そういう言い方をされると変に宿題としてやってこいと言われるよりもやらないといけない気がして。

そんな何とも言葉にし難い感情に任せての行動は、数日の飽きによってようやく平静を取り戻そうとしていた。

「…なんというか……ひたすら疲れる夏休みだったかも…。」

学校が始まれば、また疲れる行事が始まるのだが、そんな言葉を零して誰も居ない図書館で一人目を閉じる。
しばしの休憩であった。

ご案内:「図書館 閲覧室」にアーテルさんが現れました。
アーテル > 「やー、あづいあづい。
 やれやれ夏場ってのも考えもんだなあ、来るのもーちょい後ろにずらすべきだったかー……?」

思った以上に暑いとぼやく常世の夏。
もうじき終わりというのに残暑にへばったような愚痴が止まらない男が一人、ふらりと図書館にやってきた。
今日も今日とて面白そうなものを求めて、叡智の集う場所へひとまず散策をと赴いたのだ。

「うーん、やっぱ新しい知識を吸収できるってぇのは楽しいもんだ。
 さてさて目をつけてた本は………、………。」

目当ての本があるという書架をまっしぐらに目指していたが、
ふと辺りを見渡した際に、休憩でもしているのだろう目を閉じている女性の傍に視線が注がれる。
傍の本といい、魔術に関する何かの書き物でもしてるのだろうか。
そういえば学園の夏休みとやらも佳境。滑り込みでそういう宿題をしている人がいてもおかしくはない。


「………………。」

幸か不幸か、彼女は寝ているのだろうか?
音を立てないようにそろりそろりと近づいて。
好奇心に駆られるようまま、書き物を少し覗いてみようか。

彩紀 心湊 > ノートを覗き見すれば、そこには綺麗な文字で魔術の詠唱から用途、個人の所感といったところまでがつらつらと書き述べられている。
イカスミをインクにする魔術など、なんともしょうもないものばかりなのはご愛嬌である。

さてはて、女学生はと言うと
ガバッ!
と、擬音を発しそうなほどに勢いよく上体を起こす。

「………。貴方、どなたかしら。」

ほんの少しの休憩のつもりであったが、ここまで人が近づくまで起きないのは失態である。
内心、冷や汗を流しながら挨拶代わり…というには反射的に威圧的な言葉を返した。

アーテル > 綺麗な字だなー…とか思いながらぼんやり見ていたら。
そのノートの持ち主ががばっと飛び起き、間もなく突きさすような尖った声色の言葉のがこちらに向けられた。
明らかに彼女はこちらを警戒している。まあ、致し方ない反応だろう。

「――っとぉ……!
 おおー…こりゃ失礼、寝てるもんだと思って音を立てないつもりだったんだがー。」

対してこちらは両手を軽く上げ、開いた掌を見せる。こちらは無防備であることを表すように。

「や、なんてこたーない旅行者さ。常世にゃ割と最近やってきたんだがなー?
 なんでもこう、魔術だのなんだのってのが俺にとっちゃ新鮮でなあ…
 ついつい覗く様な真似しちまったわけだ。すまねぇな。」

立場も、理由も、動機も、謝罪も、簡潔に伝えるに限る。
それが初対面の相手なら、猶更だ。

彩紀 心湊 > 「ん。んん…旅行者…?
…なんとも…ぁぁ゛…珍しい場所に来るものね…。」

寝起きながらに若干呻き気味にそう返す。
こういう場所で変な輩が来る方が珍しいのではあるが、自分が無防備過ぎたことへの驚きのほうがやや隠しきれない。

「…いえ…こちらも失礼したわ。
でも、覗くのは感心しないわよ。別に、私のは構わないけど…どうせ、ただの書き写しとかだし…。
最近こちらに来た…ってことは、近々学校に編入でもするのかしら?」

しかしながら、街の人間以外と話すのも久しぶりだ。
ある程度は街のことは知ってはいそうだからとそんなふうに尋ねた。

アーテル > 「やー、悪いと思いつつついついやっちまう辺り、好奇心に打ち克つ術でも身に着けるべきかねーと。
 ……お前さんも、その分だとマジで寝入ってたんだなあ。
 いやまあ、お疲れさん。」

そこは何とも、言い訳のしようがないわけで。わしわしと後頭部を掻きながら自らの好奇心に叱るほかない。
ただ飛び起きるくらいに疲れ寝ていたのだろう、それだけ書き物に集中していたことを察しながら。

「やー、学校に編入しようかってのは迷ってるとこさ。
 俺としても新しいことを知るっつーのはいい刺激になるたぁ思うんだがなー?
 もーちょい自由に振る舞ってから決めてもいいかもなー、なんてさ。」

そこは旅行者らしく、ここも通過点でしかないと言外に。
学生という身分に落ち着くのもいいが…まだ滞在に値するかを見定めきれてないのだろう。
それはこれからじっくり考えていく、とも。

「そういうお前さんは学生さんかい?
 なんたってわざわざここで書きもんなんかやってるわけだしな。」

そんなわけで、今度はこちらから質問を。
大よそ察しは付くわけだが、違ったら違ったで関心が持てそうなので。

彩紀 心湊 > 「いえ…ちょっとした休憩のつもりだったのだけどね。
まさか寝るとは思わなかったけど…。寝るなら家で寝たほうが良いわ…やっぱり…。」

伏して寝ていたのが祟ったのか、ややしんどそうに背伸びをする。
疲れているかと言われると、自覚はないのだがそうなのかもしれないと。

「迷ってる、ね。
迷っているのなら入ってしまっていいと思うけれどね。
とはいえ、規則に縛られるのもそれはそれで、かしら。
勉強以外にそれらしいものはないけれど。」

校則はありはすれど、それらも基本的に一般的にもやってはいけないことばかりだ。
なにかしらの障害になるものがあるかと言われると、一般の女学生からすれば首を傾げるところではあった。

「と、ええ。
3年の彩紀と言うわ。よろしく。」

そう、軽く一礼をして。

アーテル > 「………規則ねえ。
 できる限り健康診断とかその手のは避けてえもんだがー……
 勉強できるってのはいいとこだよなあ、やっぱ。
 うーん……もちょい時間欲しいとこだな!」

何を迷っているのだろうか。
女生徒の伺い知れないところで、彼だけの葛藤があるのかもしれない。
だがそれは時間で解決する、とも。

「あっ、こりゃどーも。
 アーテルってんだ、よろしくな?にしし。」

一礼する彼女に遅れて、こちらも快活に笑いながら一礼を返す。
そうして、ふと思い出したように口を開いた。

「……そういや、やっぱ書いてたそれって魔術に関するものってわけかい?」

やっぱり、気になるものは気になるようだ。

彩紀 心湊 > 「健康診断ね…そう大したものでもないと思うけど…。
なにか苦手意識でもあるのかしら?
まあ、時間は山程ありそうだし、まだ見て回ると良いんじゃないかしらね?」

珍しいところを気にするものだな、と不思議そうな顔を向けつつ

「アーテル、ね。

ん…ええ、そうだけども。
貴方、魔術に興味があるの?私はそう詳しいわけじゃないから教えることとかは出来ないけども…。」

もはや、珍しいものでもないが旅行者にとっては珍しいかもしれない。

アーテル > 「ああほら、俺もよくしらねーんだけどさ。
 異邦人だかなんだか、見た目は同じでも純なニンゲンじゃねーやつだって多いだろー?
 ……そういうのと同じことを危惧してるってワケさ。」

表現をぼかす。
ありていに言えば、ただの人間じゃないということをあまり広めたくないそうだ。
彼らが本当にそういうことを考えているかは、別として。

「んむ。俺ってば幻術使いなんだけどなー?
 こう……独自技術だもんでな、色々と知識を後付けで組み合わせてくと幅が広がるかなーってさ。
 だもんで、ここで学べる魔術とやらに興味があるってわけさ。」

自分の得意分野をさらりと口にしながら。

「あぁ、何もこの場で教えてくれっつーわけじゃあない。
 お前さんにも都合があるだろうしなー?
 こちとらどういう魔術があるもんか、それが知られただけでも収穫ってもんさ。」

にこにこ。新しいことを目の前にわくわくが止まらない…そんな表情で、彼女の反応に期待している。

彩紀 心湊 > 「ふぅん…?なんというか、大変なのね。
人じゃない人なんてよく見るからさほど気にはならないけど…。」

そういえば、いつか見た獣人は元気にしてるだろうかなどと考えながら。


「幻術とはまた珍しい…。
聞いたことはあるけど、本当に聞いたことある程度のものよ。
こう…幻を見せて惑わすとかそんな感じよね?確か。

ああ…。
なんというか、悪戯に使う類とか見つけたのよね。
そういったものでレポートを埋めてたってわけ。
子供だましな魔術だけど、その分簡単でね。」

なんというか、無邪気そうなのに真面目な人物だなと印象を受ける。

「危険な魔術とかは全然ないけど、学校で学ぶ範囲とかは図書館にも置いてるからたまにみていくのもいいかもね。
さて…私は家に帰って寝直すとするわ…。首が…痛くてね。」

自業自得である。
ゆっくりと立ち上がれば積み重ねていた本を手にとって本棚へと向かっていく。