2020/11/10 のログ
■セレネ > 己の問いに、あっさりと魔術師である事を告げた彼。
秘匿する性質の己とは真逆だなと感じた。
「魔術師さんでしたか。それなら確かにこういったものを看破するのは簡単でしょうね。」
険しかった顔つきが不敵な笑みに変わった。
己は蒼を細めるだけで、
「仮に火傷をするのなら少しでも正体を掴んでから火傷したいです。
転んでもタダでは起きません。
私も、知らない事を知る事が何よりの楽しみですから。」
相手と同じく、己も魔術師。
知識欲は旺盛で、興味がある事はとことんまで知りたいタイプ。
そこに共感してくれるのは有難く、親近感がわいた。
「クロロさん…ですね。
私はセレネと申します。宜しくお願いしますね?」
相手の顔と名前を覚える。そうして己も名を名乗ろう。
学生証は本物だが己も偽っているのは同じ。
ボロを出さない様気をつけてはいるが。
「…ぼ、没収されると困ります…。
聞く必要はないかもしれませんが、気になったのですもの。」
核を左手で握り、胸元に寄せて困惑の表情。
肉食獣を前にした草食動物のようだ。少なくとも見た目は。
■クロロ >
「まァな。普通のとはちと違うが、相応に精通はしてるぜ?」
扱う魔術も特別なものではあるが、基本を疎かにしている訳では無い。
魔術師である以上、その辺りの土台を疎かにするはずもない。
「火傷してどーすンだよ。火傷したら、元も子もねーぞ?
心意気は、オレ様も同じだがな。火傷したら、可愛い面が台無しだろーが。
そもそも、火傷しないための知識だろ。あンまし滅多な事言うモンじゃねェえ?」
気質は同じだ。
だが、心意気だけで、仮の話だとしても火傷から大事に至る事も珍しくない。
それを回避するための武器が知識だ。
魔術師の武器は、魔力や魔術などではない。知識だとクロロは思っている。
クロロは馬鹿だが、阿呆ではない。だからこそ、此の辺りには煩く
"こういう台詞"は自然と飛び出してくるタイプらしい。
「セレネ、な。別に没収はしねェよ。妙な事が気になるンだな、お前。
……まァいいや。ソレで、お前の方じゃァ、ソイツの正体は何処までわかッたンだ?」
深く詮索はしない。
何かを抱えているのは、お互い様。
溜息交じりに後頭部を掻けば、机の上に置いてある本を一瞥した。
何時からいたかは知らないが、彼女なりに歩は進んでいるとみたが、さて……。
■セレネ > 「へぇ…貴方の扱う魔術も気になりますね。
機会があれば是非とも見てみたいです。」
基礎は基本はどの分野においても大事だ。
しっかりとした基盤が出来てこそ応用も出来るものだろうし。
「――かっ…!?か、可愛いだなんて…。
それは、そう、ですが…。」
褒められる言葉は慣れていない。さらっと言われた言葉に頬を赤く染めて照れつつ。
勿論相手の言う通りだし、なるべくなら火傷や大惨事になどしたくない。
見た目や口調は粗暴だが、やはり根はまともだと改めて感じた。
成程魔術師らしい。
「…細かい事とか気にするタイプなのです。
――んーと、色々と読んではいますがどれも違っているような気がして進展はほぼないのですよね。
ただ、これが仮に人の魔力だとするなら、この魔力を持つ人はとんでもない方だなぁと…。
拾っただけなので憶測ですが。
人が持つというより…うーん…もっと強い生命力を持った種族、とかそっちの感じ…?」
嘘と推測を織り交ぜ、問いに答える。
頬を掻き困った顔をしながら机の上にその紅い核を置いて。
■クロロ >
「アー……まァ、なンだ。その内な。」
己の魔術に関してになると、途端歯切れたは悪くなる。
人に見せれるような代物ではない。
あれはもっと、"根源的"なものだ。
仄暗い場所に住んでいる訳では無い彼女に、見せるわけにはいかない。
気だるそうに己の首を撫でて、溜息を一つ。
「その為の知識だ。オレ様達魔術師ッつーのは、ソレで自分を護るし
他人を護る為の……ア?どーした?顔赤ェぞ。火傷でもしたか?」
それが、魔術師だと語る。
白紙の脳内ではなく、心に刻まれた誰かの教え。
それが誰なのかは、当然覚えていない。
ふと、相手の顔がみるみる内に赤くなる。
不思議そうに目を細めて、顔を覗き込んだ。
純粋な心配だ。他意も何もない。
「……よーするに、あンまり進展してねーッて事か。
おい、ちょいと貸してみろよ。オレ様の方でも見てみる。」
ずぃっ、と手を差し出して要求する。
■セレネ > 「えぇ。今すぐとは言いませんし、そんな簡単に見られるものだとも思っておりませんので。」
急に歯切れが悪くなったが、魔術というものはそういうものだしそこで食い下がる事はしない。
彼の扱う魔術がどういう系統なのかも知らないのだし。
「い、いえっ!?火傷はしてないです…っ!」
己は大した異能も持ち合わせておらず、独学でここまで上り詰めた。
だからこそ彼の言葉も身に沁みている…のだけど。
覗き込まれるのなら先程よりも少し顔は近付く訳で。
更に赤くなっていく顔をふるふると横に振りながら大丈夫だと言おう。
「…ぅ、ど、どうぞ…。」
歯に衣着せぬ物言いで言われてしまえば言葉のナイフがさっくりと胸に刺さる。
そうして出された相手の大きな手に、紅く輝く核を乗せよう。
小さな核とはいえ、内側に揺らめく炎は絶えることなく燃え続けており。
全てを灼き尽くさんとばかり、そんな恐ろしさも秘めているような魔力が分かるかも。
■クロロ >
「おう、その内な。」
その内、その内だ。
とりあえず、成るべく当たり障りない魔術をピックアップしておこう。
じっ、と見据える煌々と光る金の瞳。
本人の気質とは違い、妖しく揺らめく光は何処か不気味だ。
疑っている。視線が底を覗くようにしているが、本当に大丈夫だと分かれば体を引いた。
「ま、別に大丈夫ならいいけどよ。無理すンなよ?」
必要以上に心配はしない。
クロロの言葉に表裏は無く、何事もストレートだ。
さて、差し伸べた手から受け取った宝石めいたモノ。
しっかりと握りしめ、じっと見据えるそれは、消えぬ炎を宿す核だ。
「──────……。」
"オレ様と同じだ"。
自分の体質と同じなら、もしかしたら"波長の相性の良さ"で何か分かるかもしれない。
この身は、人の皮を被りし炎、魔力の化け物。
成らば……。
「アイツだな……。」
アレが使える。
早速、"その内"がやってきた。
『────Call<力を貸せ>』
『────Tsathoggua<ンカイに眠る者>』
クロロの詠唱が、空気を揺らす。
瞬間、瞬きした左目がより眩く輝いた。
遥か彼方、深淵の奥に眠りし賢者。
一時的に意識を共有し、賢者の知恵を借りる魔術だ。
とは言え、賢者も全能ではない。知らない可能性もある。
果たして、如何なるものか────……。
■セレネ > 妖しく輝く金が、己の蒼を静かに見据える。
顔は赤く染まったままだが己は神なる身。
見据えられれば、少なくとも人では無い事くらいは分かるかもしれず。
身体が離れたなら、止まっていた呼吸を再開した。
…顔が熱い。
「…は、はい。有難う御座います…。」
頬を両手で隠して熱を冷まそうとしながら、声を掛ける彼に礼を告げた。
ともあれ手のひらに置いた核を握り、相手が詠唱する様を見る。
存外早く扱う魔術の一端が見れそうだ。
彼が魔術により得られた情報。
その魔力はこの世界のものではない、『貴■種』の魔力である事だという事が分かるだろう。
■クロロ >
脳内に囁き、人ならざる不浄の囁き。
鼓膜を揺らす。精神を揺るがす。吐き気がする。
思わず、苦痛に顔を歪めるが、取り払うように首を強く振った。
「……ふぅ……。」
接続解除。左目の輝きが消えて
疲労の吐息と共に背凭れに思い切り持たれた。
やはり、"ああいう奴等"との接触は疲れる。
とにかく、収穫は在った。気だるそうに、首を回した。
「アー……なンだ。貴…なンとか?種?とか言うものの魔力の塊らしいな。よーわからン。
少なくとも、どッかの異世界のモンだろ。よくこンなモン拾ッたな。」
確かに定期的レベルで異邦人が流れてくる島だが
拾った場所は渋谷地区。余計に疑問に思えてきた。
「ま、取り扱い注意だな。」
■セレネ > 「…大丈夫ですか?」
一種の解析魔術なのだろうか。
術式は全く視えなかったが…。
疲れたように息を吐き、背凭れに身体を預ける様子に今度は己が心配そうな声を掛ける。
「貴何とか種…?ふむ、この世界のものではない、と。
紅くて光っていたので、あの場所では分かりやすかったですから…。」
彼が開いてくれた重要な情報だ。確信的な部分は自力でどうにかするとして。
「よくよく注意しておきます。
…有難う御座いました。」
核を返すよう、手を差し出しつつ礼を述べ。
気付けばすっかり暗くなっており、そろそろ帰らねばと考える。
「私、そろそろ帰るつもりですが…もし良ければ途中まで一緒に帰ります?」
なんて首を傾げ。
■クロロ >
「オレ様つえーから無敵だ。」
何とも馬鹿っぽい返事だが本人が言うなら間違いない。
実際、気だるそうではあるがパチン!と軽く頬を叩いて気合を入れ直した。
大丈夫そうだ。
「……お前もしかして、猫並みに光るモン拾うタイプ?」
まさかとは思うが、これを拾ったのは光ってたのが理由だったりするのだろうか。
猫がどうかは知らないが、目立つ理由だけで拾うのは迂闊と言うべきか。
とは言え、その辺りの好奇心は自分も一緒。
深く攻める事は出来ない。やれやれ、と肩を竦めて席を立つ。
「おう。ンじゃァ、適当に帰るか。オレ様どーせ、歓楽街の方だしよ。
送ッてやるよ。お前弱ッちそーだし、面倒ごとに巻き込まれると後味悪いしな。」
差し伸べた手に核を返し、からかうように言ってやった。
ニ、と口角を吊り上げた不敵な笑顔。
彼女の家まで送り届ければ、サッパリそのまま歓楽街方面に帰るだろう。
■セレネ > 「…私の父と同じような事を言うのですね。」
粗暴な所とか口ぶりとか、本当に似ている。
懐かしい気持ちにはなれたが、同時に寂しさも湧き出てきた。
頬を叩いて気合を入れ直す様にクスクスと小さく笑ってしまいながら。
「綺麗な物は好きですけど、光っているだけで拾うなんて事はしませんよ。」
猫並みなんて言われれば軽く手を握って胸の傍で手招く仕草。
己は猫のようだと時折揶揄されるが、好奇心が強い所は猫並みかもしれない。
「あら歓楽街に住んでいらっしゃるのですね?
…お気遣いに感謝致しますけど、私これでもやる時はやるのです。」
返してもらった核をポケットに入れ、片方の拳を軽くジャブしてみせる。
読んでいた本はきちんと元の場所に戻してから、寮まで無事に送り届けてもらって。
頭を下げて礼を言い、暫くその背を見送ろうか。
不思議な人だったが有意義ではあった。
また会えれば良いなと思いつつ、自室へと歩いていく――。
ご案内:「図書館 閲覧室」からクロロさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」からセレネさんが去りました。