2021/01/13 のログ
■神代理央 >
漸く覚醒状態へ至ろうと、のろのろと回転を始めた思考。
どれほど眠ってしまったかな、と腕時計に視線を向けようとした時。
突然、後頭部が柔らかな何かに沈み込む感覚。
図らずも寝起きであったが為に、それが何なのか理解するまで数秒の時間を要して――
「…………公共の場での行動にしては相応しくないんじゃないかな。これでも一応、風紀委員なんだが」
いくらぼんやりしていても羞恥心の類が消えることは無い。
がばり、と身を起こして彼女の抱擁から逃れると、ぷんぷんと擬音がつきそうな様子で振り返って彼女に視線を向ける。
流石に、その頬は少しばかり羞恥の色に染まっていたのだろうが。
■雨見風菜 > 別に拘束したわけじゃないのでいともたやすく脱出される。
風紀委員であることを強調する理央だが、頬の僅かな羞恥の色は見逃さない。
なんだかんだ言っても男の子なんだな、と思いつつ、でも職務中だと通用しなさそうだなとも思いつつ。
「あら、ちょっとしたスキンシップですよ。
それに、頑張ってるご褒美くらいあってもいいじゃないですか。
お給料とかじゃなく、精神的な、ね」
今更周辺を見回したが、自分たちを目撃できそうな範囲には誰もいない。
『鉄火の支配者』の畏怖があるのか、別に騒いでなければどうでもいいのか。
今更振り向いてこちらを見る目が一人いたが、今は何もしていないので興味なさそうに本に目線を戻していった。
「ね?」
いわゆる結果オーライである。
■神代理央 >
「…別に、そういう褒美が欲しくて仕事に励んでいる訳ではないぞ。
……まあ、私の部下達は喜ぶかもしれんがね」
やれやれ、と小さく溜息。
とはいえ、彼女の様な美少女からの抱擁であれば、己の部下達はさぞ喜ぶだろうとその表情は苦笑いを交えた小さな笑みへと変わる。
「とはいえ、気遣ってくれた事は感謝するよ。
そろそろ期末試験に向けて少しずつ一年のまとめをしようと思っていたんだが…中々捗らないものだな」
何だかんだ、彼女が此方を気に掛けてくれている事は、まあ、理解出来る事だし。
気遣った結果が風紀委員として些かグレーゾーンな行動と場所である事には、この際目を瞑ろう。
広げていた本を閉じつつ、穏やかな笑みと共に礼の言葉を告げるのだろうか。
■雨見風菜 > 「ええ、そうでしょうね。
神代先輩、ストイックそうに振る舞ってるように見えますし。
あら、じゃあ一肌脱いじゃいましょうか」
そりゃあそのために頑張っているわけではないのは分かっている。
そもそもこんな状況を夢見て頑張るほうが少数派だろう。
それに、そういう人間はその手の店に行くだろうし、理央がそんなタイプじゃないと風菜は思っている。
ところで隊員が喜ぶかもしれない、という話を聞けば軽く食いつく。
果たしてひと肌どころで済むのだろうか。
「随分お疲れのようですからね。
きちんと眠れてます?」
こんなところで眠ってしまうのだ。
風紀委員としての業務も多忙そうだし、きちんとした眠りにはつけていないのかもしれない。
そう心配して問いかける。
■神代理央 >
「特段意識して振る舞っているつもりもないんだけどな。
ストイック、というよりも委員会活動に専念していると見て欲しいものだ。
……冗談だよ。むさ苦しい連中の多い隊だ。女子がそういう事を言うものじゃない」
女子隊員がいない、という訳では無いのだが基本的には元違反部活生の男子が多い特務広報部。
そういう事は冗談だけにしておけ、と呆れた様な視線を向けるのだろうか。
「…睡眠の質は高めようとしてはいるのだがね。
時間そのものは…まあ…うん…」
微妙に言葉を濁す。
寝具だの、レム睡眠とノンレム睡眠の管理だので睡眠の質を上質させようとはしている。
ただ、睡眠時間そのものは圧倒的に不足している。
だから、疲れ――というよりも、電池が切れた様に今回も寝てしまったのだが。
■雨見風菜 > 「確かに、神代先輩って無趣味そうですもんね。
でも、子供であることは間違いないんですし、休みの日くらいはパーッと遊んでもいいんじゃないんです?」
理央本人にその遊びが思いつかない、という問題はありそうだがそんなこと風菜は知らない。
人間、自分と境遇が違いすぎる他人のことなど考えが及ばないことはよくあることだ。
「あらまあ、冗談でしたか。
別に冗談でなくても良かったんですけど」
風菜自身、そういうことになっても……むしろそういうことを望んでいたりはするが。
本性を知らぬものには信じがたいだろう。
「睡眠時間は大事ですよ、やっぱり。
脳は常時働いているとはいえ、睡眠時間は貴重な休息時間だとかなんとか」
うろ覚えなので歯切れが悪い。
そんな事を言っている内心では『夢見の雫』を少し分けようかとも思ったが、踏みとどまった。
多分妙な薬扱いされそうな気がする。
■神代理央 >
「無趣味ではない…と、強くは言えぬのが困りものだな。
パーッと遊ぶ……そうしたいのはやまやまだが、今は委員会に注力したい時期でな」
と、小さく苦笑い。
まあ、彼女の言う事は大凡その通りなので反論のしようもない。
休日の過ごし方か、とちょっと悩み顔。
「少なくとも、風紀委員としてそういう事を推奨は出来ぬからな。
私から出来るのは精々…そうだな。『歓楽街で羽を伸ばしてこい』と言うくらいだよ」
それは要するに。歓楽街辺りで部下達の"相手"をするくらいなら黙認するということ。
唯、それを表立っていう訳にもいかない立場なのだと、言外に含ませる。
建前というのは大事なのだと言わんばかりに、肩を竦めてみせるのだろうか。
「…脳の休息、か。確かに働き詰めでは効率も落ちるしな。
善処するとしよう。その前に先ずは、仕事を片付けにいかねばならんがね」
ちら、と腕時計に視線を落として椅子から立ち上がる。
「さて、そろそろ私は本庁へ向かう頃合い故、これで失礼しよう。
色々と気を遣ってくれて有難う。ただ、まあ……場所と時間は、選んで欲しいものだな?」
最後の言葉は、苦笑混じりの微笑と共に。
彼女に礼を告げると、幾分乱れた制服をきちんと整えて、革靴の音を響かせながら図書館を立ち去るのだろう。
部下達に、羽を伸ばす為の慰労金でもくれてやろうか、なんて考えながら――
■雨見風菜 > 「働き詰めは体にも精神にも毒ですよ。
休むときはしっかり休まないと」
言いつつも、ああこりゃあ駄目だなと。
典型的な無趣味な人間であることを、無意識に感じ取る。
問題はそれが風菜には言語化できないことだが。
「……まあ、たしかにそうですね。
羽根を伸ばすよう指示するくらい……大変ですね、やっぱり」
なんとなしに言外の言を理解した。
建前が大事なのは身に沁みている。
いや、風菜の場合は建前ではなくむしろオンオフなのかもしれないが。
「まあ、お仕事もほどほどに、ですよ。
私はいつでもウェルカムではありますけどね。
ともかく、頑張ってください」
苦笑交じりの微笑みに、悪戯っぽく微笑みを返す。
仕事に向かう理央を見送って、風菜はまた本を読みに本棚に向かっていくのだった。
ご案内:「図書館 閲覧室」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」に比良坂 冥さんが現れました。
■比良坂 冥 >
閲覧室から去る少年
そして本を読みに戻る少女
各々がその場から離れて数分後
まるで蛞蝓のようなじとりとした足取りで一人の少女が現れる
「………」
胸元には厚い、生物の生体などを記した本…
若い女子学生が好んで読むようなものではないそれを抱えたまま
昏い視線を虚ろに彷徨わせていた
■比良坂 冥 >
迷うような
何かを探すような…
そんな視線を巡らせて、しばらく
『何かお探しかい?』
図書委員であろう男子学生が、少女へと問いかける
「……」
昏いその眼をゆっくりと向けられれば、男子生徒は少したじろいだ様子
『えっと、特に何もなければ、いいんだけど』
取り繕うような言葉を慌てて口にする男子生徒
対して少女は、ゆっくりと、じっとりとした喋りだしで…
・・・・
「……大丈夫。もう見つけたから」
「……この本、借りたいんだけど」
す、と胸元の本を提示する
一瞬得体のしれない雰囲気を感じ取ったのだろう図書委員の生徒は、
一息遅れて『ああ』と少女をカウンターへと促した
・・・・・
そして、何事もなく、少女は図書室を後にする
ご案内:「図書館 閲覧室」から比良坂 冥さんが去りました。