2021/04/18 のログ
藤白 真夜 >  
「……けほっ。タ、タコですかぁ……呪いの業界じゃあんまりいいお話を聞かない生物なんですけど」

小さく咳き込みながら、ぐしぐしとハンカチで顔を拭う。
う、うわぁほんとに真っ黒だぁ……。

「あっ、す、すみません!
 お、お騒がせしております……」

またしてもやかましくしてしまったことに、ぺこぺこと頭を下げる。
また司書さんに怒られるかな、なんて思いつつも、

「……ふふふっ」

笑ってくれる照月さんに、つられて私も笑ってしまう。
……その顔はまだちょっとくすんでいましたけど、表情は、笑顔。


「……確かに、少なくとも起動はしていましたよね。
 う~ん、吸われてたのでしょうか……もうちょっとこう、呪いに苦しむ的何かを危惧していたのですが……」

む~、と顎に手を当て考え込む仕草。顔はくすんでいますが。
事実、実験の名目で持ち出したものですし、結果は知らせないといけないんですけれど……。
……文字通り、なぜか私より答えを言い当てている気がする照月さんの言葉に。

「……ふふふ。本当に、照月さんの言う通りになっちゃいましたね。

 ……付き合ってくださって、ありがとうございます
 ちょっとだけ、希望が見えたかもしれません。……ちょっとだけ」

呪いと聞いても付き合ってくれて。
私に、おめでとうと言ってくださる、あなたに。
まっすぐに見つめて、お礼の言葉を。
……まあ、顔はまだ煤けているのですが。

照月奏詩 >  
「場所によってはデビルフィッシュだしな。でも一応日本じゃ縁起がいい生き物って事になってるんだぜ?」

 だから良いんじゃないのと苦笑い。
 ここでできる男ならハンカチなりをさりげなく渡すのだろうが……あいにくハンカチなどというもの所持していなかった。

「……おい、ガチの呪いの品なのかよこれ。そういう触れ込みの道具じゃないのか。ホントに呪い発動してたらヤバかっただろそれ」

 最悪そうなる前に能力で無理やり防ぐ事は……彼女に対しては間に合わないだろう。少し軽率だったなぁなんて後悔をしながらも。
 まぁ無事成功したんだし良いか。なんて思って。

「あ、でもあれだぞ。俺はあくまで客観的に話しただけで正解かどうかはわからないからな。俺の専攻はこっちだし」

 と持ってきた本の表紙を見せる。
 異能学の専門書。つまり専門は異能だと言って。

「正直俺も魔術はからっきしだからさ。俺の場合は極端に魔力が少ないらしい。キャパシティ的なのが絶望的に低いんだと」

 前に何となくで火の魔術を試したら熱くもない火花が1個飛び出しただけで魔力切れを起こしている。
 その経験から魔法はあきらめた。回復魔術でも使えればすごく便利なんだが。

藤白 真夜 >  
「廃校になった学校の、音楽室で見つかったんだそうです。
 誰も居ないだろうに、音楽が聞こえてくる。
 そこへ行くと、この蓄音機から音が流れていて――、
 そう聞くと、何かがありそうな気がするでしょう?」

実はもう呪いは薄れているのかも、そうかもわからない。
真偽がわからなくとも、溜め込むのがウチの部署だったから。

「ふふ、大丈夫です。
 私も、呪いのほうが専門みたいなものですからね
 実のところ、こういうのには慣れていますから」

……せめて彼を心配させないように。
事実、そうだったけれど。

「あっ、そうでした!
 さっきも結界みたいなのが見えましたし……。
 防御型の異能とおっしゃってましたけど、……少し、羨ましいです。
 誰かを守れるかもしれない力というのは、すごく綺麗だと思いますから」

うっすらと紫に輝く薄いガラスのようなものを見た……ような。あまり、見えていなかったかもしれないけれど。

「……魔術が使えなくとも。
 自信のあることが、信頼のおけることが、一つでもあるというのは……それだけで、"良いこと"だと思いますから、ね」

……少し似ている彼を見て。
……私も、異能が専攻だと、言えたらよかったのですけれど……。

藤白 真夜 >  
「……けほっ
 す、すみません。まだ試せるものはあるんですけど、……お風呂に入りたく、なってしまいまして」

思わず、またハンカチで顔をはたく。
……まだなにかへばりついてるような、嫌な感じ。

……少しだけ、進展はあったし。照月さんにも、手伝ってもらえたし。

「……今日はありがとうございます、先輩」

なんて、お世話になるとまた先輩呼びになってしまいそうなのですが。
あなたにお礼の言葉が届いたのならば、いそいそと寮に帰っていくのでしょう。
……ときたまぺこぺこと頭を下げたり、気持ち居た堪れなさげにこそこそしつつ。

照月奏詩 >  
「ああ、そういわれると何かありそうっていうか普通にあるかを調査する案件だな。危険だとまずいし」

 風紀とかそっち系に声かける案件だわと笑った。
 実際、風紀委員ではそういった仕事もあるのだろう。

「ああ、そうなのk……さすがに呪いに詳しくないのにためらいなく使わないよな。たしかに考えてみればそうだよな」

 それもそうだよなと納得した。
 安心した、というと少し複雑だが、少なくとも少しは安心できた。
 うらやましいと言われれば少しだけ苦笑い。

「そんな良いものじゃないぜ……防御といえば聞こえはいいけど。実際は殻だからな。この能力で守れるのは自分だけよ」

 今回みたいに応用はできるけどさと笑う。
 実態は防御どころか拒絶だ。誰かを守るどころか自分を守る為に他者を傷つける能力なわけで。

「ま、でも自信があるのはいいことってのは同意。何か一つあるだけでも結構違うもんな……ん、ああそれもそうだ。煤だらけじゃさすがに嫌だよな」

 と少しだけ笑ってしまう。

「ああ、気を付けて帰れよ先輩。特に……風紀当たりに職質受けないように」

 パッと見話を聞かせてくださいと言われもおかしくない顔だろう。
 そうして彼女を見送れば自分は自分の勉強を始める事だろう。

ご案内:「図書館 閲覧室」から藤白 真夜さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から照月奏詩さんが去りました。