2021/12/08 のログ
イェリン > 「私は生まれも育ちもスウェーデン。
今の時期だともう一面銀世界の北の国」

話せるようになるのに4年程かかったのはある。
語彙や言葉選びは教えてくれた日本人による影響の部分が大きい。

「貴方も先輩の知り合いなの!?」

思わぬところで、縁は繋がる物で。
彼女の顔が広いのか、あるいは完全な偶然か。
友人の話となると普段以上に声も弾む。

「……異能って個々人の物だからそれを育てていくのも素敵だと思うけど、
行き会った事への向き不向きもあるものね…
知識は力なり、っていうのかしら。

手に取りやすい物だと、なにかあったかしら
生活魔術の類だと色と事象を紐づけて取り出したりできるけれど」

赤から火を、青から水を。
イメージや連想物を実体化させる、現代魔術の一種だ。
目の前の青年の異能や落第街での騒動などをまるで知らぬ烏羽色の少女は小さく考えこむような様子。

霧島 孝介 > 「おぉ、スウェーデン。
 へぇ~…ロマンチックですね、見てみたいです」

一面の銀世界。
北の国は空気も、雪の質も日本の物とは違うから
さぞ美しいんだろうな、などと夢想して。

「あ、まぁ、知り合いって言うか…友達?」

声が弾んだ様子に、つい笑顔になってしまい
友人であるということを胸を張って告げる。
そういえば、セレネさんも北の国出身だったはず。となれば、目の前の女性とも仲がいいことは明白で。

「…異能は才能、魔術は努力、って誰かが言ってましたが…
 才能が役に立たない場面に直面したら、努力がモノを言うもんですよ。
 オーベリソンさんの言う通り、知識は力。持っていて損はないです。

 色と事象を紐づけて…あー、そんなのもありましたね…
 俺は、そういうちょっと複雑な奴より単純な魔術を頑張ろうかな…と

 具体的には、今は加速魔法を頑張ってる感じですかね…はい」

緑から草や茶色から土を出したり、自分も実践したような気がする。
黒色から200gの砂鉄が出て来た時はどうしようかと困ったものだ。

そして、何やら考え込んでいる女性に自分の頑張っている魔術をさらっと告げる
どうやら北欧の魔術師、といった存在なのだろう、彼女は。
それならば、ちょっとばかり魔術のいろはを教えて貰おうと、彼女の方を向いて

イェリン > 「雪かきばっかりで飽き飽きしてたけれど、今となっては恋しいわね。
貴方は? もともとこの島に居たの?」

思い出す故郷の風景は、ダッフルコート一枚で寒さを凌げる物では無く。
思い出せば少し頬も緩む。
彼はどうだろう、日本人といってもこの島育ちの人も居れば本土ともいえる日本の生まれの人もいるだろう。
それが気になり、問うてみる。

「あの人、お友達すっごく多そうね…」

右も左も分からなかった自分にもよく知れくれた彼女の事だ。
きっと他の人にもそうなのだろう。
そして、彼女の審美眼を信じてもいるからこそ、目の前の青年の人の好さも信頼できた。

「加速魔法……私もよく使ってるわ。
真っ当に術式組んでる人からすればズルみたいなやり方だけど」

元々異界の怪異と戦うための術として魔術を扱う身。
咄嗟に使う時に詠唱も何も必要ない、小道具を使った魔術を好んでよく使っていた。

「先にね、靴に仕込んじゃうの」

こんなの、と鞄から取り出した羊皮紙にルーン文字を刻んでいく。
必要な時に願うだけで起動する簡易術式。
武器に仕込めば武器を飛ばして使う事もできる為、形を知っているだけで使える中では汎用性はかなり高いだろうか。

霧島 孝介 > 「あー、俺はー…元々、本土。
 えっと、日本出身、かな?」

彼女が故郷の話になれば、頬を緩めている様子を見て
やはり、故郷の事が好きなんだなとこちらも微笑む。
対して、こちらは島生まれではなく、本土で生まれ、家族も本土に居ることを付け加えて教える。

「た、確かに…」

セレネさんのコミュ力とか、人間性なら友達は多そうだ
きっと目の前の女性以外にも知らずのうちに共通の友達が出来てそう。
…話題に困ったらサラッと名前を出そうと、ちょっと失礼な彼女の名前の使い方を考えてみる。

「お、よく使うんですか!?」

これは、教えて貰えるパターンの奴か?
そんなことを考えながら、少し身を乗り出す。

「靴に…?」

紡がれる言葉に、顎に手を添える。
そうか、靴などに仕込んで加速する、何て方法もあったかと頷く。

そして、彼女が羊皮紙を取り出せば、刻まれるルーン文字。
ルーンを使った術式構成はやったことはなく、その文字を目に焼き付ける。

イェリン > 「本土……それだと、寂しかったりはしないのかしら
家族と離れ離れだと」

この島に家族連れで来ている人は多く無い。
学ぶために来た自分も、ひと月と経たない内にホームシックに駆られる日もあった。

「もし知ってたらなのだけど、
彼女の好きな動物とかって聞いたことあるかしら?
……贈ろうと思ってたクリスマスプレゼント、考えてたのだけど決めきれなくて」

探し始めてもうかなり日数が経つが、今一つ決めきらずに今に至る。
あまり自分の事を語らない彼女の事だが、友人の孝介なら知っているだろうか。

「貴方がどんな異能を持ってるかは知らないけれど、これ一枚――というよりこの文字でこんな事もできるの。
見様見真似で書いても、きっと貴方なら形を間違えないと思う」

羊皮紙の上に一本ペンを置き、トンと叩けば明らかに物理法則を無視した速度で壁に向かってペンは発射される。
教師に見られたなら叱られるかも知れないと、やってから思い至り辺りを見渡すが、杞憂で済みそうだ。

彼のノートを見た時に感じた字の綺麗さは目を見張る物だった。
その精緻さを以てすれば、問題なく起動できるだろう。
理論を詰め込むには、魔術は幅が広すぎる。
無論、造詣が深ければ深い程自由度は増すものではあるが。

「試しに書いて見る?」

特段、書くものは羊皮紙で無くとも構わない。
ノートでも、何でも良い。
それこそ、書いてしまえば地面でも壁でも、どこにでも使える。

霧島 孝介 > 「あぁ、連絡は定期的に取ってますし、長期休みの時は帰ったりしてますよ。次は冬休みかな…
 オーベリソンさんは帰省したりしないんですか?」

自分と言えば、メール等で繋がっており、距離も近いから
長期休みや連休の時は帰る、なんてこともしている。
スウェーデンでも長期休みに入れば帰省は難しくないだろうし、しないのかと疑問に思って

「動物………ん~~~…
 好きな人なら知ってるんですけど…動物はちょっと…」

腕を組んで考える。
セレネさんのイメージなら猫とか好きそうだが、それで猫をプレゼントされたら本人が困るだろうから
好き勝手なことは言えずに腕を組んで考える。

「うおっ!?飛んでった!…な、なるほど…」

作用反作用の法則を無視して飛んでいくペンにビックリとして身体を撥ねさせる
文字でこれが出来るのならば、複雑な術式を構築するより、こっちの方が準備は楽そうだ。
羊皮紙に書かれたルーン文字を見て、それを頭に叩き込んでいれば

「!書きます!
 …あ、ちなみに、このルーン文字って奴は書くことがトリガーだったりするんですか?」

ノートをめくり、空いたページに羊皮紙の文字と同じように文字を刻んでいく
そして、一つ疑問に思ったことを聞いてみる。

例えばテレビの画面。それに映ったルーン文字は発動するのか、と彼女に質問してみる。

イェリン > 「会いに行けるのは良いわね、元気って知ってても顔を見ないとやっぱり安心できない時ってあるから。
夏には一度帰ろうかとは思っているけれど冬は道が閉鎖されてるからお預けね」

この時期となると渡航するにも便も出ていない。
だから、今はたまの電話が親孝行だ。

「好きな人!?」

居るのは知っているが、知っているが!
どんな人だろうと聞きかけ、それを本人以外から聞くのはさすがに野暮かと思い留まる。
抱き枕代わりにぬいぐるみを、と思っていたが流石に好きな人の姿をしたぬいぐるみを作るわけにもいくまい。

「私の場合は靴の底に仕込んだ鉄板に刻んであるの、これと同じのをね」

ひらひらと羊皮紙を手の中で遊ばせながら、ペンを回収する。

「見たままで大丈夫、書く物も何でも大丈夫。
ただ、形と求める効果をイメージして、写してみて。
トリガーになるのは形に対して願ったり祈ったりする心だから、
書いた途端にノートが破けて粉々になったりはしないから、安心して」

孝介の目の前に先ほど使った羊皮紙を渡す。
形状としてはローマ字の"R"に似ているが、それでいて明確に一目で別の物だと分かる。

テレビの画面に映った場合は、あまり意味を為さない。
誰かの手で、直に意味を求めて刻んで初めて意味を為す物だから。
よっぽど稀有な場合を除けば発動する事は無いだろう事を伝える。

霧島 孝介 > 「えぇ、まぁ…うちは電話でも直接でも元気過ぎるほど元気ですよ…
 そうか、やっぱり雪国は冬は帰れない…とかあるのか」

電話でも直接会って話しても、心配ないくらい家族は元気で
寧ろ自分の方が心配されていたりする。
そして、彼女の国の季節の特徴に顎に手を添えて難儀だな、なんて考える

「え、っと…はい、クロロさんて人で…俺も会ったことないからどんな人かは知らないんですけどね?」

急に大声を出されてビックリしてしまう。
やっぱりこの手の話は女子の大好物なのだろう。
とはいえ、クロロさんという人物がどんな人かわからないため、提供できる情報はこれで終わりだが

「なるほど…それで機動力を確保しているんですね…」

チラッと彼女の靴を見る。
自分も同じようにすれば、大仰なバーニアも必要なくなるだろうか?
そう考えつつ、色々と戦い方を考察する。

「イメージ、イメージですか…ん~…」

目の前に羊皮紙を出されれば、それを真似して書いていく。
Rを直線のみで構成したような文字。
微妙な長さもしっかりと真似ながら、イメージを持って書いていく。

そして、誰かの手によって刻まないと意味がないことを知れば、納得したように頷く
それがルーン文字の特徴。発動条件なのだろうと顎に手を添えつつ、異能との組み合わせを再度考える

「よし、出来た!…それじゃ、これを…」

そうして、ノートにルーン文字を書き終える。
近場にあった消しゴムを持てば、その文字の上にトンと投げれば
ぽーんと消しゴムが跳ねて休憩室の天井に届くか届かないかの位置まで行き、青年の頭の上に落ちてくる

「あたっ」

イェリン > 「ふふっ、元気なのは良い事じゃない。
山の方の村だから、特にね」

積もる、というより埋もれると言った方が正しい規模で雪が降る。
下手に踏み入れば自分の足痕すら足される雪に消されて方角すら見失いかねない。
今しばらくは、肌寒い程度の冬をこの島で楽しむ事になるだろう。

「クロロ……覚えたわ。
いつか紹介してもらえるのかしらね」

あの物腰丁寧な先輩は思い人の前では甘えたりするのだろうか。
悪戯っぽく微笑みこそすれど、彼もそれ以上知っているという事でも無いのだろう。

「えぇ、勿論これだけじゃないけど」

予備動作なども目に見える物では無い。
使い道までは踏み入る事こそ無いが、おおよそのアタリはついている。
悪いように使う人でも無いだろうというのは、己の直感による推測に過ぎないが。

「ふふっ」

精緻に模倣された文字による術式は問題なく起動した。
したが、その結果彼に降ってきた消しゴムがツボに入ってしまい

「ふっ、ふへっ……ふふ……」

笑うのは失礼と思う心と、耐えきれない笑いがせめぎあい、
奇妙な笑い声を休憩室に響かせた。

霧島 孝介 > 「いやー…まぁー…そうですけど…
 それは大変ですね。辛いでしょうけど、春になるまで待つしかないですね…」

そういえば、北海道には雪の大谷というものがあったことを思い出す。
あれほどかはわからないが北国の雪はそれくらいの規模で容赦なく
降り注いでくるのだろう。なんとなくそんなイメージを持って、同情するように言葉をかける


「ええ、あ、一応…俺から聞いたって言うのは内緒で…」

ここら辺は結構デリケートな話題かもしれない。
悪戯っぽく微笑む彼女に念のため、そのように告げる。
もし、自分が言いふらしたと思われたら後々、恐ろしい目に合いそうだ。

「ふむ……何はともあれ、使い道が多そうですね。ルーン文字」

顎に手を添えてそんなことを呟く。
一文字でこれならいくつも文字を組み合わせたらどうなるのだろうか。
ルーン文字に興味が湧いてきて、もっと学ぼうなどと考え始める。

そして、消しゴムが頭に落ちてきて、情けない声を上げて
チラッと彼女を見ればツボに入っていて、抑えきれない程笑っていれば

「………あの、笑い過ぎです…!」

急に恥ずかしくなって、口元を覆いながらそう注意する。
顔は真っ赤になって、消しゴムをそそくさと筆箱に入れれば
奇妙な笑い声を上げている彼女に肩を竦める。

ただ、その直後にため息を吐きながら
美人の笑顔を見れたから、ぶつけて良かったか…などと思考を切り替えて
ぶつかったところを擦る。

イェリン > 「ありがと、でも皆はもう慣れっこだから、元気にしてるとは思うわ。
待ち遠しいわね、春。サクラも見て見たいし」

危険ではあるが、悲観する程の物では無い。
毎年の恒例行事が、ただこちらとは違っているだけだ。
時折電話が通じなくなったりもするが、これもいつも通り。
同情の言葉には、素直に感謝を返すだろう。

「もちろん、言わないわ」

優しい女神のような微笑みが般若のような怒りの形相に変わったら泣いてしまう。
無論、そうなれば彼も巻き添えを食らうだろうというのは見えているので、心に固く誓う。

「えぇ、でもあまり一つの文字に広く意味を持たせない方がオススメね。
他にも気になる物があったりすれば、教えたりはできると思うわ」

複雑化して行けばいくほど、咄嗟の時の使い勝手は落ちていく。
感覚的に使いやすい物から、そうでないものまで。

「うぅ……ごめんなさい……」

注意を受けながらも、うずくまるようにして堪えつつ。
暫くすれば震わせていた肩も静まるだろう。

「あとは身体の感覚に合わせていくしかないのだけれど、
お力になれたかしら?」

霧島 孝介 > 「ええ、この島の桜はキレイですよ
 花見とかもしてみても良いかもしれません!」

桜の話になれば、そんなことを彼女に教える。
今年の3~4月の花見を思い出す。
そういう季節ごとに関心の薄かった自分でも、あの時は目が引かれたものだ。
大事な人と行くといいですよっ、などと付け加え乍ら花見を薦めてみて

「…お願いします」

自分はその片鱗を見てしまっている。
セレネさんは…静かに怒るタイプだ。背後に般若を召喚するタイプだろう。
いや、般若の顔になって怒っても泣くけども。そんなことを考えつつ、彼女に頭を下げて
約束をする。

「なるほど…余り深くは考えずに、ストレートにやることをイメージすればいい感じですかね
 あぁ、はい。分かりました…ありがとうございます!」

文字に複雑性を求めるより、文字の意味はそのままで自分が使い方を工夫する方がいいだろう。
例えば、肘に文字を仕込んでパンチのスピードを速める、とか。
色々と知っている彼女に頭を下げて感謝して、今後も気になった事があれば聞こうと心に決める。

「…ま、いいですけど。色々教えて貰ったし…
 はい、助かりました。正直、行き詰っていたので…」

暫く笑っていた彼女に口を尖らせながら、許容するような言葉を告げて
ルーン文字の触りの部分だけでも教えて貰ったことには感謝する。
これで色々とやりたいことが切り開けそうだ。そんなことを考えて再度ぺこっとお辞儀をして

イェリン > 「花見! サクラを見ながらお弁当食べるのよね。
楽しそうね…!」

一緒に出掛けるような友人が沢山できるだろうか。
自分の故郷には無かった桃色の花に思いを馳せる。
大事な人と、と言われると困ったような顔をしながら。

「逆鱗になんて触れる物じゃないわ…」

未だ彼女の怒りを呼び起こした事は無いが、
怒ったならそれは静かに深く怒られることだろう。
元より、彼女を悲しませるような真似をしたいとも思わない。

「えぇ、理論が知りたければ教えられるのだけれど
知っていくならちゃんと順を追ってになるわね」

使い道の決まった強力な魔術を習得するよりも、
身体能力や異能の隙間を埋めるような物の方が彼が使うなら合っているだろう。

「ふふっ、異能と組み合わせてっていうのは私も初めて考えたけど
頑張ってね、それと……あまり大きな怪我はしないでね?」

無茶はするなとは、言わない。
術を求める人にそんな枷を嵌めるものではないだろう。

「休憩終わり……っと!
お話できて楽しかったわ、コースケ」

中断していた探し物に戻るために図書室へと足を向ける。
また教室で。
ドアの前で一度振り返り、ニコリと微笑んで烏羽色の少女は手を振るだろう。

霧島 孝介 > 「え、えぇ、多分楽しいですよ、はい」

自分は今年誰とも行ってないけど、花見をしている人々を横目で見た時の表情は
笑顔が大半を占めていたことを思い出す。

困った顔にはきょとんとして、首を傾げる。
あ、きっと彼女も恋する乙女で、相手が振り向いてくれなくて困っているのだろう。
応援してます。と勝手なことを考える

「は、はい
 お互い気を付けましょう…」

セレネさんならそうそう怒りはしないだろうが
そういう人は怒った時怖いと聞く。
普通に失礼のないようにしようと頭を抱えて決心する

「そこら辺は自分で勉強しますよ!
 触りだけでも教えてくれただけ、感謝です」

ここ数ヶ月、ちょっと本気で魔術を学んだものの、強力な魔術を行使するに自分は向いていない
こういうストレートで補助的な魔術の方が助かると、付け加えて彼女に感謝する。

「はい、頑張ります!
 ……気を付けます…」

彼女のエールには元気に答えるものの
大きな怪我、という単語を聞けば、先日の落第街の事を思い出し
刀の刃がフラッシュバックしてゾクッとするが
彼女に悟られないように笑顔を向けて。

「お、俺もです…勉強頑張ってくださいね。俺も頑張ります」

図書室へ向かう彼女に手を振る。
また教室で。と
こちらも微笑みながら、彼女を見送れば、スマートフォンに視線を写して
尊い漫画を漁る作業に戻るだろう―――

ご案内:「図書館 休憩室」からイェリンさんが去りました。
ご案内:「図書館 休憩室」から霧島 孝介さんが去りました。