2022/10/24 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にアリシアさんが現れました。
■アリシア >
私は。
どうにも。
この個人情報の入力というやつが苦手だ。
図書館で本を借りるには図書カードが要る。
図書カードを作るには個人情報の入力が要る。
だが創られた命である私の人格には生きてきた歴史というものがなく。
研究所の人たちやワン姉様に考えてもらった仮初の個人情報しかない。
……図書館でウソを書くのは、とても勇気が必要だ。
■アリシア >
まず名前。アリシア・アンダーソン。
以前はアリス・トゥエルヴと名乗っていたが。
この島で先んじて生活していたアリス・トウ姉様こと
アリス・アンダーソンにアンダーソン姓を名乗って良いと言われている。
私はこの名前がとても気に入っている。
記名欄はアリシア・アンダーソン……と。
そして次は年齢か。
3歳、と書くとフザけていると思われる。
……真実だ、私はまだ三年しか生きていない。
だがこういうものを正直に書くとかえって怒られることも私は学んだ。
いいのか? 本当に? ここに14歳とウソを書いて。いいのか?
ペンを片手に、書面を前に。私は懊悩する。
■アリシア >
………いいのか?
いや、今、私はこの姿でロールアウトした創られた命だ、と言って。
相手を困惑させるのは目に見えている。
ウソは良くないこと。
ウソも方便。
ウソは……ウソは図書館のドレスコードに合っているのか…?
頭を抱える。
もう何が正しいのかわからなくなってきた。
私は嘘つきであると割り切れればどんなに楽だっただろう。
■アリシア >
待て、まずは年齢は置いておこう。
他の欄を埋めるんだ。
住所。異邦人街のアパートだ。
本当は学生街に住んで良いと言われていたが。
私は雑多な街にいるほうが好きだ。
異邦人街が好きと言ってもいい。
私は目立つ。
服装もそうだし、姉様たちと同じ完璧な美を体現した顔立ちもそうだ。
だからこそ、個性的な人たちの中にいられるのはとても心地が良い。
おっと、脱線した。
住所を書いておこう。
■アリシア >
しかし……やはりネックは年齢か。
今日は書くのはやめておこう。
心の整理がついたら図書カードをまた作りに来るとしよう。
やはり。
個人情報の入力は苦手だ。
ご案内:「図書館 閲覧室」からアリシアさんが去りました。