2021/03/14 のログ
セレネ > 「あらぁ。それは何というか…ご苦労様です。」

家族に対してもそれなら、それはどうなのだろうと思うも。
口には出さなかった。己は部外者なのだから。

「”人”ではない私にそれを言いますか。」

随分と欲が薄い人だと思う。
逆に、何だったら彼の意欲が出るのかと気になってしまう。

「えぇ勿論。彼女が望まないのなら無理に設けませんとも。
…何故避けられそうだと思うのです?距離感さえ見誤らなければ問題はないと思いますが。」

彼の呟いた言葉が耳に入り、つい問いかけてしまった。
己だってこう見えて警戒心は高い方だと思うのに。

「…へぇ、世界でそんなに。
繋がる別世界はそれぞれ違ったりするのでしょうか。」

そわ、と刺激される興味。

火光雷鳥 > 「まぁ、その分、母さんとは普通に仲はいいから、それで十分かなって。」

実際に気が合うのは母親のほうだし。別にマザコンとかそういうのではない。

「あーそういや女神様だっけ?ぶっちゃけ、こうして話してるとその辺り、知ってても忘れそうになるよなぁ。」

うーーん、と友人を眺めてみるが矢張り普通の人間にしか見えない。
神気を感じたり魔力を感じたり、とかそういうのが出来ないのも大きい。
もっとも、この友人は秘匿性が強い傾向がある、と少年は思っているので隠すのが上手いという事かもしれない。

欲に関しては希薄、ではないがあまり欲張りにはならないように心掛けている。
これは別に両親の教えとかでもなく、単に彼がそういう気質なだけだ。

「その距離感が問題なんだよ。俺だって相手を見てあまり踏み込み過ぎないようにするけどさ。
人によって何処までがオッケーで何処からがアウトか、なんて分からないだろ?
セレネさんとこうして普通に話してるけど、未だに俺はセレネさんのボーダーライン?みたいなのわかんねーし。」

「これだとそうみたいだな。一人につき一つで千差万別らしい。異世界とか並行世界っつー場合もあるっぽいな。
まぁ、俺も多分これに近いかこの異界接続者ってやつに該当すんのかもなぁ。
俺みたいに普通の生活送ってた人が突然目覚めたケースもあるっぽいし。」

この資料だけ借りられんかなぁ、と思うが禁書庫にある時点で持ち出しは厳しいだろう。
彼女にその本を渡しつつ、まぁ進歩というか成果があっただけ御の字だろうか。

セレネ > 「お母様はどういう方なのです?
…そういえば、貴方は一人っ子なのでしょうか。ご兄弟とかいらっしゃらないので?」

ふと、彼の家族構成が気になった。
両親の話はすれど、兄弟の話は聞いた事がない気がして。

「…奇跡は起こせませんが、これでも加護や祝福くらいは授けられるのですよ?
神族らしいところを見せれば少しは覚えてくれますかね。」

腰に手を当てて少しぷんすこ。
とはいえ気軽に加護も祝福も授けたりはしない。
見せられるものといえば普段は消している双翼くらいだ。
それくらいで証明になるかは未知数だが。

欲に忠実過ぎるのも問題だが、自制しすぎるのもストレスが溜まらないのだろうか。
相手がやや心配になって来た。

「私については、そう簡単にボーダーラインを悟らせないようにしてるだけですし。
とはいえ、余程踏み込んだ事情を聞かない限りは大丈夫だと思いますがねぇ。」

己にせよ、誰にせよだ。
自分の領域に土足で踏み入るような真似をしない限りは敵対されないだろう。恐らく。
もしくは踏み込み方にもよるかもしれない。

「まぁ…貴方もそれに入るのでしょうね?
ふむ、一人につき一つ…か。」

そうなれば、目の前の彼はとんでもない世界と繋がってしまっているらしい。
「貴種龍」なんていう災害級のドラゴンが、彼の門越しに存在しているのだ。

本を渡され、若干読み解くのに時間を要しながら思考する。

火光雷鳥 > 「うーん、普段はおっとりしていてのんびりした空気だな。
人当たりは良いし、おっとりしてるけど家事とかテキパキ無駄なくこなすし。
ただ、クソ親父が馬鹿やると関節技極めたり的確に急所攻撃したりして黙らせたりしてる。
格闘技経験は無いっつぅ話だから体術の素質があるんだろうなぁ、って。
あとは……何だろう、相手の話の聞き役に回るのがやっぱり上手いイメージ。」

母親の主な特徴をつらつらと挙げていく。とはいえ口で説明が難しい部分もあるので全てではない。
あと、兄弟姉妹については「妹が一人、と言いたいが死産してる。」と、サラリと語り。

「いやいや、別に信じてない訳でもねーし、無理に証明しようとしなくていいっての!」

と、腰に手を当ててご立腹な友人を宥めるようにどぅどぅと手を翳して。
ちなみに、ストレスに関してだが――この少年、自分のストレスの蓄積に『気付かない』タイプである。
つまり、ストレスを感じないのではなく、無自覚に溜め込むアレだった。

「つってもなぁ。俺は凡人だから相手の出方もそうだけど、距離感はやっぱ気になる訳よ。
ずかずかと土足で踏み込む訳にもいかねーし、険悪な空気になるのは御免だしな。」

特に初対面の相手なら尚更で、相手が対人関係に問題を抱えているなら尚更だ。
とはいえ、これも実際にその人物と会ってみないと分からない部分も多いだろう。

「俺も生まれ付きどっかの異世界と脳内が繋がってたって事かねぇ。
…いや、まぁこの島に来るまで全然普通の生活送ってたんだけどなぁ。」

この島の特異性に引っ張られて本格的に目覚めたのかもしれない。彼女が資料を読みながら思考に耽るのを眺めつつも。

「まぁ、取り敢えず俺の体質っていうか能力?みたいなのがそれなら少しは情報があるだけマシかもしれない。
ともあれ、今回はこんな所かな、ありがとなセレネさん。」

他にもまだあるだろうが、異界接続者―と、いうそれの特徴が自分のそれと合致する所が多い。

(つっても、俺は別に障害持ちでもない普通の健康体なんだけどなぁ)

接続者の中でも稀有な人格や肉体に悪影響が一切無いタイプ、という事を彼はまだ知らない。
ともあれ、調べるものは調べたので今回はこの辺り、という事にしておこう。
彼女を軽く促せば、礼も言いつつ歩き出そうと。

セレネ > 「へぇー。何というか…怒らせたら怖いタイプですね、お母様は。」

機会があればお話してみたいとは思う。
己も一応はまだ母親だし、どうやって子を育てたのかも気になる。
そしてサラリと言われた一言には、「そうでしたか。」とそれだけを。

「無理にだなんて。普段隠しているのを少し見せるだけですよ。」

翼を見せるのは相手で二人目だし、見たものを口外しなければ良いだけだし。
彼がストレスに気付かない気質と気付いたなら、いつ爆発するか戦々恐々とするだろう。

「距離感の掴み方は…場数を重ねていくしかないかと。
何事も経験ですからね。」

己も元の世界でやっていた仕事上、人とよく接していたので社交性やら距離感の取り方やらを身に着けたのだ。

「人生平坦な道とは限らないって事ですね。
未来は誰にも分からないのですから。」

該当箇所を読み終え、記憶しながら本を閉じる。
元の場所に戻して、

「私も色々と情報が得られたので良かったです。
他者との調べものも案外楽しいものですね。」

今まで一人で黙々と作業していたことが多かったから忘れていた。

収穫は上々、後は帰って情報整理だ。
彼に促されつつ共に禁書庫から出て行くだろう。

まだまだ興味は尽きなさそうだ。

ご案内:「禁書庫」からセレネさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」から火光雷鳥さんが去りました。