2019/03/17 のログ
ご案内:「大時計塔」にジャムさんが現れました。
ジャム > バカと煙は高い所を好むらしい。
そしてここにひとりのバカが居た。

「ひゅー……!いい眺め……」

春休みの夜。いつもお世話になっているチャイムの音、その音源たる時計塔に登ってみようと唐突に思いついたのだ。
生徒は入っちゃだめらしい。しかし、ダメと言われたらしたくなるのは人間も異邦人も同じだ。
内部の階段駆け上がり、吊り下げられた鐘の真下の空間に顔を出す。手すりもフェンスもないその場所に腰を下ろして島の夜景に瞳を細め。

「夜の常世島ってきれい……。
まるで……宝石箱を蹴飛ばしたみたいな景色……」

授業で習ったばかりの小説的な表現をさっそく使って1人満足そうにしているが、若干覚え違いをしていた。

ご案内:「大時計塔」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > 時計塔。学校でも一番景色のいい場所…だと思われるところ。
春休みで、夜で、いい時間だって言うのにこんなところにいるのは
不審者か中二病患ってるかただのバカくらいなものである。
自分がなんでこんなところに来たかといえば…まぁ、いろいろあるのである。

例えばゲーセンでボッコボコに負けた上で相手がすごい勢いで煽ってきたり。
腹が減ったから牛丼屋の新しいメニューでもためしてみたら見事に外れだったり。
寮に帰ろうとしたら部屋の鍵を落としてたり。
鍵を探してウロウロして、やっと見つけたと思ったら不良生徒に絡まれたり。
必死で逃げて寮に帰ってきたら隣の部屋が改装工事が長引いているかなんかでやたらやかましかったり…
とにかくついてなかったので気分転換である
ここはちょうどいいサボりスポットなのでたまに顔をだすのだが…

「あ…」

なんかいる。だれかいる。
後ろ姿を見る限りとても小柄な…なんだ?

ジャム > この常世島はプログラムされた多人数参加型ゲームでない事を示すように、1日のうちには良い事も悪い事もいろいろあるんだろう。カジノのルーレットの赤と黒みたいに適当な確率で適当な相手へと。

その日色々と赤いついてないルーレットばかり回してしまった少年が時計塔に顔を出せば、小さな背中とでっかい獣耳と長い尻尾の影が月明かりの逆光の中で床の縁のところに腰かけていて。

「んー……?
ふふ、こんばんはお兄さん!
お兄さんも夜景見に来たの?」

後ろの気配に振り返ると、ひらひらと気軽に片手と尻尾を揺らし。にこやかに笑みかける。

水無月 斬鬼丸 > 「あ、お…うっす…」

なんかめっちゃにこやかに声かけられた。
声の調子からして、人?女の子?なの…か?とおもったが、なんかケモミミとしっぽがみえる。
つくりもの…をつけてこんなところに座ってるわけはないだろう。おそらく。
本物?あれか?異邦人というやつだろうか?
こんなに傍で見るのは実際初めてな気がする。なんかこの島に結構な数集められてるんだっけ?
と、記憶を紡ぎつつも、言葉少なに挨拶して会釈を返す。
日本語で喋れるようなのでちょっと安心だが…

「えーと…おじゃま、しました?」

ジャム > 何やら戸惑い残す反応にきょとんと瞬き繰り返し。
再びにこりと笑み深くし。

「異邦人と同じクラスになったことないのかな?
大丈夫だよ。取って食べたりしないし襲いかかって首筋に牙立てたりしないからさー」

サバンナに横たわるピューマのような野蛮な存在ではないと両手を上げてゆるく肩すくめ。

「ううん。お邪魔なんて。ただ景色見てただけー。
別に卒業式前に先輩からふられてわけでもないし、悩み事があってため息をつくために来たわけでもないよ。
――ここで会ったの何かの縁だしー、一緒に夜景鑑賞会、しない?」

腰かけた自分の隣をそれとなく視線で示しながら、そう誘いかけ。

水無月 斬鬼丸 > どうやら安全な子のようだ。
こんなところにいるのはなぜだかわからないが
どうやらお邪魔というわけでもないらしい。
喩えは少しばかり独特だが、気のいい少女のようだ。

「あー、えーっと…そんじゃぁ、せっかくなんで…」

隣を示す少女の視線。
夜闇でよく見えなかったが、月明かりになれてくれば
小柄で可愛らしい少女にみえる。大きな目と短い眉が特徴的だ。

「景色見てたって、なんか珍しーもんでも見えるんっすか?」

彼女の隣…拳一つ分間を開けて座り、夜景を眺める。
そういえば、夜にここに来たのは初めてだったような。

ジャム > 伸ばした前髪が右目を覆う様子のようにどこかゆるい雰囲気まとう彼が隣に腰かけるのを見守って。ふっと吹いた夜風に気持ちよさそうに獣耳の毛先をなびかせ。

「お兄さんは人間かな。……人間のひとにとっては何てことない景色かもしれないけど。
元居た世界じゃこんなに夜はキラキラしてなかったよ。
僕にとっては珍しくって」

片方覗く紫紺色の瞳を見た後に片手を夜空に差し伸べてそう告げる。

「お兄さんのほうは何をしにここへ?
……卒業しちゃう先輩に告白して返事があいまいだった、とかー?」

やがて相手がここへ姿を見せた理由を尋ねながら、
その質問が冗談めいたものだと瞳は笑っている。

水無月 斬鬼丸 > 春先の夜風はまだ少しばかり肌寒い。
体温高そうな少女はまだしも、血圧低そうな自分は猫背じみた背中をさらに丸めてしまう。
腰掛けたはいいが、手すりとかフェンスとかないので少しばかり怖い。

「うす、人間っす……えーと、あん…あな…あーー、きみって…何年生?」

なんか見られたので少し首を傾げる。
やはりケモミミだし、ファンタジーめいた世界から来たのだろうか?
それはともかく、気になるのは彼女のこと。
おもに、年齢とか学年とか。
なんと言っていいかわからないから、きみなどという普段使い慣れない言い方をしてしまった。

「なにしにきたってわけじゃねーですけど…気分転換?
つか、オレ最近ここに越してきたんで…」

ここに来たのは数ヶ月前で冬の気配も強い頃。
つまり、ほぼほぼ先輩やら友人やらはいない…ぼっちのようなものなのだ。

ジャム > 「あは、寒いの?
僕の手あったかいよ?握ってみる?
――僕は1年。だから、タメ口でいいよ!
あとー、名前はジャム。ジャムって呼び捨てていいから」

春の足音がまだ少し遠い、夜風の冷気に彼の背が猫のように丸められるのを見てくすくす肩揺らし。片手を彼に、暖房代わりとばかり差し出しつつ。軽く自己紹介もしておく。
呼びやすいように名前も添えて。

「気分転換ねー。……何かついてない事あったとかーかな。
来たばかりなんだ。じゃあーようこそ常世島へ!
なんてね。あは!」

彼の心情へ思い馳せれば、前髪の奥の瞳をやや覗き込むように背を屈め。
自分も常世島の島人としてはそう先輩でもないのに、両手広げて歓迎の意を示して声音弾ませたり。

水無月 斬鬼丸 > 「え?…んじゃ、遠慮なく…
オレは斬鬼丸…えーと、水無月斬鬼丸。
よろしく…でいいのか?」

ジャム。なるほど、異邦人らしい名前だ。
差し出された自己紹介がてらに握り返す。
握手のようなものだが…女子の手は柔らかくて温かい。
なんか初めて触ったような気すらする。

「つーか、今日は全体的についてなかったっつーか…
一人で夜景なんて眺めてても気は晴れなかっただろうからジャムがいてちょうどよかったかもな。
いらっしゃったぜ、常世島に。
バレンタインとテストで正直ヤバイくらいに打ちのめされたけどな」

眠そうな目は少しどよんと濁っている。
なのだが、顔を覗き込むような少女の動き…なんか距離近くないか?
思わず赤面してしまう。

ジャム > 「うん、きっとよろしくでいいと思う!よろしく、斬鬼丸!
――おぉ。手、随分冷えちゃってるよ。……あたためますかー?」

相手の名前を聞いた獣耳がぴこぴことご機嫌そうに跳ねる。
握った手の冷たさに彼が肌寒さを感じて背を丸くなるのがわかるような。そんな気がして。にぎにぎと指絡めては、コンビニでお弁当をあたためるのを尋ねる店員の物真似して遊び。

「ふふっ!バレンタインで打ちのめされたんだ?
それは残念ー。もうちょっと早く知り合えてたら、僕がチョコあげてたのにねー。……って、大丈夫?熱あるの?」

からから笑うと、眠たげな瞳をじーっと見つめる。
顔がほんのり赤味を帯びるのを認めたら、睫毛を何度か弾ませ。やや心配そうにすると、空いてる片手を彼のおでこに触れようと伸ばして。

水無月 斬鬼丸 > 「お、おねがいします?
つか、やたらと元気いいな!
むしろジャムの方こそいいことあったとかそういうのかよ」

異邦人であってもこっちの言葉や名前に違和感を持つことはもはや無いようで
すんなりと名前を覚えてくれた。
コンビニののりで手を暖められつつ座る少女を見つめれば
サラサラの黒髪には若干切り方にムラが見えた。

「お前その髪型なんだよ。自分で切ってんの?」

思わず口に出てしまうあたりが非モテの原因だと思う。
思うのだが…いってしまったものは仕方ない。

「義理でもなんでもチョコもらうの初めてなんでそりゃーもー宙を舞うほど喜んじまいそー。
そういう異能持ってねーけど…ってか、距離感近いって!
あー…熱ある?」

その理由を口に出しつつもおとなしくおでこに触れられ。
女子というよりは…こう、なんか…近所の人懐っこい子供って感じがしないでもない。

ジャム > 「いい事かー。斬鬼丸と知り合えたことかな!
へへー元気が取り柄だもの。
僕の元気なら、斬鬼丸にいくつでもおすそ分けできるよー!
――わーよく見てるね。そうだよー自分で切ってみたんだ。
このへんとか失敗しちゃったー」

元気エナジーチャージ!とばかり、握った手をきゅー、と柔く握力かけて戯れ。めざとく横髪が短すぎる場所を指摘されたら笑い声を上げる。

「そうなんだ?それなら……来年のバレンタインデーに、斬鬼丸には宙を飛んでもらおうかなー。へへ。お楽しみにー。
――うーん熱は無いっぽい?
でもー、今日全体的についてなかったっぽい斬鬼丸には、ジャム特製の幸運のおまじないをかけてあげよう!
明日の斬鬼丸に、なにか良い事がおきますようにー」

例えの話だとは知っていても、実際彼をこの夜空高くに舞ってもらおうと言わんばかりの悪戯っぽい表情浮かべ。
伸ばした手先に疾病の気配なければゆっくりとその片手をひっこめ。人差し指の指の腹を自分の上唇に押し付けたあと、相手の額にその指を触れようとして。

水無月 斬鬼丸 > 「人懐っこいなー。何歳だよ。
話しやすくていいけどさぁ。つかそんなに元気だと
ジャムが動くのに使ってる元気の排気だけでオレの元気一日分はありそうだな…」

強く手を握られると流石に照れくさい…が、なんだっていい。
せっかくの女子と触れ合えるチャンスだ!!今のうちに噛み締めて置かなければ今度いつ女子と手をつなぐことができることか…。

「美容室いけよ。ヘアカットの店ならそこらにあるだろ…
せっかくツヤッツヤしてるのにもったいない」

もったいないというのは、流石におせっかいかも知れないが
切るのに失敗して変な髪型で彼女が笑われるというのは、やはりもったいないと言うしかなかった。

「来年って…まじかよ。ちょっと楽しみに…いや、まて、たまたまあっただけだってのにそんな約束されても騙されねーって!
そこまでチョロくありませんよオレぁ。
………あ……」

流石にそんなうまい話はない。
ちょっと気分転換しに来た場所でたまたまであって少し話をした程度だ。
ぼっちかつ非モテ期間が長かったとしても、流石に来年を楽しみにできるほど楽観的ではない。
のだが……
彼女のおまじないを食らってしまえば一瞬固まって目を丸くしてしまう。

ジャム > 「僕15だよー。斬鬼丸はー……、うーん。僕と同じぐらい、かな?
あはは!僕の元気の排気……って、面白いねそれ!
――ありがと!実は美容室って入ったことないんだー。髪の毛切ってもらうってどんな気持ちかな?今度試してみるよ!」

彼の内心にも気づかずに。ボディタッチするのがすきな半獣人はうきうきと手を握って。相手の物言いに笑い声たてて。ゆるく揺すってみたりして遊んでいる。
髪を褒めてもらったような気がしてちょっと嬉しそうに目元緩め。

「えー?僕そういうのあんまり気にしないよ。
空高く飛んでく斬鬼丸の姿見てみたいし。
あげて嬉しくなる人が居るんだったらあげちゃう。それだけ!
――あ、あれ?……ねえ、ねえ?斬鬼丸?
どうしたの?止まった?電池切れた?ネット切断されちゃった?」

飛んでく彼を見たい、と八重歯浮かせる笑い方をしながらも。
誰かが喜んでくれるなら嬉しい。そんなシンプル思考であった。
――祝福授けたはずが石化してしまった様子に慌てて。握っていた手で彼の腕や肩を揺さぶって不安げに顔を覗き込む。