2020/06/20 のログ
ご案内:「大時計塔」に神樹さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」から神樹さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 学園の象徴とも言える大時計塔。
 立ち入り禁止となっている時計塔に入り込む生徒は多数いるようだが、この日も例によって時計塔を登っている生徒がいる。

「はぁ。
 無駄に高い時計塔ですね……まだ上があるじゃないですか」

 非常に小柄な少女が時計塔内の階段を登っている。
 服の袖や裾から見える手足には包帯やガーゼ、絆創膏などが貼られていて痛々しい姿にも見える。
 黒主体の衣服から見える病的に白い手足がそれに拍車を掛けている。

「途中からへし折れて半分くらいになりやがれば楽なんですけど」

 足を止めると気持ちが萎えそうだったために、歩きながら上を見上げる。
 階段はまだまだ続いているようで、上に辿り着くにはまだ少し掛かりそうだ。

 上にはだれかいるだろうか。
 それとも下から人が上がってくるだろうか。
 どちらもなければ、気兼ねなく身投げできるところなのだが、さて。

神樹椎苗 >  
 階段を登りながら、椎苗は手の甲がうずくのを感じた。

「ああ、また傷口が開いてやがりますね。
 お腹も痒いし、膿んでますねこれ」

 かつての【研究】の名残。
 動いたことで、全身に刻まれた古傷の幾つかが開いたのだ。

「はあ。
 さっさと死にたいですね、ほんと」

 ぶつぶつと、一人つぶやきながら、小さな歩幅でゆっくりと一段ずつ階段を登っていく。

ご案内:「大時計塔」にカラスさんが現れました。
カラス > コツンカツンと時計塔に小さな足音が響く。
それに混じって遠くからカァーと鴉の鳴き声が聞こえた気がした。


――とある青年は時計塔の展望台より更に高い場所、
人では登れぬ天辺に腰かけていた。

赤眼でぼんやりと景色を眺め、風に黒い髪がなびく。
腰から生えた黒い翼が、彼がどうしてその場にいるのか分かるだろう。

小さな足音に耳から生えた羽根の束が動き、
人が来たのだなと知る……まさかその人物が身投げしようとしている等、
微塵も思っていないが。

神樹椎苗 >  
 椎苗の様子は、切羽詰まっているようでもなく、思い悩んでいるようでもなく。
 ただ散歩をするような調子で、小さく細い足を進めていく。
 ようやく上までに辿り着くと、がっくりと肩を落とした。

「はあー、ようやく着いたみたいですね。
 ……誰もいない?」

 周りを見ると、周囲に人影はなく。
 しかし、さらに上まで確かめようとはしなかった。
 まさかこの場所よりも上に人がいるとまでは考えていない様子で、時計台の縁までふらふらと歩いていく。

カラス > 最近また賑やかになってきた学園の様子としては、
ある程度誰かが来たことに対して意識自体は向けようもの。

しかし、別段に追い詰められているような足取りの音でもなく、
声もいたって普通だと青年は感じた。

観光かな、なんて思いながら座っている所から立って軽く伸びをすると、上から椎苗の方を見やった。

最近新しい人が多いし、顔は覚えておいて損は無いと…。