2020/06/28 のログ
紫陽花 剱菊 > ──────……後は野となれ、山となれ。
時が来れば、男の姿は宵闇へと消えるだろう……。

ご案内:「大時計塔」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に緋嗣紅映さんが現れました。
緋嗣紅映 > 大時計塔の天辺。流石に屋根には昇らず人でも行けるところで高い場所。
頭上には巨大な鐘があるが、学園内のチャイムに使われるらしいのでいきなり鳴って鼓膜を痛めるなんて事にはならずに済むだろう。
大きく刳り貫かれた壁。塔の屋根を支える支柱に手を付き、そうっと乗り出して外を見る。

「うヘェ……、高イ……」

思っていた以上の高さに少しくらっとした。
瞬間移動すれば落ちたとしても無事でいられる、と考えれいなければ怖くて足が竦んでもおかしくない高さだし、実際なんの対処法も持たず落ちたら一たまりも無いだろう。
その場に座り込むと足を外に投げ出し、そこから夜空を見上げる。

「それでモ、空が近くテ、いいネ……」

ひとり呟やくと、満足げにニマリと口角を持ち上げた。

緋嗣紅映 > 慣れてくると意外と怖くなくなってくるもので、足をブラブラさせながら夜空と島を一望する。

「こうして見るト……、ホントに別の世界なんだナァ……」

自分が住んでいた世界とその土地と全く違う光景。そもそも海の存在を知識として知ってはいたが見た事無かったから、というのもあるかもしれない。空も星も木々も何一つ変わらない筈なのに、自分の居た世界じゃなくて、自分はこの世界にとって異物である事を痛感する。

「ンー……、マ、帰れないシ、しょうがないカー……」

両足を持ち上げてぐるっと反転すると、今度は頭を外側に向けて寝転がる。長すぎるくらいの髪が塔の外へ零れるし、頭頂部の耳が食み出ているくらいギリギリの位置だ。
その位置その向きなら、頭上が鐘でも寝転がったまま空が見える。

「此処には本物の神様も居るんだろうシ……紅映はどうしようかナ……」

野良神だと自称したところで種としてただの獣人である事に代わりは無く、恐らく此処まで多種多様な異物の混ざり合う島なら自分より優れた力を備えた者は大勢居るだろう。この世界で自分がどうするべきなのか、どう生きていくべきなのか、明確なビジョンが見えずに色違いの双眸を細める。
来たばかりで右も左も分からないから、何が出来るかも分からない。

緋嗣紅映 > 「ンーーーー……考えても埒が明かなイ!」

勢いよく腹筋を使って起き上がると、いらだたしげに尻尾を振って大きく息を吐いた。
立ち上がるとスカートを両手で払いながら反転し、また外へと体を向けて身を乗り出す。強く吹いた風が髪やスカートを巻き上げる中、ゆっくりと身を傾ける。

「なるようになル、かナー?」

その言葉が終わる前に身を投げ出せば、時計塔から落ちていく。加速していく体は強い風を感じながら、それでも最後には衝撃が身を砕くという事は無く、落ち切る寸前で瞬間移動で何処かへ消えた。

ご案内:「大時計塔」から緋嗣紅映さんが去りました。