2020/07/01 のログ
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 時計塔は立ち入り禁止である。
 しかし、それを守るのは品行方正な『よい子』くらいで、忍び込む者があとを絶たない場所でもある。
 風紀委員の見回りも稀にあるものの、真面目に取り締まる様子もなく、学園側も大きな問題でもない限りは放置するつもりなのだろう。
 今日もどうやら先客がいたようで、人が出入りしたらしい痕跡が見つけられた。

「まったく、うっかり落ちて死ぬような人間が出たらどーしやがるつもりなんですかね」

 曇天の下、久しぶりに時計塔の外へ出た椎苗は、景色を眺めた後、真下を覗き込んだ。
 時計塔の下には学生が数人歩いているのが見える。
 このタイミングで飛び降りでもしたら、彼らにとっては大変なトラウマになる事だろう。
 が、この日の椎苗は自殺しに来たわけではない。

「あー、んー、長さは足りそうですね」

 肩に担いでいた何重にも巻かれたロープを降ろし、その端を時計塔の柱に結びつけた。
 普段、椎苗が使う自殺用のモノよりも更に太いロープだった。

神樹椎苗 >  
 ロープを結んだ柱から、隣の柱に向けて引いていき、柱に結びつけてから余りを短剣で切り落とす。
 そして切り落とした端をまた結びつけて、もう一つ隣へと引いていく。
 それをあまり効率的とは言えない速度で、ゆっくりと繰り返していた。

「まあどーせ撤去されちまうでしょーけど」

 それでも何もしないよりはマシだろう。
 少なくとも、撤去されるまではここが危険な場所だと知らせる程度の役割は果たすだろうと。

ご案内:「大時計塔」にさんが現れました。
> 「なにしてるのー、しーなちゃーん」
ここだろうと当たりを付けて来てみたら今回ちょっとわからない事をしている友達が居るのでつい声を掛けて

神樹椎苗 >  
 覚えのある声を聞いて振り返ると、先日あった幼女が一人。

「なんでまた来てやがるんですか違法ロリ。
 立ち入り禁止だから来るなって言ったじゃねーですか」

 言いながら、最後の柱にロープを結び付ける。
 これで時計塔の外周に沿うように、ぐるっと一周ロープが張られたことになる。

「お前みてーなおバカさんが来やがるので、少しはここが危険な場所だってわかるようにしてるんですよ。
 ……どうせなら蛍光色のロープにすりゃあよかったです」

 少女を呆れたように見ながら、自分の張ったロープを見渡した。

> 「え?しーなちゃんに会えるかと思って?」

にぱーと笑いながら

「しーなちゃんはいいこだね」
ちょっとみたら、赤い風紀の服、特注だろうが、ぶかぶかで

神樹椎苗 >  
「お前、しいが言ったこと何もわかってねーですね?」

 肩を落としながら、諦めたようにため息を吐いた。

「だから、いい子じゃねーです。
 それよりお前、正式に風紀扱いになりやがったのですか」

 赤い制服を見るとなおさらがっくりと首を傾ける。

「風紀がふらふらこんなところに来てるんじゃねーですよ。
 ほら危ねーからさっさと帰りやがれです」

 と、ロープを結んでいる間に傷口が開いたのだろう。
 包帯に血が赤く滲んだ左手で、少女を追い払うような仕草をする。

> 「しーなちゃんはいじっぱりだから仕方ないなあ」

希の中ではそう言う事らしい

「んー、と、みならい?ってやつ、みたい、よくわかるように、って」

幼女が確かに一人歩きしていても、赤い制服は目立つからだろう

「わ、しーなちゃん、けが、だいじょうぶ?」
慌てて駆け寄って

神樹椎苗 >  
「ほんとにわかってねーですねお前?」

 全身から力が抜け落ちていくような気がする。
 一般的に、子供に理屈は通じないらしいというのが実感できた。
 精神面での発育の程度にもよるだろうけれど、この少女は普通か、少々幼いくらいだろうか。

「あーあー、なんで近づいて来やがるんですかこの違法ロリは。
 この前も言ったじゃねえですか、ただの古傷だから気にすんじゃねーですよ……」

 こんな場所で駆けられても危ないので、駆け寄ってきた少女の首根っこをひっ捕まえる。
 ぶかぶかの制服をしっかり捕まえて、勝手に動き出さないようにしないと危なくて仕方ない。

「いいから帰りやがれですよ。
 お前がここにいると危なくてしかたねーです」

 捕まえたままくるんと半回転させて、扉の方に少女を向けなおした。

> 「だってしーなちゃんがつらかったら、のぞみもかなしいもん」

じとーっと椎苗を見つめる瞳は純粋で、普段はここまで素は出ない、つまりはしゃいでいるのだろう。

「わ、わわわっ、しーなちゃんちからつよい、あぶないよー」

そのまま一回転して戻ってきた、ポケットをもぞもぞさがせば、動物の描かれた絆創膏

神樹椎苗 >  
「そーですか、別にしいはなにもつらくねーですよ……」

 話が通じなかった。
 椎苗が言ったことの二割か三割くらいしか伝わっていないのだ。
 きっとそうだ。

「あぶねーから帰れって言ってるのがわかんねーですか。
 わかんねーんですね、そうですね」

 一回転した少女に、もうすっかり諦めたように遠い目をした。
 もういざとなったら、ひっつかんで強制的に追い出すとしよう、そうしようと決心した。

「いいですよ、そんな絆創膏じゃ意味ねーですし勿体ないです。
 帰ったら取り換えるから気にするんじゃねーですよ」

 取り出された絆創膏は、手のひらでそっと押し返す。

「それより違法ロリ。
 お前、帰る気がねーなら、風紀見習いとして働きやがれですよ。
 しいの手伝いするなら、追い返さねーでいてやります」

 と、一度少女の出現で投げ出したロープを拾い上げた。

> 「しーなちゃんだいじょうぶならよかった」

取り敢えずよくわかっていないのが彼女なのであろう

「しーなちゃんはあぶなくない?」

じとーと見つめながらふとつぶやいて、えいえいと傷の箇所に貼り付けようと

「うん、しーなちゃんのおてつだいする!」
よくわかってないけどうなづいた

神樹椎苗 >  
「しいは慣れてるから問題ねーです。
 だから絆創膏はいいって言ってるじゃねーですか、さっさとしまいやがれですよ」

 そもそも包帯の上から貼ろうとしても意味ないだろうとか思いつつ、付きだしてくる手ごと、ポケットの中に押し込んだ。

「手伝うなら、このロープを持ちやがれですよ。
 そしたら向こうの柱まで行って、柱の一番下に結んだら戻ってくるのです。
 間違っても、走ったりするんじゃねーですよ。
 ゆっくりでもいいから、転ばないようにするのです。
 あと、うっかり時計塔の下はのぞき込むんじゃねーですよ」

 と、ロープの端を差し出した。

> 「むー、しーなちゃん痛くない?」

仕方ないなあって感じで矛を収めて

「?よくわからないけど、わかった!」

よいしょよいしょとロープを引きずりながら、よいしょよいしょと結んでいく

神樹椎苗 >  
「痛くねーです。
 ロープは意外と重いから気を付け――聞いてねーですね?」

 ロープを持ってせっせと柱に向かう姿をひやひやしながら見守る。
 話の一割も通じてなさそうだったが、それでもわからないなりに言った事は守っているようだ。

「結べたら戻って来やがるんですよ」

 言いながら、自分は先ほどぐるりと巻いたロープの高さに合わせて、長さを図りながら結びつける。
 少女が戻ってくる頃には、まとまりからもう一本、柱と柱の間に合わせた長さにロープが切り出されているだろう。

「次はこっちを同じように下に結ぶのです」

 と、切り出したロープの片端を示して言う。

> 「しーなちゃーん、結べたー」
慌てて駆け寄っていこうとしてゆっくり歩いて戻ってきて

「わ、すごいね、しーなちゃん、刃物あぶなくない?」

ロープを持ちながら、素朴な疑問を

神樹椎苗 >  
「よし、走らなかったことは褒めてやります。
 ちゃんと言った通りできたじゃねーですか、違法ロリ」

 戻ってきた少女を褒める。
 ただし、はしゃがれ過ぎても危ないので、頭を撫でるのはやめた。

「これくらいは何でもねーですよ。
 ほら、今度はここを結んで押さえておくのです」

 と、また柱の下を示してロープを渡す。

「しいは向こうに行くから、ちゃんと結ぶんですよ」

 そう言い聞かせてから入れ替わるように隣の柱へ行き、また高いところにロープを結び付けた。
 そうすると、ちょうど柱の間に ☒ の形にロープが張られる格好になる。
 景観は崩れるが、保険と、近寄るなと言うサインにはなるだろうと思っての行為だった。

> 「むー、なまえー、よんでー」

嬉しそうにしながらも不満げで

「はーい、ぎゅ、ぎゅ、はしらない」

ぎゅ、と、結び終えた

神樹椎苗 >  
「褒めてやっただけ喜んでおけですよ、違法ロリ」

 と、不満そうにされても知らん顔で作業を終える。
 作業を終えると、椎苗はまた少女のところへ戻った。

「お前、ちゃんと結べてるじゃねーですか。
 ちょっと緩いですが、そこはしいが締めなおせばいーだけですしね。
 仕事ができるロリにはじゅよーがあるですよ」

 そう言いながら、ロープを張り巡らせた柱の間を示した。

「ほら、ばってんの形になってんのはわかりますね。
 ほかの柱にも全部、同じ形でロープを結ぶのですよ。
 お前としいでやれば、まあ少しは早く終わるはずです」

 そういって、またロープの片端を持って。

「お前の初仕事ですよ違法ロリ。
 天気もわりーですし、雨が降る前に終わらせるのです」

 そうして、少女に何度も指示をしながら作業を進めていくだろう。

> 「むー、しーなちゃんは照れ屋だなぁ」

よくわかんないけど、がんばろーと、指示の通りにまめまめしく動いて

神樹椎苗 >  
 しばらく二人で作業を続ければ、全ての柱の間に ☒ の形でロープが張られる事だろう。
 少女が結んだところは椎苗が念を入れて締め直し、場合によっては結びなおし、仕上げていく。

「よし、これならまあまあですかね」

 そう言いながら、☒の中心に自分の体を預けてみる。
 少々心もとなさはあるものの、何もないよりはましだろう。

「あ、お前は真似するんじゃねーですよ」

 そして全部のロープをしっかり確認してから満足そうに頷く。

「お前、意外と働けるじゃねーですか。
 ロリの割には上出来です」

 そういって、少女の頭を撫でて褒めてやった。

「それじゃ、雨が降る前に帰るのですよ。
 今日の働きに免じて、帰りに好きなお菓子買ってやるです」

 と、余ったロープを担ぎ上げて、さっさと扉の方へと向かっていく。

> 「できたー」

よくわからないけど喜んで
真似してやろうとしていたら先に注意されながら

「えへへ、おやくにたててこーえいです」

にっこりと笑い

「おかし!いーの?やったあ」

駆け出そうとして慌てて止まり

神樹椎苗 >  
「お、走ったらだめって言ったの覚えてるじゃねーですか。
 覚えがいいやつは嫌いじゃねーですよ」

 そして目の前までやってきた少女の頭をまた撫でて。

「労働には対価を払うのがじょーしきですからね。
 無償労働とかサービス残業とか、悪の中の悪です。
 ほら、一緒に買いにいきますよ」

 片手で扉をあけながら、先日のように少女へ手を差し出す。

> 「えへへ、ありがと、しーなちゃん」

撫でられれば、無垢に笑い

手を差し伸べられたら手を暖かく握り返し、ついでに包帯の上から猫の絆創膏を貼って

「えへへ、いこ、しーなちゃん」

神樹椎苗 >  
「……はあ、ほんとにしかたねー違法ロリですね」

 繋いだ手を離さないようにしながら、貼られた絆創膏に諦めたような薄い苦笑を浮かべる。
 そして、先日のように手を引きながら寮へと帰っていくことだろう。
 途中、二人でお菓子を買いながら。

【時計塔に張られたロープは、きっと数日のうちに撤去されてしまうだろう。
 風紀や教師が見つければ、もしかしたら保存されるかもしれないが、その可能性は低い。
 しかしそれも仕方のない事だろう】

 これは椎苗がちょっとした退屈しのぎに、勝手にやったことなのだから。

 ……けして、幼い風紀見習いにうっかり登って落ちられると嫌だったからとか、そういう理由ではなかったのだろう。

ご案内:「大時計塔」からさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」からさんが去りました。