2020/07/05 のログ
ご案内:「大時計塔」に227番さんが現れました。
227番 > 時計塔がある。

落第街でさえ見える場所があるこの塔。
しばらくずっと気になっていたので、それを見に来た。

立入禁止と書かれているが、227はそれが読めない。
気にせずに侵入して、登る。

227番 > 少しずつ登っていく。慣れない場所であるので、慎重に。

やがて見晴らしのいい場所にたどり着く。
まずは、周囲に誰かいたりしないだろうか、念の為に調べよう。
ここは落第街ではないので警戒はそれほど要らないのだが、
それでも、あの場所に居た名残で、他人とすぐに打ち解けるのは難しい。

だから、警戒する。
きょろきょろと、あたりを見渡した。

227番 > ……今のところは、誰も居ないようだった。

改めて風景を眺める。

「わあ……」

暗くても、下には小さな灯りが点々と広がっていて。
あっちの光の密度が高いのは夜でも明るい街だろうか?
ということは、あっちの暗い所が、前に居た場所か。

初めての風景に、ただひたすら魅入る。

227番 > ここは、こんなに広いところだったのか。
ずっと居たあの場所が、小さく、小さく見える。

視線を回せば、荒野。灯りらしいものがないため、よく見えない。
明るい時間に見に来るべきなのかも知れない。

また今度来ようかなと思いながら、下に目線を落とす。

下を、足元を見てしまった。

227番 > 「……っ」

つばを飲む。足がすくんでしまった。
少女はその場で動きを止める。
高い所に登って身動きが取れない子猫のように。

一飛びで降りれないような高い所に登ったことがなかった。
知らなかった故の、失敗だ。

「ぅ……」

227番 > 手すりを掴んだまま、しゃがみ込む。
どうしよう。声を上げたところで、誰かが来てくれるわけでもない。

深呼吸ををして、落ち着かせたいところだが、上手く出来ない。
パニックは加速する。

わけがわからなくなり、じりじりと登ってきたほうに移動しようとする。

227番 > 上がってきた場所まで辿り着いた。下も見えない。
しばらくここで休んで、落ち着くのを待とう。

どうやら高い場所は怖い所のようだ。
一人で来るのはやめたほうが良いのかも知れない。

ご案内:「大時計塔」に山本 英治さんが現れました。
山本 英治 >  
大時計塔をふと、見上げた時だった。
少女の姿を確認。
即座に異能を発動。彼女のいる場所まで一足飛び。

「大丈夫かい? ジュンヌ・フィーユ」

小さな取っ掛かりに指先を引っ掛けて姿勢をキープ。
そして彼女の姿を見て、目を丸くした。

「ニーナ? ニーナじゃないか……いやぁ、可愛らしい姿だ」
「助けは要るかい?」

指先だけで高所にぶら下がって左手で胸元に手を当てて大仰に嘆く。

「もし、君が自殺を考えているのなら、とても胸が痛む……」

227番 > 「ぅ……ぁ?……エイジ?」

息を落ち着けようとしていたのだが、だんだん意識がぼんやりしてきていたようだ。
しかし、見覚えのあるシルエット、そして声で意識が返ってくる。
目をこすって、その姿を見上げる。

「じさつ……じさつ……って何?」

言葉の意味を知らなかった。どうやら、その心配はなさそうである。

山本 英治 >  
「いいんだ、ニーナ。君が生きていたいと願うのなら」
「俺はいつだって手を伸ばすぜ」

友達だからな、と笑って手を差し出す。

「捕まってくれ、ゆっくり降りていこう」
「その間に話を聞かせてくれるかな」

眼下に広がる光景は、確かに恐ろしい。
でも俺一人だけなら転がり落ちても助かる。
あとは……彼女を助けるために全力を出すだけだ。

227番 > 助かった。こっちに来ていきなり帰らない日とか、心配を掛けてしまう。

「あ、ありがとう、エイジ」

恐る恐る手を取る。下を見ないように。
手を掴んだら、強く目をつぶった。
そのまま降りるも、抱き上げるも自由だ。

「……あっちから、みえてた、ここ、来てみたくて」

ここが何なのかはまだ理解していない。好奇心100%だ。

「周り、みてたら、下、見ちゃって……」

説明を求められれば、事細かに話すだろう。
少女はここが入ってはいけない場所だとも認識していない。
そもそも生徒向けの立入禁止なので、対象かも怪しいが。

山本 英治 >  
「よぉし、良い子だニーナ!」

手を掴んだ彼女を引き寄せて、抱きかかえる。

頭頂藍天(頭頂を天に向け)。
脚踏清泉(足は清泉を踏む)。
懐抱嬰児(懐に嬰児を抱く)。
両肘頂山(両肘で山を支え)。

あとは拳法と一緒だ。焦らずに降りれば問題ない。

「そうか? ここに登ってみたくなったんだなぁ……」
「怖かったな、ニーナ。でももう大丈夫だ」

指を離す。1メートルほど落ちて、また指先で掴む。
あとは繰り返すだけだ。俺のピンチ力ならこの調子でいくらでも降りられる。

もう子猫の命は取りこぼさない。信じた未来に後悔しないッ!

227番 > 抱きかかえれば、少女の体は少しだけ震えていた。
目をつぶったまま、その身を預ける。

「きれい、だった」

正直な感想も添える。

「大丈夫……うん…・…。」

見た目は珍しい感じだが、頼れる風紀の人、そんな認識だ。
何をしているのかはよくわからないし、体にかかる重力の変化も感じるが、
彼を信じて、目を閉じたままにする。

山本 英治 >  
彼女が震えているのがわかる。
その細い体を、大切に抱えた。
目の前の命を守り抜くって決めたんだ……決めたんだ!!

「キレイだったか? そりゃ良かった…俺たちの街にようこそ」
「もうしばらく目を瞑ったままにしてくれよ?」

指を離す。掴む。指を離す。掴む。

「ジュンヌ・フィーユをエスコートしなきゃいけないからな」

そうして、細い足場に辿り着いて。

「もういいぞ、ニーナ。よく我慢したな、エラいぞ」

そのままひょいひょいと跳んで大時計台の入口付近に着地。
彼女を下ろした。

「怪我はないか? 苦しいとかないか?」

227番 > 「じゅんぬふぃーゆ?えすこーと?」

よくわからないが、邪魔をしてはいけないと思った。

そうして、とりあえず下まで運んでもらった。
降ろしてもらって、腰が抜けたのか一瞬だけバランスを崩して、立つ。

「ありがとう、エイジ」

安堵の表情。
それから、青い瞳が見上げる。

「けがは、ない、けど。ちょっと、疲れたかも」

上に登るのも結構苦労したのもあるが、
先程のパニックで大きく消耗したらしい。

山本 英治 >  
「可愛らしい女の子は、ちゃんと家に送り届けるってことさ」

バランスを崩した瞬間、咄嗟に姿勢を低くするが。
大丈夫らしい。この調子なら、問題はなさそうだ。

「そうか。家はわかるか? その格好、多分だけど落第街を出たんだよな?」
「送っていくよ、風紀委員のお仕事だ」

笑って彼女の頭に手を置いて。

「大冒険だったな? ちゃんとおうちの人に話しておくんだぞ」

227番 > 「うん。ゆーりのとこ」

アバウトに場所を教え……きれない。
まだ地理を把握していなかった。
思い出しながら移動する形になるのだろう。

「うん……怒られる、かな?」

頭をぽんとされれば、目を細めるが、続く言葉にはちょっと不安そうに。

山本 英治 >  
「ゆーりさんのところか……わかった、行こう」

自転車の荷台にあった空の弁当箱をゴミ箱に捨てて。
そこに座るように指示する。

「そうだな……怒られるかも知れない」
「でも、怒ってくれる人がいるのは幸せなことなんだ」
「自分を大切にしているってことなんだからね……」

そう言って自転車で彼女を連れていく。
あちこち回って、コンビニで飲み物を買って。
なんとかかんとか、送り届けた。

227番 > 言われたとおりに座る。
スカートがなんだかマズイことになっている気がするが、少女は気にもとめない。

「……大切だから、怒る……」

なるほど、そういうのもあるのか。
だったらちゃんと怒られたほうが良いのかもしれない。
納得して、頷いた。

届けてもらって、改めてお礼をする。

「ありがとう。帰り、気を付けて」

手を大きく振って見送ることだろう。

ご案内:「大時計塔」から山本 英治さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から227番さんが去りました。