2020/07/25 のログ
山本 英治 >  
「どうしてなんだよぉ………!」
「自分で親友を捨てようとして捨てられなかったり!」
「人に親友を捨てろって言われて捨てられなかったり!」
「こんなバカげたこと、いつまで続けんだよ!!」

また涙が溢れてきた。
何を言おう。何を言えばいい。
もう関係ない。心に浮かんだ言葉、全部そのまま突っ込め!

「山本英治だよ!! 親友の名前は遠山未来!!」
「アンタは園刃華霧!! 親友の名前はレイチェル・ラムレイ!!」
「なんでこんな簡単なことを問いただしてくんだよ!?」

泣きながら、苦しみながら、叫びながら。
言葉をぶつけ合う。

園刃 華霧 >  
「死ぬまでだよ!!!」
 

園刃 華霧 >  
「アタシは、それしか……ないんだよ……」
 

山本 英治 >  
「またそれしかないって決めつけてるのか!!」

山本 英治 >  
「なんで死ぬまでとか簡単に言えるんだよ………!!」

園刃 華霧 >  
「だって、『空っぽ』なんだよ!
 『あの日』から、ずっと……!
 アタシから、零れ落ちた時から、ずっと……!!
 いつまで経っても『空っぽ』なんだよ……!!!」

叫ぶ
みっともなく

「アタシだって知りたいよ!
 いつまで、埋め続ければいいんだよ!
 いつまで、零し続ければいいんだよ?!」

山本 英治 >  
「そんなの自分で考えろよ!! 恥かいたってさ!!」

この島で空に近づいて。
叫ぶのがこんなことなのか。

「俺の手になんか残ったことがあったのかよ!!」
「命を引っ張り上げても誰も彼も家に帰っていくだけだろ!!」

「こっちは誰もいねー家にいるのがツラくてたまんねぇんだよ!!」
「でもな……俺は考えるのをやめねぇぞ………!!」
「アンタも考えろよ!! 諦めないで、答えを出してくれよ!!」

ああ、かっこわりぃ。

園刃 華霧 >  
「………………なーんだ」

園刃 華霧 > ぴたり、と言葉を止める

「ひひ。おまえ、こっち側かよ。
 そうか、そうか……そうかぁ……」

ひひ、ひひ、と笑う
ひひひひひ、と嗤う

園刃 華霧 > 「……及第点だな」
山本 英治 >  
「………何の…………」

今、何を言ったのだろう。
声が小さくて、よく聞こえなかった。
頭が痛い。叫びすぎたからだろうか。

何故、園刃先輩は笑っていた?
考えろ。考えろ。考えろ。
出した答えが的外れでも。

園刃 華霧 >  
「言いたいことは、そんだけ?」

先程の子供の喧嘩の様子は消え
落ち着いた声音に戻っている


「他にあるなら、聞いてやる。
 聞くだけな」

山本 英治 >  
「………もう、ない、です」

敬語に戻る。恐らく、俺からできることはもうない。
あとはレイチェル先輩に全てを託す。

涙を拭って、自分の足で立つ。
あとは信じる。ただ、レイチェル先輩を。

園刃 華霧 >  
「そっか。
 んじゃ……」

手にしたデバイスを持ち上げる。

園刃 華霧 >  
「んぐ」

ごくり、と飲み込んだ。

「知ってるか知らないけどさ、エイジ。
 期限は、26までだぜ?」

山本 英治 >  
「……それじゃ」

真っ直ぐに園刃先輩を見る。

「全部終わった後に、園刃先輩からその後の話を聞きます」

俺は多分、主人公なんかじゃなくて。
それはきっと、この世界で懸命に生きていくことに他ならない。
空っぽでも。誰かを信じることくらいは、してもいいだろ。

園刃 華霧 >  
「そりゃ、アタシが話せる状態だったら、の話だな?
 大勝利か、止めてるか……」

さて、どっちだろうな。
今日のところは一旦沙汰止み、なだけ。
それも目の前の暑苦しい男に免じての話。

だけど――
目的を果たすつもりなのは変わらない。
今のところは

「まあ、悪くなかったよエイジ。
 ……あかねちんなら大激怒だったかもしれんけど。」

優しいけど怖いからなあ、と笑う

山本 英治 >  
「それでも」

よろめきながら、今度は俺が去っていく。
精神力が完全に尽きた。

「アンタはあかねさんじゃない」

一歩、一歩。踏み外さないように夜を歩く。

「園刃華霧だ」

後は頼んだぜ、レイチェル先輩。

園刃 華霧 >  
「じゃーな、エイジ。
 次、会えることを期待してるよ。」

ひらひらと手を振って見送る。

「しっカしなー……
 あかねちんも言ってタけど、
 『男の子が簡単に諦めたり、ブレイクスルーしたりしようとするものを私たちは認めない……認められない』か。
 ちょっと話違ウけど、実感しタな……」

ばたり、と床に寝転んだ

ご案内:「大時計塔」から山本 英治さんが去りました。
園刃 華霧 >  

「……なルほど、男は馬鹿ダ。
 ま、アタシも大概馬鹿なンだけどサ。
 なーンで、ああカなー。」

寝っ転がってぼやく。

疲れた。
今日はこのまま此処で寝るのも良いかもしれない。

おやすみ、今日。
明日は……起きれるかね?

ご案内:「大時計塔」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に227番さんが現れました。
227番 > 日が沈んで星が見える時間。

カツン、カツン。暗い階段を登る音がする。

今日の目的は、空だ。
高いところで見る星は、変わって見えるのだろうか。
もしかしたら、光らない星も見えるかも知れない、そんな事を思いながら。
そんな好奇心で、立入禁止を破る。
変わりの効かない場所なので仕方なく。
悪いことをしている自覚は有るので、なるべく慎重に。

カツン、カツン。

227番 > 初めて時計塔に来て降りれなくなったときは、
全く気にしていなかった星空。

いつもなら公園で見上げていた空を、
知る限りで一番空に近い場所で見てみたかった。

やがて少女はテラス部分にたどり着く。
少しずつつ見慣れて来た、見晴らしのいい風景。
もちろん、昼と夜ではその表情は違うものだが。

ご案内:「大時計塔」に水無月 沙羅さんが現れました。
水無月 沙羅 > 少し先に、いつもの日課を終えて、病院からこっそり抜け出していた馬鹿者がもう一人。
必要以上に心配させるのは良くないと、一応置手紙は添えて。
誰かが来たと思って身を潜ませてはいたモノの、それは小さな女の子だったと来れば放っておくわけにも行かず。

「……良い眺めでしょう? ここ。」

テラスの下から一飛びに乗り上げて、声をかけてみる。
あぁ、相当に驚くだろうから落ちないように気を付けて見ていてあげないと。

今日も星空に手が届きそうだ。

227番 > 人が、居た。しかも知らない。

不意打ちには当然ビビるので飛び上がる。
そのまま元の位置に着地して、数歩ほどステップで下がる。

驚いて見開いた目が、相手の姿を捉えようとじっと見つめる。

「……うん、綺麗、だと、思う。」

それはそうと返事をする。
たどたどしい、気弱そうな――ルール違反などしなさそうな――少女の声だ。

水無月 沙羅 > 「でも、こんな夜に女の子が一人は危ないですよ。
 私もルール違反なので人のことは言えないですけれど。」

飛び上がった少女の反応に、思わずクスリと笑みが零れる。
本当に、純粋な子供という感じ。
そんな第一印象。
自分の紅い瞳は彼女にはどう映っているだろうか。
急に表れたドラキュラ、いや、女だからドラキュリーナ?

「今日も月があんなに近い……手が届きそうなくらいに。
 隣、どうですか?」

ちょっと驚かせすぎたかな。
苦笑しながら誘ってみる。
怖い思い出にさせてしまうのは少々忍びないし。

227番 > 「……夜は、慣れてるから、大丈夫」

夜は危ない。公安の人にも聞いたので、気を付けている……といっても、
近所の公園にはいつも出ているし、今日はこっそり遠出しているのだが。

まんまるな瞳孔の青い瞳は赤い瞳に対して怖がる様子はないものの、
怒られないか……すでに怒られたような気もするが、とにかく、そわそわとしている。

隣とは言わないまでも、近くには寄って来る。
若干警戒しているようだ。

「つき……」

夜空に浮かぶ大きな星。誰かが月と言っていた気がする。
……ちゃんとはまだ教えてもらっていなかった。

水無月 沙羅 > 「……。 えぇ。 月です。 あの白くて大きく輝いているのが、月。
 その周りにいっぱいあるのが、星。
 月も衛星って呼ばれる、星の一つなんですけどね?
 地球に近いから、あんなに大きく見える。」

そう、一番近い星なのにあんなにも遠い。
夜空を見上げて手を伸ばしてみるけれど、届かない。
手に収める様に握ってみるけれど、開く中にはそれはなかった。

「星空、好きなんですか?」

青い瞳の少女に尋ねてみる。
あぁ、この子の瞳に星が移るのならば、それはきっと綺麗な夜空なんだろうな。
そう思いながら。

227番 > 「えいせい……ちかいから、大きい」

なるほど、そういう理屈なのか。
ということは、空に貼り付いて並んで見える星も、
距離がそれぞれ違うのだろうか──と、
真似をするように手を伸ばしながら思っていると、尋ねられる。

星空は好きか。

「うん。きらきら、綺麗で、好き」

懐かしい気持ちになる、というのもあるが、
単純に毎日表情が変わる空を見ているのが好きだった。

星空を見上げる瞳は、確かに月を始めとした光を映している。

水無月 沙羅 > 「そうですね、きらきら光り輝いて。
 昔の人は、星の中に大きな絵を作ったらしいですよ。
 それを星座っていうんです。
 そうですね、今の時期なら……。」

少女には、自分と同じ星空が見えているだろうか。
瞳の色が違えば、視えているものは違うかもしれない。
そんな非科学的なことを考えて、それでも伝わるものがあればいい。
所詮はロマンチシズムの塊だ。

「ひと際大きい星、あれ、と、あれと、あれ。
 デネブ、アルタイル、ベガ。
 三つをつなげて、夏の大三角形。
 デネブを尻尾にして、下にいくつか大きなほしが十字架みたいになっているのが、白鳥座。
 鳥みたいに……見えるかなぁ。」

正直、自分にはそうは見えなくて苦笑いする。
大昔の人は想像力が豊かだったんだろう。

227番 > 「……大きな、絵。星座……?」

新しい知識がどんどん入ってくる。
ずっと知りたかった星空のこと。夢中で相手の言葉に耳を傾ける。
星空を映している瞳は、話を聞くために時折赤い瞳を見つめる。
……実際、光を集めやすい瞳であるので、多く見えてるのかも知れない。

「でねぶ、あるたいる、べが」

変わった名前だ。人の名前ではあまり聞かなさそう。
三角はわかる。その下の十字……4つの道が交わるのが十字だっけ。
つまり、あれが白鳥。

「はくちょう……?あんな形の、鳥?」

少女にも鳥には見えないらしい。
それに、大きな鳥は、まだ見たことがない。興味の対象が、どんどん増えていく。

水無月 沙羅 > 「ふふ、やっぱり見えませんよね。 白鳥。
 えっと。」

スマートフォンを取り出してみる、おそらくかかっているであろういくつかの着信は全部スルーして、画像検索を呼び出してみる。
真っ白い宙を飛ぶ鳥、映るのは残念なことにすべて昼間の姿だったけれど。

「これが白鳥、ですね。 私も実物は見たことがないんですけど。」

彼女の目線の位置までしゃがんで、視ていいですよ、と差し出しておく。
すぐにまた目線は夜空に戻って、星々に目を光らせた。

「あの光る星はね、ほとんどが恒星ってよばれている。 とおい、遠い位置にある、太陽みたいに大きくて眩しい星たち。
 こことは距離が離れているから、こうして光の小さな点に見えるけれど。
 手に掴めないほど小さく見えるけれえど、私達なんて目じゃないくらいに大きいんです。」

ひょっとしたら、もうとっくに消えてなくなっているかもしれない、寿命を迎えたのかもしれない恒星たち。
此処に届いている光は、一体何年前のものなのだろう。

227番 > 「……白鳥……しろい、大きな鳥」

白い画面のスマートフォンが眩しいのか、目は一度細くなった。
それから、さっき教えてもらった空の白鳥を見る。

「白、鳥……?」

もう一度疑問に首を傾げた。そういうものである、とは
まだ完全には理解できないようだ。

「こうせい……遠くに、有るの、小さくなるのは、わかる」

見下ろす町並みが、それを証明している。
……太陽のような星が、点のような大きさになっている。
どれだけの距離があるというのだろう。
そして、それらの光は遮られることなく、この空……自分の目まで届いている。
途方も無いことだと、思った。

水無月 沙羅 > 「遠すぎて、遠すぎるから。 私たちに届く彼らの発する光は、途方もない過去の光。
 今私たちは、あの光る星たちの遠い昔の姿を見ているの。
 ちょっとした、星空だけが起こして見せるタイムスリップ。
 あの星空だけが、時間を超えて過去をみせている。
 ……もし、宇宙に跳べれば、過去をやり直せるのかな……なんちゃって。」

子供には、目の前の少女には理解できないかもしれない用語ばかりを並べて、それでも沙羅はそのロマンを少しでも少女に伝えたかった。
自分一人でそれを想うのは、あまりにもったいないと思ったから。

「そんな、ありえもしない現実を、ほんの少しだけ優しく包み込んで、幻を見せてくれる。
 だから私は星が好きなんです。 幻だとしても、それに救われているから。」

そんな告白を、独り言のようにつぶやいた。
 

227番 > 「過去の、光」

少女は頭が回る。遠くに行くのには、時間がかかる。
一瞬で目に届くと思っていたこの光にも、その概念があるのでは、と。
──だとしたら、それは本当に、本当に、遠くて。

「……手が、届かない……」

星空に手を伸ばす。途方も無い、手が届かないものに。
言葉は、用語はよくわからないが、"それ"に思いを馳せる。

「……わたし、星、もっと、好きになった、かも」

少女は、少しだけ、理解を示した。

水無月 沙羅 > 少女の言葉に、嬉しくなって、つい笑みが零れた。

「届かないから、そう、届かないから、届きそうもない思いを。
 人は星に、想いを、願いを託すんです。
 流れ星に3回お願いするみたいに。
 絶対届かない願いを、遠い未来に叶えてくれるかも。
 そんなありえない幻想を求めて。」

「貴方の好きに貢献できたなら、それはとてもうれしいことですね。」

理解をしてもらえたことに、自分だけではないことに安心して。
星を見て、知らず涙は一筋零れた。
届くはずのない願いを、やはり沙羅も万感の思いを込めて、彼らに託すのだ。

227番 >  
「星に、願いを……」

話をしながら、いつの間にか隣に座っていた少女は、
かわらず空に手を伸ばしながら、じっと星空を見つめる。
……相手の涙には気付かない。

いつか、叶うといい。あるいは、叶えてみせる。
七夕で書かれた願いの一部も、きっと似たようなものなのだろう。

「うん、ありがとう、……えっと」

相手のことを呼ぼうとして、詰まる。
名前はもちろん知らないが、こういう時に使う"お姉さん"等といった、
人の呼び方を、まだ知らなかった。

水無月 沙羅 > 「わたしは……、えっと。
 そうですね、星空お姉さん、とか?
 本当は、此処にいないはずの人間ですから。」

くすり、と笑って少女を見やる。

「貴方のお名前は?
 星空の瞳をもったお嬢さん。」

きざったらしい台詞を並べて、目線を合わせたまま尋ねる。
私は、星の光が照らしてくれたこの時間だけの幻でいい。
今だけは、ここに居ない筈の人間だから、そういう演出をしたっていいだろう。

だって、星空を覗く彼女の瞳はこんなにも綺麗なのだから。

227番 > 「星空、お姉さん」

復唱。流石に名前ではないことが分かった。
笑う姿を見て、つられて笑顔になる。

「わたし?わたしは、2──」

言い掛けて、自分も"ここに居るべきではない存在"だと気付いて。
考えて、考えて、しかし何も思いつかないので……。

「ニーナ、でいっか……」

今は本当の名前じゃないが、自分を指す名前を名乗った。

水無月 沙羅 > 「ニーナ、小さな女の子。 そう、貴方をそう呼んだ人が居るのねきっと。」

まさに、目の前の少女にふさわしいな、そう思って。

「ねぇニーナ? もし何か辛いことがあったら、またここにきて星空を見上げてみて?
 ひょっとしたら、お星さまや、お月様が、貴方の背負っているものを肩代わりしてくれるかもしれない。
 ここよりも低い重力に、持って行ってくれるかもしれないから。
 そう、六分の一くらいには。」

ちょっと意地悪に、解説が必要だけれど、きっと彼女は一人でも探し出せるはずだ。
何も言われずとも、人の想いを理解できるこの子ならば。

「じゃぁニーナ、良い夜を。 私はもう行くね?
 願うだけでは、きっと終わらないこともあると思うから。」

『星空お姉さん』はそのままテラスから、スッっと足を踏み外すようにかき消えた。
本当は、指先に強化の魔術を使って壁に張り付いては別の屋根に飛び乗っただけなんだけど。

幻は幻らしく。
少女の思い出の中だけに消えたくなった。
それだけの話。

227番 >  
君にふさわしい。そう言ってくれた人が居た。
しっかりと覚えている。

「……うん。ここに来ること、悪いこと、だけど……。
 多分、また来る」

わからないことを知ると、わからないことが増える。
少女は、この感覚は好きだった。……きっと大丈夫だろう。

「またね……星空お姉さん」

小さく手を振って見送ろうとした矢先に、ふつと消えた姿に驚くが……
下を覗き込めない227には追いかけられず。

不思議な体験だった、と少女の記憶には残ることだろう──。

ご案内:「大時計塔」から水無月 沙羅さんが去りました。
227番 >  
不思議なお姉さんを見送った後、もう一度星空を見上げた刹那──


一筋の流れ星。

誰かの願いを受け取るためか。
誰かに願いを届けたのか。
誰かの願いを叶えたのか。
誰かが願いを諦めたのか。

あるいは、その全てか。


少女は初めて見る流れ星に目を輝かせる。

227番 >  


《人は星に、想いを、願いを託すんです。》
《流れ星に3回お願いするみたいに。》

教えてもらったことを思い出して。

また星空お姉さんに、あの人に、みんなに、会えますように。


そう願うのだった。

ご案内:「大時計塔」から227番さんが去りました。