2020/07/29 のログ
ご案内:「大時計塔」に希さんが現れました。
■希 > 「しーいーなーちゃ、んはいないか、うん、そうだよね」
大きな声をだして階段を登り、あれ?と首を傾げて納得
いない時もあるよねと、結局は渡せなかった、ソフィア先生なら預かった携帯を握って
「あいたいなー」
会って話がしたいなー、と曇天を見上げて、気分がだんだん陰鬱な気分になってくる。
「はぁ」
これ、と契約したからだろうか
気分が暗くなっていく、だんだんと、だんだんと
■希 > 「しりたいな」
椎苗ちゃんの死にたい理由
友達になってくれない理由
「ダメだよね」
なぜなら私は「人殺し」の「悪い子」だから
「わたしが、全部」
悪いんだよね
■希 > 「はやく」
大人になれば
「もっと」
つよくなれば
「わたしは」
ここにいても、いいんだよね
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
■神樹椎苗 >
職員室を出て、少しばかりすっきりした心地で、時計塔を登る。
悩み続けることには変わりないけれど、迷いは晴れたのだ。
だからまず最初に、『友達』と出会った場所を記すために、いつもの場所へと。
「――なんだ、また来てたのですか」
扉をあけて様子を見れば、そこにいるのはいつもの少女。
今更、少女が居る事には驚くこともなく。
いつものように歩いて行って、柱にもたれて腰を下ろした。
■希 > 「うん、しーなちゃんに、あいたくて」
ちょっといつもよりは、テンションが、低い声で
いつもより、元気がない様子で
■神樹椎苗 >
「そうですか。
まあ、今更危ないから来るなって言うのもばからしーですしね。
来るのは構わねーですが、うっかり落ちたりするんじゃねーですよ」
そう言いながら、購買部で買ってきた、一冊のノートを広げた。
小さなシャーペンを取り出して、印刷されたようにきっちりとした文字で、一つ一つ文章を綴り始める。
■希 > 「しーなちゃん、しーなちゃんは、死って、なんだと、思う?」
背中を向けながら
切実な、質問を、投げかける
■神樹椎苗 >
突然の問いかけに、きょとん、と意外そうな表情をして顔を上げる。
先日の『喧嘩』が尾を引いているのだろうかと思い、少しだけ眉をしかめるが。
その問いへの答えは、常に決まっている。
「――死は安寧であり、祝福である。
――生は死と共に在り、生の果てには揺り籠の眠りが待つ」
そう、『黒き神』の教えを口にする。
「『死』は『生』に寄り添うものであり、『生』は『死』を想う事。
『死』は終わりであると同時に、始まりでもある。
――お前には少し、難しい話ですかね」
誤魔化す事も、はぐらかす事もなく、真面目に答えた。
■希 > 「目の前で、人が死んだの」
意外な程、低いテンションで
「トゥルーバイツの人だった」
願いを叶えるために死んだ
「それで、わたし」
怖くて、震えている
■神樹椎苗 >
「――そうですか」
トゥルーバイツ――先日まで、落第街を中心に一部を騒がせていた連中だ。
ちょうど昨日、カウンセラーの教師に子供が巻き込まれたと聞いていたが。
「お前だったのですね。
怪我はしてねーですか」
少なくとも見た目には目立った外傷はなさそうだったが。
それでも、『死』を間近に感じたショックは大きいのだろう。
「怖くて当然です。
生き物は『死』を怖がるものですから」
そう、普段よりも気遣うような声をかける。
■希 > 「大丈夫、怪我はしてない、よ」
怪我は、していない
「ただ、思い出した、だけ」
自分が、どれだけの悪いこか
「なら、椎苗ちゃんは?」
なんで
「死のうとしてる、の?」
■神樹椎苗 >
「――しいですか」
その問いは、先日の問答からいずれ来るだろうと思っていた。
しかし、思っているよりも随分と早かったが。
「『死にたい』から――なんて言ってもわからねーですよね」
どう答えたものかと、ペンを顎に当てながら考える。
『友達』はどうして消えようとしたのか――あれは、反逆でもあった。
椎苗が『死にたい』と願っているのは『生きる』ため――これもまた抵抗の一つだろう。
「真面目に聞かれると、意外と困るもんですね。
誰かにわかるように伝えるなんて、考えてもなかったですし」
何から、どのように伝えたらいいのか。
普通の価値観からかけ離れたものを、どうやって納得させればいいのか。
こんな時に、適切に通訳でもしてくれるような相手がいてくれればありがたいのだが。
■希 > 「わたしね」
一つ、息を呑んで
「パパとママを
ころしたの
」
表情が、抜け落ちた顔で
「わるいこなのを、思い出したの」
泣き笑いの顔で
「だから、椎苗ちゃんに、きいて、みたくて」
■神樹椎苗 >
――答えに窮するというのは、こんな気分なのか。
そう、椎苗は少女の告白に、言葉を詰まらせていた。
「それ、は。
しいに聞いても、わからねーですね。
しいには、父親も母親もいませんから」
困ったように眉根を寄せて、椎苗は少女を見る。
少女の様子に、奇妙な危うさを感じた。
「ただ――殺したという結果だけなら、しいも少なからずあります。
自分の意思でなかった事も、自分の意思で殺した事もありますね。
となれば、しいも『わるいこ』になりますか」
罪に問われる事こそなかったが、言うならば人殺しであることに変わりはない。
たとえソレが『生命の理』から外れたモノであっても、殺しは殺しだろう。
――椎苗には、血縁者を殺す事と、それ以外を殺す事の、違いが分からなかった。
■希 > 「わたしは、どうしたらいいのかな?」
ゆらりと、青かった、魔力の色が、淀むのを感じて
「もっと、つよければ」
青から、紫に、質が変わって
「もっと、おとななら」
ばちり、ばちりと火花が散り
「良かったのかな、椎苗ちゃん?」
■神樹椎苗 >
「しいには、答えようがありませんね。
しいにはわからない話ですから。
とくに、あの時どうしたらよかったか――なんて、しいの方が知りてえですよ」
少女の魔力の変化には、目を細めて怪訝そうな顔をする。
以前のように暴発するのとはどこか違う、奇妙な変化だ。
「強くても、大人でも、違いなんてないんじゃねーですかね。
少なくともしいは、殺す必要があるのなら、誰であっても殺します。
ただ、これからどうしたらいいか、という話なら」
悩むように首をかしげる。
こういった問答こそ、カウンセラーの仕事じゃないだろうかと思いつつ。
「お前は、苦しんだ分、悩んだ分、幸せになればいいのですよ。
お前が自分を『わるいこ』だというなら、お前が殺した両親の分も、お前が『生きる』のが償いじゃねーですかね。
それこそ、両親を殺した事を忘れないで、それでも『生きていく』事が、お前への罰なんじゃねーですか」
■希 > 「そっ、か」
そう、だよね
「うん、しーなちゃん、ありがと」
とても、つらいけど
「いきて、しあわせに、なる」
それで、いいのかな
「わからない、けど」
わたしには、まだ、わからないけど
「良い子のフリ、してていいの?」
■神樹椎苗 >
「それを決めるのは、しいじゃねーですよ」
少女の問いに、椎苗は首を振る。
「『わるいこ』でも『いいこ』でも、お前がお前であることに変わりはねーです。
だから、お前がどうしたいか次第でしょう。
それに、人間なんて『善い』か『悪い』かでなんてくくれねーですし」
まあ――疑いようのない悪性や、善性も存在しないわけではなかったが、しかし。
少女をどこかに分類するのだとしたら、それは椎苗のする事ではない。
「お前はどうしたいんですか。
『わるいこ』でいたいのか『良い子』でいたいのか。
それとも、どちらでもないのか。
それはお前自身が決める事です」
■希 > 「わたしはっ、いいこで、いたいの!!」
泣きながら、叫ぶ
「でも、ねむると、しんだひとが、ぱぱが、ままが、でてくるの」
幼女の、泣き声が、響いて
「わたし、わたし、えぐ、えぐ」
君に、縋り付こうと、手を伸ばして
■神樹椎苗 >
「それなら、『いい子』でいればいいじゃねーですか。
お前が思うような、『いい子』になれるよう、頑張ればいいのですよ」
務めて優しい声で語り掛けようとはするが、縋り付くのであれば、制するように左手を動かす。
「そこで甘えるんじゃねーですよ。
それは、お前が向き合わなくちゃいけない怖さです。
ほかの誰かに助けてもらえるものでも、誰かに押し付けて良いものでもありません」
そして、少しだけ厳しい声で、言い聞かせる。
「それが『死』の怖さです。
それが『死』を畏れるという事です。
それがお前が背負わなくちゃいけない『死』の重さです」
――もし、椎苗にとって明確な善悪の基準があるのなら。
その『死』の重さを忘れたモノ、向き合う事を放棄したもの。
それこそが、椎苗にとっての『悪』だろう。
「『死を想え』。
ちょうど、今は慰霊祭の時期でしたね。
そこで、『死』がどういうモノか、見てくるといいです。
お前は改めて、正しく『生命』というモノを学ぶべきです」
■希 > 「うん、わかった」
ぐずぐず泣きながら
「わ、わかった」
ずず、と鼻をすすって泣きながら
「これが、死」
自分が背負う重さに、少女は震えて
「いれーさい、わかった、調べてみる」
意識の底でがきり、と何かが砕け
ボロボロになったメモ帳が、風に吹かれて飛んでいって
ご案内:「大時計塔」に希さんが現れました。
■神樹椎苗 >
「――まったく、妙なモノに憑かれたもんですね」
少女の中から、余計な混ざり物が抜け落ちていくのを見ると、大きく息を吐いて。
「お前は急ぎ過ぎなんです。
まずは一つずつ、学んでいけばいいんですよ。
試験の時に教えたことは、ただ点数を取るための勉強じゃねえのです」
わからない問に直面したら、一つ一つ、解るようになるまで調べて、反復する。
それは試験勉強だけでなく、ヒトが生きていく上での学びにも、間違いなく通じているのだ。
「ほら、わかったら涙を拭いて泣き止むのです。
『生命』を『死』を学ぶ事は簡単じゃねーですからね。
泣いてる暇があったら、一秒でも長く考えて、一歩でも多く歩む。
それの繰り返しだけが、お前がなりたい『いい子』に近づく道です」
■希 > 「うん、ごめんね、しーなちゃん」
ぐずぐず泣きながら
「あまえてごめんね」
涙を拭いて、顔をぐしぐしと手で拭った後
「えへへ、なら、しーなちゃん、あそぼ!」
いつもの挨拶を、交わした
■神樹椎苗 >
「はいはい、遊ばねーですよ」
そう答えていつものように呆れながら。
「まあでも、退院祝いくらいはしてやりますよ。
しいも忙しいですから、もう少し後でになりますけど。
ああそれと、試験のご褒美も考えないといけねーですね」
一応、約束は約束なのだ。
あの『喧嘩』からうやむやになっていたが、それもまだ、果たしてやれていなかった。
■希 > 「むー、しーなちゃんはわがままだなー」
いつもどおりに返して
「しーなちゃんと、ならえーと、自由研究の宿題する!」
ご褒美は、それでいいらしい
■神樹椎苗 >
「ああ――夏休みですからね」
そう言えば初等教育の課題は、同じように出ていたはずだ。
「それならしいもやりますし、丁度いいですね。
研究課題は――なにかやりたいものでもありますか」
■希 > 「宿題!入院してたからやってない」
ずーん
「わかんない!しーなちゃん何したい?今度図書館行く?」
取り敢えず、いつものように、ひっぱり回されるようだ
■神樹椎苗 >
「でしょうね。
まあ、しいもやってませんが」
椎苗も椎苗で、それどころではなかったのだ。
そして今もまだ、そこに意識を避けるほどの余裕はない。
「そうですね、また今度、落ち着いたらですが。
どうせやらないといけないですから、付き合ってやりますよ」
そう、また諦めたようにため息を吐いて、そう言うのだった。
■希 > 「なら、いっしょにやろ?」
にこーと、いつものように隣に座り
ご案内:「大時計塔」に希さんが現れました。
■神樹椎苗 >
「はいはい、また今度ですね。
――写させねーですよ」
そして、泣いた烏がもう笑ったと、呆れたように苦笑するのだった。
ご案内:「大時計塔」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から希さんが去りました。