2020/08/03 のログ
水無月 沙羅 > 「っ……」

咄嗟に手を離す。
何か、雰囲気が変わった。

口にしたとぎれとぎれの言葉は、何に対しての言葉だったのか。
それはきっと、忌々しい呪詛へ反旗を翻した証。

だから、もうこの殺意はいらない。
神代理央が抗うと決めたなら、もう必要ない。
あくまでも『自分』を決められるのは『自分』だけなのだから。
もう、手助けはいらない。

「かわいい女は、恋人を殺そうとしたりしませんよ。」

首を絞めた手を、もう片方の手で掴む。
血が滲み出そうなほど掴む。

罰を自分に与える様に、痛みを与える。

撫でられる頬に、苦い笑いを返した。

神代理央 >  
「……が…はっ……っか、は……ぁ…」

呼吸が戻る。
急速に取り入れられた酸素に、喉が悲鳴を上げて咳き込む。
それでも、頬を撫でる手を離そうとはしない。

「……ばか。なにやってるんだ。そんなことしたら、けがをするだろう」

咳き込んで、涙で視界が滲む。
それでも、その視界に彼女が自らの手を自戒する様に掴んでいるのが見えれば。
それを止めようと、もう片方の手を伸ばす。伸ばして、掴んでいる手に触れる。
呼吸の儘ならぬ躰では、止められる程、強く握る事は出来なかったのだが。ただ、そっと握るだけ。

「…ばか。ばか、ばか、ばーか。さらの、おおばか」

未だ整わぬ呼吸の中で、幼児の様に言葉を繰り返して。

そのまま、彼女に凭れ掛かる様に、力が抜けて、倒れ込む様に。

水無月 沙羅 > 「いいんです、これは、罰なんですから……って、ちょ。理央さん……?」

やりすぎたかもしれない、血の抜ける様な音がして、恐ろしい光景が目に浮かんだ。

倒れこんでくる少年が、自分にもたれかかる。
幼児のように何度も言葉を繰り返す。

「うるさい……バカなのは貴方だ、自分の心配をまず……しなさいよ!」

治癒魔術を行使して、理央に施す。
異常がないか、魔力を眼に集めて、理央の魔力に異変がないか確認する。
脈拍を確認する、意識はもうろうとしているのは間違いない。
空気が足りないのなら、送り込めばいい。

「黙って……。」

抱き寄せる様にして、唇を重ねた。

そっと、赤子を抱くようにしながら、息を吹き込む。

神代理央 >  
「…うるさい、ばか。おれがさらのしんぱいをしてなにがわる……っ…ごほっ…!」

紡ぐ言葉に、もう力は無い。
それでも、彼女に言葉を返そうと懸命に唇を開く。
開いた先から、また喉が悲鳴を上げて咳き込んでしまうのだが。

潰れかけた喉から、それでも懸命に彼女に返す言葉を続けようとして。
その唇は、彼女に塞がれることになる。

「……ん……ん、く…――」

治癒魔術に長けた彼女であれば、少年の身体と魔力の状態はあっさりと、見て取る様に分かるだろう。
精神の混乱による肉体強化の発動。それにより不安定な魔力の流れの儘、同調していた異能が強引に発動しようとした事によって不安定な魔力が少年の身体の中で更に乱れる事になった。
結果として、異能と魔術の半暴走と気道の圧迫による急激な酸素欠乏症。それが、少年の意識の混濁を招いていた。

だから、と言えるかどうかは分からないが。
息を吹き込む彼女に特に抵抗する事は無く、寧ろ縋る様に。
その腕をそっと掴むのだろうか。

水無月 沙羅 > 「(ゆっきー先輩の時と同じ……、暴走して乱れた魔力が自分の体を傷つけてる。
 なら、魔力の流れを戻してあげれば。)」

紅い瞳は魔力による変化か、『金色』に輝いて理央を見つめる。

理央の内部にある魔力を操作する様に、体表面を撫でる。
魔力の流れに沿うように、導く様に、沈めていく。
見開いた瞳は必死に、命をつなぎとめようと動き回っている。

唇は押し付けられて、吐く息はゆっくりを理央の肺へ送られてゆく。

縋る様に掴む手に気が付いて、そっと手を重ねた。

神代理央 >  
ぼんやりと見開いた瞳は、彼女の紅い瞳が金色に輝く様をじっと眺めている。
魔力の流れが回復していけば、彼女の治癒魔術もそれに比例して効力を増していく。
元より、急激な悪化に至ったものの処置が迅速かつ適切であれば問題は無いレベル。
送り込まれる彼女の吐息と、鎮静化する魔力の暴走は、呼吸の回復という目に見える結果となって現れるだろう。

「……ふ……ん、む……」

回復に至り、朧気ながら活動を再開した理性の中で。
金色に輝く彼女の瞳を、ただ綺麗だな、と。
見開いた瞳をあやす様に、もう片方の掌は、そっと彼女の頬を撫でるだろうか。

水無月 沙羅 > 「ぷぁっ……はぁ……。」

魔力の乱れは治まった、治療も効果が見える。
もう心配はない、後は体の治癒能力が自然と回復を促してくれるだろう。
酸素が行きわたれば意識も戻ってくるはずだ。
離れた唇から、少しだけ繋がっている水の糸を拭って、理をの体を抱き起す。

――『黄金の瞳』は紅い瞳に姿を戻して。

沙羅はほっと胸を撫で下ろした。
危うく、『鉄火の支配者』ごと、『神代理央』まで殺してしまうところだった。
その恐怖に、今更ながら体が震えてくる。

「大丈夫ですか、理央……。」

心配そうに、いつもの不安げな少女の顔が覗き込むだろう。
少しだけ涙を眼に溜めて、自分の罪に胸を痛めている。
そんな少女の顔が、理央の目の前にはあった。

神代理央 > 「…っはぁ……っふぅ……」
 
抱き起こされる躰。
未だ靄がかかった様な思考ではあるが、それでも治療を施される前に比べれば、随分とマシになっている。
離された唇から浅く早い呼吸が酸素を取り入れ――次第にそれは、ゆっくりとしたものへ。
落ち着いた吐息へと、戻っていく。

「……そんな顔をするな。大丈夫だから。お前を置いて、俺が死ぬ訳ないだろう」

不安と罪悪感に歪む彼女に、穏やかに微笑み返すと。
そっと手を伸ばして、彼女の目元に溜まる涙を拭おうとするだろうか。

「……心配、したんだからな。急にいなくなって。話も出来なくなって。どうすれば良いのか分からないまま、色んな話だけが進んでいって。それに、平気な顔をしなきゃいけなくて」

そして、ぽつぽつと。訥々と。
隠していた本心を。仮面の奥に隠れ潜んでいた、幼ささえ伺える様な思いを。
静かに、語り始めるだろうか。

水無月 沙羅 > 「今まさに、死にそうになっていた人が言う台詞ですか。」

涙を拭われながら、そっと微笑み返す。
回復していく様子に、安心したかのように抱きしめた。

「すみません……、独りにして。 一緒に居てあげられなくて。
 本当は、一緒に居たかったんです。
 でも、もう一人の貴方に、お人形にされたくはなかったんです。
 貴方を、助けたかった。」

優しく抱きしめながら、子供の様に語り出すその本心を、頷きながら聞いていく。
己のひた隠していた心もまた、雪解けのように漏れ出して。
言葉となって零れてゆく。

『我儘』は、沙羅のエゴイズムは、こうして幕を閉じた。

神代理央 >  
「……ばーか。俺が、お前に殺されてなんかやるものかよ。
俺はきっと、ロクな死に方をしないだろうけど。
それでも、お前の手を、俺の血で汚させてなんか、やらないからな」

くすりと笑みを浮かべながら、成すが儘に彼女に抱き締められる。
そっと両手を彼女の背中に伸ばして、此方も彼女を抱き締め返そうと。

「…そうだな。きっと、あのままの俺でいたのなら。
お前を人形にして、言い訳にして。力を振るっていたのかもしれない。
そしてそれは、もしかしたら。此の島の為には必要な装置だったのかもしれない。そう望まれていたのかもしれない」

敢えて。彼女が『殺した』可能性を語る。
その可能性が人々の為に成り得たかもしれない可能性を語る。
しかしそれは、詰る様なものではない。
一度言葉を区切り、そっと彼女の背中を撫でて。

「……でも、一人は寂しかったんだ。お前を散々一人にしておいて、寂しいなんて言うのは、おこがましいけれど。
だからきっと、お前を見ない儘、皆に望まれる姿になることは、きっと寂しい事だ」

「………あの殺し屋の言う様に、俺は弱くなったんだろうか。
変わってしまった事は、弱さだったんだろうか」

不安を零す。不安定さを嘆く。
それは、己の重荷を彼女に知って欲しいという『我儘』
神代理央は、情けなく、不甲斐なく、幼い感情の儘に。
彼女に縋るという『我儘』を、零れ落としていた。

水無月 沙羅 > 「……私が、貴方を守りますから。
 碌じゃない死に方なんて、させませんよ。」

くすり、と笑い返す。
もう二度と離すまいと強く抱き寄せて。

「弱くなっては、いけないんですか?」

抱き寄せたまま、言葉を紡ぐ。
それは本当に伝えたかった事。
この放浪し続ける生活の中で、沙羅が見つけた答え。

「弱くなったって、いいじゃないですか。
 泣きながら謝ったって、いいじゃないですか。
 傷つけたくないって、泣いたっていいじゃないですか。」

「人間は、変わっていく生き物なんです。
 くじけたり、転んだり、躓いたり、そのたび立ち上がればいい。
 弱くなるたび、その分強くなればいい。
 間違えたなら、やり直せばいい。
 罪は消えなくても、私たちはいつだってやり直せる。」

だって、そうして私たちは出会ったのだから。

「理央、もう一度、始めましょう?
 神代理央を、もう一度最初から。
 もう、仮面は必要ない筈だから。
 貴方は貴方のままで、貴方がしたいことを、貴方がしたいようにすればいい。
 殺し屋の思惑通り、貴方を殺すことになってしまったけれど。」

それでも。

「もう一度、一から歩きだせばいい。
 今度は私がついていますから。
 貴方の傍で、一緒に罪を背負いますから。」

星を見上げる。
星に願うだけの自分はもういない。
願うことは止めないけれど、ロマンチシズムは消えないけれど。
願いを叶えるために、歩くことを覚えたのだから。
星に願いを託すのではなく、星に願いを込めて。
忘れないようにこの目に刻むのだ。

月の明かりは二人を優しく照らしている。

1/6にはまだまだ遠いけれど、1/2から始めよう。

「月が綺麗ですね。」

いつかの言葉に、想いをのせて。
夜は過ぎて行く。
 

神代理央 >  
「……頼もしいな。
俺がダモクレスの剣に貫かれる前に、玉座から引き摺り倒されそうだ」

と、可笑しそうに笑う。
抱き締められる力が強くなる。
彼女より、強い力で抱き締め返す事は出来ない。それくらい彼女は強くなったし――自分は、こんなにも弱かったのかと再認識。

「……人間は変わっていく生き物、か。
そうだな、ああ、そうだ。俺は、弱くなってしまったかもしれないけれど。
かつての俺の様に、業火で人々を支配する様な強さは、失ってしまったかも知れないけれど」

嘗ての己なら、既に殺されていたと告げた殺し屋。
きっと、彼の言葉は正しい。
嘗ての己であれば、きっと彼を殺した。
そして、多くの人を殺した。人を人と認識せぬままに。
そうあれかしと、望まれていたから。

「…もう一度、か。
俺は、ゼロからのスタートじゃない。
マイナスから、やり直さないといけない。
それくらい、罪を重ねてきた。
それくらい、殺してきた」

己の行いは既に『清算』なのだと嘲笑った公安の男が居た。
『そんな事知るか』と高らかに告げた強敵が居た。
『素顔と向き合え』と笑った女が居た。
『妹を殺した』と壊れた少女が居た。

それでも、もう一度。
もう一度、やり直せるというのなら。

「……そうだな。それも悪くないのかもしれない。
お前と一緒なら。お前と過ごす事が出来るなら」

星空が瞬く。
見上げる星空は、己には眩し過ぎる。
でも、見上げている間は、背負う重荷はきっと軽くなる。
彼女と、星空を。月を見上げている間は。

神代理央 >  
 
 

「…ああ。本当に。月が、とても綺麗だ」
 
 
 

神代理央 >  
 
 

「……なあ、沙羅」

「…その、なんだ。…愛してる。これからもずっと、よろしくな」
 
 
 

神代理央 >  
月を見上げて、彼女を見つめて。
ちょっとだけ照れくさそうに。
不器用な二人を、お月さまとお星さまだけが
何時までも見守っていました、とさ。

水無月 沙羅 >  
 
 
 
 
「……えぇ。 私も、愛しています。」

「理央。」
 
 
 
 

ご案内:「大時計塔」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に227番さんが現れました。
227番 > カツン、カツン。一人、塔を登る。
今日は星を見に。本来公園に行っている時間なので、あまり長居は出来ないのだが……。
前にここで見た空が忘れられず、またこっそりやってくる。

227番 > いつもの…と言って良いのかはわからないが、とにかく、テラス部分にたどり着く。
まだ街の灯りが多いので、こないだほどではないものの、
公園とは比べるまでもないほど星が見える。

「……?」

手すりが歪んでいるのが目に入る。
誰か暴れたんだろうか?……こんなところで?

227番 > まぁ、だからといってどうするわけでもない。
万が一に注意して、その部分には近寄らないようにしつつ、空の見える位置へ。

「……」

やはり、綺麗だ。
ぺたりとその場に座り込んで、星空を指でなぞる。
相変わらず三角と十字の形しか引けないのだが。
それでも少女は満足そうに。

227番 > じっと空を見る。
今日の星空も、目に焼き付ける。

それだけで、なんだか楽しく感じる。落ち着く気がする。

「らーららーらーらーらー」

歌を口ずさむ。まだ歌詞は覚えきれないが。
割と最近の楽曲だ。街で聞いたものだろう。

ご案内:「大時計塔」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 「その曲はどこかで聞いたな。
何という曲かまでは覚えていないがな」

227の足元から聞こえてくるのは人の声。
どこか傲慢な雰囲気が拭えないが不快でもないその声の方を見ればそこにいるのは白い狐。

「久しぶりだな227。星でも見にきたか?」

軽い挨拶をして227の隣に座る白い狐は227を見上げており。

227番 > 「……?」

座っているので、一度見上げて人の姿を探してみる。
しかし、そこには何もおらず。
次に声のする方に視線を落とせば知らない動物。

「ひさし、ぶり……?」

首をかしげる。見覚えはない。

ラヴェータ > 「なんだ?忘れてしまったのか?薄情なやつだな
以前もここで会っただろう」

なんて言いながら4本足で歩き出し、227の背後へと回る狐。
ちょうど真後ろに回ったその時、白い煙が軽快な破裂音と共に溢れて。
戦隊ものの爆発のようになった227の背後に立つのは黒い軍服を纏う白い耳と尾を持つ少女。

「この姿ならわかるだろう
私だ、ラヴェータだ」

227を見下ろしながらニッと笑って。

「あの後何か悩んだことはあったか?
いや、こう聞いた方がいいか?新たに知ったことはあったか?」

227番 > 「……?」

歩く姿を目で追う。
後ろに回られたのでそのまま回ってくるかと思って反対を向けば。

「ぁ……ラヴェータ?」

そういう"変身"をする人は初めて見る。
目を大きく開けて、普通にびっくりしている。

「……すこしだけ?」

少しだけ進展はあった。あったのだが。
"領域"に迷い込んだ結果、殺しの感覚を思い出した……とは、言えるわけもなく。

ラヴェータ > 「なんだ?人化する獣がそんなに珍しいか?それとも私が狐だったことがそんなにも驚きか?」

驚いた様子を見せる227に軽率に、適当に軽い問いを投げかけつつ、最初に座ったのとは反対側へと回って片膝を立てて座る。

「すこし、か。そうか」

227の躊躇うような様子に何かあったのかもしれない、なんて思いつつもそこに踏み込むような真似はしない。
そこら辺の狐には言えないような話だってあるだろう。

「そうだ、以前の約束を覚えているか?227
貴様のこれの話だ」

思い出した様子で自分の耳に触れて227の頭へと視線を移して。

227番 > 「うん、珍しい」

現に初めて見たのだから。素直に返事をする。

「約束……」

そういえばそうだった。
おもむろに帽子をとると、ネコ科の耳が顕になる。
相手にも動物の耳があるとわかっていれば、特に気にはしないらしい。
流石に町中でと言われると嫌がるだろうが。

ラヴェータ > 「ほう、貴様猫なのか
実は人間でなかったりするのか?」

実際この狐は人の系列ではなくれっきとした獣である。
獣の姿を持つ人ではなく人の姿にもなれる獣である。
227もその類であろうかと思い。

「耳以外、尾や爪はないのか?
局所的に耳だけ生えている類だったりするか?」

そして逆でもあるかもしれないと思い尋ねて。
隠しているだけかもしれないが尻尾はないしそちらの方が正しい気がする。

227番 > 「猫……。」

実は何の耳か気にしたこと無かった。
言われて見れば、目は猫っぽいらしいし、そうなのかもしれない。

「ううん、わかんない……」

専門機関なりにかかって調べてみなければおそらく判明しない。
調べれば獣化している人間とはわかるのだが。

「爪……」

おもむろに紙の切れ端を取り出して、爪を立てて引っ掻く。
見かけは何の変哲もない少女の小さな手だが、
手の動きに合わせて切れ端は引き裂かれる。

「爪なら、こんな、感じ」

ラヴェータ > 「ほう、異能か魔術の類か?
貴様は私を珍しいと言ったが私からすれば貴様の方が珍しいぞ
外見といい、その無知さといい。面白い」

ただの少女の爪が紙片を引き裂く様子を目の当たりにすれば、少々興奮気味に。
爪と耳だけしかなく尻尾はない様子。そして人化していたのを珍しいと言っていたことから、人間が何かしらの呪いでも受けたか、それともそういう獣人か。
何れにせよこの狐からすれば初見の珍しい存在な訳で。

そして、しれっと視線を耳へと移せば、意図的に触れようとその手を伸ばして。

227番 > 「……いのう、なのかな……」

正直わからない。
わかるのは、これが自分でコントロールが出来ないことぐらいだ。

言われてみれば、他に同じような人は見たこと無い。
……私は、何なのだろう?
少し考え込むと、完全に無防備になる。

耳に触れられれば……無意識で反応して手を払おうと耳が動く。
本人はまだ考え込んでいる。しつこく触らなければ気付かないかもしれない。

ラヴェータ > 「ふむ、人の耳とはこういうものなのか...」

227の耳を数回つついてみる。
本当はもっと自分の監査役のやるように大胆に触れてみたかったのだが、耳が避けるように動いた為に自制して。
手を引っ込めれば、突っつく少し前から悩みふける227を見つめて。

「異能か、はたまた魔術か。
私には細かいことはわからんが、まあ貴様は少し珍しくはあるだろうな」