2020/08/20 のログ
鞘師華奈 > 「人材が豊富なのは良い事さ。公安も――まぁ、人材は負けてないとは思うけど、如何せん仕事の性質上、ねぇ」

実働仕事が多い風紀と違い、どうしても調査の仕事がメインとなってしまう。裏方、秘密裏の行動、そういうの。
もっとも、公安も幾つかの部署が存在し、それぞれ役割が違うので荒事バリバリ向いている人も多いが。

「――私が所属してる部署は「遊撃」が主な役割だからねぇ。臨機応変に何でもやる、というか」

他の部署の応援に行ったり、調査したり、時には荒事やったり。
ちなみに、女には”一撃必殺”という概念はあまりない。あるとすれば”初撃必殺”――いわゆる初見殺しだ。

「楽かもしれないけど、それはそれで別の問題が起きそうだしねぇ」

人質のメンタルケアとか大事そうな気がする。まぁ私がどうこう言えた事ではないが。

「ふーん……良いご両親と良い名前じゃないか。名前負け、とかそんなのは些細な事だよ。
ふざけていようが真面目だろうが、それが誰かを表す名前なら馬鹿には出来ないさ。
極論、ただの記号や識別みたいなものだけど――名前は私たちそれぞれを示すものなんだし」

なーんて、真面目に語る事でもないね、と苦笑気味に肩を竦めてみせた。
そろそろ一服も終わる時間だ。名残惜しいが携帯灰皿を取り出して短くなった煙草を放り込む。

「そうかい?こんなスーツ女が知人友人沢山!には見えないだろうどう考えても。
まぁ、公安と風紀なら何かしら一緒になる事もあるだろうしね、その時はよしなに」

笑いながら、ゆっくりと階段の方へと歩き出そうか。一服はしたし、彼女の”警告”通りにここを降りるとしよう。

日下 葵 > 「違う名前が割り当てられるくらいに業務が違うんです。
 うまく分業できている証拠だと思いますよ」

名前つながりでそんな洒落を言ってのける。
名前に意味は無いかもしれないが、
意味が名前を付けることはあるのかもしれない。

「どこの組織にも自由に動ける部署は必要だと思いますよ。
 便利屋というか、始末やというか、
 管轄に困ったときに柔軟に動いてくれる部署があると組織としては嬉しいものです」

そんなことを言えば、いずれ彼女の能力も見てみたいと思うようになる。

「まぁ、楽で問題も起きないっていうのがいいんだろうけど、
 なかなかそううまくはいかないものですから。
 結局楽っていうのも私の価値観ですし」

時計塔に上らされるより、
さっさと吹き飛ばしてもらって帰るほうが個人的に楽というだけである。

「そうですねえ、いずれは名前に負けない、
 名実ともに”まもる”と名乗れるような人間になりたいものです」

実験サンプルの様に番号で呼ばれるのは、それはそれで願い下げだ。
そんな話をしているうちに、お互いの煙草がフィルターを焦がし始めた。

「そんなことないですよ?
 名前が体を表すことはあっても、見てくれが本質を表すとは限りませんから」

お互いに携帯灰皿にすいがらを放り込めばそんな戯言を言ってのける。
今は少なくても、いずれは数えるのが億劫になるくらい友人知人が増えるかもしれない。
そんなことを言って階段を下りていく彼女を見送れば、
少し時間をおいて私も時計塔を後にするのだった。>

ご案内:「大時計塔」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から鞘師華奈さんが去りました。