2020/08/25 のログ
ご案内:「大時計塔」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > 夕方…カラスは…飛んでない。
もうお盆もあけたってのに暑いもんだからカラスも真っ黒い身体じゃ辛かろう。
ぼうっと夕日を眺めていると、目に光が焼き付いて気持ち悪い。
何をしているわけでもない。
ただぼーっとしてる。たそがれてると言ってもいいかも。

「ははっ」

こんな高いところでたそがれるなんて
漫画の主人公やなんやじゃあるまいし。

水無月 斬鬼丸 > 思わず笑ってしまった。
先日沙羅ちゃんから家のこと聞いたときも
思わず笑ってしまった。

実感はない。
自分の家がやべー研究集団だったーなんて。
沙羅ちゃんの家がそうであることはわかってたけど
自分のウチまでそうで、自分がそこで作られたものなんて。
仕送りまだ来るし。
実家に連絡は、やめたほうが良さそう。

それでも見栄張って、胸張って、大丈夫、イケるイケるとしなきゃいけない。
これからは。
沙羅ちゃんの…フェイの…安心のために。

「ははは…」

乾いた笑いがまた出た。

ご案内:「大時計塔」にカラスさんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > こんなもん笑うしかないだろう。

沙羅ちゃんは…たしかに壮絶な人生を歩んできたかも知れない。
家のすべてを知って、風紀を護って戦って
辛いこと、苦しいことに耐えてきたかも知れない。
すごい、立派だ。
だけどどこか幼気な女の子で
フッとしたことでおやおやとバランスを崩して倒れてしまう。
常に命のやり取りをしてきた弊害だろうか。

フェイは…強い少女だ。
スラムで酸いも甘いも経験してきた。
心、体、その思考、意思…すべてが強い。
多少ダラーッとしてるところはあるけど。

水無月 斬鬼丸 > 俺は…真実はどうであれ…普通に…
普通の学生として生きてきたのに。
普通に学園生活を送りたかったのに。

沙羅ちゃんの手をとったことがきっかけだったのか
それともこの学園に来てしまったことで運命づけられていたのか
普通であることは許されなくなった。

普通であろうとしたら叱責される。
普通であろうとしたら手からこぼれる。
普通であろうとするものには何も残してくれない。

残酷だぁ…

カラス >  
乾いた笑いに混じって、羽音が聞こえた気がした。
けれど、自嘲を零す青年を嗤う鳴声はせず。

ただ、黒い羽根が一枚、ひらりと視界に舞い落ちる。


常世島。幾多もの物語が交差する場所。
常世学園。《大変容》後の世界のありかたのサンプルの場所。

サンプリングは、あらゆることを用いて、試される。

故に、幸福な日常も、青年に降りかかる非日常も。

果たして、《大変容》の起きた後のこの地球で、
何が"普通"足り得たのだろうか。

そんな問いに、明確な答えは出せやしない。

水無月 斬鬼丸 > 羽だ。
カラスの羽?

まぁ、ああは思ったけど飛んでてもいいだろ。
夕方だし、カラスだし。

落ちた羽から視線を外してため息一つ。

なんだか、すぐ帰るのもはばかられてしまう。
フェイがいる家なのに…。

カラス >  
「……どう、したの?」

憂鬱な青年の頭上から、音が降ってくる。
見上げるならば、烏よりも大きな大きな黒い影が、そこにいるだろう。


それは、時計塔のヘリに座っている。
ちょっとした買い物袋を持っている学園の生徒が。
思い浮かべた鴉の翼を腰から生やし、赤い眼でそちらを見ているだろう。

非日常は非日常を呼ぶのだろうか?
それとも、これすらも、この島の日常の一つだろうか。

水無月 斬鬼丸 > 「うぇ!?」

そう、上。
上になんかいる。いや、いた。
羽の生えた…人、異世界人か?
それとも別のなにか?

いや、それはどうでもいい。
見たところ、この学園の生徒であるようだ。
陽キャとかヤンキーめいたオーラは感じない。
たぶん。

「あー…いや、べつに…なんでもないっす」

カラス >  
「元気ないなって…思ったん、だけど…。
 だい、じょうぶ? 飛び降りたり…しない?」

かけられた声はなんとも臆病だが、
心配するようではあった。

とはいえ、自殺しないか等と問うのはどうかと思うのだが。

陽キャやらヤンキーやらとはどうやら真反対のように、声は響く。


ヘリに座っていた生徒は立ち上がると、その腰に持っていた翼で羽ばたいて、
青年の居る所に降りて来るだろう。

逃げなければ、黒髪に赤眼の、首元に大きな首輪をした…
同い年ぐらいの青年の姿。

水無月 斬鬼丸 > 「あーいや、しねえっす…大丈夫なんで…」

そんなにヤバそうに見えただろうか?
流石に自殺する気はない。
自分にはまだこれからがある。

降りてきた青年は…気弱そうな声に
気弱そうな表情。

「まぁ、その…なんともないんで…」

カラス >  
「そう、良かった……。」

青年は安堵したように、
人間ならば耳の所にある羽根をぴこっと動かした。
片手に持った買い物袋の中に、夕食用なのか野菜やらが見える。

姿かたちは異世界人のように見えても、
振舞いは間違いなくこの世界の住人であり、言葉も、同じ言語を話していて。

「ここに、友達、が、良く来るんだけど……。
 そういうこと、しようと、するから…心配、になって…。」

ヤバそうに見えたというよりは、おそらく、
この青年の交友関係上の印象のようだった。

「あの……1人になりたい…とかだったら、ごめん、ね?」

水無月 斬鬼丸 > 「いえ、べつにそういうんでもないんで…
心配かけてどうも…ありがとうございました」

まぁ、そういうところはあった。
けど、ここは別に自分だけの場所ってわけではない。
オープンスペース(立入禁止)だ。

彼の友達というのは…
うん、あまり遭遇したくはないな。

夕飯の買い物帰りといったかんじの青年。
まぁこちらは大丈夫だと言ったし…視線をそらす。
自分もしばらくしたら帰るだろうけどもうしばらくはたそがれていたい。

カラス >  
視線を逸らされたのに、羽根耳がぴこり。

「えっと、じゃあ……その、邪魔して、ごめんね。
 つもり…なくっても、高いから、気を付けて、ね。」

まぁ、大丈夫というなら大丈夫だろう。
たまに…そうでない場合もあるけれども。

困ったように青年は笑って、腰翼で羽ばたく。
空へその身体を躍らせて、大きな羽音を立てながら。

「……えっと、俺は…カラス。一年生……君は?」

水無月 斬鬼丸 > 「あぁ、邪魔とかじゃないんすけど…
まぁなんていうか…何話していいかわかんないんで…」

突然舞い降りた青年。
自殺と間違えられたが…まぁこちらもそんなつもりはなかった。
それだけのことだった。

正直自分の悩みを赤の他人に打ち明けたところでどうなるわけではない。
むしろ、打ち明けられたら困惑するだろう。
再び空へと戻り、名乗る青年に軽く会釈を返し

「…ぁー…一年の水無月…っす」

やっぱりこう…名前の方を名乗るのは抵抗がある。
実家(研究施設らしい)にはそこのところはちょっとだけ恨みがある。

カラス >  
青年はカラスと名乗った。
黒い姿の色そのままに、濡れ羽色が、夕刻の陽の光で照らされる。

「……うん、その、俺もそう…かな。

 まぁ……水無月、さん。夏だけど、もうすぐ…陽も落ちる、から、
 暗くならないうちに、帰った方が、いいよ。」

じゃあ、気を付けてね、とカラスは声をかけた。
引き留めることが無ければ、彼はそのまま飛んでいくだろう。

水無月 斬鬼丸 > 「そっすね…じゃ、その…
新学期に?」

ひらりと手を振って見送る。
黒い羽…暑くないんだろうか?

飛んでく影をみていると夕日がまた目に入った。
まぶしい。

カラス >  
暑いのかもしれない。
けれどこれが、カラスにとっての普通。
まぁ所謂ところ、慣れっこなのだ。

「学校で、逢うことは、少ないかも…だけど、
 うん……また、ね。」

黒い鳥は空中で控えめに手を振り返した。
その足に、鴉には不釣り合いな緑色の鱗を、鋭い爪を煌めかせて。

そうして、大きな羽音と共に去っていく。

ご案内:「大時計塔」からカラスさんが去りました。
水無月 斬鬼丸 > ……なんで足緑なんだろ…
遠のく影を見ながらふと思った。

まあ、忠告を聞いて帰ろう。
遅れたらそれだけフェイの晩御飯も遅れてしまうし…

ご案内:「大時計塔」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。