2020/08/31 のログ
御白 夕花 >  
それしか選ぶことを許されなかった、というのも間違ってないと思う。
大なり小なり、あの組織に身を置いていたのは崖っぷちに立たされていた人達ばかりだから。
悪いのは『真理』なんてものに縋るしかないほど彼らを追い詰めた環境であって、止められなかった人達じゃない。
ぎこちなく笑う沙羅さんにそれを伝えたかったけれど、うまく言葉にできなくて口ごもる。

「……あの日、私の手を取ってくれた人が言っていました。
 私は"選べなかった"んじゃなくて"生きることを選んだ"んだって。
 ずっと悩んでいました。彼らとは違う道を選んだ以上、何かを成さなくちゃいけないんじゃないかって」

これは『トゥルーバイツ』に拾われるよりずっと前から悩んでいたことだ。
多くの犠牲を払った上に立っている私が、なんとなく生きていていいのかって。

「でも、希ちゃん───あ、えっと……もう一人のお友達に言われたんです。
 いなくなった人達のために残された人間ができるのは、幸せになることだって」

あの時食べたクレープの味を思い出しながら苦笑する。
まだまだ彼らに胸を張って生きていくには足りない……だけど。

「ナナちゃんと出会って、一緒に星の勉強をして……
 もともと他人みたいな気がしなかったんですけど、本当の名前を思い出せた時、まるで自分のことみたいに嬉しかった。
 誰かと喜びを共有できること。きっと、これが"幸せ"ってことなんだと思います。
 その時はじめて、生きていて良かったと思えたから」

ナナちゃんがくれた"ありがとう"を思い出すと、今でも胸が温かくなる。

水無月 沙羅 > 「……あなたは、本当に私によく似ている。
 何かを成さなくちゃ、誰かの役に立たないと、生きて居てはいけない気がする。
 私も、ずっとそんな感情に追われてる。
 今だって、そう。」

多くの命を奪ったその亡骸の上に、自分は立っている。
『不死』という、呪いにも似た力によって、安易に死ぬことだって許されてはいない。
立場が違えば、きっと私も彼女たちと同じように心理に挑もうとしたんだろう。

「希……希? バレッタをつけてる、小さい希ちゃんの事?
 あはは、どこまで。」

どこまで、この少女と自分は似ているのか、思わず苦笑する。
出合った経緯も、交わした言葉も違うのだろうけれど。
妙な縁もあったモノだ。

「居なくなった人たちの為……か。」

幸せになる、その着地点が分からなくなりつつある。
あの人の隣に居ることが幸せだと言い続けてきた。
だけど、それは一方通行ではかなわない。
彼だけに幸せを求めるのは、あの人に重荷を更に背負わせることに等しい。
もっと別の、幸せを見つけないといけないのだろう。

自分が奪った命に対して、出来る事とは、いったい何なのだろう。

「その気持ちは、わかるよ。
 私も、ニーナの名前がわかったって言われたとき。
 彼女に、それは私が星を教えたからだって、言われたとき。
 許されたような気がしたから。
 ここに居てもいいって、言われた気がしたから。
 嬉しいって、思った。」

夕花と自分の思った『嬉しさ』はおそらく別のものだ。
彼女が名前を取り戻せたことは純粋に嬉しかった。
でも、其処に同時に飛来したのは、安心だった。
幸せとは、きっと何かが違う。

御白 夕花 >  
「沙羅さんも……?」

彼女がどんな人生を歩んできたのかは分からないし、詮索するようなこともしたくない。
けれど、似ていると言われれば気になってしまうのは仕方ないと思う。
関わった人達に共通点が多いのも単なる偶然とは思えなかった。
まぁ、狭い島だからって言っちゃえばその通りなんだけど。

「……ナナちゃんに星のことを教えてくれたの、沙羅さんだったんだ。
 それじゃあ、私がナナちゃんと出会えたのも沙羅さんのおかげってことになりますね。
 ありがとうございます、私とあの子を繋いでくれて」

お礼を言って小さく頭を下げた。本当に、人の縁というものは不思議なものだ。
沙羅さんと話したのは今日が初めてなのに、ずっと前からナナちゃんを介して関わりがあったなんて。
顔を上げて、もう一度空を見上げる。

「こうやって誰かと誰かが繋がり合えるのも"幸せ"っていうのかもしれませんね」

星に手は届かなくても、今ここに手を取り合える人達がいる。
それはきっと、とても幸せなことだ。

「その、沙羅さんさえ良ければなんですけど……私達もお友達になりませんか?」

視線を沙羅さんに戻して、遠慮がちに。

水無月 沙羅 > 「私は風紀の人たちに助けられて、今こうして生きて居るから。
 多くの人たちの命の上に、生きている。
 手を赤く染めて。
 あ、いや、あはは。 あったばかりの人に話すような事でもないね。
 ごめん、気にしないで。」

似ているから、つい口を零してしまったんだろう。
この子もまた、同じ悩みを抱えているのだと思うから、心を許してしまったのかもしれない。
唐突にこんなことを言われても困るだけだと、首を振った。

「そんな、私は……。 あの子が、空を見上げているのが目に入って。
 ちょっと、その疑問に答えてあげただけ。
 私の知っている事と、星への願い方をあの子に教えてあげただけ。
 それを輝かせたのは、あの子と、あなた自身だよ。」

私はちょっと、手を差し伸べただけだ。
小さな少女に親切にしたくなっただけ。
そうすべきだと思ったから。

「でも、そうなのかもね。 こうして、誰かと分かり合える。
 言葉と、縁と、願いによってつながって。
 同じ星空の下に居る、そんな奇跡を。
 『日常』を、幸せっていうのかもしれない。」

その幸せを、共に歩みたいと思う人は、余りにも遠い。
私の幸せも、そこに在る。
いつか、彼をあの重力の外に連れていく、全ての重荷から解放して、『日常』へ連れていく。
それが私の幸せへの道。

『本当に?』

そう聞くこえが、どこからか響いた気がして、咄嗟に首を振った。

「私と、友達に……? 私なんかで、良いの?
 その、ほら、私、問題決行起こすし、過激派とか呼ばれちゃってるし。
 たぶん、迷惑とかかけると思うけど……うん。
 それでも、いいのなら。」

苦笑いをして、小首をかしげた。
ニーナとは、互いに助けて助けられた間柄だ。
彼女は信用できるし、彼女も私を信用していてくれていると思う。
でも、御白夕花にできていることは、私が直接何かしたわけじゃない。
その資格があるのだろうか、そう思ってしまう。

御白 夕花 >  
「いいえ、沙羅さんだからいいんです。
 私の手だって汚れてますし、たくさんの命を踏み台にして、色んな人に助けられて今を生きてますし……
 似た者同士の私達なら、きっと仲良くやっていけると思いますよ」

手を差し伸べられて躊躇してしまう辺り本当にそっくりで、つい笑みがこぼれた。
それが『NO』の反応じゃないことは私が一番よく分かってるから、迷ったりしない。
繋いだままの手を、今度は握手の形に変えて───

「改めて、御白 夕花です。
 立場とか関係なく……友達としてよろしくお願いしますね、沙羅さんっ」

人と人が紡ぐ縁は、星と星が紡ぐ星座によく似ている。
精一杯の気持ちを込めた笑顔で、二つの星を線で結んだ。

水無月 沙羅 > 「私だから……いい?
 変わった子だね、夕花ちゃんは。
 でも、うん。 そうだね、似ている私達なら、分かり合えることもきっと沢山ある筈だから。」

笑いながら伸ばされる手に、どこか自分の面影を見る。
あぁ、私もこうやって、理央さんやニーナに手を差し伸べてきたのかもしれない。
躊躇する人たちの中に踏み込んで、掴む手はここにあるよと、叫んで来た。

「私も、改めて。
 風紀委員、水無月 沙羅だよ。
 うん、友達として、よろしくね。 夕花ちゃんっ」

その手を取る。
握って、握手をする。
ここに居ない、頭上にある北極星の名を持つ彼女も入れて。
夏の大三角形のように、三つの点がつながった。

彼女の笑顔につられて、自分も自然と笑えていた。

「ところで、今度はニーナと一緒に逢わない?
 こんど、ちゃんと星のこと教えてあげたいから。」

御白 夕花 >  
「ナナちゃんも一緒に……いいですね!
 実は今日ここに来たのは下見って感じで、次はナナちゃんと二人で来るつもりでしたから」

そこに沙羅さんも加わるのなら願ってもないことだ。
友達同士の約束を交わして、二人で大時計塔を後にする。
満天の星空は、来た時よりも輝いて見えた。

ご案内:「大時計塔」から御白 夕花さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 大時計塔。
高くそびえるその建物に、『跳んで』きた人影が一人。

「よしっと。
 『跳ぶ』のにも慣れてきましたね」

雨見風菜。
『糸』を使って自身を空中に射出することを覚えて、
そうしてこの大時計塔まで登ってくるのも容易くなってきている。

「それにしても、風が気持ち良いですねぇ」

長く黒い髪が、ライムグリーンのワンピースが風に靡く。

雨見風菜 > 「夏休みも今日で終わり。
 毎年思いますが、長いような短いような……学業が面倒に思えて仕方ないですね」

清楚な見た目でとんでもないことを宣う風菜であった。
なお、課題はすべて終わらせている。

「ま、皆さんに明日からの学業頑張れメールも送りましたし。
 私も頑張らないといけませんね」

のほほんと言っているが、そのメールに添付したのはとんでもない代物だ。
雨見風菜を"きちんと"知る者は平常運転と知られているが。

ご案内:「大時計塔」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 下から階段を駆け上がってくる足音が聞こえる。
かなりの速度だ!かなりの速度で登ってくる!……一度勢いよく倒れた音がする!
そして、また駆け上ってくる!

駆け上る音が止んだ後、時計塔の一番上まで現れたのは一人の男。
スーツ姿の男である。

「おっと!先客がいるとは珍しい!いや、珍しいっていうほどでもないな!」

額の汗を首にかけたタオルでぬぐいながらそんな事を言う。

「ゴメンね!邪魔して!!」

雨見風菜 > 駆け上がってくる足跡を聞きつけた次の瞬間、倒れる音。
びっくりして体が軽く跳ねる。
そうして、やってきた男に声をかけられて。

「珍しくは……ないんじゃあないでしょうか。
 そういえばさっき、倒れたような音がしましたが大丈夫ですか?」

そもそもスーツで駆け上がってきたのか、という疑問もあるがそれはあとに回しておこう。

真乃 真 > 立ち入り禁止なのに人がいるのが珍しくないこの常世島…。
まあ、真が知る限りでもこの時計塔から人が落ちて死んだなどという事は無いから許されている部分はあるのだろう。
皆も気を付けて時計塔に登ろう!

「いや!倒れてはないよ!うん!倒れてない!
 だから、特に脛が痛いとかいう事もないし今我慢していることもないよ!」

少し汚れてしまっていた脛の足の辺りを手で払う。
転んで汚れたわけではない!

「……いやあ!それにしてもこの時期になると学生だった頃を思い出してナーバスな気分になるね!
 早いよね!夏休み終わるのって!!」

広がる街並みをみながら言う。
吹く風はそろそろ秋の気配を含んだものになってきている。

……少し自分の脛を撫でる。痛いわけではないが。

雨見風菜 > 「倒れて脛が痛くていま我慢してるんですね、なるほど」

誰もそこまで聞いてないのに自分で言ってる時点で語るに落ちている。
漫画なら大きな汗マークが出ているところだろう。

「あら、そうなんですか。
 まあ、確かに休みが名残惜しくはありますね」

楽しい時間はすぐさま過ぎ去っていく。

「ところで、何故そんなスーツ姿で階段を駆け上がっていたのですか?」

真乃 真 > 「さては名探偵かな!?」

これで名探偵の扱いならば探偵という職業は全て廃業だろう。
あまりに名探偵のレベルが低い。

「……ああ、僕も長い休みが恋しいよ!」

長期の休みなんて用意されていない職種。
学生時代が懐かしい……。

「いや?スーツであることに意味はないよ!
 このスーツはかなりいいスーツだからね!全力で走って、転んでも問題ないというわけさ!」

無駄にかっこいいポーズでスーツを誇る。

汗に、汚れに、傷に、暑さに、寒さに、激しい動きに!ありとあらゆる全てに強い!
魔術と科学のハイブリット!まさに万能!とても強い!!

雨見風菜 > 「いえ、全部あなたが聞いてもいないのに言ったことですから」

なんだろうこの人、色々ピントのずれた愉快な人だな?
そう考えつつ。

「お仕事されている方は大変ですね。
 教師の皆さんも、そして風紀や公安の方々も長い休みは中々ないようですし」

私もきっと働くようになればそうなるんだろうなぁとも思いつつ。
実際の所風菜が考えている医療方面に進めば先ず間違いなく休みはないだろう。

「……そうですか」

スーツを自慢する謎のテンションにちょっと引いている。

真乃 真 > 「……なんかそのセリフも名探偵感あるな?」

ただの事実である。

「公安とか教師の人は知らないけども風紀委員は申請さえだせばしっかり休めるよ!
 夏休みは帰省する人も多いし……まあ、休まない人も多いけどね!」

重要な役職についてる人は休むに休めない。
そういう時に上手く休めるようにするのが良い組織だとは思うけど…上手くはいかない…。

「そうだぜ!……いや、これの話になるとつい夢中になってしまって…。 」

聞いてもいない相手にスーツの性能を説明するのはよくない。
聞かされるのが自分の立場だと考えれば……いや?結構楽しめるな?

「えーと……大変だね!!明日から学校!!」

雨見風菜 > 「なるほど。
 ある知人が出ずっぱりのようだと聞いたのですが、きちんと考えられているのですね」

女装の似合う神代先輩のことを考える。
いや、彼が休暇申請をしていないのかは知らないのだが。

「まあ、学校も楽しいものではありますけれども。
 とはいえやはりお休みのほうが良いのは間違いありません」

真乃 真 > 「多分、結構重要なポジションじゃないのかなその人……。
 今の時期は風紀委員減るから一人に負担がいくのも仕方ないかな…。
 夏休み働いてた委員の人は後から休めるからしっかり休んで欲しいよね!」

しっかりと休める分他が大変になる。
…その後でも休めるのでつり合いはとれる!

「学校があると学校の勉強でどうしても出来ないことがあるからね!
 本当にいい制度だよ夏休み!!」

学生がやりたい事出来るというのは素晴らしい!!
自分も学生時代は……おっと…

雨見風菜 > 「かも知れませんね。
 実際私はその知人の地位とかはさっぱりですし。
 確かにしっかり休んでほしいものではありますが」

何故だろうか、あまり休むような気がしない。
風紀の知人のなかで休みそうな人の率、半分くらいでは?

「まあ、この学園は通常の学校よりも色々と勉強させてもらえますし。
 魔術とか店舗運営とか」

店舗運営に関してはあまり興味はないが。
普通の学校では自分の知る限りそういうことはあまりしていた覚えはない。

真乃 真 > 「どうしても正義感が強い人だとね…無理しちゃうからね。」

学生時代身体を壊す知り合いも少なくなかった。
無理は良くないとは思うが気持ちも凄い分かるので止めることも出来ない。

「良いよね!資格とかも色々取れるし!日本の学校で学べることは全部学べるんじゃないかな??
 僕も学生時代もうちょっとそういうの取っておけばよかっ……いや?今からでも学生になれるのでは?
 入学しなおせば…いける???」

入学しなおす。
恐らくこの学園ではそういう選択肢を取る者も少なくないだろう…。
だが、真には仕事がある…ちょっと難しい……。

もしかしたら働きながら資格をとるカリキュラムなどもあるかもしれないが……。

雨見風菜 > 「ですねぇ……」

果たして童男さんはきちんと休んでいるんだろうか。
彼も結構大概なレベルだったはずだ。

「たしかに日本の学校で学べることは全部学べそうですね。
 入学し直して学ぶ……それも良いんじゃないでしょうか。
 まあ、お仕事があると中々難しそうですが」

あいにくそのへんのことは風菜も知識がない。
社会人から常世学園に入学した知人も居ない。
いや、居るには居るが彼女はある意味で自営業、比較できないかも知れない。

真乃 真 > 「うん!!!厳しいな!!やっぱり出来る事少ない!!」

今の仕事の内容に学業まで増えたらさすがに時間が足りない!
身体が2ついる!!いや、出来る事なら3つくらいあったほうがいい!!

しばらくは堅実に今の仕事を続けることにするしかない!

「いやあ、改めて僕の学生時代は終わったんだなあって思うね!!」

時計塔に上って学生時代の思い出に浸ろうと思ってたら。
時間に追われている事実を突きつけられることになろうとは!

「……長いようで意外と短いよ学生時代は!気が付いたら終わってたとかないようにしなよ!僕は気が付いたら終わってたけど!」