2020/09/03 のログ
ラピス > 「ふふ、嬉しいこと言ってくれますね。楽しみが広がりますよぅ。
 知人友人は、ちょっとずつ増やしていけば良いです。今日みたいに」

先生が増えたでしょう、とにっこり。喫煙者は確かに肩身が狭いから、同志がいるのは良いことだ。
彼女が口実などなくてもいいと言ってくれるなら、へっぽこ教師は当然真に受ける。
そう、社交辞令なんてのは聞かないのだ。押しの塊なのである。

「おや、こうしてのんびりお話してるだけで楽しいですよ?
 うい、面倒なことを始められる、終わらせられる、それは重要な能力です」

彼女の言葉尻から、なんとなく自己評価の低さを感じ取る。
どちらにせよ、教師は褒めて伸ばすタイプだから、べた褒めするのに変わりはない。

「それなら、先生の授業に是非、ですよー。
 ちゃんとお勉強してくれる子は手がかからなくて良いです」

うんうん、と彼女の言葉に頷きながら、己も煙草をプカプカ。
へっぽこ教師の魔術は、精霊魔法と錬金術。先の燐光も火の精霊によるものだ。
きっと彼女と別れたら、火の精霊からのお願いで、お供え物をすることになる。
へっぽこ教師について来る物好き精霊達は、甘いおやつが好きなのだ。

「なるほど。先生も錬金術と精霊魔術がメインなのですけど、ふむむ。
 それじゃ、煙草の調合も、お勉強や魔術のわからない所も、気軽にどうぞです」

何という偶然、というか、偶然の一致率高すぎませんかね、と首を傾げてみせるへっぽこ。
まぁ、そういう数奇な縁もあるだろう。なんて、結局深くは考えない。

彼女の性質、体質については、機会があれば、異能を介して診ることになる。
その時に何を診るかはわからないが、何を診た所で、きっとどうにかなるだろう。
なにせこのへっぽこ教師は、根っからのお人好しでお気楽なのだから。

鞘師華奈 > 「そうですね。私は元々、あまり積極的な方ではなかったので…最近、少しずつ改善しようとは思い始めてます」

正確には、色々あってここ3年間は怠惰で無駄にしていたあれこれを取り戻す為に。
それに、”すき”な人や今は獄中にいる最高の友達の為にも、以前のように停滞した自分で居る訳にはいかないのだ。

と、まぁそんな女の個人的な事情はさて置き。自己評価の低さはある意味で癖みたいなもの。
そういう意味では、彼女のように褒めて伸ばすタイプは相性が案外いいのかもしれない。

「そうですね。最近錬金術の講義も受け始めて、専ら魔術方面に力を入れてるんですが…。
薬学も勿論、覚えておきたいので履修したいと思っていますよ」

節操がない、と言われたらそれまでだが”目的”の為にも一つでも技術や魔術、知識を身に付けておきたい。
気が付けば殆ど吸い終えていた調合煙草を、再び携帯灰皿を取り出して吸殻を放り込みつつ。

「先も言ったように、錬金術は別の先生の講義を履修していて、精霊魔術なんて初級精霊魔術の書物を購入して独学で、ですからね。
ラピスさんとは何か、魔術方面とか色々と重なりそうな気がするけど、その時は色々教えて貰いたいですね」

少なくとも、彼女のほうが魔術などに理解が深いのは間違いないのだから。
さて、新しい交友も出来たし一服も出来た。ふとスマホを取り出して時間を見れば、もういい時間だ。

「ラピスさん、もういい時間なのでそろそろ私は引き上げますがそちらはどうします?
――あと、どうせなら体質を今度見て貰いたいのもありますし、連絡先交換とかどうでしょう?」

と、携帯をヒラヒラと振ってみせる。勿論、ラピス女史がよければ、だけど。
ともあれ、欄干から身を翻して内側に着地しつつ、彼女がまだここに残るなら会釈と共に一足先に立ち去るだろう。
もし、一緒に立ち去るならきっと別れる間際までは雑談に花を咲かせたかもしれない。

ラピス > 「ん、自分を見つめて、より良くなろうとするのは素敵なことです。
 焦ることなく、着実に足元を踏み固めて、一歩ずつ進みましょう!」

改善したい。そんな思いがあるならば、応援するのが教師の仕事。
彼女が歩みたい方向を共に見て、躓いたら必要に応じて手を差し伸べる。
彼女の目標とする場所に少しでも近づけるように、その手伝いができればと思う。
ここで知り合ったのもなにかの縁だ。たっぷりお節介をしよう。そう決めた。

「ん、錬金術と薬学は親和性がありますからね。組み合わせで覚えると良いかも。
 魔術方面は先生も詳しくはないですが、それでも力になれるときはあるかもです。
 ですから、先生には遠慮せず、積極的に頼ると良いですよ。その方が、嬉しいですし」

知識や経験は、その人の武器だ。どんな知識が役に立つかなんてわからない。
どんな経験が後で生きるかもわからない。だから、貪欲に何でもすればいい。
案外、くだらないと思っていた娯楽本の中身で助かったりすることもあるのだ。
失敗も、何もしない時間も、その全てが糧になる。それがへっぽこ教師の持論だ。

「ん、先生は錬金術はしっかり教えられる程ではないですからね。
 それに、錬金術というカテゴリの中でも色んな種類があると思いますし。
 ――まぁ、気長に学ぶのが良いです。手助けは、いつでもしますからね!」

一応、教師としての一日の長はあるかもしれないが、ちゃんと学び直そうかな、なんて。
やっぱり、生徒には尊敬の眼差しで見られたいし、ドヤ顔したいし、頼られたいのだ。
そうこうしている内に、教師が吸う一本も無くなる。吸い殻は、いつも通り分解して。

「ん、そういうことなら、先生も一緒に降りましょう。他には誰も居ないようですし。
 見回りは無事終わったということで――っとと、えぇ、喜んで、ですよー!」

仲良しさんの連絡先が増えたー、などと、へっぽこ教師もご満悦。
こうして、新しい喫煙仲間を得たへっぽこ教師は、意気揚々と一緒になって歩き出す。
彼女と別れるまでは、ゆったり雑談に勤しんで、気分良くお別れしたのだとか――。

ご案内:「大時計塔」からラピスさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から鞘師華奈さんが去りました。