2020/09/24 のログ
ご案内:「大時計塔」にニーナさんが現れました。
■ニーナ > カン、カン、と階段をのぼる音。
良くないことではあるのだが、もう慣れたもので、テンポ良く上がっていく。
やがて島を見渡せるテラス部分の扉を開ければ、すこし肌寒いぐらいの気温だ。
といっても、ニーナは獣化の特性によって、寒さには強い。
強いのだが……体毛が無い分熱が逃げていき、消耗も激しくなる。
どちらにせよ長居は難しい、ということになる。
今日の目的も勿論星見だ。
■ニーナ > 落下防止の坂に軽く体重を預け、空を見上げる。
一等星は、デネブ、アルタイル、ベガの3つはまだ見える。
それから、フォーマルハウト、そしてカペラが辛うじて。
一等星しか覚えていないから、全然わかる星がない。
二等星も覚えていくべきなのだな、と思った。
やはり学校に行くべきなのだろう。
保護者にはまだ、言い出せていない。
■ニーナ > 帽子をかぶり直し、見つめるはポラリス。
あの星のことを考えながら手を伸ばすと、意識が途切れるのを自覚している。
恐らく、私以外の自分が動いているのだろう。
朝になるともとに戻れるから、別に心配はしていないのだが……。
私のことを、何処まで知っているのだろうか。
私の過去を、どれだけ覚えているのだろうか。
自分の胸に問いかけても、特に答えは出ない。
ご案内:「大時計塔」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
■紫陽花 剱菊 >
夜長の帳が落ちるようになった此の季節。
やや肌寒い秋風の気配が少女の肌を撫でる夜空。
白露の季節の待宵の夜空、瞬く星空を一瞬陰る影一つ。
其れは流星では無く、人成れば少女の隣に静かに落ちた。
膝を付き、其の場に居座る男の姿は紛れもなく紫陽花 剱菊其の人。
「……失礼、姿が見えた故に馳せ参じた。
未だ、斯様な場所で星を見ているのだな。なな」
黒糸が涼風に揺れる。音もなく立ち上がり
静かに見開かれた水底のような黒が、ニーナを見下ろした。
「……どうも。今宵は如何なる輝きを見ておられたのかな?」
口元に二本指を立て、会釈。
■ニーナ > 「こんばんは、こんぎく」
現れた男に驚いた様子もなく、そちらに向けば小さくお辞儀をする。
それから星空に視線を戻して。
「ここが、一番、綺麗に、みえる、から」
代わりになる場所は知らない。
遠くに見える山なんかはそうなんだろうか、とも思ったりはするが。
ただ、山を含めてその辺りに殆ど明かりらしい明かりががないため、
自分はそこには行けないことまで分かっている。
■紫陽花 剱菊 >
「……左様か。私も小言を言う程嫌味では無い。程々にな……」
警備がいないとは言え立ち入り禁止区。
立場を考えれば注意するべきだが
彼女の事情を省みれば、贔屓では在るが必要以上に言問う程では無い。
……"もう一人の彼女"への同情心か。褒められたものではなかろうと
己の仕事では無い。其れは、知った事ではない。
「然れど、天が下でも、千尋の瞬きは良く見える。悪くは無い……」
見上げる夜空。今宵は黒雲無く、よく見える。
「思えば、斯様に風情に浸る事も私は知らなかったな。
いわんや故郷を省みれば、星の瞬きさえ気にする暇も無いが……」
「今宵も"あれ"の輝きは見えて、安堵している」
水底から見上げるは、いとどに輝く北の星。ポラリス。
■ニーナ > 「うん。最近は、減らしてる」
含められた意味も察する。こちらに来て2月半。語彙も増えてきた。
とはいえ、相変わらず夜に公園に行くのは毎日なのだが。晴れていれば。
「うん、知ってる星、あまりない、けど」
一等星以外で知っているとすれば。
「うん……ポラリスは、いつでも見える。
スピカみたいに、見えなくなったり、しない」
星を映す瞳が、とらえているのは北極星。
■紫陽花 剱菊 >
「其れは重畳。時に、舅殿は、なんと申している?
事の次いで、とは言わぬが……舅殿とは、相違無いか?」
そも、夜中に少女一人で出歩く事自体感心出来る事ではあるまい。
なまじ、半端な縁では無い故に、彼女には相応に気に掛けている。
余り他所様の家庭事情等聞くのは憚られるべき事だが、彼女の近況も聞いておきたい所だった。
「否、私からすれば如何許りも同じに見える。
仄見える瞬きも、あの北星以外は違いも分からぬ。
然るに、誉では在ろう。僅かで在れど、誇るべきだ」
戦ばかりの知恵ばかり。斯様赴きを理解しても
其の知識は如何程にも無い。例え其れが僅かにと言えど
知るべき事を知っていれば、誇るべきであろう。
豪いぞ、付け加えてそっと手を伸ばした。
相変わらず冷たい手が、そっと頭を撫でようとする。
そろそろ季節的には、気になる体温か。
「……ぽ↑ら↓り↓す→……あれか……。
す↓ぴ↑か→とは、如何様な星であろうか?」
■ニーナ > 「しゅうと?しゅうと……。
ゆーりは、仕方ないって。……公園に、いることに、なってるけど」
つまり、此処に来ていることは言っていないということだ。
流石に止められると思っているらしい。少女の小さな秘密である。
「わたしが、覚えてるの。
一等星っていう、この空で、もっとも?明るい……21個の、星」
撫でられれば体を揺する。
帽子があるのもあって、冷たさは気にならない。
「ポラリスは、一等星じゃない、けど。スピカは、春?に見える、一等星」
名前と、その意味しか知らない。
星座についての知識は、その背景を理解できるほどの前提になる知識が不足している。
■紫陽花 剱菊 >
「……血縁無き者……と言う意味だ」
即ち、義理の親。
やはり己の言語は幾何か此の島では難しいようだ。
「仲違えと無ければ、重畳。然れど、確かに言えぬな。此処は……。
事情は汲む。が、些細な事やも知れぬが、胸襟を開けば、舅殿も理解はしよう」
少なくとも彼女を引き取るような人物であり
今迄きっと、相応に可愛がっているような人物だ。
確かに本来、立ち入らせるべき場所では無い。
だが、其れよりも其の些細な秘密が綻びになる事を剱菊は良しとしない。
本当に些事やもしれないが、事は正直に話すべきだ。杞憂なら、其れで良い。
「……ふむ……」
見た目、年相応の知識と言えばそうだろう。
幾何かちぐはぐとした違和感は覚える。
其れだけでも十分な誉では在るが……。
「是学びの地では在るが、ななは入学等は、まだしておられぬ、と?」
これ幸い学び舎はそこにある。
おまけに人種も年齢も関係無く、其の門戸は広い。
寧ろ、今の彼女に打って付けとは思われるが……。
「……舅殿と、何か?」
杞憂も相まって、妙に疑ってしまう。