2020/09/27 のログ
ご案内:「大時計塔」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > 「寒い……」

非番の夜、時計塔の上。
ここに警邏以外でやってくるのは二回目だ。
前に来た時よりも間違いなく風が冷たい。

「もう暑い夜なんて言うのは来ないんでしょうね」

あとは気温が下がる一方で、このまま冬に向かうのだろう。
地上よりも少し強い風が、時折冬の匂いを運んでくるのがわかる>

ご案内:「大時計塔」に刀々斬 鈴音さんが現れました。
刀々斬 鈴音 > 鈴音が表で普通の学生の真似をし始めてから一週間が経過した。
人を斬らない事は何とか我慢できていたが表にはどうも刺激が少ない。

そこで思いついたのがこの時計塔に登る事。
落第街からも見えていたこの塔。

どんな景色が見えるのだろうと……登ってきたら……。

「やっぱり高いね!ちーちゃん。これだけ登ったら家の方まで見えるか……あっ……。」

……主人の主人である風紀委員がそこにいた。
鈴音はあまり彼女が好きではない……。

それが今も表情に現れている。

日下 葵 > 適当な場所に座り込んで、ポケットからクシャクシャになった煙草を取り出す。
一本取り出して火をつけようと、煙草の先端を手で覆ったとき、
背後から階段を上る音が聞こえた。

「おや、貴女は確かフレイヤの……」

風紀委員が来たらなんて言い訳しようかな、
なんて考えていたが、現れたのはいつか路地裏であった少女。
フレイヤの”ペット”だったか。
名前は確か――いや、覚えていなかった。

「奇遇ですね、貴女も景色を楽しみに来たとか、そんな感じですか?」

ここに来る人間は大抵、景色を見に来るのだとか。
彼女もそうなのだろうかと気になって、
露骨に嫌な顔を浮かべる彼女に質問してみる>

刀々斬 鈴音 > 「ん、そうだよ。ご主人様のペットの鈴音だよ。」

ペットのペット。
人間関係で言えばまず他に見ない人間関係。
だが、自分の主人の主人だからと特に下手には出ない。

「あんまり嬉しくない奇遇だけど……。
 ……表の方見たことなかったから折角だから色んなとこ見えるここに来ようと思って……。」

表、落第街以外の場所。日の当たる場所。
鈴音は本来裏にいるべきなのだ今は言い訳しながら表にいるだけで…。

「あなたは風紀委員でしょ?サボってるの?
 それともここから犯罪してる人探してるの?」

見えるはずもないだろう……

日下 葵 > 「ああ、思い出しました。刀々斬さん、刀々斬鈴音さんですね」

鈴音、という名前を聞いて思い出した。
人をペットにしたり、人のペットになったり。
フレイヤもなかなか妙な趣味を持っているなぁと改めて思う。

「それはまた随分な言われ様です」

嬉しくない奇遇といわれると苦笑いしてしまう。
これは完全に目の敵だなぁと。
別にフレイヤを独占しているつもりはないが、
でもきっと、何か理屈じゃないものがあるのだろうか。

「私は……風にあたろうと思いまして。
 今日は非番ですので」

犯罪者を探しているのか、と聞かれると首を横に振って煙草に火をつけた>

刀々斬 鈴音 > 「鈴音はあなたの名前は知らないけどね……忘れちゃった。」

そう言うが本当は知っている。
マモルだ、マモル…何回も聞いたことがある。

「鈴音あなたの事、好きじゃないから。」

そう真っ直ぐに伝える鈴音が彼女の事を嫌っている理由は主に三つ。

1つ目、これは嫉妬だ。そちらに向かっている時に主人に構ってもらえない事に対する不満。
2つ目、これも嫉妬。主人が彼女にもらったチョーカーを触りながらする表情。それに対する嫉妬。
3つ目、幾ら主人が傷つかない身体を持っていてお互いに同意の上であったとしても……主人にとっていい事だとは思えない……。

……つまり、鈴音は完全に一方的に嫌っている。
理不尽なやつあたりに近い……。

「いっぱいいて休みもあるんだね風紀委員…。
 落第街の方で見る人の種類少ないからそんなにいないと思ってたよ。」

わざわざ落第街を歩く風紀委員はかなり少ない。
実力があるものでなければそんな場所を歩く事はないだろう。

日下 葵 > 「そうですか。一応、もう一度自己紹介をしてもいいのですが、
 嫌っている人に自己紹介をするというのもなかなか嫌味でしょう。

 ――でも自己紹介しちゃいます。
 私は日下葵。”あおい”と書いて”まもる”です」

嫌味だとわかっていて、あえて自己紹介をする。
この漢字の読みと書きを伴う自己紹介も、
寝ながら言えるほどに板についている。

「そうですね、人数は多いですよ。
 治安維持のための組織ですから、予備の人員は少なくないです。
 とはいえ、落第街を見回ることのできる風紀委員は、
 単機での火力が十分な人に限られますが」

風紀委員はあの辺の住人から多かれ少なかれヘイトを集めている。
下手に一人で警邏なんてしようものならリンチにされてもおかしくない。

「ところで、鈴音さんはどうして私を嫌っているんです?」

そんな問いを投げかける。
大方、理由は予想がつくが、そのうえで聞くのは性格の悪さが由来だろう>

刀々斬 鈴音 > 「……知ってる!知ってるってば!もー!しなくていいー!いいからー!」

葵と書いてのくだりは知らないけども……。
結局、自己紹介されてしまった……。
葵って書いてマモルってのも教えられてしまった……。

「……鉄火の支配者とか?でも、確か入院してるんでしょう?」

鈴音でも知っている、単機で落第街を更地に出来るくらいの戦力。
ただし……情報が遅い。

「……フレイヤ様がアナタの話ばっかりするから。」

実際は全然そんな事はない。
他の会話の割合の方が圧倒的に多いし鈴音との間でそんな話になった事など殆どと言っていいほどない。
それでも、その時の表情が、態度が、優しそうな言葉が鈴音を嫉妬させるのには十分であった。