2020/10/08 のログ
ご案内:「大時計塔」に鞘師華奈さんが現れました。
■鞘師華奈 > ”作戦”前日の夜――既に諸々の準備はコンビを組む相棒と済ませている。
不確定要素は幾つかあるが、上手く”嵌まれば”討伐に然程の労力は要らないだろう。
それでも、常に最悪を想定しておかなければならない…そもそも久々の鉄火場だ。
「……ブランクは約3年ちょい…さて、鈍ってないといいんだけどね。」
時計塔の最上階、欄干に体を預けながら煙草を蒸かす。この時間帯は人気も少ないのでこっそり一服には都合が良い。
何時もの黒いスーツ姿…最近は私服もちょくちょく着るようになったが、未だに慣れない。
(…冬服とかもそろそろ考えないといけないんだろうけど…私はセンスが無いからなぁ)
買いに行くにしても一人だと失敗しそうでどうにも足を運ぶ気にならない。
傍観者から少しずつ脱却しつつはあるものの、怠惰や変な所で及び腰なのは未だに抜け切らない。
――まだまだ、これじゃ最高の友達や相棒に申し訳が立たない。頑張らないと。
「…と、変に張り切ると空回りしそうだから程々に、かな…」
紫煙を燻らせつつ、他愛も無い独り言を漏らす――少し気が昂ぶっているのかもしれない。
ご案内:「大時計塔」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 夜の空に七色の尾をたなびかせながら、へっぽこ教師は魔導杖のテスト飛行中だった。
へっぽこ教師の魔力を吸い上げ、七つの宝石で推進力に変換し、前へ上へと突き進む。
どことなくロケットのような直線的飛行。それはさながら流星だった。
「これっ、勢い強すぎませんかね――わぷっ、クロは落ちたら探しませんよ。
――っとと、そろそろ休憩しましょうかねぇ。時計塔とか良さげかしら?」
ぱしゅぅぅん、と澄んだ魔力の開放音。速度は道を走る自動車程度。
吹きすさぶ筈の風を風精の力でかき分けて、頭上の猫がじゃれてくるのを押し上げて。
虹の流星はそのまま、放たれた矢を想起する軌道で、大時計塔へと近寄っていく。
「ほいっと、到着ー……!」
放物線を描くように、へっぽこ教師は大時計塔の天辺にすたんと着地。
速度が乗っていても、しっかり制動できるかもしっかり確認。結果は上々だ。
そんなこんなで、勢いよくすっ飛んできたへっぽこ教師は、満足気。
それ故、先客を見つけるのが少し遅れてしまいつつも、気づいたならば。
「おおう、こんばんは、ですよー」
ぺこんとご挨拶。煙草友達の紫煙に、微笑みを向けた。
■鞘師華奈 > 「……?…あれは――」
紫煙を燻らせながら、何となく夜空を見上げていた視界の中…七色の光が目に留まる。
まるでロケットの推進の如くの直線軌道。まるで流星の如し…なのだが。
聞きなれない、何かの音が耳朶に響く…ただ、初級とはいえ精霊魔術を修めつつある自分には感じ取れる。
(…魔力の流れ…破裂?いや、開放したのか?)
七光の流星がこちらに迫り来れば、流石に欄干に凭れていた身を離して様子見。
一応、何時でも動けるようにはしているが不思議と敵意やら何やらは感じない。
いや、むしろこの魔力の波長みたいなものは何処か覚えがあるような気がして。
「――ああ、何だラピスさんじゃないか。久しぶり…というか相変わらずお元気のようで」
以前一度出会った、教師の一員にして貴重な喫煙仲間の一人でもある少女。
彼女が少々遅れてこちらに気付けば、やぁ、とばかりに緩く右手を挙げて挨拶を。
「ああ、こんばんわ――また中々派手な登場をするねラピスさんは」
流石に何をやっていたのかはあまり理解できていないが、魔力の流れを感知した限りでは大まかには予想は付く。
ただ、以前と違ってその頭上には黒猫が一匹。目が合えばそちらにも薄く微笑み掛けて。
「――ちなみに、その頭の上の黒猫はラピスさんの?」
■ラピス > へっぽこ教師的にもなかなか得難い、一緒に煙草を楽しむ仲間。
仲良しさんは結構煙草吸わなかったりする人が多いから、とっても貴重な縁である。
緩く挙げられる手に、にこやか笑顔を浮かべつつ、へっぽこ教師も白衣のポケットに手を入れて。
「お久しぶりですよー。華奈ちゃんこそ、お元気です?急に涼しくなりましたけど。
ん?あぁ、魔導杖の試作品が完成したので、ちょっとテスト飛行をしてたのですよー」
以前は階段を一々登っていたが、今回は魔法の杖に腰掛けて、空を飛んでの登場だ。
彼女の言う通り、虹の光とともに現れるのは、傍から見ても中々のインパクトだろう。
へっぽこ教師の作った杖――白銀のほっそりしたシルエットに七色の宝石をあしらったそれを抱える。
そんな教師の頭上では、黒のこにゃんこがなぅー、と鳴いて、虹の名残に前足を伸ばしていた。
「おっと、それじゃこの子の紹介もしましょう。クロって言います。
先日、友人が拾ったのを一匹譲り受けまして、仲良し家族になったのです」
なぅ。頭上のこにゃんこは、仲良しと言われてご満悦。至極満足そうに、一つ鳴いてみせる。
それに加えて、目の前の彼女の視線を受けると、あざとく小首をかしげてみせた。
猫が頭上で動くのをそのままに、へっぽこ教師は白衣のポケットから飴色の筒を取り出して。
「それじゃ、先生も一服、ご一緒させてもらいましょうか。
――ちなみに、華奈ちゃんはどうしてここに?こっそり煙草吸いに来た感じです?」
先生の中には、厳しい方も居るものねー、とへっぽこ教師はくすくす笑う。
本来ならば、お前も取り締まる側だぞ。そんなツッコミを入れる存在は、残念ながら居ない。
■鞘師華奈 > あまり教師と縁が無い少女ではあるが、そんな中で彼女はほぼ唯一と言って良い相手である。
勿論、単純に喫煙仲間というのもかなり大きいのだけれど…。
「ああ、もうすっかり秋を感じるようになったね。…魔導杖?試作品?」
魔女の箒を何となくイメージしてしまうが、彼女が持つのは白銀のほっそりしたシルエットの杖だ。
七色の宝石があしらわれており、中々に見た目は豪勢というか目立つ。
その頭上、黒の子猫が虹の名残に前足を伸ばす様子を微笑ましそうに眺めながら。
「クロか…譲り受けたって事は捨て猫だったのかな?それに複数居たみたいな口ぶりだけど」
頭上の黒猫と少女教師を交互に眺める…仲が良さそうで何よりだ。相性が良いのかも知れない。
と、あざとくこちらの視線に小首を傾げる黒猫をじーっと見詰める。
(か、可愛い――…こほん)
咳払いで誤魔化すついでに紫煙を吐き出しつつ。あまりこういう感情は出さないようにしているが。
流石に隠し切れなかったのか、やや挙動不審になってしまったかもしれない。
「え?…ああ、私かい?ちょっと明日大きな仕事があってね。その前に気分転換も兼ねて一服、といった所かな。」
流石に、公安委員会の仕事の内容を教師で喫煙仲間とはいえおいそれと話すほど口は軽くない。
あと、ラピスさんも本来は私を取り締まる側なんだけどなぁ、とは口には出さない。
「――そういえばラピスさん、前に会った時にも少し話した気がするけど、私の魔力体質を見て貰う事は出来るかい?
…あ、勿論今すぐにって訳じゃなくて今度時間がある時とかでもいいんだけどさ?」
彼女には、煙草を作って貰う約束していて、そちらも楽しみだが…こちらも重要なのだ。
矢張りどんな魔力の質でどういう魔術に適性が高いのか、は把握しておきたいもの。
■ラピス > はむ、と一本、自作の巻き煙草を咥えて、先っぽに火を灯す。
ぽつんと赤い光が一つ増えて、煙草をふかす度にそれは僅かに明るくなる。
紫煙を吸い込み、吐き出す。それだけで体内の魔力が穏やかに湧き上がった。
「えぇ、風邪とかひきやすい季節ですからね。急な寒さには用心しないとですよー。
うぃ、これが先生の自作魔導杖。魔法の道具の一種で、先生をパワーアップするのです」
現状はへっぽこ教師専用のチューンナップで、先端の宝石も精霊から直輸入の一点物だ。
しかし、若干グレードが下がっても、量産品を作れればとへっぽこ教師は思案中だったりする。
精霊との対話を、力を、友好を求める人の一助になる。そんなアイテムにするのが理想だ。
閑話休題。頭上のこにゃんこは、虹の光を追ってへっぽこ教師の頭からずり落ちて――。
「……これ、クロ。また前が見えねーですよ。戻るが良いです」
へっぽこ教師の顔まで垂れて止まり、再びよじよじと頭上に戻っていく。
何故か下まで転げ落ちない不思議ムーブを見せるこにゃんこは、素知らぬ顔でなぅ、と鳴いた。
「なるほど。大きな仕事ですか――それは、先生も応援しなきゃですねぇ。
華奈ちゃんは大事な煙草仲間ですから、上手くいく様に祈っといてあげましょう!」
へっぽこ教師は、あいにく鉄火場との縁はなく、するとしても学園からの後方支援か。
いわゆる、怪我人が運び込まれた時に治療を施す衛生兵、というのが関の山だろう。
いずれにせよ、彼女の言う大きな仕事の中身は知らない。ただ、友の成功は祈るのが吉だ。
「うや、そう言えば、そんなお約束してましたね。勿論、良いですよー。
これでも一応、鑑定眼には自信がありますから、華奈ちゃんの都合に合わせますよ?」
彼女の言葉に、こくと頷くへっぽこ教師。診てと言われれば診る。断る理由も特にないのだ。
なお、彼女向けの煙草は、彼女の好みをリサーチしてから作るつもりで、まだ未着手だったりする。
■鞘師華奈 > 矢張り、彼女お手製の煙草はこちらの魔力の波長と合うのか、煙草の匂いだけでなくこちらも僅かにだが体内の魔力が仄かに活性化する気がして。
あくまでそんな気がするだけ、という不確かで曖昧なもので実際はどうかは分からないけれど。
「ただの魔法の杖――ではなさそうだね。パワーアップという事は…。
うーん、ラピスさんの魔力の増幅(ブースト)、あるいは魔術行使の補助デバイスも兼ねてるのかな?」
魔術に関してはまだまだ素人小娘だが、それなりに地道に勉強はしている。
今は錬金術と精霊魔術に重点を置いているが、どうせなら色々と今後も覚えたいものである。
しかし、もし魔導杖の量産型が出来るならば、自分も試しに使ってみたいものである。
もっとも、精霊との対話はまだまだ初級をやっと修めつつある段階なので少女にはまだまだ先は長いが。
と、頭上の黒猫が彼女の頭からずり落ち――あ、顔の前で止まった。何食わぬ顔でよじ登って頭上ポジションにまた落ち着く。
――矢張り可愛い。だけど頑張って口には出さない。出さないったら出さない。
「ああ、それは有り難いね――まぁ、無事に終わるように祈ってくれると助かるよ。」
祈りというものはあまり好きじゃない。願いは祈るのではなく叶えるものだから。
ただ、喫煙仲間――いや、友人と言っても失礼でないのなら、友の祈りは有り難いと切に思うのだ。
「そうだねぇ、取り敢えず明日の仕事とか諸々を片付けて来週くらいかな?
確か連絡先は交換してた筈だし、私の方からラピスさんに連絡するよ。」
魔力体質の鑑定――早く把握しておきたいが、矢張り仕事などをきっちり片付けてからだ。
ちなみに、こちらの好みの煙草のあれこれをまだ彼女に伝えてなかった気がする。
「あ、例の煙草作りだけど私の好みとか教えておいた方がいいかな?
――何時も吸ってるのもそうだけど、フレーバー系が比較的好みかな。
といっても、メンソールとかはあまり吸わないけど。スースーするのがいまいち合わなくて。
好みの香りは――うーん、フルーツとかよりスパイス系のぐっと来る感じが好きかも」
と、大まかにであるがこちらの好みを彼女に伝えておくとしよう。参考になればいいのだが。