2020/11/04 のログ
ご案内:「大時計塔」にレオさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
レオ >  
「わ……大きいな」

紅葉狩りの季節。
真っ赤に染まった紅葉を、想い人と共に眺めながらふと誘われてある場所までやってきた。
学園地区の一角にあるそこは、学園中枢にしては人の通りが少なく、紅葉によって美しい紅の絨毯が作られていた。

そしてその中央に聳え立つ、巨大な時計塔。
外面には階段が備え付けられ、一応立ち入り禁止の札が置いてあるが、監視カメラの類はなく上に上る事は容易そうだ。

「…大きな時計塔があるなとは思っていましたけど、近くはこんな風になっていたんですね……
 どうして、ここに?」

すこし疑問に思い、ふと共に歩く少女に問いかけた。
確かに紅葉狩りには最適な場所。
人も少なく、木々の擦れる音が心地よい。
こんな所をよく知っていたなぁ、なんて想いもするけど。

神樹椎苗 >  
「別に、特別な理由はねーですよ。
 ただ、ここから見る景色はそれなりですからね」

 立ち入り禁止と書いてあるにも関わらず、勝手知ったる様子で敷地へと入ってしまう。
 メンテナンス用の長い長い階段が、外壁を上まで続いている。
 普段は塔内の階段を使うが、今日は色づく木々を見るのも目的なのだ。

「仮にも風紀委員の前で入り込むのも、どうかと思いますが。
 まあ、今日くらいは見逃してください」

 と、冗談めかして微笑みながら、足取りも軽く昇り始めるだろう。
 

レオ >  
「と…入るんですか?
 それは……構いませんけど」

入っていいものなのか…と思いつつ、彼女についてゆく。
背が40㎝も違うから、歩幅の差ですぐに追いつくが。
静かに、彼女と共に階段を上ってゆくだろう。
ゆるやかに塔の表面を回るようにつけられた、階段を……

「結構高いですけど…大丈夫ですか?
 風にあおられないように気を付けてくださいね。

 …紅葉、か」

すこし、階段を上りながら横の紅葉を眺める。
紅葉……
最後にちゃんと見たのは、何時だったろうか。
何故か…ずっと昔の事のように思える。

もう居ない人と見た、懐かしい思い出。

神樹椎苗 >  
「ここまで来て入らねーでどうするんですか?
 大丈夫です、ここには慣れてますからね」

 そう言いながら、慣れた様子で危なげなく階段を昇っていく。
 とは言え、時折強い風にあおられるとふらつくので、見てる側からすると少し危なっかしいだろうか。

「こうしてみると、たしかに紅葉ってのは綺麗に見えるもんですね。
 季節が移り変わるのが、目で見えるのはおもしれ―です」

 そう、視線を外に向けながらトントントン、と調子よく階段を昇っていく。
 

レオ >  
「わ、っと…!」

ふらつくのを見れば慌てて支えようとして。
体幹がしっかりしているので、こちらはそんな不安定さは感じられない。

「本当に気をつけてくださいね……

 そうですね、どんどん変わっていって…
 まだ僕が来た頃はまだ夏が去り切ってもいなかったのに、いつの間にか肌寒くなってきて…
 もう…2か月くらい経つんですね、僕が島に来てから。
 早いなぁ…」

もう、2か月。
長かったようで短くて。
それだけの時間が、既に経って。

「…2か月か」

それだけ……
その続きを、すぐに考えないようにした。

神樹椎苗 >  
「ん、感心ですね。
 なら、恋人らしくしっかりエスコートしてください」

 身体を支えられれば、そのまま青年の腕を掴んで支えてもらう。
 しっかりとした体幹は、椎苗がもたれてもびくともしない。
 こういうところに、少し頼もしさを感じてしまう。

「それだけ色々あったという事です。
 密度が、充実した日々を過ごしていれば、時間はあっという間です。
 ええ、あっという間に過ぎていくのですよ」

 青年の手へ指を絡めるように握りながら、小さな歩幅で一段ずつ昇っていく。
 周囲の景色は少しずつ、低くなっていった。

「それだけ、お前の日々が彩りのあるものになって、嬉しいですよ。
 これからはしっかり、一日過ぎる度に時間が惜しいと思えるようにしてやりますからね」

 そう、左手でしっかり青年と繋がりながら。
 

レオ >  
「……既に沢山思ってますよ」

握られた手を、握り返して。
彼女を支えながら進んでゆく。
低くなってゆく街の景色は…明確に”進む”という事を突き付けるようで。
紅い大地から、遠のいてゆく。

それでも消えは、しない。
どれだけ遠くにいっても、どれだけ高くへいっても。
その下を…
自分が進んできた軌跡を、見る事があるのだろう。

そこにある事を忘れは、しないのだろう。

歩幅を合わせながら、階段を上ってゆく。
きっと彼女の時の進み方は、この歩幅のように自分とは違うのだろう。
時を重ね、成長すると共に……少しずつ歩幅は大きくなって、生きる時間が速くなる。
彼女が今進む歩みは、まだ一つ一つが小さくて。
こつこつ、大事に進んでいるのだろうか。

僕らの歩幅は、同じじゃない。
でも一緒に居るときだけ…確かに同じ歩幅で進んでる。
それが誰かと共にいるのかな、なんて。
そう思いながら。

「…でも、僕だけっていうのはなんだか嫌だな。
 椎苗さんはどうですか? 最近…あっという間に思えます?」

くすりと笑って、問いかける。
不安も憂いも沢山あるから、今のうちに。

神樹椎苗 >  
「そうですね、比較的早いように感じます。
 以前は一人で、退屈な時間を過ごしていましたが。
 いつの間にか、やる事が増えて慌ただしくなっちまいました」

 くすり、と笑いながら。
 過ごす時間の違いもまた、楽しく思っていた。

「ああ、そういえば」

 歩みを進めながら、思い出したと言うように。

「知人が、お前を紹介しろと言ってましてね。
 連絡先を教えてやりますから、そのうち会ってやってください。
 どうもお前に興味があるみたいでしたね」

 などと、話しだした。
 

レオ >  
「…そっか」

少し安心したような、罪悪感のような感情。

自分と同じように、大事に想ってくれる事。
それをもっと長く噛み締めていたい事。
彼女の時を早めてしまった事。
今の時間を‥ずっとは続けられない事。

「……そっか」

いろんな感情を抱きながら、階段を上ってゆく。

「知人…友達ですか?
 僕に興味って、うーん…興味持たれるような事あったかなぁ‥‥‥

 でも、分かりました。
 その友達というのは?」

どんな人なんです?と言いながら登ってゆけば、次第に頂上が見え始め。
登る階段の終わりが近づいてくるだろう。

時計塔の頂上、普通なら入らない場所。
しかしその景色の良さから、ここに来る人は少なからずいる、という。