2020/11/04 のログ
ご案内:「大時計塔」にレオさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
■レオ >
「わ……大きいな」
紅葉狩りの季節。
真っ赤に染まった紅葉を、想い人と共に眺めながらふと誘われてある場所までやってきた。
学園地区の一角にあるそこは、学園中枢にしては人の通りが少なく、紅葉によって美しい紅の絨毯が作られていた。
そしてその中央に聳え立つ、巨大な時計塔。
外面には階段が備え付けられ、一応立ち入り禁止の札が置いてあるが、監視カメラの類はなく上に上る事は容易そうだ。
「…大きな時計塔があるなとは思っていましたけど、近くはこんな風になっていたんですね……
どうして、ここに?」
すこし疑問に思い、ふと共に歩く少女に問いかけた。
確かに紅葉狩りには最適な場所。
人も少なく、木々の擦れる音が心地よい。
こんな所をよく知っていたなぁ、なんて想いもするけど。
■神樹椎苗 >
「別に、特別な理由はねーですよ。
ただ、ここから見る景色はそれなりですからね」
立ち入り禁止と書いてあるにも関わらず、勝手知ったる様子で敷地へと入ってしまう。
メンテナンス用の長い長い階段が、外壁を上まで続いている。
普段は塔内の階段を使うが、今日は色づく木々を見るのも目的なのだ。
「仮にも風紀委員の前で入り込むのも、どうかと思いますが。
まあ、今日くらいは見逃してください」
と、冗談めかして微笑みながら、足取りも軽く昇り始めるだろう。
■レオ >
「と…入るんですか?
それは……構いませんけど」
入っていいものなのか…と思いつつ、彼女についてゆく。
背が40㎝も違うから、歩幅の差ですぐに追いつくが。
静かに、彼女と共に階段を上ってゆくだろう。
ゆるやかに塔の表面を回るようにつけられた、階段を……
「結構高いですけど…大丈夫ですか?
風にあおられないように気を付けてくださいね。
…紅葉、か」
すこし、階段を上りながら横の紅葉を眺める。
紅葉……
最後にちゃんと見たのは、何時だったろうか。
何故か…ずっと昔の事のように思える。
もう居ない人と見た、懐かしい思い出。
■神樹椎苗 >
「ここまで来て入らねーでどうするんですか?
大丈夫です、ここには慣れてますからね」
そう言いながら、慣れた様子で危なげなく階段を昇っていく。
とは言え、時折強い風にあおられるとふらつくので、見てる側からすると少し危なっかしいだろうか。
「こうしてみると、たしかに紅葉ってのは綺麗に見えるもんですね。
季節が移り変わるのが、目で見えるのはおもしれ―です」
そう、視線を外に向けながらトントントン、と調子よく階段を昇っていく。
■レオ >
「わ、っと…!」
ふらつくのを見れば慌てて支えようとして。
体幹がしっかりしているので、こちらはそんな不安定さは感じられない。
「本当に気をつけてくださいね……
そうですね、どんどん変わっていって…
まだ僕が来た頃はまだ夏が去り切ってもいなかったのに、いつの間にか肌寒くなってきて…
もう…2か月くらい経つんですね、僕が島に来てから。
早いなぁ…」
もう、2か月。
長かったようで短くて。
それだけの時間が、既に経って。
「…2か月か」
それだけ……
その続きを、すぐに考えないようにした。
■神樹椎苗 >
「ん、感心ですね。
なら、恋人らしくしっかりエスコートしてください」
身体を支えられれば、そのまま青年の腕を掴んで支えてもらう。
しっかりとした体幹は、椎苗がもたれてもびくともしない。
こういうところに、少し頼もしさを感じてしまう。
「それだけ色々あったという事です。
密度が、充実した日々を過ごしていれば、時間はあっという間です。
ええ、あっという間に過ぎていくのですよ」
青年の手へ指を絡めるように握りながら、小さな歩幅で一段ずつ昇っていく。
周囲の景色は少しずつ、低くなっていった。
「それだけ、お前の日々が彩りのあるものになって、嬉しいですよ。
これからはしっかり、一日過ぎる度に時間が惜しいと思えるようにしてやりますからね」
そう、左手でしっかり青年と繋がりながら。
■レオ >
「……既に沢山思ってますよ」
握られた手を、握り返して。
彼女を支えながら進んでゆく。
低くなってゆく街の景色は…明確に”進む”という事を突き付けるようで。
紅い大地から、遠のいてゆく。
それでも消えは、しない。
どれだけ遠くにいっても、どれだけ高くへいっても。
その下を…
自分が進んできた軌跡を、見る事があるのだろう。
そこにある事を忘れは、しないのだろう。
歩幅を合わせながら、階段を上ってゆく。
きっと彼女の時の進み方は、この歩幅のように自分とは違うのだろう。
時を重ね、成長すると共に……少しずつ歩幅は大きくなって、生きる時間が速くなる。
彼女が今進む歩みは、まだ一つ一つが小さくて。
こつこつ、大事に進んでいるのだろうか。
僕らの歩幅は、同じじゃない。
でも一緒に居るときだけ…確かに同じ歩幅で進んでる。
それが誰かと共にいるのかな、なんて。
そう思いながら。
「…でも、僕だけっていうのはなんだか嫌だな。
椎苗さんはどうですか? 最近…あっという間に思えます?」
くすりと笑って、問いかける。
不安も憂いも沢山あるから、今のうちに。
■神樹椎苗 >
「そうですね、比較的早いように感じます。
以前は一人で、退屈な時間を過ごしていましたが。
いつの間にか、やる事が増えて慌ただしくなっちまいました」
くすり、と笑いながら。
過ごす時間の違いもまた、楽しく思っていた。
「ああ、そういえば」
歩みを進めながら、思い出したと言うように。
「知人が、お前を紹介しろと言ってましてね。
連絡先を教えてやりますから、そのうち会ってやってください。
どうもお前に興味があるみたいでしたね」
などと、話しだした。
■レオ >
「…そっか」
少し安心したような、罪悪感のような感情。
自分と同じように、大事に想ってくれる事。
それをもっと長く噛み締めていたい事。
彼女の時を早めてしまった事。
今の時間を‥ずっとは続けられない事。
「……そっか」
いろんな感情を抱きながら、階段を上ってゆく。
「知人…友達ですか?
僕に興味って、うーん…興味持たれるような事あったかなぁ‥‥‥
でも、分かりました。
その友達というのは?」
どんな人なんです?と言いながら登ってゆけば、次第に頂上が見え始め。
登る階段の終わりが近づいてくるだろう。
時計塔の頂上、普通なら入らない場所。
しかしその景色の良さから、ここに来る人は少なからずいる、という。