2020/11/30 のログ
ご案内:「大時計塔」にセレネさんが現れました。
■セレネ > やや薄く雲がかかるが、空には金色の丸い月。
少し前まで暖かったけれど今日はやけに寒く感じる。
…まぁ、此処は時計塔だし高度もある。余計気温は下がって当然か。
「~♪」
満月と島の夜景を眺めつつ、転落防止の柵に肘をついては鼻歌交じりに上機嫌。
月の女神にとって今夜は絶好の月光浴日和だ。
月明かりを受けて影となる姿には、見えていない大きな双翼が映っている事だろう。
ご案内:「大時計塔」にクロロさんが現れました。
■クロロ >
「随分と機嫌よさそうだな、白ガキ。」
ふいに、そんな月光欲の最中に頭上から乱暴な声音が投げられた。
頭上。時計塔の本当に頂点。月明りを僅かに陰る人影在り。
迷彩柄のジャケットと黄緑の髪が寒風に靡いている。
月とは違い、煌々と輝く金の瞳は何処か不気味だった。
落ちたら真っ逆さま。そんな場所に危なげなく腰を下ろし、両足は宙ぶらりん。
片手持つ本は逆光でタイトルは見えない。
面白そうに、男は少女を見下ろしていた。
「こンな場所で出歩いてると、落ちてもしらねーぞ。それとも飛べンのか?」
■セレネ > 「――っ」
投げかけられた粗暴な声色にピタリと鼻歌が止む。
掛けられた声は頭上から。そしてその声には聞き覚えがある。
己を白ガキなどと呼ぶのは今の所彼しか居ない。
「…人が居るとは知らず、失礼致しました。
その言葉、そっくり其方にお返ししますよ?」
己は柵に凭れ掛かっているから仮に大丈夫だとしても、頭上に居る相手は柵も何もないのだ。
其方の方が危険であろう。
「それとも、”オレ様は最強だから平気だ”とでも言うつもりで?」
くるりと後ろを向き、柵に背を預けるような形で彼の姿を見上げよう。
やや揶揄うように蒼を細めて。
■クロロ >
「おう、よくわかッてンじゃねェか。オレ様はこの程度どうッて事ねェよ。」
カン、と足場を軽く踵で小突いた。
全身が風で翻し、軽々と少女の目の前に着地する。
「……お前と違ッてな?カカッ。」
揶揄られてもさも当然と言わんばかりに言ってのけた。
皮肉とかその辺は通じないタイプの馬鹿だ。
腕を組んで、楽しげに笑った。
「よォ、この前ぶりだな。確か……名前なンつッたけな?
まァいいか。別に、歌位好きに歌えばいいじゃねェの。結構綺麗だッたし。」
「つーかよ、例の石ころはまだもッてンのか?てかお前、なンか羽生えてなかッた?気のせい?」
再会早々、矢継ぎ早に質問攻めだ。
■セレネ > 「貴方と似たような方をよく知ってますので…。」
大方の予想はつくのだと口元に苦笑を浮かべつつ
飛び降りてくる相手を静かに眺める。
見た目とは違い存外軽々とした身のこなしだと感じた。
皮肉は通じない、と分かれば軽く肩を竦めるのみに留め。
「セレネ、ですよ。二回目だから忘れるのも仕方ないですが。
……ぁ、有難う、御座います…。」
己の名を再度伝えては、サラリと褒められ口籠る。
照れや恥ずかしさで視線を逸らした後、問われた言葉にポケットから
以前相手に見せた物と同じ、紅く輝く小さな石を取り出す。
「えぇ、まだ持っていますよ。
――さぁ、何の事でしょう?見間違いでは?」
石を指の間に挟んでヒラヒラしつつ、翼については誤魔化す言葉を。
立ち位置をさりげなく影側に寄せながら。
■クロロ >
「アァ?オレ様とだァ?ヘッ、似てるだけだろ。全部オレ様のが"上"だぜ。」
何かとすぐ張り合うタイプらしい。
自信の源は一体どこから来るかは不明だが、変に自身は揺ぎ無い。
ニヤリと笑み浮かべたまま、それだ、と指をさした。
「そうそう、セレネ。セレネ、な。悪ィ悪ィ。」
適当な具合で平謝り。
真白の記憶にしかと、その白い姿を記憶しておこう。
今度は忘れないようにしなければ。
そして、ポケットから現れた例の石。
相変わらず、得体の知れない力を感じれば顔をしかめる。
「ソイツを持ッてるッてこたァ、結局まだわからずじまいッて事か。……ア?」
誤魔化されたとは露知らず、その言葉に顔をしかめた。
「そうかァ?なーンか影についてたよーな……。」
訝しげな顔をしながらぐぃっと顔を近づけた。
近づけるどころか、ぐるりと回れば遠慮なくうなじとか肩を凝視しようとする。
此の男にデリカシーなんてものは存在しない。
手に持った本の正体、料理本君はきっと泣いている。
■セレネ > 「…張り合いますねぇ。」
己的には、もう一人の方が上だと思うけれど。
それは口に出さないでおく。個人的な価値観なのだし。
目の前の相手にせよ我が父にせよ、その自信に満ちた自己評価は少しばかり羨ましいと思う。
「一度二度会った程度ですもの。覚えていなくて当然ですよ。」
平謝りでも謝る分まともだと感じる。
「えぇ、これについてはまだ何とも――…っ?!」
徐に、無遠慮に己に顔を近づけてきた相手に言葉が途切れた。
近付けば近付く程、ローズの甘い香りが伝わるだろう。
微かに≪魅了≫の精神作用を持つ甘い香り。
香水の類ではなく、己が「人では無い」要素の一つ。
尤もその魅了の香りを放っている事は無自覚で、且つ人によって効果はマチマチだ。
全く効かない人も居れば効く人も居る。
魔術師でもある彼なら、もしかしたら気付くかもしれない。
尚も影の方にじりじりと移動しようとしながら、彼の持つ本に蒼を向ける。
「――あ、貴方、料理をするのですね…?」
話題を逸らそうと疑問を投げかけた。
■クロロ >
「たりめーだろ?男ならトーゼンだ。張り合う相手がいなきゃ、味気ねェだろ?」
"最強"という言葉を男なら誰だって憧れるし、自負もする。
勿論、それを自称する裏付けも自信もあるからこそ、だ。
ある意味では、究極的に前向きなのだ。
「それでも、人の事覚えてねェなンてイヤだろ?安心しろ、今度は忘れねェ。」
そう言う礼節は弁える方らしい。
記憶に関しては人一倍敏感なのもある。
まぁ、そう言うのは弁えるが顔を近づけるな失礼に当たらないらしい。馬鹿だ。
しかも何だか、甘い香りが漂ってくるものだから思い切りすんすんと嗅いだ。
"セクハラ"なんてものが男の辞書にあれば、今頃デリカシーもセットでついてきただろう。
「へェー、お前結構いい匂いすンだな。」
勿論これは、誉め言葉である。純度100%の馬鹿ではあるけど、悪意はない。
此の甘い香りの正体は、唯の香水と言う訳ではないようだ。
何か匂いではない"成分"も含まれている。
何だろうか。不思議そうに、眉を顰める。
そう、知識欲には従順だ。正体を探ろうと、顔はどんどん首筋へと近づいている。
首筋に顔が埋まるのかという直前──────。
「……ア?アー、思ッたより面白くてな。最近始めた。」
それを聞かれればす、と顔を話した。
見せつけるように料理本を軽く右へ、左へと振っていく。
クロロが持つ"体質"のせいか、寒い寒い時計塔の上も、なぜかほんのり温かい。
「そう言うお前は、料理とかすンの?」