2020/12/01 のログ
■セレネ > 「そういうものなのですかね…?」
己にはよく分からないが、自身の実力を高めるなら確かに張り合う相手が居た方が効果的か。
比較対象が居た方が指標になるのだから。
「…なら、その言葉に期待しておきますね。クロロさん。」
相手が約束を守る質なら信じるしかないと、頷いて。
しかしそれはそれとして変わらず顔が近い彼に心臓が早鐘を打つ。
「――ぇ、と、その、あ、有難う御座います…?」
近い。近すぎる。
相手の誉め言葉に己はただただ委縮して固まるのみ。
もうこれ以上は…!そう思った矢先、唐突に離された顔。
「――そ、そ、そう、ですか。
料理は化学だと言う話もありますし、魔術師である貴方なら確かに面白いと感じるかもしれませんね。」
赤く染まる顔を隠しながら言葉を紡ぐ。
「勿論、です。得意という訳ではありませんがそれなりには出来ますよ」
■クロロ >
「そりゃそーだろ。"切磋琢磨"……だッたか?
ダチだろうと、何時までも仲良しこよしッてワケじゃねェンだ。
『アイツを越える』とか『アイツより強くなりてェ』とか、思ッたりしねェのか?」
結果として、互いに高め合えるような存在だとは思っている。
人間同士の関係など人それぞれだが、クロロが自負するのはそこだ。
自分と張り合ってくれる人間がいてくれた方が、好感が持てる。
学問だろうとなんだろうと、そう言う関係のがスッパリしているのだ。
「おうよ。任せとけや。……で、まァ、そーだな。
お前の言うように見事にハマッたわ。初めは仲間の為とかだッたンだがなァ……。」
まさに、これも一つの学問だ。
パズルを解くためにどんどんハマっていってしまった。
何となく、してやられた感に後頭部を掻いてため息を吐いた。
「ほう、お前も作ったりすンのか。今度目の前で見てもいいか?
お前の料理技術ッてのを見てみてェし、どンだけ上手いかも興味がある。」
自分の周りにそう言う人間はいない。
独学だけでは面白くない。
彼女の作る料理と言うものに興味があった。
闇夜に輝く金の瞳は、楽しそうに少女を見下ろしていた。
「……で、だ。お前なンかちょッと挙動不審ッつーか。
なンかあッたか?つか、前も似たような事なかッたか?」
稀に見る何というか、硬直と言うか。
10割己のそうだとは、よもや思うまい。
■セレネ > 「難しい言葉をよくご存じで。
…場合によっては友人や家族でも敵になり得たりもしますからね。それはその通りだと思います。
超えたい、とは思ったりはしませんが…せめて並べるようにはなりたいとは思いますかね。何をしてでも。」
己が追いかけて、そうありたいと思うのは父の背だ。
その為には後ろ暗い事も多少は知らねばならない。
多少どころでは、足元にも及ばないのだろうが。
「仲間…?組織に所属していたりするのでしょうか。」
溜息を吐く相手にクスクスと微笑まし気に笑いつつ
「目の前で、ですか?
…構いませんが、私の料理は日本の料理とは違いますよ?」
まさかの提案に蒼を瞬かせるも、相手の期待に添えるかは分からないぞと首を傾げてみせ。
自室に男性を招くのは、と思ったものの。
その純粋な金色に首を横には振れなかった。
「――すみません。慣れるには暫く時間が掛かりそうです…。」
挙動不審と言われてしまえばショックを受けるが、仕方ない。
気にしないでと言いながらも肩を落としてみせた。
■クロロ >
「……なンか今馬鹿にされなかッたか?」
変なところに敏感だった。
ア?と顔をしかめるも、そのしかめた意味は別の意味に変わった。
「目標に掲げる割にゃァ、随分と後ろ向きな感じで言うな。
"何をしてでも"ッつーなら、いッそ越えてやッた方が清々しねェか?」
その姿勢事態を拒否はしないし認めている。
だが、何をしてでも並び立つ程度で終わるのは何か事情があるのだろうか。
謙遜ならまだいいが、如何にもそんな感じには見えなかった。
杞憂なら、それでいい。じ、とまっすぐな視線が相手の蒼を見据えている。
「ア?まァ、部活動の仲間ッて所だな。
ソイツ等の食生活が壊滅的でな、イイモン位作ッてやろッてな。」
「別に、なンでも構わねェよ。一々種類に貴賤つけねェし
レパートリーは多い方が、アイツ等も飽きねーだろ?
つか、一緒に飯食うみてーなモンだし、ンな気負うなよ。」
それこそ大掛かりなものじゃない。
本当に他愛なく、家庭的な雰囲気が保てればそれでいい。
当然期待はするが、彼女にも気兼ねなくいてほしいのだ。
「ハ?何が?なンかあッたか?」
思わず素っ頓狂な声が漏れた。
何を気にしているのだろうか。
恐らく、今のままでは一生気づく事は無いだろう…。
■セレネ > 「いいえ褒めているのですよ?」
馬鹿にしてなどいないのだと、首を横に振る。
「超えたらそれはそれであの人は喜ぶでしょうね。
私が望むのは彼の力になりたい、それだけです。
知能指数では彼を超えておりますので、私はそれだけで充分なのですよ。」
特別な事情はない。
ただ、育ててもらった恩を返したいだけだ。
己を真っ直ぐ見据える金に、自身のこめかみ辺りを指でトントン叩いてみせ。
「…どのような部活なのか、差し支えなければ教えて頂いても…?
やはり貴方は見た目より優しい方ですね。」
存外頭が回るし、人をよく見ていると感じる。
己のように秘匿主義な人物には厄介だ。
…己がそも、人を信用していないのもあるのかもしれないが。
「…なんでもと言われるとそれはそれで困りますが…。
そうですね、クリスマスも近いですしシュトーレンでも作りましょうか。」
ケーキ作りより、パンを焼いた方が手頃だし持ち運びやすい。
栄養面では物足りないが、色を添えるには良いだろう。
「……いいえ、お気になさらず。」
相手のような人なら、鈍そうだし大丈夫か。
なんて、苦笑を浮かべて緩く首を振った。
■クロロ >
「ほんとかよ?別にいいけどな。」
今一釈然としないが、彼女が言うならそうなんだろう。
こんなことで一々人を疑ったりはしない。
「……要するに、恩人ッて事か?どーゆー関係かは知らンが
お前が満足なら、オレ様がとやかく言うつもりはねェよ。」
それで満足と言うなら、それ以上何か言うのは無粋だ。
両腕を組んで、相槌を打った。
軽く瞬きする瞳は、闇夜だとよく目立つ。
さながら、爬虫類のようだ。
「シュト……?よーわからンが、面白そうだな。
おう、頼むわ。つか、そう言えばそろそろクリスマスか。……何用意しとくかね。」
一応仲間への何かプレゼントを考えているらしい。
シュトーレンとやらも、どんなものか楽しみだ。
また一つ楽しみが増えた矢先、部活動の事を聞かれれば少し言葉に詰まった。
「アー……まァ、風紀委員的な?」
ばつが悪そうに答えた。
あながち、間違いではない。
だが、取り締まるのは"裏"の秩序。
一般学生である彼女に、違反部活等と言えるはずも無い。
「そーか?まァ、よくわからンが不調なら遠慮なく言えよ。
お前、普通とは違う体ッぽいしな。…アー、別にそれがどーこーッてワケじゃねェよ。」
「この学園にゃ、そう言うのゴマンといンだろ?
だから、困ッた時はお互い様だし、手伝える事なら遠慮なく手伝うぜ?
人に言いにくい事かもしンねーし、オレ様にも言い連れェならいいけどよ。」
「一人で抱え込むような真似すンなよ?オレ様は、お前のことも"ダチ"とは思ッてるからな、セレネ。」
そう言うものの集まりだとは思っている。
良い悪いではなく、そう言う風に出来た島だと。
だったら、その身内同士で助け合うのが自然だと言う。
支え合うのは、人として在るべき姿だ。
先程の香りといい、影といい、相手もきっと何かを抱えてる。
それを一々、深く聞いたりはしない。
だったら、それはそれで支えようとするだけだ。
ニィ、と口角を吊り上げれば『優しくはねェ』と首を振ってそれだけは否定した。
■セレネ > 馬鹿にするのなら皮肉を使うし、それが通じないのはさっき証明されたので。
それに一度二度会った人を馬鹿にする等、そんな愚かな事はしないししたくない。
「そういう事です。
…尤も、また会えるかは分かりませんけどね。」
己はこの世界の出身ではないのだから。
いくら此方で頑張ろうとも、元の世界に戻らねば意味がない。
少しばかり悲し気に蒼を伏せた。
「洋酒に漬けたドライフルーツを細かく刻んで、パン生地に練り込んで焼くのです。
作りたてより時間を置いた方が、味が染み込んで美味しいのですよ。
お仲間の好きそうな物とかをプレゼントすれば喜ばれるのでは…?」
律義にもプレゼントを考えているらしい相手に、無難な答えを。
すると己の問いにバツが悪そうに答える彼。
…言い難い何かがあるのだろうと察すると、
「そうですか。それは大変そうですね。」
それ以上は追求しなかった。
身内が裏稼業をしているだけに、慣れては居るが己自身はまだ其方の道には入っていない。
余計な詮索をしないのが生き残るコツだというのは身に沁みている。
「――…。
貴方もそうですが、やはり此処の人達は優し過ぎますね。」
相手の言葉に蒼を瞬かせた後、微笑んだ。
少し話した程度だが、相手は己を友人だと思ってくれている。
込み上げてくる感情を必死に押し殺し、噛み殺し、普通に振舞う。
「…なら、貴方が困った時は私も力になります。
私の出来る範囲でですが、何かあれば仰って下さいね?」
首を振って否定する相手に、そうですかねー?なんて首を傾げ。
■クロロ >
「ンな辛気臭ェ面すンなよ。
その口ぶりなら、死ンじゃいねェンだろ?
だッたら、会えンだろ。何処にいるかは知らねーが、案外繋がッてるからな。」
此処ではない世界だってある事は知っている。
勿論、彼女の身の上なんてこれっぽちも知りはしない。
気休めと言われればそれまでかもしれないが
存外、こういうことは案外なんとかなるものだ。
「へェ、そう言うのもあンのか。甘いのもいいが、なンか辛い料理とか知らねェ?
思ッたより、オレ様の周りは辛いもの好きが多くてな……ア?アー……まァ、そうだな。」
確かにそうと言えば、そうだ。
好きなものでいいが、相手の好みもよくわからない。
微妙な唸り声をあげるも、まぁいいか、ととりあえず思考を一旦リセット。
後で本人たちに聞けばいいだろう。
「……悪いな。」
追及してこなかっただけで、ただ一言謝罪を返した。
後ろ暗いことの証左に成りえるというのに、こういうとこ馬鹿正直だ。
「オレ様は違ェけど、こン位誰だッて言うぜ?
お前がどンな場所で育ッたかは知らンが、皆悩みの一つや二つは抱えてンだ。
だから、助け合ッたり、馬の一つや二つあッたりするモンだろ?」
脛にキズとまでは言わずとも、人間そう言う所言いっこなし。
特に、グローバルにグローバルが重なったような世界の広さだ。
思う所もあるし、未だそう言うのが問題に上がったりしても
大多数がそうでないからこそ、世界は成り立っていると言えるのかもしれない。
「ヘッ、その時が来たらな。さァて、オレ様はそろそろ帰るか。お前はどーするよ?」
■セレネ > 「…まぁ、死んではいないと思いたいですが。」
あの人の生への執着は異常なくらいだから、余程の事がないと死ぬ事はないと思うけれど。
しかし相手も己を励ます為に言ってくれているのだろうし、伏せていた蒼を元に戻した。
「辛い料理…ですか…?
うーん…私はあまり辛いものは得意じゃないのですが…後で探してみますね。」
辛い物だと、唐辛子やスパイスを使ったものが良いだろうか。
寒くなる時期だし丁度良いかもしれない。
「いいえ。お気になさらず。」
こういう事は慣れていると言わんばかり、緩く首を横に振り。
「そういうものなのでしょうかね…?」
己が過度に警戒しているだけなのだろうか。
意外と気さくに色んな事を話してくれる他の友人達を考える。
”普通”というのは、ああいう事を言うのだろう。
「ん、そうですね。私も遅くなるといけないので帰ります。
…そうだ、私の部屋に来るのなら連絡先とか交換していた方が良いですよね?
スマホ持ってたりします…?」
叶うなら、ポケットからスマホを取り出し相手と連絡先を交換しようとするだろう。
■クロロ >
「なら、それでいーだろ?セレネ。お前が何者かとか、オレ様ぶッちゃけどーでもいいし。
お前はお前。物静かで、人様に気遣い出来るセレネ。そンなモンだ。ま、考えすぎンな。案外、どいつもこいつもそンなモンだぜ。」
悩むこと自体はもちろんいいが
難しく考え込んでいる事は本当に難しいわけじゃなく
存外、ちょっと難しくとらえすぎているだけなことも多いものだ。
カカッ、と笑うクロロの姿が気楽に見えるかどうかは、当人次第。
「おう、頼むわ。ンじゃァ、家まで送ッてやンよ。
夜中に女一人で歩かせるのもこえーしな。ホラよ。」
そう言って懐から取り出したるは携帯。
一昔前の折り畳み式だ。一応メールと電話も出来る。
二級学生である以上、こういう足のつかないものを一応用意しているのだ。
連絡先を掲示し、交換を終えれば携帯をポケットにしまう。
「──────……。」
徐に右手を軽くかざす。
月明りに照らされる、右手。
クロロの口元が動くが、何を言ったかは夜風に攫われて聞こえない。
単純な魔術な。"体温調整"、これで人並みの体温になった。
「よし、行こうぜ。」
そして、少女へと手を差し伸べた。
月明りを背に、その手をとって、今日は地上まで"篝火"が照らし見守ろう。
■セレネ > 「…皆案外、そんなもの…。」
感覚で捉えようとはせず、頭で考えてしまう節があるせいもあるのか。
確かに考えすぎなのかもしれないなと、相手の言葉を復唱しつつ。
楽観的に笑う彼の姿が、父の面影と重なって。
「すみません、気遣って頂いて。
有難う御座います。」
送ってくれる事と、連絡先の交換をしてくれる事に対し礼を述べると
相手の連絡先を己のスマホに打ち込むと彼の手に携帯を返そう。
「…?」
ふと右手を翳し、何かを呟いた。
言語は聞き取れなかったが、恐らく魔術の類か。
そうして差し出された手を見つめ、蒼を瞬かせてから。
おずおずとその手に己の冷えた白い手を乗せ、引かれつつ共に階段を下りていくとしよう。
その場に淡く蒼い輝きを帯びた、羽根が一枚ふわりと落ちて。
ご案内:「大時計塔」からクロロさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からセレネさんが去りました。