2021/03/11 のログ
ご案内:「大時計塔」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 冬の時期ももうじき終わり、日中は暖かくなる季節。
とはいえ陽が落ちるとやはり冷えるか、コートはまだ手放せない。
特に高い所は地上より冷えるから猶更。
『運動不足かしら…。』
最上階まで登ってくるのに少し時間が掛かるなんて。
近いうちに”運動”でもしに行かないとなと思いつつ、島の夜景を蒼が見下ろす。
いつ見ても変わらない景色だとは思うものの、それは己が今治安の良い場所に居るからかもしれない。
とはいえ己はこの島の事には然して興味はない。
島の端で何が起こっているかも知らぬ。
知る必要はない、と考えているせいかもしれないが。
転落防止の柵に肘をつき、暫しぼうっと景色を眺めて居よう。
ご案内:「大時計塔」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
この島に於いて違反学生、2級学生という存在は
兎角肩身が狭い。そんな立場の人をも受け入れて
くれるのは路地裏や落第街、スラムくらい。
逆に言えばそこにさえ居づらい、居られないと
なると……もう本当に行くところがない。
少しでも人が少ないことを期待して、公園や神社を
転々と回ってみたものの、どこもかしこもまともな
学生に席巻されている。
もう半ば意地になって、流石にこんなところにまで
人はいないだろう、と時計塔の最上階にまで足を
伸ばした。島を一望できる場所で煙草でも吸えば
多少は気持ちの慰めになるだろうと期待した……
の、だが。
「うわ」
思いがけず先客を見つけ、驚いて声を上げる。
■セレネ > 年も明けてもう三ヵ月。月日が流れるのは早いものだ。
春休みが終われば二年に上がる。後輩となる人も出てくるだろう。
勉学としては、一年での基礎的なものから少しずつ本格的なものを学べるという点において好奇心が刺激される。
少し先について思案していた所、聞こえた声に蒼を瞬かせて。
「あら。…こんばんは?」
後ろを振り向けば小柄な人影。
己は”人”ではないけれど、先客であるのは違いない。
柔らかく微笑んで少しでも警戒させまいとしつつ、挨拶を一つ投げかけようか。
■黛 薫 >
「えぁー……ども、こんばんゎです……」
警備も何もないとはいえ、一応建前の上では
立ち入り禁止に指定されている時計塔の屋上。
挨拶と一礼を返すも、少なからず動揺していると
見て取れるはずだ。
「珍しぃすね、ココに人がいるって……。
あー、いぁ。登ってきたあーしが言うのも
変かもしれねーですけど、いや、はい……。
何つーか、ちょっと……びっくりしました」
■セレネ > 一応は挨拶を返してくれた彼女に変わらない笑みを浮かべて。
相手の言動を推測するに動揺しているのは明らかだ。
本当に此処に人が居ると思っていなかった証左であろう。
「驚かせてしまってすみません。
…でも、此処景色が良いのでつい来てしまうのですよね。
お邪魔なら帰りますけど…?」
パーカーのフードを目深に被っているので詳しい表情は読み取れないが。
それでも言葉で察せられる事はある。
これでも医者であったのだ、観察、洞察眼には長けていると思いたい。
びっくりした、との言葉には苦笑し、謝罪の言葉を述べた上でゆるりと首を傾げて問いかけよう。
彼女が許可を下ろしてくれるなら、少しばかり話し相手になるつもりだが。
■黛 薫 >
「いぁ、後から来たのはあーしの方ですし。
むしろこっちが邪魔してたらごめんなさぃ」
軽く両手を上げ、気にしていないと伝える。
「まぁ、景色が良ぃのにはあーしも同意します。
あと、何だろ。風が良い……って言ぅんすかね?
高い場所だからかな、ちょっと寒い?みたいな。
うーん、褒め言葉っぽくはなぃような……」
島を一望できるこの場所には、ある種の清々しさが
ある。どうにかそれを言葉にしようと思ったが……
語彙力に自信はないし、何より頭が少しぼんやり
していてうまく伝えられた自信がない。
■セレネ > 「ふふ、いえいえ。
お邪魔だなんて滅相もない。
此処であったのも何かの縁かもしれませんし、貴女が良ければ少しお話相手になってくれませんか?」
お互いに謝る始末。
何だか少しおかしく思えてクスクスと喉で小さく笑っては。
気にしていないらしい相手に内心安堵。
「地上と比べると、空は気温が低くなりますからね。
冷たい風に吹かれると考えや気持ちもすっきりするような感覚は分かる気がします。
…貴女のお名前、お聞きしても宜しいでしょうか。
私はセレネと申します。」
柵から身体を離し、彼女へと歩みを進め近付いていきながら自己紹介。
話相手になるならば、互いの名前くらいは知っていないと困るだろうと思っての事。
■黛 薫 >
「ん……あーたがイヤじゃないならイィすけど。
あーしは話すのとか、上手じゃないんで……
いぁ、付き合ってって言った人にそーゆーの、
言い訳みたぃでダメすね、普通に付き合ぃます」
違反学生という立場から、無関係な場面でもつい
後ろめたさを感じることが多い。しかしうだうだと
言い訳を並べるのも、遠回しに断っているような
失礼さを感じてしまい、慌てて取り消した。
喉に痰が絡んだような、掠れた声を咳払いで
誤魔化しつつ、了承の意を伝える。
「セレネ……あー、うん。覚えました。宜しくです。
あーしは『黛 薫(まゆずみ かおる)』って言ぃます」
歩み寄る貴方に一瞬緊張した様子を見せ、無意識の
うちに背筋を伸ばしていた。例えばそういう細かい
動作が相手の気に障りはしないか、と必要以上に
気にしてしまうのは卑屈すぎるのだろうか、と
内心で自問する。
■セレネ > この子、言葉遣いはやや難はあれど普通に良い子そうだなと感じる。
話すのが上手ではないと言いながらもそれを言い訳にせず素直に言葉を述べるのは好感が持てた。
彼女が違反学生ではない、というのを知らないせいもあるからか。
単に対人関係に難がありそうな子だという印象を受けつつも、彼女にどうストレスなく接せば良いかを考えて。
「有難う御座います。
マユズミ…黛さん、ですね?発音はこれで合っているかしら。
宜しくお願いします。」
己が近づくと、背筋をピンと伸ばす仕草は見逃さず。
片膝をついて視線を合わせては、緊張を解そうと言葉をかけよう。
「少し深呼吸しましょうか。
――吸って、吐いて。肩の力を抜いて下さい。
大丈夫、私は貴女に危害は加えません。」
己が近づけば、ローズの香りが相手に伝わるかもしれない。