2021/12/16 のログ
ご案内:「大時計塔」にガディさんが現れました。
ガディ >  
時計塔を登った先、タバコを咥え
双眼鏡を弄る男が一人壁を背に座っている。

日頃使っている双眼鏡を少し落としてしまい
レンズにヒビが入ったため修復の魔術を
双眼鏡に使っているのだが、無機物相手だと直りが遅い。

「んがー! なんで落としたかねぇ!」

邪な気持ち無しで街を眺めようとした矢先の出来事。
最近は日暮れも早いので急いでいるが、どうにも進まない。
怒りがこみ上げてきたからタバコのフィルターをガジガジ。

ガディ >  
日頃の行いが悪いとでも言うのか
いや、そんなはずはない。そんな自問自答を繰り返して
急いで修復にかかっているが亀の歩みより遅い。

ここは焦ると術式が乱れ、尚更ひどくなる可能性がある。
そう思い至り、落ち着くためにポケットからライターを取り出し
タバコの先端に火を灯し、煙を肺に入れ一息。

立って、太陽を見てみるともう地平線の向こうにサヨナラをしようとしていた。

「……急げ俺…!」

別に今日見なくたって良いのだ、なんなら明日でも構わない。
だがなんか負けた気がするから急ぐ。
手の先に野球ボール大の魔法陣を展開し
それをレンズに当てながら修復を急ぐ。

ガディ >  
修復が終わった頃、全ては遅かった。
周囲は暗くなっており、時計塔から見える景色は
きれいな夜景と暮らしの光のみだ。

「……ふっ」

自然には勝てなかったよ。
そう呟きを残したら大事そうに双眼鏡を抱える
今度は落とさないようにしっかりと。

「はぁー……帰ろ」

暗視付きのでも買おうかな、でも高いし。
そう呟きながら、唸って悩みながら、時計塔を後にする。

ご案内:「大時計塔」からガディさんが去りました。