2023/06/21 のログ
ご案内:「大時計塔」にセレネさんが現れました。
セレネ > カツカツと、甲高い音が時計塔に響く。
陽が落ちた時間帯は比較的過ごしやすい。
ただでさえ陽に弱く、暑さにも弱い己が唯一外に出られる時間。
そして地上より高いなら、暑さもマシだろうと思ったから。

はふ、と力無い息を吐く。
もうこれだけでぐったりしそうだけれど、ここで倒れる訳にはいかない。
時計塔の最上階、転落防止の柵へと歩いていき身体を預けた。

くたり。上半身を擡げる。
――この蒸し暑さは、何年経とうと慣れる事はなさそうだ。

セレネ > 家屋を涼しく、湿気を減少させる便利な機械は己が今居る寮へ帰れば容易に手に入る環境ではあれど。
それでも時折、暑さや蒸しを覚悟で外へ出るのは。
自身の魔力補給もあるが、元居た世界を忘れぬ為でもある。

雲の隙間から見える月明かりを見ながら、想いを馳せる。
もう、逢えない彼らへ。
何度。もう何度、馳せた事か。
想ったとて、神族の身でさえ、叶った事はないけれど。
それでも。想わずには居られない。
――大切だから。

セレネ > 無論、この世界でも大切だと想える存在は出来たのだけれど。
彼の事を考える度、嬉しくなってしまう辺り随分単純になったものだと自責する。
そんな立場ではないのだと。他でもない”己”が責め立てる。
他者ではない、自分自身が。

『……はぁ……。』

頭を抱えようと、どうしようもないのは判っているけれど。
吐き出せない気持ちを抱えたまま、もう暫くはここで涼んでいくとしよう。

ご案内:「大時計塔」からセレネさんが去りました。