2019/05/24 のログ
アリス >  
「病葉や、大地に何の病ある」

昔、未知の病原体を持った病んだ村が丸ごと転移して、彼らは異世界の荒野で焼き討ちにあったとか。
まことしやかに囁かれてはいるけど。
それが財団の秘匿するものか、ただの噂話かはわからない。

「私が優しい? 良いジョークだわ、諧謔味もあるのね」
「私はもっと俗な人間よ……」
「あの日だって、親友と自分の命のために館を躊躇いなく爆破したわ」
「生き残りが、いたかも知れないのにね」

「私が向いてなかったのは、認めるわ」

つい喋りすぎてしまった。
あの時のことを思い出しすぎて胸が苦しい。

「ええ、十分に堪能したし、そろそろ甘いものって気分ね」
「ただ最近甘いもの食べすぎかしらー……夏も近いのにポチャりたくないわ」

そう言いながらビュッフェに行く。でも甘いものは食べる。

人見瞳 > 「あれっ? アリスも一緒だ。おーい! こっちこっちーー!!!!」
「………アリス・アンダーソン……またの名をハートブレイク・ワン………」

ビュッフェの軽食がまばらに並ぶ食卓を囲って、二人の僕が立っているのを見つけた。
現在進行形で洋梨のタルトを貪っている。せめて食べながら喋るのは止めてほしい。
恥ずかしさを通り越して頭痛がしてきた。どうにかして他人のふりはできないものか。

「………お前たち、持ち場はどうした?」
「終わったに決まってんじゃんさー! 私にかかればなんのこれしき。余裕のよっちゃんよー」
「しかし、招待状もなしにどうやって……」
「……譲って…下さったんです………見にいけば、里心がついてしまうからと…」

無い胸を張ってドヤ顔をする「僕」の口の周りにチョコレートムースがべったりくっついている。
親指で乱暴に拭いとって口へと運ぶ。なかなかに甘い。

「ふわぁ!? いきなり何するのさ!」
「うるさい。あまりみっともない真似をしてくれるなよ」
「さてと、待たせたなアリス。たらふく食べてポチャるといい。お楽しみはこれからだ!」

三人の僕と一人のアリス。いつぞやと同じ人数比で、新しい話題に花を咲かせるのだった。

ご案内:「常世博物館」から人見瞳さんが去りました。
ご案内:「常世博物館」からアリスさんが去りました。