2020/08/02 のログ
ご案内:「常世博物館」にデザイア・ハートさんが現れました。
ご案内:「常世博物館」にエルピスさんが現れました。
デザイア・ハート >  
――とある日の日中。
博物館の入り口に二人の少女…ではなく少年が、並んでいた。

恐らくは地球では最大規模のこの博物館に、彼らはいわゆる”デート”に来ていた。

二人の片割れは蒼く透き通った長い髪を靡かせて、どこか楽しげな様子。
そしてもう片方は――

エルピス >  
栗色の髪をハーフアップで纏め、三層仕立ての水色のホルダーネックのワンピースに身を包んだ少女……ではなく少年。

義肢はそのままだが──
ボリュームのある布地と、ハーフアップ──"お嬢様結び"で纏められた髪型が柔らかいシルエットを形成し、
機械の義肢を目立たせない。ついでに骨格も目立たない。

どちらの足にも白のサイハイソックスが履かされており、靴も青色のヒールだ。
義足の方だけ少し膨れているのはしょうがない。

まとめ上げられて露出した両耳にも白い石のイヤリングが付けられていてばっちりだ。

「あ、あの……」

 恥ずかしそうに俯き、時折視線を上げて周囲を見る。
 多少の注目を浴びている事に気付けば再び俯く。

 朝からずっとそんな感じの、初々しい少女のような少年だ。
 緊張や羞恥もあり、両腕と両足をきゅっと寄せて歩いてる。

デザイア・ハート >  
その”初心”な様子を楽しげに、片割れの少年はニマニマと見つめていた。

そう言う少年の方も少女らしい水色のワンピース。
此方はどちらかと言えば素材を活かした、飾り立ては少ないコーデだ。

「うん、やっぱりエルピスがかわいいからか、見られてるねぇ。」

そんな軽い、からかい混ざりの言葉を返しながら、内側に寄せた手を取るように右手を差し出す。

「とりあえず、中、入ろうか?」

くすりと笑いながらのその姿は、やはりデートに慣れてるような…。
なんとなしに両者のある種の経験の差が出ているような雰囲気であった。

エルピス >    
「そ、そうだね。」

 差し出された手を取り、引っ張られるように進む。
 途中、展示品用のショーウィンドウに"飾り立てられた自分"が映ると恥ずかしそうに目を逸らした。

 気を取り直して建物の中に入れば周囲を見渡す──。
 
「こういうところに遊びで来るのは初めてだけれど……入口も整ってるね。
 …………受け付けはあっちかな?」

 
 少しだけ落ち着きを取り戻し、軽く見渡してから受付へ向かう。
 さて、チケットは買ってあっただろうか?
 

デザイア・ハート >  
「ん♪
それじゃあいっくよ~。」

はにかむように表情を和らげて、その手を引いて受付へと向かう。

「地球だと最大規模…なんだっけ。
そのあたりは流石ってとこかな。
…とと、えっとチケットチケット…。」

たどり着けば、チケットを取り出す為にポーチを軽く漁る。
少々の間…ポーチに色々入っているのだろうか…があってから、チケットを取り出し。

「あったあった。
はい、これエルピスの分。」

そのチケットの片方を手渡した。
どうやら事前に用意はきっちりしていたようだった。

エルピス >  
「……この島の中に、地球最大規模の博物館なんだよね。
 もちろん、ここが大規模なのもあると思うけれど……」

 "島の外"には大きな博物館を維持する余裕がないことを意味しているのではないか。何かを憂うように俯いだ。

「あっ、う、うん。ありがとう、デザイア。」

 チケットを受け取り、受付へ進む。

 学生一枚。『学生・職員の入館料は無料』らしいものの、
 身分を示すために学生証の提示が求められる旨が記されている。

 つまり──。

「う、うん。学生証のミスとかじゃなくて……ちゃんと男の子で……
 この格好は……友達が……」

 雰囲気や"義肢"の部分で学生証の不正使用とは思われなかったものの、
 装いが装いなので受付の人に色々質問されている。

 こう、とてもしどろもどろしている。

デザイア・ハート >  
「さて…どうだろうねぇ。
技術やなんやらが集まってるから自然とそうなったんだろうけど…。」

どこか憂うような表情の少年の手をきゅっと握り。

「ま、今は純粋に楽しもう?」

そう少年は笑い掛けて、受付へと移っていく。

当然のように学生書を提示して、質問攻めにあっている片割れの少年とは対象的に、こちらはやけにあっさりと受付を終了してしまった。つまりはその分、余裕があると言う事なので――

「そうそう、その格好はちょっとデートの為に、ねー?」

などと言いながら、フォローになって無い気がするフォローをいれていた。

エルピス >   
「あうっ」

 ぽんっ、と顔が紅潮する。
 思わずデザイアの後ろに姿を隠す。


「え、えっと、う、うん……。」

 肯定すれば受付嬢は笑いながら通してくれた。
 そのまま美術館の中へと進む──。

「どこから見る?
 色々あるみたいだけれど……こっちは総合美術多め、あっちは技術科学、そっちは異世界……? 大きいから入り組んでるね。」

デザイア・ハート >  
「あはは、まあそういうことで♪」

受付の女性にウィンクを返して、背に隠れた少年の手を引いて中へと進む。
何かのアピールを感じなくも無かった。

「中央と、東と、西…だっけ。
中央はたぶん他の博物館とそんなに変わらないっぽいし、ここの見所ってなると東か西かな?」

パンフを手に取り広げて…ふむりと考える。
東は異能と魔術、西は異世界との事だが…。

エルピス > 「デザイアはどっちが良い?
 僕は東だけれど……勉強にもなりそうだし……」

 視線を向けて案内板を見る。
 少し趣のない理由だが、興味がある事には違いない。

 ちなみに、手は繋がったままである。

デザイア・ハート >  
「んー…そうだね、どっちも気になるけどそっちで。」

東がいい、と言う少年に乗っかる形で同意する。
こちらは純粋な興味故にであるが。

「しっかし、勉強熱心だね?」

手を繋いで、あいも変わらずリードするように東館へと誘導する。

エルピス >   
「あって損はないからね。
 ……"渋谷"なんてものも出来ちゃったから、戦力的にも不安でね。
 他にも色々あったみたいだし……」
 
 ぽつりと呟く。
 三つの街か交わり合う境界線上に産まれた『渋谷』。
 彼なりに、多少の危機感を覚えているらしい。

「デザイアも気を付けてね?
 見た目は渋谷っぽいけど、色んなものを飲み込んでるみたいだから、街に魔獣とか出てきてもおかしくないし……」

 リードされながら進む。
 ヒールが慣れないのか、歩幅も歩みも遅め。

デザイア・ハート >  
「渋谷、渋谷かぁ…。
俗称だろうけど、なんとも変な気分になるよね。」

例えるならば日本のニューヨーク…のような名称なのだが、どうにも微妙な気分になる。
それは恐らくは、実際の渋谷を知っているが故の感想なのだが。

「へーきへーき。
”そういうの”ならまあ、逃げ方は知ってるから。」

それゆえだろうか、彼はそこに対する警戒は余り無かった。
慢心や油断とも取れる返しをしつつ…ゆっくりとだが、程無くして東館にたどり着く。

「っと、ここから東館か。」

その入り口とも言えるエントランスにまず置かれているのはざっくりとした概要の解説コーナー。
異能とは何か、魔術とは何か…といった始まって、その発見の歴史…というような解説が様々な形でなされている場所だろうか。

エルピス >  
「そうなの?」

 何処か手馴れた返事。
 ひとまず心得があるのかな?と思うに留めて先に進む。

 とことこと付いていき……東館に辿り着く。
 "歴史"の側面か語られる魔術や異能を、改めて読み進める。

「……概略、と言うのもあるけれど……
 歴史って観点ってみると魔術や歴史って、こうなるんだね。」

デザイア・ハート >  
「んふふ、まあねー。」

そこまでの追求が無ければ、こちらも軽く返すに留める。
秘密主義…でもないが、秘密は秘密のままにしておくタイプのようだ。

一先ずはふんふんと呟きながら展示物を眺めて…。

「テーマである異能や魔術を主軸をした歴史…って感じだろうけどねぇ。
一口に歴史って言っても、その視点次第でだいぶ違う感じになるし。」

エルピス >  
「神秘や宗教とも縁が深いしね。
 古代魔法の中の幾つかは……"奇跡"って呼ばれた現象の幾つかは、
 もしかしたら異能であってもおかしくないし……」

 展示物や異能・魔法の解説から何かしらのインスピレーションが浮かびつつあるらしい。
 
「……んー、そっか、こういうのもあるんだ……」

 ぐいっと腰を曲げて展示物をのぞき込む。
 長さが長さなので捲れることはないが、お尻でワンピースのスカート部分が持ち上がり、揺れる。
 

デザイア・ハート >  
「だね。
魔法はそういった過去に現れた”異能”を再現しようとしたものかも…
みたいな説だってあるんだし。」

ふんふんと、そんな相槌を打ちながらふむふむと少年も展示物を素直に感心して見ていたが…。

「……(多分意識して無いんだろうなー。)」

腰を曲げて覗きこんでいるが故に、きわどい事になっている少年にこっそり苦笑する。
とりあえずは、そっとその後ろに回って、その様子を自分にしか見えないようにしておいた。

エルピス >  
「その結果が今の常世学園なのかな。
 高度に発達した魔法と科学は区別がつかないともいうけれど、高度に発達した異能と魔法も──」
 
 くす、と、軽口を叩いてみせながら立ち上がろうとした、次の瞬間。

「ひゃっ…」

 バランスを崩してよろめき、
 後ろにいるデザイアへとぶつかりかける。

 多少姿勢を崩した程度なので、避けても転ぶことはなさそうだが……。

デザイア・ハート >  
「よっ…とっ!
……大丈夫かな?」

後ろにいたのも幸いしてか、よろめき倒れそうになる少年をそのまま抱き止める形で支える。

小さな少年の身体全身で、それを受け止めたのだろう。

エルピス > 「う、うん。
 ちょっとはしゃいじゃった。」

 少しだけ申し訳なさそうに俯くものの、視線を戻して……

「えっと、"ありがとね"。デザイア。」

 ごめんね、ではなく、ありがと、と口にする。
 雰囲気を相まって、多少の距離感の近さを覚えるかもしれない。

「……気を取り直して……
 あ、こっち、ドクロの水晶だって。よく出来てるけどちょっと怖いね……」

デザイア・ハート >  
「よかった。
かわいいのはいいけど、気をつけてね?」

ゆっくりとそのまま身体を放して元の体勢へ。

「どういたしまして。
むしろ、役得だったけどね。」

その声色と言葉選びからふんわりと、”純粋な”笑みがこぼれる。
軽口混ざりで言葉を返して気を取り直し、次の展示へ視線を移す。

「うわぁ、懐かしいなぁドクロ水晶。
エルピスはこういうの、わりと苦手?」

エルピス >  
「言う程苦手じゃないけれど……
 "よくわからない"から不気味で……って感じかも。」

 言い表せない不気味さ。
 そこに"怖い"の感情を抱いているのかもしれない。

「……って、なつかしい?」

デザイア・ハート >  
「あー、”わからないから怖い”ってやつかぁ。」

それは本能から来る”怖さ”一種だ。
魔術や神秘に近しい故に、そのことはよく知っていた。

「まあこう言うのは実際、”それっぽい”からこそ神秘があるんだけど…。
ああ、昔はね、こういうのが家にたくさんあったんだよ。お店にもあるし。」

エルピス > 「確かにそれっぽさはあるけれど……
 ……えっ、いっぱいあるの?」

 思わず突っ込む。
 アトリエに来た時にもそこまでは見てなかったらしい。

「……ちなみに、何に使うの?」

デザイア・ハート >  
「こういうのは往々にして、それなりに魔力が込められてるからね。
魔術の媒介とかにするには丁度よくて。」

くすくすと笑いながらそう返す。
理由そのものは聞けばまあ順当なものだろう。

「ま、表には出してないし知らなくても仕方ないかな。
本当の工房の方にそういうのは仕舞ってるし。」

エルピス >  
「あ、媒介なんだね。」

 すとんと腑に落ちたように胸を撫で下ろす。
 さっきの神秘や恐怖の話と統合するに、効率が良かったのだろう。
 そう結論付ける。
 
「本当の工房……やっぱりデザイアもそういうのを持ってるんだね。
 ……あっ、そうだ。ここを見終わったら軽食にしない? 混む前に食べられる場所で食事しておきたいし……」

デザイア・ハート >  
「ま、これでも一人前の魔女、だからね♪」

ウィンクと共にどこか誇らしげな顔。
そういう方面にはやはり自信があるのだろう。

「ん、そだね、じゃあ早めにお食事しちゃおうか。
やっぱりそれなりに人もいるし、ピーク時間だと埋まっちゃいそうだ。」

エルピス >  
「あはは。ちょっと頼もしいかも。
 ピンチの時は守ってね、デザイアちゃん。なんてね。」

 誇らしげな顔が見えれば、冗談めいたことを口にする。
 くすくすと笑った後、パンフレットから地図を見て──

「うん。確か軽食用のスペースはこっちだっけ──」

ご案内:「常世博物館」からエルピスさんが去りました。
デザイア・ハート >  
「ふふ、そのときは頑張らせて貰おうかな?」

ちょっと胸をはってそんな事を言ってみて…。

「ん、じゃあいこいこ♪」

二人は手を繋いだまま、軽食スペースへと歩いて行くのだった。

ご案内:「常世博物館」からデザイア・ハートさんが去りました。