2021/12/20 のログ
ご案内:「常世博物館【イベント:「地下収蔵庫整理」】」に東山 正治さんが現れました。
東山 正治 >  
年の瀬が見えてきた今日この頃。
職員室を抜けて相談室で適当に書類整理するつもりが
先客がいたのでそっと後にしておいた。
特に、今回は"嫌な奴"が一人いたのでペースチェンジ。
今回は冬季の一大イベントとも言える地下収蔵整理に顔を出した。

と言っても、基本的にやっている事は現場監督と変わりない。
委員会としてみれば、教師と生徒に上下関係は無いが
こういった事となれば話は別だ。
東山は教師でもあり、公安委員会だ。
直接的に図書委員会と関係がある訳では無いが
"記録"を逐一怠る事は職務上出来ない。
それに、忙しなく動く生徒たちの面倒を見るのも教師の義務だ。

「……崩志埜ちゃんは上手くやってるかね」

火を付けた煙草を咥え乍らぼやく東山。
その視界では図書委員達がてきぱき手慣れた動きをしている。
薄暗い収蔵庫も今はそこら中明かりがついてまぶしい位だ。

東山 正治 >  
かたや"閲覧禁止"という曰く付きの魔導書を慎重に運んでいる。
かたや"直視禁止"という曰く付きの絵画を封入に勤しんでいる。
かたや"直接禁止"という曰く付きの動物のはく製を厳重封印している。
図書委員会だけでなく、祭祀局の様な連中まで出張っている。
一大イベントと言うがどれもこれも繊細な作業だ。

一つ手順を間違えれば死人が出る。
呪いだとかなんとか、意図も容易く命が散る。
事故で呆気なく人間が死ぬなんてのは時折ニュースでも聞くが
東山にとってこの光景は、その事実は、質の悪い冗談にしか思えなかった。

「…………」

道行く生徒たちを見る東山の視線は冷たい。
東山は現実主義者だ。だから今目の前の光景がどんなものか知っている。
だが、何処までもこの幻想的光景には排他的感想しか持てなかった。

ご案内:「常世博物館【イベント:「地下収蔵庫整理」】」に藤白 真夜さんが現れました。
藤白 真夜 >  
 常世博物館地下収蔵庫整理。
 言葉にすると仰々しく見えるけれど、やることは大掃除に似た――管理品に聖遺物めいたものから呪物同然のモノまで、全てを洗いざらいチェックして封印しなおして片付ける、そんな年末の大仕事だった。
 大掃除と違うところといえば、怪異が湧き出したり封印が漏れて“ナカミ”が溢れたり異物が適格者を見つけようと暴れだしたりと、結構な危険があること。
 一応、ほんの一応――祭祀局の一員である私も、この人手不足に呼ばれていた。
 禁書庫では本を運ぶ雑用だったけれど、今回は割とちゃんとした理由と目的があるのです……!

 遺物を傷付けないよう、黒い手袋を着けてガラスケースから取り出して、真っ赤な布の敷かれた儀式台に載せる。
 杖。
 鋏。
 槍。
 三つ並べたそれらは、ひどく古ぼけて見える。
 三つ合わせてある似通った属性を持つ祭具だとのことだったが……手入れというより、有る種の信仰を求める神器としての属性も垣間見えるとのことで、“巫女”の代替を出来る人間を探していたのだそう。
 つまり、信仰の途絶えた祭器に正しく祈りを捧げること。
 神にとって信仰は、樹々にとっての雨水に等しい。
 花が枯れぬように水を注ぐ。それが私が今回呼ばれた目的だった。
 ただの巫女では資格者が酷く少ないのだそうなそれは、私にはぴったりの仕事。

「――冥き、死よ。
 ――冷たき別れよ。
 ――物言わぬ安寧よ。
 闇夜を憩う死の眠りに、どうか祈りを。
 静かなる帳を授けたもう――、」

 儀式台の前に跪き、両手を重ね祈りを捧げる。
 女の周りに浮かび上がった赤い魔法陣が、ふわりと浮き上がり赤い砂に代わり――赤い光とともにふつふつと消えていく。
 それと引き換えに、古ぼけた祭具がどこか艷やかさを増していき――

 ばぢり。
 
 順調に事が進んでいたように見えた儀式はしかし、杖が赤い光を弾くことで終わった。
 弾いた赤い光は、ぱしゃり、と床に血に戻り……こぼれた。
 幸い、何か異変が起きたわけではない。
 杖も、赤い光を弾いたにも関わらず他の祭具と同じくどこか“落ち着いた”雰囲気に戻っていた。
 むしろ私が気が気でなかったのは――

藤白 真夜 >  
「ご、――ご、ごめんなさい……!
 何か汚したり、しませんでしたか……?」

 作業を見ていた男性の足元に、その血が飛び散っていたこと。
 靴やズボンに血がとんだかは、わからない。
 しかし、それが染みになっていてもいなくても、あっという間に赤い砂になって跡形もなく女の体へ戻っていった。