2020/06/09 のログ
ご案内:「委員会街」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 委員会街の外れ。
日も傾いた夕暮れ時……平時なら白一色の筈の外壁も、今は茜色の夕日で真っ赤に染まっていた。

風紀委員会特別補習棟。
天に聳える門柱に支えられたゲートがゆっくりと開き、鈍い擦過音と共にその巨体が左右に引きずられていく。
分厚い鋼鉄の扉の向こうから現れた人影は三つ。
二つは黒いフェイスシールドで顔を隠した風紀委員。
そして、最後の一つは。

「夕日を見るのも久しぶりね」

両手に手枷を嵌められた、制服姿のブルネットの少女。
日ノ岡 あかね。

日ノ岡 あかね > 元違反部活所属女子生徒。
だが、その違反部活も一年前の強制査察によって取り締まられ、壊滅した……今はどこにも存在しない。
そこの最後の生き残り……日ノ岡あかねは猫のように目を細めて、静かに口元を歪めた。

「そろそろ、このお洒落なアクセサリも外してくれるのかしら?」

風紀委員に軽くそう話しかけて、くすくすと笑う。
だが、風紀委員たちは返事をしない。
事務的にあかねの腕をとって、淡々と手枷の鍵を外した。

「ありがと」

あかねの方もそれに気にする素振りもなく、ただ普通に礼辞を述べた。

日ノ岡 あかね > 風紀委員たちはそのまま、ただ平坦に書類を読み上げる。
読み上げられる内容は回りくどく、堅苦しい言い回しばかり。
曰く、補習終了による復学の旨を淡々と。
曰く、今後委員会の監視下にて自由行動を許す旨を淡々と。
曰く……異能の全面的な使用制限の旨を、淡々と。

その一つ一つに、あかねは笑顔で頷いて、いちいち返事も返すが……相変わらず、風紀委員から返事が返ることはない。
風紀委員たちは終始その調子で書類を読み終えると、そのままゆっくりと後退し、ゲートの向こうへと消えていった。
あかねに、一度も背を向けることもなく。

「お仕事、おつかれさま」

その労いにも、やはり反応を返すことはなく。
ただ、ゲートは閉じられた。
最初のように、ゆっくりと。


「最後までつれない人達ね」

ゲートが閉じる瞬間まで見届けて、あかねは一人呟いた。

日ノ岡 あかね > 風に流される髪を軽く右手で抑えながら、あかねもゲートに背を向ける。
眼前に広がっているのは、黄昏時の常世学園。
一年振りの、外の世界。

「さて、これからどうしましょうか。急に自由にしていいって言われても……少し困っちゃうけど」



「楽しみね」

ご案内:「委員会街」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁」に四方 阿頼耶さんが現れました。
四方 阿頼耶 > 「(さて、と…)」

彼がここに来る場合の理由は大きく分けて3つある。
1つは、暇潰し。
2つ目は、公安のお偉方から逃げてきた時。
そして3つ目は……面倒な仕事が舞い込んできた時。

今回の理由は…3つ目であった。

「丁度いい人材はいるかなっと…」

左手で、奇妙な形の賽子の入った透明な袋を手持ち無沙汰そうにポンポンと上に投げてはキャッチを繰り返しながら辺りを見渡す。
明らかに風紀委員に見合わないプー太郎だろう

四方 阿頼耶 > 周囲を見るが持ちこんだ案件を託せるような相手は見当たらない。
今回は事が事、迂闊な相手に今のタイミングで関わらせたくはないのが本音だ。

「(しょーがない、別のトコで探すとするか)」

そう思いながらその場を後にするだろう。

ご案内:「風紀委員会本庁」から四方 阿頼耶さんが去りました。