2020/06/22 のログ
ご案内:「委員会街」に修世 光奈さんが現れました。
修世 光奈 > 「うーーん…」

委員会街の、それも風紀委員の本部近くで、一人の生徒が唸っていた。
先日、風紀委員との関わりがあり…その相手が"善行"を行いたいと言っていたから、自分の趣味に付き合ってもらったのだ。
けれど、その相手の様子から、きちんと報告しているのか不安になり…こうして確かめに来たのだ。
しかし…

(しまった…先に連絡入れておくの、忘れた…勝手に入っていいのかなあ…)

当然ながら、人の出入りはあるものの。
それらは風紀委員の関係者だろう。
光奈もそうであれば、気兼ねは無いのだが、残念ながら無所属だ。

組織というのは、組織外の人間にとっては入りづらい。
それは、闊達な光奈であっても同様だった。
無いとは思うが、怒られたりするかも…という不安がぬぐい切れない。

「ううーーーん…」

ただ、こうしてうだうだしている訳にもいかない、と。
覚悟を決めて一歩、踏み出すも、一歩下がり。

風紀委員の入り口で、結局うだうだしてしまっている。

ご案内:「委員会街」に園刃華霧さんが現れました。
園刃華霧 > 「らったっター、アッたったー……」
調子外れもいいところの、なんだかよくわからない鼻歌を歌いながら女が歩いている。
今日はたまには顔を出せ、というありがたーいご意見をいただいたために、本部へとやってきたのだ。

「ン、お?」
そして、見つける人影。
なにやら用事があるのか、入口あたりをうろちょろとしている。
普通に考えたら客(?)だろう。
まあ仕事として声の一つもかけておくか……

「ドーモ、不審者サン。なニしてンの? 爆破計画とカ?」
にやにやと、人の悪い笑みを浮かべながら声をかけた。

修世 光奈 > 「うぇっ!?」

悩んでいると、流石に怪しまれたのか声をかけられる。
慌ててそちらを振り向けば…風紀委員らしくない雰囲気の人物が目に入る。
つい、乙女にあるまじき声をあげてしまった

「あ、いや、ええと、風紀委員の人…?」

風紀委員の制服を着崩しているから、すぐには目の前の相手が風紀委員であることは飲み込めず。
つい、疑問形で返してしまう。

「ち、違います!ちょっと、報告があっただけで…でも、えっと、少し入りづらくて…」

反論した後…あはは…とあいまいに笑ってそう返答する。

園刃華霧 > 「はイはーい、この制服が目に入ラぬカーって、ホントに入ったら怖いネ。
 そうダよ。風紀屋サんだヨ。」

どーだ、と割とドヤ顔で風紀の赤い制服を見せつける。
どこからどう見ても、それっぽくは見えない。

「報告? はハァ……なンか事件? 入り辛イってコトは、なーンかやラかしチャった系?
 大丈夫 風紀 怖くナい 素直に 白状 しよう」

けらけらと笑いながら、ただでさえ片言っぽい喋りを更におかしくして自首を勧めてきた。
本気なのか冗談なのか、いまいちわからない調子である。

修世 光奈 > 「…………」

信用してもいいのかな…という疑惑の眼になっている。
ただ、彼女のカンが、この人はどのような形であれ、ある意味『探している』風紀委員であることを告げていて。

「いや、別に事件って程でも…って!なんでさっきから私が犯人であること前提なんですか!
ちーがーいます!、わたしは、悪いことはしてま…、してません!」

少しどもった。
探し物のためとはいえ、私有地に少し入ったりも覚えはあるため、真っ白、清廉潔白とは言い難い。
そのため、怯んでしまったのだ。

「ええと……キッドさんってご存じですか?、実はその人に助けてもらって…それがきちんと、報告されているかどうか、気になったんです」

話を逸らしつつ…委員会の中とは言え、知らないかもしれないが、一応名前を出して、目的を告げよう。
少し頬は膨れて怒っているが…できるだけ丁寧に、けれど元気よく声を出していて。

園刃華霧 > 「ハッハッハッ、疑ってルなー? うン。うさンくさイよネ―、知ってル。
 自分でも似合わンなーとハ思ってるヨ。」

疑惑の眼差しを涼しい顔で受け流す。
大物なのかなんなのか。

「うはハ、悪イ悪い。 ねーサんがあンまし面白イ動きしてルからサー。
 ちットしたジョークだったンだ。すマんネ。」

からからと笑いながら謝った。
いたずらっぽい笑顔である。
どもった点については、気づいているだろうが特に触れることなく流していた。

「アー……キッドなー。あいつ、報告って―ト書いてる文は大抵謝罪文、みタいな悪ガキだシなー。」

自分のことは棚に上げて、他人をくさす。
人から見ても、おまえ、人のこと言えそうなやつか?という感じはあるだろう。

「なに、ネ―さん。アイツに助けラれたンだ。そレって報告必要な内容なン?」

ほほう、と興味深げに問いかける。
仕事、というより個人的好奇心といった風情であるが。

修世 光奈 > 「―――――……」

(もしかしたら、風紀委員ってこういう人しかいないのかな………)

疑いを持つ一般女子生徒だった。
何せ今まで会ったのが煙草を吸う人と、制服を着崩した胡散臭い人だ…そう思うのも無理はない。

「あ、知ってた…んですね…。…その、あなたも大概だと思います」

よかった、と言いながらも…良心によって抑え込んでいた暴言の一部をつい吐き出してしまう。
見た目から言えば、この相手も中々に悪ガキっぽい雰囲気だ。
この辺りは、実直な性格故。

「ええと…大事ではない、んですけど、ちゃんと、キッドさんが評価されてるかなって…
助けてくれた人が、褒められてないのは、ちょっとなーって…思っただけ、です
もう、キッドさんが報告してるなら、大丈夫なんですけど…」

それほど大した事件ではないようだが…恩人の事が気になったようだ。

園刃華霧 > 「ン、ゆーめー人だヨ、アイツ。始末書ランキングじゃトップランクに入るンじゃ無い?
 ひヒ、ご名答ー! ヤツとは始末書の数で争う仲さ……!
 ネ―さん、よくわカってルじゃン!」

気を悪くした様子もなく、むしろ名誉のことであるかのように
キメ顔とキメ声で語る女。
どう考えてもダメなやつである。

「ァー……そーゆーコト。ネ―さん、優しイのネー。
 それナら、悪いこたー言わン。報告した方がいいヨ。
 あーいつ、アレで照れ屋だカんナ。そんな報告、こっ恥ずカしクてゼッテーして無イナい。
 ちな、よかッタら何あったノか教えテ?」

あー、そりゃだめだー、と大げさに両手を広げて答える。
知っている仲ではあるが、そこまで勝手に人の分析をしていいのか。
だが、そんなことは関係ない。面白そうな話には乗らないと。
そう、このビッグウェーブに。

修世 光奈 > 「あー……、それって、風紀委員としてどうなんですか…」

やっぱりそうなのか、と何処か納得した。
一応、治安を守る側のはずなのだが。
始末書を競い合っていていいのだろうかと。
ちょっとだけ、風紀委員に対する考え方が変わった。

「照れ屋…、あはは、流石同僚さんですね。
ああ、えっと…私は光奈(コウナ)です。入れてくれるなら、もちろん、報告しますよ
って言っても、本当に大したことは無くて…」

と、一息入れてから。

「実は私、よく探し物の依頼とか受けるんですけど…たまたま、キッドさんに会って。
"善行"を積みたいって言われたので、ネコ探しを手伝ってもらったんです。
結局、私じゃなくてキッドさんがネコを見つけて、捕まえてくれたんですよ。
…小さなことですけど、依頼してくれた人も、いっぱいありがとうって言ってくれてたので、それを伝えたいなあ、と…


ぺらぺらと、機嫌よく話し始める。
報告してはこれでも十分だが、少女からは感謝の気持ちが溢れている。

園刃華霧 > 「ナーに、アタシやアイツみたいな不良ハそんないナいよ。
 そうイう意味じゃ、レア引きシてルね。大ラッキー!」

いや、本当にそれはラッキーなのだろうか?
だが彼女はまるで福引で上位の賞品を当てたかのような祝福をした。

「お、トと。こりゃ失敗、名乗ってなカったネ。アタシは園刃華霧。
 ちナみに、受付のおネ―さんはそりゃ美人でやっさシーし、話しヤすいから、気兼ねナく入ってナ。」

アタシとは大違い、とゲラゲラ笑う。
そこは笑うところなのだろうか。

「はー、ハー、はー……”善行”……ブふ」

一瞬、吹き出しかけるが寸でところで堪える。

「探しモの、ネ。場所は? 流石にブッソ―な場所じゃナいよネ?
 それにしてモ光にゃんは、やっぱやっさシーからソういウの頼まれやっスいんかネー。
 なるほド、なルほどー。しかし、”善行”カー……しかも、猫チャン探し。いヤ、そりゃ。ますマす、絶対報告、シてないワ。」

感謝の気持がよく出ている話を、うんうんと聞いている。
ついでに、なんか謎なあだ名を付けていた。
ああ、こりゃこっちはガチのお人好しで……向こうは、きっとなーんかあるんだろーなあ。
とか思うが、同時に面白そう、とも思う。

修世 光奈 > 「い、いやいや、風紀委員ってもうちょっとこう、こう…!」

警察みたいなイメージを持っていたから。
"アタリ"とは言え素直に喜べなかった。
相手の態度に引きずられ、段々と丁寧な反応は剥がれていく。

「そのば かぎり…?……、本名ですかー?それー……
…キッドさんも本名じゃないでしょうし、もしかして、風紀委員ってそういう決まりでもあるのかな…」

けらけらと笑う来やすい雰囲気に釣られて、冗談ぽく、怪しいモノを見る目で疑う。
歯に衣を着せず、素直な反応を返して。
風紀委員は偽名を使うのが普通なのかと考える。
もちろん、それが本名であった時には全力で謝るだろうが…

「光にゃん…、あ、えっと、探したのは、学生通りから西側です。
ちょっと"外側"ですけど、大丈夫でしたよ」

――少なくとも、彼女は大丈夫だった。
けれどその時、キッドと呼ばれる風紀委員がガラの悪い者たちと遭遇していたことは知らない。
そう軽く話しつつ、光にゃん、というあだ名には苦笑いしたが、受け入れ。

「依頼は…週に4つくらい、かな。物とか、人とか。色々…
これでも、達成率は結構高いんですよー」

自慢げにそう言いつつ、委員会の本部の中へ進んでいこう。

園刃華霧 > 「色ンな人材が居テこそノ、風紀委員サ。
 過激ナのも、イーかゲンなのモ、よく考エるのも。
 色々、いナいと、平和なンて案外守れンもんダよ。」

ひひひ、と笑いながら返す。

「本名、本名。嘘っぽいケド、マジマジ。多分」

怪しいものを見る目にも、臆することなく、気を悪くするでもなく。
逆に軽い調子で返していく。

「ァー……外。 気をツけナー。境目あたリで変なコトするノは、あンまいないケド。
 でもマ―、バカってーノはバカだカらバカなンだシさー。うっかリ、大事な一線忘れルことモ、あるカんネー?」

相変わらずの軽い口調だが、ほんのり真面目トーク。
一応、仕事はしているのだろうか。

「おー、そりゃスごい。たいシたもンだナ―。今度、アタシもなンか探しテもらオーか。」

うまい飯とかー、となにか探しものの意味が違ってきてることをつぶやいていた。

「よシ、よし。光にゃん。ぜひぜひ、キッドくんの大活躍を語ってホしい。
できれバ、あれヤこレやと詳しク。哀れナ猫チャンを救うたメにかけマわッタ彼の姿が、皆の心に残るヨーに!」

そして、なんだか真摯に訴えてみた。
このエピソードが全員に伝わって、さらに彼の知るところになればどんな顔をするだろうか……今からすっげー楽しみ。
できるだけ、とても優しく素敵なエピソードになれば最高だろう。

修世 光奈 > 「あーやしいなあ……、じゃあ、キリちゃんって呼ぼうかな」

とは呟くものの、くす、と声を漏らす。
光にゃんに対抗して、あだ名をつけ返しつつ。

「それ、キッドさんにも言われました。
なんか気を付けろよ、的な。
でも…これでも、逃げ足は自信があるので!」

逃げ足、と言っている時点で戦える異能や魔法をもっていないことは伝わるだろうか。
それでも…"趣味"のためなら、と意気込んでいる。

「あはは。いーですよ。カレシとかは無理ですけど、美味しい喫茶店とかは探せますし」

楽しく会話しながら、歩き、報告の時間だ。
自分が感じたことを伝えていこう。

「えっと…まずは、学生通り近くの公園に行って――…
そこで、何かしてくれてたみたいなんですよね。
じ、としてましたけど、なんだか一瞬苦しそうにしてたし。異能かな…。
で、その後に西側の通りに行って――」

詳しいところはわからないが、何かしら手伝ってくれていたであろうことを一先ず伝え。

「それから、裏路地で猫を見つけて、追いかけてもらって。
私は先回りしてキッドさんと挟み撃ちにして、捕まえようとしたんですけど…何故か先に捕まえてて。
それで、ええと、わからないことだらけなんですけど、腕を掴まれて、ちょっと走って。
結局、猫が火傷してて…、ほら、キッドさんって煙草吸ってるから、もしかしたらその火傷、キッドさんのせいにされちゃうかもって気にして、そのままどっか行っちゃったんです。
その前にも、お礼を言おうとしたら、帽子で顔隠しちゃうし…、変だけど、優しい人ですよね、キッドさん。
善行のためーとか言ってましたけど、あれ絶対嘘ですよー」

ぺらぺらと、イイ事だからか、口が軽い。
要領が良くない、あまり整理されていない報告だが、詳しいところは伝わるだろうか。
最後は、あははー、と笑って。
相手がキッドとどんな関係かは知らないが、面白い話になるかどうか。

園刃華霧 > 「キリちゃん……うッハ、マジか。ちょット新鮮体験だワ……」

うへ、と変な笑い声を上げる。
どういう意図かは伝わらないが、不快ではなさそうだ。

「ン―……ま、表っかワ近くナらソレでモいーか。
 あーンま奥へは行くナよー? 探しものシてるつもりガ、探しものにナりまシた、なンてシャレにならンからナー。”趣味”なラ、”趣味”程度でナ」

逃げ足、などと割とかるーい調子の相手に、ちょっとしたブラックジョークを返す。
一線だけ間違えなければいいかな。

「や、カレピとかは、いいカな……光にゃんはもう自前で持ってソ―だが。
 うン、旨い喫茶店とかサイコーね」

ひひ、と下世話な笑いを浮かべつつ
話には耳を傾ける

「おっホ―、思ったヨり濃密……
 なーンだ、アイツ。割とガッツリ手伝ってルじゃン……
 ますますおもし……ん、ン。ますます、報告スべきだな、ソレ。
 ぜってー隠しテるし。ひょっとシたラ、その手伝イでサボり扱イされタ案件とカもあったカもしレん。
 名誉挽回のチャンスをあゲないト!」

ものすごく、真面目くさった顔でいう。
こういう時の彼女はだいたいろくなことを考えていないのだが、付き合いの浅い人間はどこまで読み取れるか。

「マー、優しさ半分、照れ半分……テとこかネ。”善行”、もマ―、なんか事情アんのカもナー。完全に嘘でもナいかモ?
 流石に、一目惚れ、トかは深読ミすぎ、だローけド……ふーン。」

ふむー、とちょっと考えたりする。
まあ、深く考えてもどうせ何も結論は出ないだろうけれど。

修世 光奈 > 「はーい。キリちゃん」

忠告は、受け取る。
流石にどういった場所かまではよく知らないが。
出入りしないように、と言われている場所にわざわざ入る道理はない。

依頼も、そっち方面へ行く依頼は無視していた。

「えー、いやー…カレシいないよー。サミシー身の上で…」

ヨヨヨ、とわざと悲しそうな表情を作って。
いつも走り回っているから仕方ないと言えば仕方ないのだけど。
恋愛にはとても興味があるけれど、中々機会がない。

「やっぱりですか!あの態度から、絶対自分ではマトモに報告してないなーって!
それにそれに、私の評判が傷つくから…とかも言ってたかな。
そんなの気にするなんて、やっぱり優しいですよねー」

ころころと、次はゆるーく怒ったように表情を変える。
どうやら去り際は相当さっぱりしていたらしい。

もちろん、会ったばかりの彼女は、ろくでもないことを考えていることなどわからず。
制服を着崩している割に、しっかり話してくれるなあ、と感心しているところだ。

「照れ…、それも、やっぱりですか…。うーん、なんだったかな…天使?違うえーと…誰かに怒られるって言ってたよーな…
キリちゃんは知ってる?なにかこー、キッドさんの同僚か上司かだったと思うんだけど…」

何しろ、数日前の記憶だ。
細かい言葉まで詳細に覚えてはいないが。
報告に、少しでもプラス点を加えられれば、と頑張って思い出して報告を続ける。

園刃華霧 > 「へいへい、光ちゃん。せーぜー、シクよろナ。 
 あーラら、そらマたサビし―ことデ。
 いっそ彼氏探しデもしタら良いンじゃないノ?」

けたけた、とあまり真面目ではない様子で笑って言う。
こちらは、恋愛とか正直あまり興味がなさそうにも見える。

「ンー……あー、ナーるほろ。」
 
『腕を掴まれて、ちょっと走って。
 結局、猫が火傷してて…』
ふと、彼女が話していた内容を思い出す。
そして、ようやくなんとなくだが状況を把握して納得する。

「あーアー……アー……そーダな。優シーな、そいつァ。
 ちなミに、猫ちゃんの火傷、その後へーきダったン?」

さり気なく問う。この辺が多分ポイントだったりするかもしれない。

「天使……ヤー、悪い。さっぱダわ。というか、アイツさー、ほら。
 ナ―んか、キザったらし―例え使うジャん?
 だかラ、アイツのセリフだといまイちわっかンねーのヨ。」

お手上げ、のポーズをしてみせる。
割と真面目にコレはお手上げであった。自分が本気で知らない可能性もある。

「マ、大丈夫大丈夫。どウせ、みンなで共有スればその上司だか同僚にもきっト伝わるサ。
 光ちゃんの思いもサ」

修世 光奈 > 「えー…カレシかー…、いやー…どうなんだろう。そういうのもありなのかなあ…」

少し照れながら、うーん、と悩む。
でも、それはそれでありかもしれない。
そんな考えが、芽生えたのだった。

「あ、猫は…ちょっと、危なかったみたいです。
いや、死んだりはしなかったんですけど、…なぜか、…少し間違っていたら歩けなくなってた…とかで。
この街の良いところに感謝ですね。猫は飼い主さんと一緒に病院で治療を見てから、飼い主さんに渡しました」

異能や魔法が溢れているこの街では。
そう苦労することも無く、重症でも治せる病院も見つかった。
良いところ、とわざわざ言っていることから、ある程度はアタリを付けているのかもしれないが。
あいまいに笑って、それを誤魔化す。

「あー…確かに、滅茶苦茶口説かれましたよ、そういえば。
えっとー…プリンセス、とか、アンタほど輝く女はいない、とか…。
風紀委員でもそんなこと言ってます?」

キザだ、という言葉から更に思い出し、ぷんすこ!と…まんざらでもない怒り方。

「じゃあ、キリちゃんにしっかり伝えてもらわないと。
大体、これくらい…かな?、どうでしょ、キッドさんにとってプラスになりそうですか?」

園刃華霧 > 「そらなにヨり。アタシは見てモいなイけど、猫ちゃんが不幸なメに会うってノは心が痛む。
 ソーだナ。ここハ、いーところモあれバ、わっるーイとこもアる。
 ま、うまく折り合ウってノが賢い生き方っテもんダ」

なんとなくは察しているのだろうか。
そう当たりをつけるが、まあ無粋なことはしない。
手を適当にひらひらさせて、なんとなくの人生観を語る。

「うッワ、ごめん、予想以上。
 いヤ、普段からソんな調子だケどナ。
 けど、そこマで言ってルとは思わンだワー……」

まんざらでもなさそうなので、ちょっと特別感をプラス。
いや、実際問題、そこまでは普段言ってない……と、思う。確か、多分、きっと、おそらく。

「エ。アー……うン。やっぱアタシ? アタシが報告すル?
 マジで?」

あ、しまった墓穴堀った。面倒な仕事が一個増えてしまった。
かといって、流石にコレを無下にするワケにもいかないし。
いや、まだ受付に丸投げするという技が残っている……か……?

「と、うん。ま、話とシてはプラスもプラスだヨ。
 一般生徒の困りごとを助ける、なンてのはネ。」

ただでさえ、最近「タイヘンフメイヨ」な事件があったばかりだ。
イメージアップできるなら喜ぶ連中も多いだろう。
なにより、普段ロクデナシな奴がやってるなら尚更だ。

修世 光奈 > 報告の時はできるだけ真面目に言葉を作るが、語調は軽く。
たまたま、ではあるが軽い雰囲気の風紀委員と会えたことで報告自体は気軽にできている。

「こう、茶色の小さめの猫で…、もーほんと可哀そうだった…
でも、もう治ってるらしいから、安心、かな…」

えへへ、と嬉しそうに笑い――

「うーわ、やっぱり普段からなんだ…
っていうか、そこまで言っておきながら、胸が無いから趣味じゃないとかいうんですよ!
そこは、私の代わりに怒っておいてくれると、嬉しいです!」

敬語と砕けた言葉を混ぜながら憤慨する。
確かに、制服に包まれた光奈の胸部は慎ましい。
せっかく演出した特別感もプラスになったかどうか。

「あ…ご、ごめん。えっと、キリちゃん、話しやすくて、つい。
私は、手伝ってくれた人がきちんと褒められたらそれでいいから…
プラスになるなら、良かった」

ぱたぱたと手を振って、無理に相手自身が報告しなくてもいいと。
彼女の目的は、あくまでその報告がきちんと届けばいいのだ。
そして、プラスになる、と言われればほ、と息を吐いて。

「安心した。これで、心おきなく依頼に戻れるよー。
ちょっともやもやしてたから。ありがとー」

同い年くらいだよね…?と今更ながらに思いつつ、にぱ、と満面の笑みを見せて。

「…あるのかわかんないけど、キリちゃんにも仕事があるかもーだから、私はそろそろ行こうかな…
えと、どういう形でもいいから、報告、よろしく!」

最後にぺこ、と頭を下げて。
特に追加の質問が無ければ、靴先を出口に向けよう。