2020/06/30 のログ
ご案内:「委員会街・大通り」に幌川 最中さんが現れました。
幌川 最中 >  
「手相~。手相占いはいらんかね。手相。手相占い~」

突如、洒落た雰囲気の委員会街の路上で、路面にブルーシートをひいた男。
ワゴンでやたらお洒落な昼食を販売している学生が並ぶような一角。
壺を片手に、地面に座り込んでダンボールに「占います」の文字とともに笑っている男。

「あと……こうなんか、ほら、相性診断とかも」

女子学生はやや怯えの混じったような視線を向けたり、
男子学生は笑ったり指をさしたりと散々な有様だが気にする様子はない。

「いらんかね~」

商業活動の許可を取ったのか、とさっき聞かれたので、自分で書いた許可証を見せた。
一応許可証なので書類的には通るものの、多分そのうち怒られる。
いまかぎり、泡沫の夢のような「占い屋」がここに爆誕していた。

ご案内:「委員会街・大通り」に織機 雪兎さんが現れました。
織機 雪兎 >  
「……あんこセンパイなにやってんですか?」

最近日課にしている射撃練習の帰り。
自分の拳銃は持っていないので、風紀に届けを出して備品の拳銃を借りていた。
それを返すために来たのだが――センパイがなんか怪しげな占いをやっている。
めっちゃ怪しい。

「占い? あんこセンパイ手相見れるんですか???」

物凄く胡散臭いものを見る目。
しかもブルーシートだし。
うさん臭さが天元突破している。

幌川 最中 >  
「書いてあんだろここに。
 雪兎ちゃん日本語読めないのかあ~?」

占いますの4文字がきったねえ字で書かれている段ボールを見せる。
手相見れるんですか???の煽りにそっくりそのまま煽りを返した。
死ぬほど大人げない。

「手相見れるよ。あと……前世とかも。
 あっそこで見てるみんなもね~。俺今日占い屋さんだから。
 悩み事とか彼氏になってほしいとか付き合いたいとかあったらね。
 この機会に是非ね~」

やや人だかりになっている周囲を見回してからへらへらと笑う。

「雪兎ちゃんが足止めたってことは見てほしいわけ?」

手のひらを見せる。

織機 雪兎 >  
「いや見ればわかりますけども」

そんな煽りされても。
そもそもそう言うことじゃない。
何をやっているのか、と聞いたのではなく、なんでそんな怪しげな占いの露天やってるんですか、と聞いたのだ。
大人げねぇなこの人、なんて思いながらドン引きの顔を見せる。

「マジすか。あと彼氏は要らなくて彼女が欲しいです。あと通りすがりの女子生徒をナンパしないでください」

どの口が、と言われそうだが風紀としては多分真っ当なことを言って。

「いやまぁ……興味は、まぁありますけど」

とりあえず見てくれると言うのなら見てもらおう。
彼の目の前にしゃがみ、手のひらにこちらの手を乗せる。
ぱんつが見えるかもしれない。

幌川 最中 >  
「は~~~~?
 見てわかること聞いてどうすんだよ。
 雪兎ちゃんは幌川さんに構ってほしかったってしっかりさあ~」

と冗談混じりに言いながら、真面目な表情を浮かべ。

「クーリングオフは適用してないし1回1500円な」

そんじゃあ、と言ってから重苦しい溜息をつく。

「雪兎ちゃんパンツ見えてるから。
 男はなァ~~!! 安いパンツに興奮なんてしねえからはやくしまいなさい。
 お母さん雪兎ちゃんがお嫁にいけなくなるんじゃないかって心配ですよ」

「で、何か悩みでもあんの?」

織機 雪兎 >  
「くっそこの先輩……! そんなんじゃないです! ていうかそもそも聞きたかったのはなんでここでそんな胡散臭い占い屋なんてやってるんですかってことで!」

なんかムカつく。
別に言い負かされているわけじゃないはずなのに言い負かされてるような気分になってくる。
歳の差による経験の差か。

「たっか! なんすかその値段ぼったくりじゃないですかぁ!」

むしろ占い屋としては安いのかもしれないけれど、普段そんなものと縁のないジョシコーセーにとってはぼったくり以外の何物でもない。

「ッ!!! ……ぱんつみたから五百円で」

ばっと空いた手でスカートを抑える。
そしてこれ幸いと値引き交渉。

「えっ!? なんでわかるんですか!? ほんとに占い出来るんですねあんこセンパイ!?」

そして「何か悩みでも」と言うお決まりの言葉にあっさり騙される頭ぱーぷりんであった。

ご案内:「委員会街・大通り」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 「じゃあ、私占って貰ってもいいかしらぁ?」

ニコニコ笑いながら、雪兎の後ろからぬっと顔を出してくる女が一人。
元違反部活生の風紀委員。日ノ岡あかね。
 
「ユキちゃんも一緒に占ってもらいましょうよ、後輩二人セット割引とかきっとあるはずよ。なければ今作ってもらいましょ?」

そう、少なくとも一方的に雪兎の名前を知っているあかねは笑う。
当然、ずっとニヤニヤ笑いながら、横目でチラチラと最中を見ながら。

「はい、先輩。二人でこれでいいかしら?」

そういって、紙幣二枚と大きな硬貨一枚をぎゅっと握らせる。
硬貨一枚分値切る気満々。

「ね? おねがい、モナカ先輩」

最中の目をみて、満面の笑みを浮かべた。

幌川 最中 >  
「理由がなかったら占い屋さんやっちゃいけねえ理由ある~?
 内緒だよ内緒。占い師がミステリアスじゃなかったら終わりだろ。
 そういうイメージ戦略、が、あるんですけど~?」

後輩を遠慮なくからかいながら、ぼったくりとはなんだ、と返す。
じっとりとした視線を向けてから、やはりこれは伝わってないと改めて。

「パンツってのはね、雪兎ちゃん。
 1000円で済むほど安くしちゃあいけないんだよ。パンツはね。
 それじゃあ1000円程度のパンツの価値しかない女になっちまうから」

神妙にそう言ってから、ありがたく騙されている後輩に乗っかる。
だろうそうだろうと言わんばかりに。

「君らより10年くらい長く生きてたらわかるようになるんだって。
 はいあかねちゃんもいらっしゃい。女の子ってやっぱ占い好きだねえ。
 もうその値段で構わんけども、金の使い方をもっと考えなさい。
 どこからどう見ても完全に無駄遣いだからな」

「で、占い師のあんこセンパイに何を教えてほしいって?」

織機 雪兎 >  
「ミステリアスって言うか……」

なんていうか怪しい中国人みたいな信用しちゃいけない感じの感じがする。
センパイだから信用するけど。
ちょっとは。

「えっじゃああんこセンパイがお金くれてしかも占いまでしてくれるってことですか?」

なんだじゃあぱんつ見せ放題じゃん。
とは思わないが、つまりはそう言うことになる。

「ウヒョエッ!! ――び、びっくりしたぁ……」

そして唐突に横から顔を出された。
いつの間に後ろに。
いや気配なんて察知できないけど。

「そ、そうだー、後輩割引――それあんこセンパイがいう!?!?」

思わぬ援軍を得て更に値切ろうとしたら無駄遣いするなと言われた。
吹っ掛けてきたのはこの人だろうに。
ていうかマジでぼったくりかよ。
なんだこの先輩。

「――いや、まぁ。なんていうか、こう……このままでいいのかなぁ、って思ってまして」

日ノ岡 あかね > 「このままでいいのかな、って、将来の不安ってこと?」

小首を傾げながら、雪兎の話題に乗る。
楽しそうに笑いながら、最中に視線を向けて。

「ほら、先輩ここは後輩に先輩ポイント稼ぐチャンスですよ?」

にやにやと笑ってそのままパス。
自分の占いは後回しでいいらしい。

幌川 最中 >  
「出来の良い後輩を持つと違うねえ」

シュート決められるのにわざわざこっちにパス回してきおった。
後輩に先輩ポイント稼ぐじゃなくて、先輩に後輩ポイント稼いでんじゃねえ。

そう言おうかと思ったが、恐らく3倍の物量でいじめられると思ったのでやめた。
あかねちゃんはからかおうとすると人の足元掬って池に投げてくるし。

「このままでいいのかなぁって?」

手相を見ている。
なんか線がめっちゃ多いな~。やっぱ女子って手ちっせえな~。
なるほどね。それなりに手仕事とかすんのかな。真面目そうな手。

「いいわけねぇだろ。ここにいいわけねえだろ線入ってるよこれ」

適当に手相を示す。
なんか多分これは生命線だった気がするけど多分よくない気がする。

「だって人にそんなこと聞くってことは、
 少なくとも少しはよくないって思ってるから人に聞いて確かめんだろ?
 ま、もしくは『いいよ』って言われたいからかもしらんけどもさ。
 雪兎ちゃんはどっちだった? 今を肯定されたかった? 否定されたかった?」

全然手相占いじゃないけど。手相占いのテイを一応はとってこそいるが。
こんな委員会街のど真ん中で露天商をしている理由。
小難しい話の相談相手のいない、委員会所属の生徒のケア。生徒指導部の仕事である。

織機 雪兎 >  
「や、将来の不安と言うか、そうとも言えるしそうでないとも言えると言うか……」

将来の事と言えばそうなのだが、進路についてとか学校を卒業してとかそんな遠い未来の話ではない。
いやその辺も割と遠くないっちゃ遠くないんだけども。

「えっなにそれいいわけねぇだろ線!? そんなんあるんですか!?!?」

見事に騙されて必死で手のひらを凝視。
からかわれるなんて思いも付かない。
頭ぱーぷりんだから。

「そ、そう言われるとそうかもしれないんですけど……」

人から言葉にされればそんな気がしてくる。
基本的に何も考えずに生きているので適当である。

「――えっと、僕風紀に入ったのって女の子にモ――カッコイイな、って思ったからなんですけど。この間ちょっと、なんて言うか、言葉に出来ない感じの事故と言うか、ありまして。それで、なんか、こう……ノリ?っていうんですかね、そんな感じで風紀委員やってていいのかなぁ、って。いやまぁ今改めて考えれば良いわけないんですけど、方向性と言うか、どういう風紀委員になればと言うか、目標と言うか……」

しどろもどろ。

日ノ岡 あかね > 「言葉にできない感じの事故?」

最中の戯言は笑うだけで済ませるが、雪兎の言葉には目を丸くして、首をかしげる。
興味深そうに小さく何度か頷いてから、あかねは目を細めた。

「カッコいいって思って入るのは立派な動機だし、それで行動できてるなら私はとってもいい事だと思うけど……それに、どんな風紀委員になるかは自分で決めていいんじゃないかしら? それこそ、麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員だっているんだし」

最中をみてニヤニヤと笑いながら、雪兎の悩みに頷く。
どこか、愛おしそうに。

「ね、先輩? 事故とかは私は知らないんだけど、先輩はこの後輩の悩みにどう答えてくれるのかしら? 私、とっても興味があるわ」

両手を合わせて笑いながら、最中の答えを催促する。

幌川 最中 > 「そう。結構いるんだよねえこれ出てる人。
 雪兎ちゃんもそういう線が出てるね~出てる。すごい出てるよ」

適当を言い続ける。指摘されない以上、別に困らないのでこれでいい。
これでいいので、頭ぱーぷりんでよかったね。ありがとう。サンキュー雪兎ちゃん。

「言葉にできない感じの事故。事故ねえ。
 はんはん。ノリで風紀委員やってていいのかよくないのか。
 まあ目標なくなんかやるってのも大変だしなあ。わかるわかる。結構わかるよ」

そう笑ってから、肩を竦める。
雪兎の手を離してから、小首を左右に傾げながら笑う。

「うるせーよあかねちゃんは!! 言わんでいいだろそれ!!
 どうせバレてんだからワンチャン知らない後輩ならまともそうな顔できるだろ!」

段ボールであかねの頭をスパーーーンッと叩く。いつもなんか叩いている。
それが嫌だったらやめろと言っているはずだが、やめていないので嫌じゃないのかもしれない。
そういう趣味なら言うことでもない。あかねちゃんが好きにすればいい。

「雪兎ちゃんは、『どう』していきたいって思ってるのかな」

織機 雪兎 >  
「え、っと、詳細は聞かないでいてくれると……」

とは言え「事故」の相手は同じ風紀委員だ。
言いふらすような人とは思えなかったけど、もしかしたら報告書とか上がってるかもしれない。
上がってないかもしれない。

「えっそんな先輩いるんですかとんでもないですね!! ――えっ?」

いきなり段ボールで謎の美少女風紀委員の頭を叩くセンパイ。
マジで、って顔で怪しげな占い屋やってるセンパイを見る。
えっ?

「どう……少なくとも麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員にはなりたくないなって思いました」

ちょっとこの人に相談したの間違いだったかな。

日ノ岡 あかね > 「きゃー、こわーい、先輩婦女暴行ですよ? 風紀委員としてどうかと思いますねー私」

誤用上等の言い回しでケラケラ笑いながら、ひょいと最中の段ボールブレードを避ける。
いつもの事なので全然気にしていない。

「誰の事かとはいってなかったのになぁ? それより、答えは出たのかしら? ユキちゃん」

ニコニコ笑う。
段ボールブレードを回避したせいで乱れた髪を軽く直しながら。

「この人、これで経験豊富だから、真面目に話せば真面目に答えてくれる先輩よ」

そう、どこか嬉しそうに笑った。

幌川 最中 > 「聞かれたくないってんなら聞かないよそりゃ。
 というか乙女の秘密とか暴こうとしたら俺がやったらセクハラでしょうが」

はー困る困る、と言いながらあえて避ける素振りを見せる。
自分の公然の秘密に触れられれば、まあもうそうもなるよね、という表情。
真面目に俺だってやってるんだけどね。
麻雀はやってるけどこうやって仕事もしてない? 遊んでるように見えるね。
そうだね。バッド風紀委員会。

「それでいいんじゃねえかなあ。
 『こうしたくない』『ああはならない』『あれは嫌だ』をさ。
 どんどん積み上げていって、……んまあこれは消極的にだけど。
 尖らせてけばいいんじゃねえかなあ。
 そのうち、多分『雪兎ちゃんがなりたくない風紀委員会』から離れて、
 『雪兎ちゃんの選んだ風紀委員のありかた』になるっちゅーか。いかが?」

あかねの顔を見る。ドヤッ。
そう、経験豊富だから真面目に話さなくても答えてくれる先輩である。
先輩ポイント+8000000くらいあったな、今の。

織機 雪兎 >  
「うぅんん……」

言いたいことは確かにわかる。
なりたくないものを消していけば、消去法で答えは出る。
出るけれど。

「なんかこう、何かやらなきゃ、って感覚が、こう、すごいんですよ、わかります? こう、バリバリやってる風紀の先輩とかかっこいいじゃないですか。僕もそんな風になりたいんですけど、でも運動苦手だし銃も最近練習始めたばっかりでヘタクソだし、書類は毎回再提出喰らいますし。」

うぅーんと腕組みしながら唸って。
今までぐうたらやってきたツケ、と言うか。

「こう……逆に、僕がどんな感じの風紀委員に似合いそう、ってあります? あ、もちろんいい方向で」

麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員って言われたら立ち直れない。

日ノ岡 あかね > 最中の回答にもどこか可笑しそうにニヤニヤと笑いながら、雪兎の回答を満足気に聞き終え。

「それって……ユキちゃんは向いてることをスマートにやりたいってことなのかしら? それが『やりたいこと』なの?」

楽しそうに尋ねる。
興味深そうに。面白そうに。

「……先輩はどう思う?」

そして、最中にまたパスを投げる。
あくまで話を聞いているのは最中。
あかねは一先ずは楽しく笑うだけ。

幌川 最中 > 「それなら風紀委員やめてみたらいいんじゃねえかな」

平然と、麻雀で管まいてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員は言った。
明日の朝食は何がいいと思いますか? と聞かれて、コーンフレークかな、と答えるくらい。
センパイって何色好きですか、と聞かれて、うーん、赤かな風紀の色だし。と答えるくらい。

「運動も苦手で銃もヘタクソで書類もダメなんだったら、やらなかったらいいんじゃねえかなあ。
 ほら、誰かに何をやれって言われなくもなるし、風紀委員じゃないなら何もやらなくていい」

苦手なものを挙げる後輩に、そっくりそのまま繰り返しつつ。

「雪兎ちゃんは、俺がこういう風紀委員向いてるよって言ったらどうする?
 『そうなれるように』、目標にして努力する?
 風紀委員向いてないよ、なんて言われたら、風紀委員やめちゃったりする?」

いい方向で、と言われても、いい方向の答えは返さなかった。

織機 雪兎 >  
「えっ」

風紀委員をやめる。
ちょっとショックを受けた。

「それ、は……」

確かにそうだ。
運動も出来ず、銃もへたくそで書類もダメダメ。
だったら風紀委員なんて辞めてしまえばいい。
辞めてしまえばいいのだけれど、

「……それは、なんか、いや、ですね……」

なんでかわかんないけど。
向いてることをスマートに、と言うのも言われてみれば何か違う、と言う気はする。

「どう、なんですかね……少なくとも、風紀委員はやめたくないです」

元々モテるために始めた風紀委員だし、ぶっちゃけそんなモテてもないけど。
なんでか辞める選択肢はなかった。

日ノ岡 あかね > 「あはははははははは!!」
 
あかねは、楽しそうに笑った。
とても……楽しそうに。

「ユキちゃん、モナカ先輩はいい先輩ね」

最中の答えにも、雪兎の答えにも。
あかねは……とても嬉しそうに、笑っていた。

「気付かせてくれたのよ? 『得意な事だけやればいいわけじゃないし、不得意な事だからってやっちゃいけないわけじゃない』って」

得意と不得意は、出来ると出来ないとは違う。
まして……『やりたい』と『やりたくない』とは全く繋がりがない。
なんだって最初は誰も『出来ない』のだ。
それでも、『やりたい』と思うなら……それは『やるべきこと』に違いない。

「答え、出てるじゃない。アナタのなりたい風紀委員はわからないけど、アナタは風紀委員を辞めたいわけじゃない」

あかねは笑う。
楽しそうに。

「なら……その先は風紀委員を続けながら、ゆっくり見極めてもいいんじゃないかしら? 迷うのは若者の特権よ。ね? 先輩」

そう、普通の学生と比べたら全然若くない最中に笑って見せる。
ニヤニヤと、悪戯っぽく。

幌川 最中 >  
「やめたくないんなら、じゃあ頑張るしかねえなあ。
 別に俺はファッション風紀委員でも別にいいと思ってるから、
 俺は雪兎ちゃんの気持ちは全然わからんけどもね。
 麻雀で管まいてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員だけど、
 俺は俺がやりたいことがあってここにいるわけでさ」

それにショックを受けるのであれば。
「やめたくない」のならば、なにか理由がそこにあるはずだ。

「だったら、やりたいことを見つけるまでやりたいことをやれるように、
 ほら。雪兎ちゃんってゲームやる? レベル上げとか、やる?」

あぐらをかいたまま、怪しげな風紀委員は自分の顎に触れる。
そして、まっすぐに雪兎の顔を見てから。

「もし『やりたいこと』が出てきたときに、『やれる』ようにすんのが。
 今の雪兎ちゃんに必要なんじゃねえかなあ。
 何を、が決まってないっていうなら、ラクできねえもんだからな。
 目的が決まってるならどのジョブのレベル上げればいいかわかるけども、
 目的がないなら全部のレベル上げをしておかなきゃいけないって寸法でさ」

軽く背伸びをする。そして、あかねの言葉に頷く。
なにを考えているのかよくわからないこの黒猫だって、
理由がなければ風紀委員になんて協力しないだろう。だから余計に。

「だって、『なんもやりたくない』わけじゃねえんだろ?」

織機 雪兎 >  
「うわっ」

めっちゃ笑ってる。
なんか面白いこと言っただろうか。

「あ、ゲーム、やります。レベル上げ……」

確かに、レベルが一ではレベル十の相手とはそもそも戦えない。
ならばレベルを上げるのは当然で。

「あ、でも、やりたいことはあるっちゃあるんです。ちょっと言うのが恥ずかしいんですけど……誰かを守れるようには、なりたいなって」

今は守ってもらう側なのに、誰かを守りたいなんて烏滸がましい。
視界に入るものすべて、なんてワガママは言わない。
ありきたりな言葉だけど、せめて手の届く範囲くらいはなんとなくほんのりとぼんやり守れればいいなぁって。

「――ところでその、どちらさま……?」

さて、このニヤニヤと笑っているめちゃんこステキ美少女は一体誰だろう。
報告書とか斜め読みすらしないこの女が知っているはずもなかった。

日ノ岡 あかね > 「あ、そういえば自己紹介遅れてたわね。私はあかね。日ノ岡あかね。ユキちゃんの事は風紀名簿で一方的に知ってただけで、多分初対面ね。はじめまして!」

嬉しそうにニコニコ笑いながら、右手を差し出す。
ウェーブの黒髪セミロングが、軽く揺れた。

「誰かを守りたい。素敵な動機じゃない。それこそ、風紀委員らしい動機よ。確かに広く捉えればとても難しい事かもしれないけれど……風紀委員会は難しいからこそ、みんなで手を取り合ってそれを成し遂げようとしている組織じゃないかしら?」

当然、否と答える風紀委員もいるだろう。
人助けと治安維持は似ているようで全くの別物だ。
同一ではない。同一になることもあるだけだ。
しかし、だからこそ。

「だから私、ユキちゃんのその答え……いい答えだと思うわよ?」

あかねは、その答えに嬉しそうな笑みを返した。

幌川 最中 > 「じゃあ、それなりにやんなきゃいけないことやりゃあいいだけだろ」

とどのつまり、彼女に必要だったのは「いいからやれ」という言葉だったのだろう。
あるならばやればいいだけなのに、どうにも自分ではやり始める切っ掛けが足りない。
そういう、人間誰しもが当たり前に悩み、誰しもが当たり前に感じるもの。
今だって、幌川はやらなければいけないことから逃げるように占い屋さんをしている。
やらない自由だってあるのでやっていないだけだ。

「簡単簡単。ほら、守るだけなら相手に勝ちたい、よりは簡単っしょ。
 それに、そういうことなら俺じゃなくてレイチェルちゃんとか、よいっちゃんとかね。
 なんなら理央ちゃんにも聞けばいいよ。ぶちぶち文句クソ言いながら教えてくれるだろうし。
 それに、凛霞ちゃんなんかはそういうのは上手いよ。聞いてみて勉強すんのが一番でしょ」

誰かを守るというのは、やはり前線仕事で。
幌川のような仕事とは管轄が違う。どちらかというと事務仕事に近い。
折角人材豊富な風紀委員会だ。適材適所という言葉がここまでうまくハマることもなかろう。

「で、あかねちゃんは何に悩んでるって? フラれでもした?」

織機 雪兎 >  
「やんなきゃいけないこと、やります」

珍しく真面目な顔をして頷く。
銃の練習に見回り、あとついでに書類の書き方も勉強しないと。
名前を挙げられた先輩や同僚にも、色々教わらないと。

「あ、そうなんだ。よろしくあかにゃん! ありがとう!」

そして同僚にはまたも勝手なあだ名をつけて右手を握る。
うっわやぁらけぇふわっふわしてる手汗拭いてからにすればよかったあーめっちゃかわいいなぁ。

「えっあかにゃんフラれたの!? こんなかわいい子フるやつおる!?!?!?!?」

そしてまた騙される。