2020/07/20 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 玄関ホール」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 「……やっと、終わったか。いや、結構容赦なかったな、今回の試験…」

委員会活動、及び入院によって幾つかの試験は免除されていた。
そもそも、前期の単位そのものは足りている。無理に試験を受けて迄、単位を稼ぐ必要は無い。
とはいえ、学生の本分は勉強。受験可能な試験を一通り受け終えて、その足で本庁まで辿り着いた風紀委員の少年は――

「……筆記はまあいい。しかし、あの実技は一体何だったんだ。『各自の異能を用いてこの恋愛ゲームをクリアしなさい』って、何の意味があったんだ…?」

因みに、その試験はゲームハード諸共異形で踏み潰して合格した。
それで良かったのか担当教師。

「何にせよ、ぼちぼち溜まった事務仕事も片付けなければならないし…」

日ノ岡あかねの件。【領域】の調査。
此れは夏休みなどと言っていられないな、と小さく苦笑いを零しながら、自販機にて購入した【魔界糖分EX~気になるあの子も肥えていくカフェラテ】を啜る。
この商品も、来週には生産中止だそうだ。残念。

神代理央 > 「……んー…前の方が甘かったな。もう少し砂糖が必要な気がする」

【魔界糖分(以下略)】で喉を潤しながら、ふーむと悩まし気な溜息。因みに前商品は【天下統一DX~織田信長もメタボで死ぬカフェラテ】である。2週間くらい製造されていたらしい。

「…しかし、実働部隊の不足はひしひしと感じる所だな。風紀委員そのものの数が足りないとは決して言わぬが…」

もう少し現場に。具体的には落第街やスラムに人が欲しい。
戦闘行動だけが風紀委員の任務では無いので、贅沢を言っていられる状況では無いのだが。

「此れでは仕事が溜まる一方だしな。事務処理を後方に投げっぱなしにするのは性に合わぬし」

仕事が増える事自体に異議はない。
ただ、もう少し報告書などをきちんと書く時間が欲しい、くらいのもの。
逆に警邏のシフトを増やして、事務方が前線に出るシフトを減らすべきかな、と悩みながら【魔界(以下略】をちびちびと嚥下していた。

神代理央 > 「…ま、悩んでいても仕方あるまい。人員がいない訳でも無い。贅沢を言っても始まらぬだろうしな」

空になった缶をゴミ箱に放り入れる。
ぽつぽつと、玄関ホールから本庁へと吸い込まれていく風紀委員の数も増え始めた。言持ち、何時もより多い気がする。

「…ああ、そうか。夏休みだものな。休暇申請も出さなくてはならないだろうし…」

オンラインでの申請も可能だが、先輩後輩にきちんと挨拶していく者も多いのだろう。
律義なものだ、と感心しながら懐の煙草を取り出しかけて――己がいる場所を思い出し、自重した。

ご案内:「風紀委員会本庁 玄関ホール」にフィスティアさんが現れました。
フィスティア > 風紀委員会の仕事にも、それなりに慣れてきた夏の頃。
先日月夜見に悩み事を聞いてもらって以来風紀委員会としての業務もしっかりと手に付くようになった。
お陰で風紀委員会の中でも『元気になった』なんて声も数回聞こえてきた。

しかし、そんな少女もまだ風紀委員会どころか常世学園、地球に来てまだ一年目。
夏期長期休暇こと夏休みの存在は知っていても、それがどういうものなのかあまり理解していない。
つまりまあ、人がやけに多い本町の様子を見て、何かトラブルでも起きたと勘違いしている少女。

「何があったのでしょうか...」

なんて、一人だけ置いていかれた子供のように困ったような不安なような表情を浮かべておろおろしており。

「あの、少しお聞きしたい事が...」

とりあえず近くにいる金髪の少女...神代に後ろから申し訳なさそうに声をかけた。

神代理央 > 此方もそろそろ移動の頃合いだろう。
今日は厳密には非番に近いものではあるが、先日突入した【領域】の報告書と、二度目の突入についての資料を纏めなければならない。さて、と重い腰を上げようとして。
背後から投げかけられた言葉に振り返る。

「……おや、私に何か用かな?同じ風紀委員の様だが」

視界に映るのは、白い軍装の少女。迷子になった子供の様な表情で、此方に声をかけてくる少女に怪訝そうな表情と共に言葉を返すだろう。

しかし、目立つ服装だ。
以前参照した風紀委員のリストの中に、彼女の様な装いのデータを見た覚えがあるのだが――

フィスティア > 「あ女の人じゃなっ....」

話しかけた相手が振り返った姿を見てつい『女の人じゃない』と言いかけたが、なんとか途中でなんとかセルフ口塞ぎ。
まあ、少女だと思っていた相手がかの有名な過激派の代名詞、『鉄火の支配者』神代理央だったらそりゃ慌てて口を塞ぐわけで。
謝った方がいいのかも知れないが、ここは謝るよりも無かった事にした方が良いだろう...

「...こんばんは。刑事課のフィスティアと言います。
あの、何だか人が多い気がするのですが、何があったかご存知ないでしょうか?」

口に当てていた手を下げて。
何事もなかったかのように言葉を紡ぐフィスティア。その額には冷や汗が伝っている。そりゃ絶対聞かれてるし。
平静を装ったが、声も少し震えているかも知れない。
震えている原因は先ほどのやらかしか、それとも彼の評判故か。

神代理央 > 「……ほう?話しかけておいて人の性別を間違えるとは、良い度胸をしているな」

口を塞ぐまでに大体言い終えてしまえていれば、思わずジト目を向けたくもなってしまうというもの。
見知らぬ生徒だの落第街やスラムの連中ならまだしも。同僚である風紀委員に悪意無く間違えられるのは中々に堪える。

「…神代理央だ。宜しく。何があったかも何も、夏休みなのだから休暇申請を出しに来ているに決まっているだろう。
そんな事――」

そんな事も分からないのか、と言いかけて。
彼女の名前が、己の記憶の引き出しと一致した。異邦人であり、己と同じく召喚系の異能を持つ純白の少女。道理で見覚えがある筈だ。

「……それと。自分が悪いと思った事であれば、先ずはきちんと謝罪するべきではないのかね?それとも、刑事課の連中は頭の下げ方を忘れてしまったか?」

僅かに声を震わせる彼女に、フン、と尊大な声色の言葉を投げかける。一度立ち上がった自販機前の椅子に腰掛けると、ムスッとした視線を彼女に向けるだろうか。

――立ったままだと、彼女と背丈が同じである事を気にした訳では無い。決してそういう訳では無い。

フィスティア > 「あの...その...すみませんでした。神代先輩
誰かわからなくて...ですね」

あからさまに不機嫌と言った様相の神代に対して、怯えた小動物のよう狼狽た後、頭を下げる。
言えない。言える訳が無い。
あなたが過激派代表みたいな人だから怖くて謝れなかったなんて、言える訳がない。
言った方が失礼だし、なんと言われるかわからない。
それに言い返せるほどの力は自分にはない。

「...夏休みの休暇申請ですか?もしかして皆さん夏休みには休暇を取るものなのですか?」

夏休みには休暇申請を取るなんていう当たり前の事を知らない白い少女が小さく首を傾げる。
夏休みの間も風紀委員会としての警らなどを続けるつもりだった少女は休暇なんて気にした事がないのも理由の一つか。
まあ何はともあれ、緊急事態やら何やらが発生した訳ではなさそうで安心した。
...光の柱についての報告書は読んだが、自分では実力不足であろうと関与しないようにしている。

神代理央 > 「…まあ、別に此方も強くは責めぬがな。謝ろうとしなかった事だけ少し腹に据えかねただけだ。怖がらせたのなら、謝罪しよう」

随分と怯えられたものだ、と苦笑いを浮かべながら、それでもきちんと頭を下げた彼女に鷹揚に首を振る。
其処まで怒っている様な雰囲気を出していただろうか、と内心首を傾げつつ、彼女を見上げているだろうか。
彼女が本当に己を恐れている理由には、まだ気が付いていない。

「…夏休み、という言葉の意味を調べ給え。風紀委員とて休む権利はある。皆交代で休暇を取って、帰省したり勉学に励んだり。リフレッシュとして遊びに行ったりするものだよ」

異邦人にはそういう感覚は無いんだろうか、と彼女に釣られる様に首を傾げながら答えるだろうか。

「…何なら、フィスティアも申請を出したらどうだ?任務ばかりでは息も詰まるだろう。偶には息抜きすることも、大事だと思うがね」

ならば、休暇と言う概念を教えてやらねばならないだろうか。
大勢の委員達が吸い込まれていく正面ゲートに視線を向けた後、再び彼女に視線を向けて小さく笑いかける。

フィスティア > 「ありがとうございます
...先輩が特に何かした訳ではないのでお気になさらず...」

今は何もしてない。
意外と寛容な人だ、なんてどんなイメージ抱いてるんだと言われそうな事を考えつつ。
怖い事を否定するのではなく、特別今何かした訳ではないと、否定する。
少し言い方が不味かっただろうか、なんて考えながら。

「そうなんですか?...前の世界では夏休みなんて無かったので。
こちらにそう言った文化があるのでしたら...少し考えてみます」

知らなかった知識と、ホワイトブラックという概念すら無かった少女にとって風紀委員会って意外と緩いのだな、なんていう考えが浮かんできて、素直に驚いている様子。
その分前世界では休暇が遠い存在だった訳で。
夏は暑いから行軍にはあまり適さない分、他の業務が非常に多い。
その為、夏に休むなんていう発想はなく。
勉学も休暇にする事ではなく、業務の合間を縫ってするものであるという認識である。
それに、勉学に関しては殆ど困っていない。
ただ一つ学ばなければいけないことといえば、こちらの世界についてか。
休暇などとっても何をすればいいのかわからない、と困惑。
友人だっていない。

「参考程度にお伺いしたいのですが、神代先輩は休暇をとったら何をするのでしょうか?」

困惑の表情のまま、救援を要求する視線を神代に向けて。

神代理央 > 「……ふむ?何だか奇妙な謝り方をするものだな。まるで私が、此れから何かするかの様な言い方だ」

彼女の言葉に不思議そうに首を傾げる。
それでもまだ、異邦人は言葉に慣れていないのだろうか、程度の思い込みに留まっているのだろう。
己と彼女の思想の差には、幸い――或いは不幸な事に――気付いていない。

「あー…まあ、そもそも一定日数の労働に対して、既定日数の休暇を与えるという文化は、我々の世界でも現代史に値するもの故な。お前の世界でも、文化が発展し、成熟すれば何れそうなるだろう」

週休二日という制度自体の広まりそのものが、20世紀までかかったのだ。彼女の居た世界の文明がどの様なものだったのか伺い知る事は出来ないが、恐らく数百年後には、彼女の世界でもそういった概念が生まれている事だろう。
逆を言えば、彼女には数百年先の文化を今から理解して貰わねばならない。浦島太郎に生活文化を説明する様なものだろうか、と内心苦笑い。

「……む、私か?いや、私は其処まで休暇を取る予定も無いのだが…。そうだな。強いて言うなら…恋人と過ごす、かな」

と、ちょっとふわふわと微笑んでみせた。
そうするべきだ、と己にアドバイスしてくれた後輩の言葉を思い出しながら。

フィスティア > 「ああいえ...ややこしくてすみません」

逆です。今までの方です、なんて。それこそ言える訳がない。
首を傾げる神代が気づいていない事を願いつつ、その視線を僅かに逸らすではなく、ボヤかせて直視しないようにして。

「私は貴族でしたので...こちらでいうならノブリス・オブリージュというものです。
休んでいては民に申し訳ないので...」

神代からすれば理解できないような貴族、というよりかは貴族の中で異端なのがフィスティアの思想。
民に申し訳ないなんて思う貴族はそういないだろう。
週休二日の制度は少女のいた世界には無かったが、それでも貴族間では休暇という文化はあった。
彼女の思想と、軍の仕事も行っていたという事情故、休暇とは疎遠であったというだけである。
苦笑いする神代に合わせて、よくわかっていないままに苦笑いを浮かべて。

「え?神代先輩、彼女いるんですか?」

驚愕のあまり飛び出た言葉。ただただ驚きで、まさかそんな、冗談だろうと言った調子で。
一言で言うなら超失礼。

神代理央 > 「いや、ややこしい事は別に構わんのだがな。まどろっこしいというか何というか…。…言いたいことがあるなら、はっきりと言ったらどうだ?別に怒りはせぬが」

此方を直視しようとしない彼女に、僅かな猜疑の視線。
何か言いたいことがあるなら言えばよいのに、と言葉を投げかけながら、彼女の仕草や声色を観察する様に眺めるだろうか。

「休まず働く上層部というのは、時に民の為にならぬ。民の中には、上に立つ者が下々の者の為に働いているのだから、我々も働かねばならない、と思う者が必ず現れる。そういった輩は、得てしてそれ程狂信的ではない者達に労働を課す。強制する。
『貴族様は休まず働いているのに、我々が休める訳無いだろう
。敬愛成る貴族様の為に、もっと働こう』とな。
我々の世界が既に通った道だ。興味があるなら、博物館にでも言ってみろ」

貴族としての概念。統治者としての理論。【効率よく民を動かす為】の方法。
それらを繰り返し、繰り返し煮詰めてきたのが我々の世界なのだと、可笑しそうに笑う。

「……何だか、微妙に失礼じゃないか?いや、まあ、信じられないのは分かるが。そんな冗談や嘘をつくものか」

確かに、己の風紀委員会内の評判からすれば、彼女の反応の方が素なのだろうが。
それでも、ちょっとあんにゅいな気持ちにはなってしまう。