2020/07/26 のログ
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「どうも、大変ご迷惑をおかけしました」

少女ははっきりとした声でそう言葉を紡ぎ、これで失礼します、と続けて、とある部屋を出た

しばらく歩いた、風紀委員会本庁、その廊下で、ふぅーっと大きく息を吐く
それは安堵であったり、緊張感の途切れであったりと、色々な意味を孕んでいただろう

伊都波 凛霞 >  
あの時出会ったあの少女に、助けを求めたあの子に、少しでも伸ばした手は届いただろうか

全てを助けるなんて出来るわけがない
目に見える範囲でさえ、それは難しい
けれど直接そう言われた、その相手くらいには…全力で応えたかった
理想と現実の狭間、否応なく自分の身の程を理解させられた数日だった

「……っ痛…たた」

再び歩きだそうとして、顔を顰める
昨日の今日でふとももがパンパンに張っていた

限界を超える、なんてそんなに簡単にできるものじゃないなあ、と
廊下の途中にある長椅子に腰掛けて、小休止

伊都波 凛霞 >  
一人の人間が奮走した程度で何かが変わる、なんてことは殆どない
あくまでも、その『問題全体』においては

けれど極端な話、人間がその問題の中核であったなら
人という生物の行動は『誰かと出会う』それだけでも、変わることがある
その人が自分にとってのメシアとなる…なんてことがなくとも
自分とは違う誰かと、ただ一言二言会話を交わす程度でだって、意識が変わってしまうこともある

人が中核となる問題ならば、多くの人が変わることで状況すら変わってゆく

「…まぁ、私にしちゃ良くやったほうだ…ってことで一つなんとか…?」

誰ともなしにそう呟いた

伊都波 凛霞 >  
…まだ捕まっていないトゥルーバイツ構成員はいるという
デバイスの使用期限も、まだ残っているものがある…その可能性があるという話
風紀委員全体としてはその問題の対処には当たらないという決定済み
計算上『ほぼ起こらない』と判断された危機よりも、風紀委員会にはそれ以外の"仕事"が多くある

実に合理的かつ理論的な結論に、方針は行き着いたのだろう

伊都波 凛霞 >  
だから、今回少女が行った行動、それらは…完全な独断行動
それに風紀委員としての立場とネットワークを利用した…というものだ
『風紀委員としての資質』を問われる一件だ

本人が風紀委員ではなく、人間個人で動いたつもりであったとしても、所属はついてまわるもの
いわばそれが権利と待遇を与えられる反面に存在する『責任』というものでもあるだろう

なので、今回の根回しの件がこうやって結果として現れたなら、どんな処分でも受ける所存だった

伊都波 凛霞 >  
拘留された彼らは相応の処分を、罰を受ける。当然の罰を
それに追随して彼らを過剰に攻撃する者を予見し、それに対し牽制をしたに過ぎない

故にこの件が明るみに出たことで彼らにさらなる制裁を加えようというものがもし現れたなら、
それは誰が見てもやりすぎな、嫌悪すべき悪意に見える筈だ

例え自分自身がなんらかの処分を受けたとしても、大きく物事は動かない

そう、例え風紀委員から除籍されることになったとしても

伊都波 凛霞 >  
元々、大義名分の元に守る…という組織には向いてなかったのだと思う

組織の性質上、戦力も必要だっただろうから、自分の"性能"は部分的に開示した
自身の持つ異能が非戦闘的であったが故の判断だったけれど、今となればそれも不要だったように思える

無論、除籍処分を言い渡されたわけではない
委員会としても扱いやすい生徒であったのだ。これまでは
成績優秀で知られるいわゆる優等生である少女が風紀委員も兼ねる…
少女も当然のように、他の生徒の規範となるべくあろうとした
それは少女の過去と呼べるにはあまりにも近い事件すら薄く塗りつぶしてくれた

けれど今回の事件で、少女は自分の本質を知った
だからこそ思う

──潮時、なのだと

伊都波 凛霞 >  
とても簡単なテスト

『あなたは大のために小を切り捨てることができますか』

中間はない
YESかNOか
それのみの答え

そしてそれに答えたなら、それを遵守しなければならない

伊都波 凛霞 >  
「考えなきゃね」

椅子から立ち上がって、うーんと背伸びをしながら、歩いてゆく
途中やっぱり腿が痛くてふらふらしたりもしたけれど

しっかりと自分の足で、風紀委員、その本庁から出ていった

ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」から伊都波 凛霞さんが去りました。