2020/08/07 のログ
レイチェル > 「断る」

まずは鋭く、そう言い放つ。


凛麗の言葉を受けたレイチェルは、数多くの戦いを思い返していた。
炎の巨人事件、フェニーチェとの死闘。
紛れ込んだ島外の犯罪組織との激突。

他にも、様々な戦いを経験してきた。
彼女の銃と魔剣、そして。
時を法則を破壊する異能――時空圧壊《バレットタイム》と共に。
そしてその異能は、彼女の身体に大きなダメージを与えていた。

健康診断の結果。彼女の身体が、致命的なダメージを負っていることが判明したのは
1年前のことだ。
既に、前のように前線に立ち続ければ、命を落とす危険性が高いのだと、
医者の男からは忠告されていた。

だからこそ、このポジションに収まったのだ。
陰ながら、この島の人々を守る為に。


「と、言いたいところだが……」

その為に頭を下げに来たのだ、という凛麗を前に、
レイチェルはため息をつく。そして、観念したように首を落とすと、言葉を続ける。

「現実問題、お前の言う通り、まだまだ経験の浅い風紀委員は多い。
 オレとしても悩んでいるのは事実だ。
 そして、後輩に頭を下げられちゃ頭ごなしに拒否する訳にも
 いかねぇ……。
 前みたいにあちこち首を突っ込む訳にはいかねぇが、
 今後に向けて、前向きに動きを考えてみるさ」

今言えるのは、ここまでだ。
ここが彼女にとって、譲歩できる限界の地点だった。
譲歩といっても、ただ譲るのみではない。
『レイチェル』が『レイチェル』である為には、
それは必要なことに違いはなかった。

故にただ消極的に受け入れるのではなく、
ある種の積極性を持って彼女は凛麗の言葉を受け入れたのだった。

伊都波 凛霞 >  
「…そう、ですか」

肩を落とす凛霞

──思いつく限りの言葉は尽くした
風紀委員の中では新顔でもある凛霞はレイチェルの事情を知らない
事件のことを調べ尽くしたとしても、個人の診断やカルテなんかまでは出てくるわけもなく

彼女…レイチェル・ラムレイの身体のことを、知る由もなかった

けれど、彼女の言葉は続く
それは『断る』というはっきりとした拒絶の言葉を和らげるに十分なものだった

「そう言ってくれる…ということは、やっぱり理由があるんですね」

自分が並べ立てた言葉や情報なんて、彼女は全て知っているしわかっているはずだ
それでもなお前線に出てこないというのは、相応の理由があるのだと、これではっきりした

「──わかりました。今はそれで十分です。ありがとうございます。こんな後輩の我儘にまで耳を貸していただいて。
 迷惑ついで、といってはなんですが」

「このお部屋に私のこと、推薦しておいていただけませんか?
 どうせ貴女の背中を見るのなら、特等席が良いですから」

言い終わると、にっこりと微笑む
後輩としての立場も、この会話の機会も、躊躇することなく利用する
選んだ道を正解とするために、という言葉はどうやら凛霞に在る種の開き直りを与えたようだった

レイチェル >  
「まぁ、な」

理由があると聞かれれば、ぼかした言葉のみを返すしかない。
自分の身体など、どうとでもなれば良いと思っていたいつかの日とは、
変わってしまった。
本当に大切な物が出来た時、人とは弱くなるものだ。

再び前線へ出る。
それは、愚かな選択と言われるかもしれない。
もし貴子がまだ風紀残っていて、自分の身体のことを知っていたら、
間違いなく止めるだろう。
しかし、それでも前に出るのが、
考えてみれば『レイチェル・ラムレイ』だったのではないか。

後輩が願ったこの選択は、きっと間違いではない。
間違いになどしてやるものか、と。
レイチェルは、決意を新たにしたのであった。


「そうかよ。こっちも、お前みたいな優秀な奴が来てくれれば願ったり
 叶ったりだが……忙しくなるぜ? だが、お前が選んだんだからな。
 責任持って、正解にしていけよ」

ここに来て、再びレイチェルはにこやかな笑みを浮かべて凛麗の方を
見やる。

伊都波 凛霞 >  
「当然、背中を見るからには頑張って追いかけさせていただきますから。
 仕事も多そうですしね、やりがいがあるに越したことはありませんよー」

忙しいのは苦にならない、凛霞はよく働く
それでいて最前列で彼女、レイチェル・ラムレイを見ることが出来るのだ
こちらこそ願ったり叶ったり、なのである

「デスクワークなんかも得意ですし、少しでもレイチェル先輩のフリーな時間を作ることにも貢献したいですねえ…。
 ほら、かぎりんなんかとも一緒に遊んだり、したいじゃないですか」

それは風紀委員とはまた別の話ですけどー、と笑って…そういえば立ったままだった。
それでも話したいことはほとんど話せたし、大満足とはいかないまでも答えはしっかりと貰った
今後の話もできた、とあれば十分得るものがあったと言えよう

「それではレイチェル先輩。改めて宜しくお願いしますね。
 出過ぎたことを沢山言っちゃってすいません。ありがとうございました。
 今日はこのへんで失礼します」

迷いや、悩みなんてもう感じさせないようなすっきりとした表情で、
部屋に入ってきた時と同じく小さく頭を下げて、踵を返して部屋の出口へと向かう
呼び止める言葉がなければ、そのまま静かにドアへと手をかけ、退室するだろう

レイチェル > 「華霧との時間ね、そいつは助かるぜ。
 じゃあ今度凛霞も一緒に、スイキンでも行くか。
 なに、ちゃんと奢ってやるからさ」

そう口にして、からりと笑うと、レイチェルは頷いた。
彼女が満足の行く答えを示せたかどうかは分からない。
だがしかし、本当に満足のいく答えを導き出せるのは結局、
自分自身だ。ならば先輩としてできることは、その答えを
見つける手助けをすることだけだ。自分の答えは、示した。
後は伊都波 凛霞という一人の人間が、自らの答えを見つけ
ていくのみ。

大事な後輩、そして一人の大切な仲間が
これからの道を不安なく歩いていけるように、精一杯背中を
押して、一緒に悩んでいきたいと、レイチェルはそう感じていた。
彼女の真っ直ぐな心と葛藤に今回、深く共感を覚えたからだ。

「気にすんな。今日は話せて良かったと思ってるぜ。
 じゃ、気をつけてな」

去っていく凛霞を見送った後。
レイチェルも大きく伸びをして、深く息を吐く。

「オレも掃除だけして、帰るか……」

凛霞をこの部屋へと推薦する書類は、明日にでも作っておこう。
そう考えてPCの電源を切り、書類をあるべき場所へと片付けると、
レイチェルも部屋を出ていくのだった。

ご案内:「風紀委員会の一室」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会の一室」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「風紀委員本庁内の一室」に園刃華霧さんが現れました。
風紀委員上司 > 「さて、園刃華霧。これは通達だ。
 今日でおまえの『謹慎期間』は終了とする。
 ただし、しばらくは監察対象となる。
 その首の異能制御装置も当面着けてもらう。
 
 心しておくことだ。次はどうなるかわからんぞ?」

園刃華霧 >  
男は静かに淡々と事実を告げる。
……なるほど、『謹慎』ね。ブタ箱突っ込んどいてよく言うよ。
まあ、其の辺が丸いってことか。
まったくタヌキだこと。

「そリゃ、どーモ。寛大なコとで」

そんなわけで、そんなご挨拶。
色々反省はしたが、減らず口は治る気配がなさそうだ。

風紀委員上司 > 「通達は以上だ。 行っていいぞ。
 二度と馬鹿な真似はしないことだな。」

園刃華霧 >  
似たようなことを二度も言った。
ま、そりゃそうか……こりゃ上司様の優しさか、それとも嫌味か。
なんだろうねえ。

なにはともあれ、これで解放……か、どうかはわからないけれど。
当面は一応外に出ることはできたわけだ。


ま、細かいことはいいや。
とりあえず言われた通り、部屋から出る。

園刃華霧 >  
「しっかシ、『監察』かー……要は、見張り、みタいなモンだヨな。
 どーナんのカねえ……?」

首をかしげる。
誰か見張り役、みたいなのがつくのか、あかねちんみたいにチョーカーで一定の行動把握をされているのか。
それとも……
ま、考えてもしょうがないよな。

つらつらと考えながら、足は人気の少ない辺りまで自分の体を運ぶ。

さて……

「……ん」

制御装置で、どの程度不自由するのか少しだけ試してみる。
手元に、腕章とトランシーバーくらいの大きさの機械が現れた。
それ以外は――なにも出ない。

園刃華霧 >  
「……なるホど。ま、こレだけ出来れバ十分、だネ」

腕章をつくづく眺める。

――林檎に噛み付いた蛇が絡みついているエンブレム

「オマエさんには世話ンなったネ、ホント。
 アタシは林檎にゃ噛みツけなカったケど……一生、忘レやシないサ。
 アタシは、オマエさんを持っテいく。」

そういって……あぐり、と口を開け。
腕章と、デバイスを飲み込んだ。

ご案内:「風紀委員本庁内の一室」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > コンコンコン――ドアを3回ほどノックして、返事を待たずに開けた。

「はーい、失礼しますね。
 えーっと……?園刃さん、で間違いないですか?」

室内にいる女性を見ると、手に持った書類に記された名前を呼んで確認する。

「私は日下葵といいます。
 なんでも今日あなたを見張っていろといわれたもので」

そう言いながら適当な椅子に座る。
彼女に関する書類は受け取ったが、斜め読みしただけでよくわかっていない。
いつも人手の足りないところに回されがちな私は事前資料を読むのが面倒でやめた。
何でもトゥルーバイツとかいう組織に関わりがあるとかないとからしいが、
それすらちゃんと把握していない>

園刃華霧 >  
「ァ―……早速?
 手回し早いってイうか……」

まあ、そりゃそうだ。
いきなり手綱もなしに放り出される、なんて都合のいいことはないだろう。
面倒くさいなあ……仕方ないけど。

「日下葵……あおあおネ。
 ごくローさんダねー。めんどクさい仕事押し付けラれてサ。」

とりあえず、相手には同情する。
しかし……まだ空気感が読めないな……

日下 葵 > 「いやぁ、何でも『人手が足りないし、君なら監視役にぴったりだろう』だそうで。
 まぁ拳を交えて戦うより、人間の話相手していた方が楽なのは確かですけど」

私はいざこざの前線で火力をふるうような人員ではない。
むしろ死に難いという身体的な特徴を持つため、
こういう”やらかした人間”の監視役の方が適役だ。

「ああ、あと私の名前は”まもる”と読みます。
 いやぁ紛らわしいですよね。女で葵とかいたら”あおい”って読みたくなりますもの。
 でも”まもる”です。男みたいな名前ですが」

そんなことを言って適当な雑談をする。
お互いに空気感を探っているといった様子だったが、それを破ったのはこちらだった。

「ところで私、自分の管轄じゃないところの情報にほとんど目を通してないんですよねぇ。
 なんでも園刃さんは謹慎処分明けとのことでしたけど、何やったんですか?」>

園刃華霧 >  
「アー、そりゃアタシの学のナさダね。ごめんシて。
 じゃあ……まもまも?
 ま、名前なンてアタシも人のこといエた話じゃナいしナぁ」

へらりと笑う。
いや、人の話をろくに聞いてないの丸わかりだな、これ。
考えごとしながらだったからとはいえ、イクナイ。

「ま、喧嘩スるよか楽だヨねー、確かニ。
 で、アー……んー。」

いきなりどストレートに謹慎について聞かれるとは思わなかった。
いやまあ、そりゃ気になるだろう。
名前を間違えた手前、少しは真面目に答えるか。
でも、バカ真面目に話すと長いから様子見しつつ……

「いや、突っ込むネぇ……なンだろーナ。
 ちょっトばかシ、悪い火遊びをしタって感じカな?」

まずは当たり障りのないところから。

日下 葵 > 「ああいえ、別に怒ってるわけじゃないですよ。
 私の名前の読みが一般的じゃないものですからちょっとした注釈です」

「そうそう、私自身人と殴り合いをするのは得意じゃないですし」

一方的に殴るのは得意だとか、殴られるのは得意だとか、そんな話はもちろんしない。
そしていきなりストレートに質問したせいかたじろぐ、というか困惑する様子の彼女。

「……なるほど。
 まぁ謹慎処分が明けて経過観察のようですし、特別あなたにどうのこうのってわけじゃないです。
 ただなんです、トゥルーバイツ?というものが何なのか知らないものですから」

そう言えば、カバンの中からデバイスのようなものと、ボロボロの腕章を取り出す。
ジップロックの中に丁寧に仕舞われたそれらを机にならべて。

「以前時計塔で身投げしようとしてた構成員に渡されたんですよねえこれ。
 本部に提出しようにも一通り終わった事件のようですし扱いに困っちゃって」

棄てる訳にもいかないからとっている、と説明した>

園刃華霧 >  
「それは、ありガたいネ。
 じゃ、仲良クいこうか、まもまも。」

けらけらと笑う。
ちょっと調子を取り戻してきた。

「あー、イや。アタシも別に、アタシがどうコうって思ったわケじゃナいんだケどね。
 ……ン、多分アレだな? 資料とか、めンどくサくて読まなカったクチでショ?
 多分、割と厚めの資料にナってるカんなー、アレ。」

話の感じからして、全部ぶっ飛ばしてきたクチだろう、この相手。
いや、わかる。アタシだって絶対読まない。
好奇心でどう書いてあるのか気になるは気になるけど、絶対読む気しない。

「ま、だかラさ。真面目に説明すルと長くナるんダ。
 だかラ、どの程度話せばいいカなーってネ?」

真面目に話してたら、マジで長くなる。
まあ、一日監視対象だったらのんびり話してもいいのかもしれないけれど。
そんな長い話はノーセンキュー、な可能性がある。

「……ァー……渡されタってこと、ハ……そイつは、無事、帰ったノかナ?
 なルほど、そりゃ気になるワ」

デバイスと腕章を眺めながら問う。

日下 葵 > 「ええ、ええ。ぜひぜひ。喧嘩なんて面倒が増えるだけですから仲良くしたいところです。
 ――――バレました?
 だってびっくりするほど厚いんですもん。普通の事件の資料の数倍はありましたよ?」

恐らく関わった人間が多かったり、犠牲者が多かったり、そういう都合なのだろう。
周囲の風紀委員は『読めばわかるだろ』と一蹴するが、
こっちから言わせてもらえば「聞けばわかるだろう」というスタンスである。

「ぶっちゃけ事件の真相とか、誰が悪いとか、何の為にやった事なのかとか、
 そういうのはどうでもいいんですよね」

―――ただ、これをどうしようかと思って。
そう言ってジップロックに入ったデバイスと腕章を眺めるのだった。

「ええ、何か顔に鱗?のようなものがあるように見えましたけど、
 その構成員自身は自分の足で帰りましたよ。
 面倒だったので報告書も書いてないんですけどねえ?」>

園刃華霧 >  
「だーヨねぇ! いヤ、ちゃんと『起きたこと』を書く、とカ、そウいうの大事カもしラんけどサ!
 なンかこう……もっト、なんカあるよネぇ、ああいうノ。読んデて絶対、眠くナる」

我が意を得たり!みたいな感じで笑う。
おろ、これは気が合いそうなタイプだろうか。
うん、きっと多分ロクデナシの匂いがする。

「アー、そウいうのモどうデもいい? よかッター、確認しテ。
 下手スりゃ今日一日、じっくリ説明スることニなってタよ」

これは本当の話。
でもねえ、面倒くさいよねえお互い。

「ン―……じゃ、ざっクリいくネ。
 トゥルーバイツってマあ、ある目的で集まっタわけ。
 で、その腕章は構成員の証。ぶっちゃけ、解体しタしもう意味ないネ。
 普通に捨テも良いンじゃナい?」

まずは腕章。もう二度と使われることもないだろう。
仮に、誰かが新しい集いをやるとしても同じものは使えないだろうし。

「で、デバイスね。それモ、目的のための道具、ナんだケど……
 そレ、各自の一品物だカら持ち主以外使えナいし……
 あと、有効期限つキだかラ、どっちニしても意味ないネ。」

こちらも、そう。
……機械な分、気軽に捨てられないかもしれないが。

「で、どうシよう、カー。
 まもまもは、報告もシてなイってコトだケどさ。
 どンな感じにシたいノ?」

処分に困っている、だけなのか。
それとも、何か特別に扱いたいのか。
意図としてはどこにあるのだろう。

日下 葵 > 「本当、報告書を書くのも読むのも嫌いですね。
 書かなかったり、読まなかったりして面倒になるなら読み書きしますけど」

―――この一軒に限って言えば私の管轄外。つまり面倒の方が大きい。
突然饒舌になる彼女を見て、おそらく自分と方向性が同じであると察した。

「いやいや。私だってそこまで人の事情に首を突っ込みたがりじゃないですよ。
 一日中話を聞かされるのは私も遠慮したい」

報告書の厚さから察してはいたが、真面目に話を聞くとそんなに面倒なのか。
確認されてよかったと内心胸をなでおろす。

「なるほど……つまるところ、
 時間が経てばこれはガラクタになって、特別意味を持たなくなると。
 一応デバイスの持ち主の名前は聞きましたけど……」

今更これを提出して報告書を書くとなると、
今まで報告義務を果たしていなかったことが自動的にばれてしまうわけだ。
何よりも構成員を見逃したこともバレる。
そして見逃した構成員に手が及ぶことにもつながる。

――あれ?面倒ごとになってないだろうか?

「んー、何の役にも立たないなら捨てるでもいいんですけど。
 少なくとも今の私がこれを使ってどうこうするのは難しいですし。
 遺品、ってわけでもないしなぁ」>

園刃華霧 >  
「いひひ、気が合うね……いヤ、マジで仲良くシようホント。
 監察対象、とカじゃナきゃおーっぴラに遊ぶンだけどナー。」

けらけらと笑う。
反省は有るのだろうか。

「アー……報告義務、トかそーイうの気になル?
 といウか、アレだ。後でバレて責任問題にナったらメンドーって方ダよね。」

当然の心配だよね。
報告書ごまかし癖はアタシにも有るから、気持ちはよーく分かる。
であれば、ちゃんと言ってあげないとね。

「へーキ、ヘーキ。そいツは『自分』で手放しタんでショ?
 そレなら、ソイツは『無害』だヨ。
 どッカで問題起こシて、まもまもの責任ダーってコトには、まずなンない。」

なにを考えたか、理由はわからない。
でもそいつは『選択』した。
なら、問題を起こすことはない。

「多分、ソイツもどっかデ生きテ……いや、どうカな……
 まあ、生きテるとシようカ。確かに、遺品ニもなラんネ。
 あンま困るヨーだったラさ。
 アタシが引き取るヨ。アタシなら別に、今更だシ。」

そうはいっても、どうすればいいのやら、と困るのは確かにわかる。

日下 葵 > 「いやぁ、本当。
 私も面倒を押し付けられたなぁなんて思いましたけど、存外そうでもないようです。
 経過観察が空けたら遊べばいいんですよ。お互いはこの島にいる訳ですから」

けらけらと笑う。
仕事であることを忘れていないだろうか。

「別に罰則が怖いとかじゃなくてですね。
 シンプルに面倒が嫌いなんですよ。
 面倒をこうむって私に特がある訳でもないですし」

つまるところ損しかなさそうというのが渋っている一番の理由だ。
構成員を逃したのも、報告するより逃したほうが面倒がなさそうだったからだ。
問題を起しそうな子ではなかったし。

「……何となく察してはいましたけど、
 生きているか、生きていけるかは微妙なところですか。
 まぁ、あなたに面倒を押し付けるのもそれはそれで筋が通っているとはいいがたいですし、
 私が保管しておきますよ。
 これが何なのかわかっただけでも保管しておく動機くらいにはなるでしょう」>

園刃華霧 >  
「まー、そう。そりゃソう。
 ってカ、ハメ外さなキャ今からデも遊んで良いよネー?」

犯罪とか、そういうのに類することじゃなきゃ問題ないよね!
遊ぶだけなら無問題のはずだ。
悪戯っぽく笑う。

「わカるー。罰そのモノよリ、罰うケるってナる面倒サが嫌、みタいなとこだヨねえ。
 アタシもつっこマれて面倒ナ報告書ごまカすモン」

けらけらと笑った。
悪徳極まれり。
こんなだから何かやらかすのではないだろうか。

「ン、そう? まあ、そこは任せルよ。
 さッキもいったケど、ゴミ同然ダから最悪ゴミ箱ぽい―、でもドーにかナるかンね。
 もシ面倒にナったラ、アタシに丸投げテ。」

筋じゃない、と言われればまあそうか、とも思う。
ただ本当に困ったら別に受け取ってもいいと思うので、そういった。

日下 葵 > 「……監視しろとは言われましたが拘束しておけとは言われてませんねぇ?」

悪い表情が浮かぶ。
そもそも外に出ちゃいけないなら高速具の一つくらい
  ――――ああ、彼女の首についているのがそれか。
ならいいのでは?外に出ても。

「そうそう、罰則自体も面倒ですけど、罰則に行くまでの報告とか説教とか。
 その辺が面倒なんですよ」

なんでやらかした人間と同じ価値観で笑っているのだろうか。
彼女はすでにやらかした人間。
なら私はこれからやらかす人間だろう。

「そうですね。棄てるのも捨てずに保管しておくのも同じくらい手間じゃないですから。
 手間じゃないなら保管しておいてもいい。
 手間になったら、貴女に相談しようと思います」

面倒ごとは避けたい。
逆説的に、面倒じゃないなら、避けなくていい。
私はそういう価値観で生きている>

園刃華霧 >  
「よっシ、決まリ!!
 じゃ、遊びニいこっか? まもまも、なンかしたイことアる?」

にたり、と悪い笑みを浮かべて立ち上がる。
もう既に気持ちは遊びに行く方に傾いているようである。

「勿論、面倒事は、避けて……ナ?」

けたけたと笑う。
とても楽しそうな笑いである。

「ま、監視は今日一日らしイけど……
 今後ともよろシくね、まもまも?」

今日からオマエもトモダチだ
いや、なんか変なモンスターみたいだな、これ?

日下 葵 > 「そうですねえ、とりあえずお腹がすきましたし、ご飯にでも行きますか。
 この時間なら……まだお店やってますね。
 そりゃあもちろん、二人そろって謹慎処分なんて御免です」

端末で時刻を確認すれば、席を立ちあがる。

「まぁ、暫定今日のみの担当ですけど、もし人手が足りなければ回されるんじゃないですかね。
 私は基本、何事もなければこういう便利屋みたいな人員ですから」

面倒ごとは嫌いなのに、面倒ごとを押し付けられている、なんて言ってはいけない。

「報告書沙汰にならない程度に、悪戯仲間になれそうですね?」

そう言いながら、なにかと話題に事欠くことなく、街へ繰り出していくのだった>

ご案内:「風紀委員本庁内の一室」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「風紀委員本庁内の一室」から園刃華霧さんが去りました。