2020/08/19 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁」に水無月 沙羅さんが現れました。
■水無月 沙羅 > 夜の風紀委員本庁、いつもの様に、実働部隊としては動きにくい水無月 沙羅はいつもの様に、暴れ回っては周囲の建造物に被害を出す上司の書類周りの処理に追われていた。
「異能の特性上仕方ないと言えば仕方ないんですが。 こう毎度破壊痕が残るのは勘弁してほしいというか……。
報告書を書きまとめるこっちの立場にもなってほしいというか。
あの人こそトレーニングと武術、それに銃の取り扱いをきちんと学ぶべきです。
私だって潜入任務ができる程度には訓練してきたというのに。」
ぶつくさとぼやきながらも、仕方ないなぁと口角が思わず上がっているのに気が付いて、頬をぴしゃぴしゃと叩いては仕事に集中するように姿勢を正す。
そんな折、本庁内部の無線機に連絡が入った。
■無線機からの音声 > 『スラム街にて大規模な戦闘が発生した模様。
巨大な砲撃音、ビルの倒壊、宙に浮く球体状の巨大な何かが確認されている。
通報者によると、男性二名がその中心にいたという情報があるものの、詳しいことは分かっていない。
至急現場に応援を派遣されたし。』
■水無月 沙羅 > 途端にざわめきだす本庁内部。
ビルの倒壊や砲撃音など、そうそう起こるようなことではない。
大事件と言っても過言ではないだろう。
そもそもあの場所は存在しないと公にはなっているため、大事を起こすのは得策ではないからだ。
故に、この本庁内部での騒ぎも当然の様相と言える。
だが、沙羅にとってそんなことは大した問題ではなかった。
「ビルの倒壊に……砲撃音? 今の時間帯、先輩は……。」
警邏をしているはずの時間帯だ。
落第街や、スラム街での示威的活動、犯罪の抑止となるための武力的な行軍。
風紀にはこれだけの戦力が備わっているから、めったなことは起こすなよと言う警告のはずのそれ。
もし、警告でなくなったのだとしたら。
もし本当に砲火が起きているのだとしたら?
それも、建物が倒壊するような、危険なレベルの戦闘が行われているのだとしたら。
■水無月 沙羅 > 問題ない、あの人なら大丈夫だ。
彼の強さは私自身がよく知っているはずだ、何の問題もなく明日には帰ってくる。
そう言い聞かせる自分と、もし彼でもかなわないような、其れこそ、『公安の侍』の様な人間離れした人物が相手だとしたら、そう考えている自分が己の中でざわめき合っている。
そして思い返す。
確かに彼は大艦巨砲主義な面がある、主に彼が使う異形は二から三種類、盾、機銃、砲台の3種があげられる。
沙羅が知っている中に、すくなくとも『球体状の何か』は存在しない。
『普段は使わなくていいような異形すら召喚されている。』
その結論に至ってしまった少女は、その場に座っていられるほど、大人ではなかった。
未だに沙羅は、簡単に不安に突き動かされてしまう、幼い少女に過ぎないのだから。
■水無月 沙羅 > 葛藤の間に、応援に向かった風紀の仲間は既に出て行っていた。
自分も早く駆け付けねばならない。
趣味として持ち合わせていた大型自動二輪のキーを自分のデスクから取り出す。
大切にしていた愛車を仕事に使うつもりはなかった。
この趣味はあくまで、視る事を楽しむためのものだったからだ。
しかし、無論免許は取ってある、緊急時にいつでも使える様に。
キーを手に、溜まっていた書類仕事を投げ出して、拝借していた駐車場に走り出した。
少女の不安は止められない、少女の脚は止まらない。
最悪を想定し続ける自分の思考は止まってはくれない。
キーを刺し、捻る、バイクにまたがり、ヘルメットをかぶる。
ハンドルを捻り、エンジンを蒸かす。
『何もなかったって、笑い話ですんでくれたらっ!』
小柄な少女に似つかわしくない、大柄な赤いバイクはエンジン音を唸らせて本庁の駐車場を飛び出していった。
夜の街を、紅い光が疾走していく。
■水無月 沙羅 > 十数分後。
辿りついたスラムにはだれもおらず。
崩れたビル、散らばった瓦礫の山。
微かに残る血痕の後。
まるでクレーターの様な戦闘痕の数々。
自分の知っている人物は、そこには居なかった。
全てが終わった後だった。
慌てて、ネットにもつながる連絡用の携帯端末を操作する。
この場所で一体何が起きたのか、それを知るために。
しかし、未だ情報は上がらず。
少年の連絡先を鳴らすも、返答はない。
マナーモードにでもしているのか、とれる状況にないのか。
どちらにしろ。
少女が来るのは遅すぎたのだ。
■水無月 沙羅 > 悲嘆にくれる少女の耳に、スラムに響く小さなざわめきが聞こえてくる。
『異能殺しが帰ってきた。』
『鉄火の支配者が負けた。』
そんな、定かでもない噂話。
『異能殺し』
風紀委員の中でもリストアップされている危険人物の一人。
沙羅でさえ、書面上で目にした事がある、悪い意味で有名すぎる名を、聞き流せるような精神的状況ではなかった。
地面にかすかに残った血痕を指でなぞる。
■水無月 沙羅 >
少女の瞳は怒りに燃えていた。
ご案内:「風紀委員会本庁」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「委員会街」に城戸 良式さんが現れました。