2020/08/22 のログ
ご案内:「委員会街/風紀委員会本庁『刑事課』」にキッドさんが現れました。
キッド >  
風紀委員会本庁『刑事課』部署。
繋げられたデスクに点々と座る風紀委員達。
その中にはろくでなしの姿もある。
自身のデスクに座り込み、煙草をふかしながら黙々と書類を片づけたり
ホロモニターに映るデータに目を通したり、仕事と向き合っていた。
レイチェル・ラムレイが倒れ、入院中の今
ただでさえ夏休みの人員不足やらばたばたしてる最中だ。
こういう時だからこそ、自分たちが出来る分の仕事を分担し
普段彼女がやっている仕事をこうして分担してやっているわけだ。

「…………フゥー」

白い煙を吐き出し、書類の目を通し判子を押す。
もう何回繰り返したか覚えていない。
おかげで、彼女の見舞いに行く時間さえない始末だ。

早瀬 >  
「にしても、先輩どうしたんだろうな?
 訓練中に倒れたらしいけど……」

隣の席の風紀委員、早瀬が何気なくキッドに話しかけてきた。
早瀬はせっかちな男だが、誰にでも気さくないい男子生徒だ。

キッド >  
「さぁな……無理が祟った……なんて、滅多な事は言えないな」

キッドも首を振って肩を竦めた。
バリバリの荒事屋が、一線を引いて書類三昧。
前々から思っていたが、何かしら体に"不調"があったのかと思ってしまう。
それの詳しい内容は知るはずもない。そもそも、"不調"かどうかもわからない。

「…………」

……あの時、レイチェルの傍に見えた『少女』の姿は、覚えている。
だからこそ、"不安"が頭を大きく過った。
今まで押し殺してきたものの、無理して留めていたものが此処で一気に噴き出してこないのか、と。

早瀬 >  
「随分と不安そうな顔してるな、"ろくでなし"。お前もそう言う顔出来るんだな」

からかうように早瀬の口元はニヤついた。

キッド >  
「ウルセェよ……色々あったんだ、俺も……」

ケッ、と吐き捨てるついでに書類の山を纏めるついでにドン!と叩いてやった。
悪態吐きながらも重ね方が綺麗なのは、キッドの几帳面さが出ている。

キッド >  
本当に色々あった。色々だ。
だからこうして、考える機会にも恵まれ、現状の多忙さに喘いでいる。
レイチェルの事だけではない、この時期、如何にも色々問題が多発している感は否めない。

「(こういう時には華霧の手も借りてェモンだが……)」

当の華霧さえ、心配の種だ。
あの慰霊碑前での一件。彼女の心の中に感じ取った何かの"ズレ"。
あの『トゥルーバイツ』の騒動から未だに、彼女の中に"引っかかる"ものがあるのか。
わからない、キッドは何も知らない。
だから知ろうとしているが、前回は踏み込むタイミングもなかった。

「(他人に見られながらやる話でもねェ……)」

今度、出会ったら、疑問をぶつけてみるか。

キッド >  
「(こういう時、月夜見の奴なら……アイツも、何してるかね……)」

かつて、銃口を向けた監視対象。
彼女の"ささやき"は今でも覚えている。
こんな状況だったら、彼女もあの人を心配しているのだろうか。
もう一度、会って話がしたい。
掴まされるのは霞かもしれないが、彼女も先輩が望むなら
きっと、今の自分に出来る事があるかもしれない。


\ブー!ブー!/


「……ん?」

不意になった携帯端末をポケットから取り出す。
メールだ。どれ……

キッド > 『次のお休み、ジェー君の部屋に行ってもいい?
あ、でも、別に変な事とかじゃなくて。この前、電話でぽろ、と愚痴零しちゃったじゃない。お金があんまりないって。
だから、その、節約で!それ以外に何にも――』


「…………」

キッド > 「……!?」

思わず立ち上がった。
このタイミングでこのメールを!?

早瀬 >  
「どうした"ジェー君"、彼女か?」

相変わらずにやけている。

キッド >  
「早…!?テメェ、何処でそれを!?」

早瀬 >  
「え、園刃ちゃんがこの前言ってたからさ~~~」

ムカつくにやけづらだ。
後頭部に手を組むな、腹立つ。
場所が場所なら一発入れていた。

キッド >  
「あの女……!」

どれだけ口が軽いんだ。
もしかして、このアダ名、その内部署内に広がって……
いやもう、凄い勢いで広がってそうだ。
奥歯を噛み締め、諦めたように座って頭を抱えた。

早瀬 >  
「お、図星かぁ~~~?まぁ、いいけどよ。今日はお前、先上がっていいよ。
 次の休みまでさ、部屋の掃除とかしたいだろ?」

「たまにはお互い、息抜き必要だろ?こんな忙しい時期だから、俺達が先輩の分まで頑張らないといけないだろ?」

「だから、適度に休む!代わりに、今度の休み変わってくれよ。な、キッド!」

早瀬はニシシ、と笑っていた。

キッド >  
「チッ……まったく、本音はソッチだろ?」

やれやれ、と思いながらキャップを目深に被った。
調子がいい話だが、早瀬の事をキッドは嫌いじゃなかった。

「オーケー、じゃぁお言葉に甘えるぜ。
 こっちの落第街の一件の報告書と、後は……」

早瀬 >  
「こっちの解決済みの奴、だろ?精々楽しんで来いよ」

早瀬は手をヒラヒラと振った。

キッド >  
「ふ、それじゃぁ任せたぜ……相棒」

キッドは立ち上がり、部署を後にする。
その傍ら……

キッド > 「(い、いきなり部屋かぁ……こ、光奈って結構大胆だな……い、いや、僕は何を考えてるんだ!?いきなりそんな、ないだろ!?とにかく、部屋……)」
キッド > 「……部屋、かぁ……」

悶々としている最中
何かを思い出したかのようなぼやきが、去り行く廊下に残された。

ご案内:「委員会街/風紀委員会本庁『刑事課』」からキッドさんが去りました。