2020/09/06 のログ
ご案内:「委員会街・生活委員会本庁」に干田恭支さんが現れました。
■干田恭支 >
「ははは、慣れって怖いっすね。」
いずれ自分もそうなるのだろうか、なりたくは無いけれど、仕方のないことなのかもしれない。
そんな風に思いながら、恭支は苦笑いで小南の言葉を受け止める。
「あー、そうっすね。頼んでみるだけ頼んでみるのも良いかも。
パイセンってば、何だかんだ世話焼きっすよね。」
言葉では何を言っていても、一応相手の事を考えて行動はしてくれる。そんな気がする。
だからあんな風に掃除も出来るんだろうなあ、なんて暖かな視線を向けて。
「むう、徹底的に合理的だなあ……その考え方自体がもう凄いと思うんすけどね、俺は。」
ここまで言い切られてしまうと苦笑するほかない。
本人が言うのだからそうなのだろうけれど、どうにも腑に落ちない。
もやもやとした気持ちを小さく首を振って追い払って。
「だからこうしてパイセンと話が出来るのも、結構嬉しいんすよ。」
憧れの人っすからねー、と笑いつつ小南が席に戻るのを見届ける。
背後からは先輩の表情が僅かに和らいだことなど見る事も出来ず。
「……え、パイセンの手下っすか?そこは部下って言ってくださいよ。
でも、いいっすね。俺としては憧れのパイセンの仕事を近くで視れる訳だし!
取り急ぎ何からしましょっか?あ、肩でも揉みますか?」
ぱあ、と表情を明るくして小南の背後に立つ。
保健課に配属される事も考えて、マッサージも勉強したんすよ、なんて得意げに語りつつ。
■小南 美奈子 > 「地味な仕事で、私はこんなだけど、一応は顔が利くから。
僅かでも奉仕精神がなければ、こんな仕事を進んでやろうとは思わない」
世話焼きと言う言葉に否定せず、淡々と言葉を紡ぐ。
いちおうは同じ所属の人間で後輩相手なのだから。悪感情を抱かない対象にはそこまでひどいことは出来ない。
告白紛いについてはほぼ流したけど。
「いずれ分かるようになる。地道な仕事をしていると考えることは増えるから。
もっと楽に、もっと簡略的に。そうすれば最適解を見つけるのは意外と簡単。それでおざなりになったら世話無いけど」
最も彼はそういうことはしないと思うけど。
「……ふうん。悪い気はしない。
今は手下で十分。ちゃんと私の下で正式に就くようになったら部下にしてあげる。
あと肩もみは良い。男子に触られるのは……あなたはどっちでもあるけど……ともかく無し。
慕ってくれているのは嬉しいけど気持ちだけで充分」
男嫌いというわけではないし、そっちのケがあるというわけでもない。
これまで面倒臭がったり怠そうにしている手前、これもその延長線に過ぎない。
「建築担当にやってあげるといい。彼はいつも肩を凝らせているだろうから」
適当なパスではぐらかし、やおら息を吐いて立ち上がる。
「そろそろ私も引き上げる。やる気があるなら明日の早朝にゴミの回収を手伝ってもらうから、来る気があるなら6時くらいに来て」
ぐっと伸びをしてから帰宅の準備をする。
「また明日」と短く伝えた後、彼女はそそくさと去って行くのだった。
ご案内:「委員会街・生活委員会本庁」から小南 美奈子さんが去りました。
ご案内:「委員会街・生活委員会本庁」に干田恭支さんが現れました。
ご案内:「委員会街・生活委員会本庁」に干田恭支さんが現れました。
■干田恭支 > 「顔が利くというよりは、貸しを作って回ってる感じもしますけど。」
余計な業務を押し付けられたり、と日頃の姿から思ったままの感想を口にする。
それにしてもダウナー気質と奉仕精神って両立できるんだなあ、と感心しきりの恭支だった。
「そういうもの……なのかなあ。
あ、でも楽にやる事とか簡略化とか、効率に繋がるし!」
手を抜かず、同時に無駄も省く。
そういう仕事を目標にすれば良いのか、と頷く恭支。
「そっか、話してて嫌じゃないんなら良かった。
ああ、それもそうっすね!正式に部下になるのが目標。まずはそこからってことっすね。」
それでも手下は何か違う気がしたけれど。
「あああ、すいません。確かに不用意に異性に触られたくないっすよね。
配慮が欠けてました、気を付けますっ!
今度建築の人に会ったら打診してみます!」
折角覚えたからには使う機会が欲しい。
仮に保健課に配属されることになるとしても、それはどれくらい先の事か分からないから。
「あっはい、お疲れ様っす!
明日の朝6時っすね!わかりました!じゃあ、また明日!」
帰り支度を始めた小南の横で、スマホに予定を記入していく。
そして先輩がその場を去った後に、ぽつりと呟くのだった。
「朝6時か……こりゃ今夜の裏常世渋谷は早めに切り上げた方が良いかも。」
そして掃除用具をまとめると、恭支も会議室を後にしたのだった。
ご案内:「委員会街・生活委員会本庁」から干田恭支さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁 裏」に織機 雪兎さんが現れました。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁 裏」に日下 葵さんが現れました。
■織機 雪兎 >
風紀委員本部建物の裏手、表側からは死角になっているその場所で膝を抱えて顔を埋めている。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら書類を叩き付けるように提出し、そのまま逃げるようにここへやってきた。
「……」
それからどのぐらいここに居るのか、一時間か二時間か、それとも十数分のことか。
自身の膝をぎゅうと抱きしめるように抱えながらその場所で小さくなっている。
■日下 葵 > 「あれって……」
一服する為に風紀委員本部建物の裏へやってくると、どうやら先客がいたようだった。
といっても、自分の様に一服のため、というわけではなさそうだ。
うずくまって小さくなっていて顔は見えないものの、それが誰なのか判別はついた。
「雪兎さんじゃあないですか。こんなところでどうしました?」
声をかけるべきか、そっとしておくべきか。
少し迷った挙句、声をかけた。
落ち込んでいるように見えるが、恐らく本当に落ち込んでいるのだろう。
普段底抜けに明るい彼女を知っている分、なんだか放っておけなかった>
■織機 雪兎 >
「っ」
声にぴくりと身体跳ねる。
しかし反応はそれだけ。
返事をするでもなくそちらを見るでもなく、かと言って逃げ出すわけでも無く。
丸くなってじいと座り込んでいるだけである。
■日下 葵 > 「……」
だんまりか。これは重症だな。
彼女の隣に座れば、咥えていた煙草に火をつけた。
「……別に無理に話せとは言いませんけど。
その……なんですか。
先輩としては見過ごすに見過ごせないというか」
こういう時、何て声をかけるのが正解なんだろう。
人にやさしくすることなんてなかった。
今目の前でうずくまる彼女に、仕事の先輩としてどう接するべきか。
わからなかった。
少しのあいだ、沈黙。>
■織機 雪兎 >
「……」
隣に座られ、ちょっとだけ脚を引き寄せ小さくなる。
問われても尚しばらく黙ってはいたが、
「――風紀委員って、なんなんですかね……」
ぼそりと呟く。
「事務的に最低限のことだけやって、書類回してはい終わりが正解なら、僕たち何のために仕事してるんですかね……」
■日下 葵 > 「……なんなんでしょうね。
実は私にもわかってないんですよ、何の為にあるのか」
しばらくの沈黙の後、彼女が口を開いた。
ひとしきり、彼女の言葉をきいて、また少しの間。
「多分、風紀委員としての正解はない気がします。
風紀委員として動いているときの雪兎さんや、
私にとっての正解があるだけだと思います。
――エゴ、とでも言うんですかね。
それこそ風紀委員会としては、常世がという島が機能して、
運営されればそれでいいのだと思いますし」
彼女から飛んできた質問は、とても難しい質問だった。
だから、今の自分の回答が正しいのかはわからない>
■織機 雪兎 >
「……」
エゴ。
まぁそりゃそうだ。
システムを動かすならば、個人のエゴなんてない方がスムーズに回るに決まっている。
「――それじゃあ、僕たちがやる必要なんてないじゃないですか。全部機械に任せていればいいじゃないですか……」
でも。
それはあまりに無機質すぎる。
何のために人間がこういう仕事をしているのか。
何のためにわざわざ二級学生の引き上げに面接なんてものをやっているのか。
「人間なんですよ、僕たちも生徒も、――二級学生だって。みんな、人間なんだ。そんな、そんな機械的に全部処理するなんて、絶対違うと思ったんですよ……」
■日下 葵 > 「ぶっちゃけ、機械任せでもいいと思うんですよ。この島を運営するだけなら」
でも、私たちがいる。
「でも運営するだけじゃ成り立たないんですよ。矛盾しているかと思いますけど」
ふぅ、と息を吐く。
「そうですね。みんな生きているし存在してます。
雪兎さん、あなたに何があったかは知らないので、
あなたの不安や、不満や、疑問を解決するのは無理です
でもね、誰かの為に、って気持ちも結局エゴなんですよ。
あなたの優しさや正しさが、誰かにとってのおせっかいや間違いになりえる。
ぶつかりながらいい方向を探すんです。
この価値観の揺らぎは、機械にはなしえないことだと思うんですよ。
なにか”間違えた”とか”違うな”と思ったなら、
一度立ち止まってやり直してみてはどうでしょうか」
そんなもっともらしいことを説いてみるが、果たしてどうだろう。
何か的外れなことを言っていないだろうか>
■織機 雪兎 >
「……」
一方的な押し付けだってのはわかっていたのだ。
だけど、それでも。
「――こっちだって、人間なんだ……自分のことで手一杯のやつが――」
無茶苦茶なことを言っているのは理解している。
自分だって自分のことで手一杯だし、自分が対応を間違えたのが発端だし。
そもそも、何も知らない彼女にそれを言ったってどうにもならない事だ。
「自分のことで手一杯のやつが、他のことにまで手を出そうとするなよ……っ!!」
風紀委員として言ってはいけないのかもしれないけれど。
絞り出すように、零れて落ちる言葉。
■日下 葵 > 「……いいですねえ。
雪兎さん、私が見てきた中で一番風紀委員してますよ、今」
心や頭の中でぐるぐるしていて、どうしようもないといった風に出てきた言葉。
風紀委員としては問題あるその発言を聞いて、にこにこと笑みを浮かべた。
風紀委員としてはだめだが、人間としては満点じゃないだろうか。
「今は私しかいませんから、存分にぶちまけていいですよ。
不幸にも、私もできた風紀委員ではないので、
あなたが何を言ってもお説教できる立場ではありませんし」
今日はオフレコです。
そう言って、彼女の背中をさすってやる>
■織機 雪兎 >
ぐ、と下唇を噛む。
涙がぼろぼろ溢れてくる。
「――っ、なんだよ、こっちはそう言うこともあるから、そう言う態度だと勘違いされるって、ただそういうことを言いたかっただけじゃないか……! それをケンカ売ったってなんだよ……! そっちが最初からケンカ腰だったんじゃないか! 自分が聞きたい言葉だけ聞きたいだけじゃないか! 人の気持ちも考えろよ!! 甘えたこと言ってんじゃないぞ!!」
止まらない。
色々と自分に返ってくるが、それでも言葉が止まらない。
ぼろぼろと情けない泣き顔を膝に埋めて。
「信用してほしいなら信用しろよ……。そんな、今日初めて話すような相手のことを、そんな、異能殺しの妹って見るなって、無理に決まってるじゃないか……。そう言うのは、色々話したり、してさぁ……」
ぐすぐすとぐずりながら。
もう自分が何を言っているのかもわからなくなってきた。
■日下 葵 > 「よしよし。全部吐き出しちゃいましょう。
すっきりするまで吐き出して、落ち着いたら改めて考えなおせばいいんです」
まるでダムが決壊したかのように、言葉と涙があふれてくる彼女の隣で、
説教するでもなく、慰める訳でもなく、
ただ静かに全部吐き出せと背中をさする。
今彼女に必要なのは、きっと心の内を吐露する時間だろう。
他に私が彼女にしてやれることなんて、他に何もないのだから……>
■織機 雪兎 >
「うぅ、ううぅうぅ……!!」
自分の服を握りしめて、声を漏らす。
言いたいことを言って、それでもまだ言い足りないけれど何を言えばいいかわからず、ただ悔しさを吐き出しているような、そんな声。
声だけでは吐き出しきれないのか、自分の膝にゴンゴンと頭までぶつけ始めた。
たんこぶになっている額が痛い。
■日下 葵 > 「あー、それはだめです。
私と違って怪我はするんですから」
ゴンゴンと膝に頭を打ち付け始めた彼女を見れば、
煙草をその場に落として彼女の肩を抱いた。
心の内を吐露するのはいいが自傷は良くない。
衝動的な行動を抑えるように抱きしめて、背中や頭をなでる。
「大丈夫、大丈夫ですから。
だから頭を打つのはやめてください」>
■織機 雪兎 >
「うぅうう!!」
抱きかかえられて動きを止める。
代わりに声が大きくなった。
唸る猫のような声。
ぶるぶると身体が震えているのがわかるだろう。
「なんだよ、なんだよ……! こんな扱いなんて、言いたいのはこっちの方だ……!!」
■日下 葵 > 「ええ、ええ。いまは好きなだけ言ってください。
落ち着くまでこのままでいてあげますから」
震える彼女を抱きしめたまま、肩を叩く。
まるで母親が子供をあやすように、落ち着かせるように。
「……どうです?そろそろ気持ちが楽になりましたか?」>
■織機 雪兎 >
「……」
こくん、と頷く。
「――なんか、すいませんでした……」
何も知らない彼女に言うことではなかった。
しかも色々風紀委員らしからぬことを言ってしまったし。
■日下 葵 > 「いいんですよ。
少なくとも、最近見た雪兎さんの中で一番風紀委員してましたよ。本当に」
今までのヘラヘラしていた彼女とはちがう、
本気だからこその雰囲気を感じだから。
「正直、私は本当に何も知らないので、
ここから先は貴女が自分で整理して、解決するんですよ?」>
■織機 雪兎 >
「僕はいつでも風紀委員ですよ……」
へらへらはしているがいつも一生懸命なのだ。
これでも一生懸命なのだ。
「――ウッス……」
解決出来るかどうかわからないけれども。
■日下 葵 > 「そうでしたか、それは失礼しました」
ニコニコして、彼女を見た。
ひとまずは大丈夫かな、と。
「助言らしい助言はできませんが、
吐き出したくなったらまた来てください。
胸を貸すくらいならできますから」>
■織機 雪兎 >
ようやく顔を上げて、ぐしぐしと袖で涙を拭う。
顔は真っ赤で、額にはたんこぶが出来ている。
「ん……ありがとうございます」
ぺこり、と頭を下げる。
■日下 葵 > 「ええ、応援してますよ」
あ、戻る前に一度化粧室で鏡を見たほうが良いかも。
そう言って、彼女の肩を叩く。
「では私も仕事に戻りますかね」
先ほど落とした煙草を拾って灰皿に放り込めば、
自分も持ち場に戻るのであった>
■織機 雪兎 >
「あい、ありがとうございました」
ぺこり、ともう一度頭を下げて彼女を見送る。
そのあとしばらくそこでぼんやり。
しばらく後に立ち上がって戻ることにした。
自分のデスクに戻ったら、額のたんこぶやら真っ赤な目やらを見た先輩から帰らされたけれど。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁 裏」から織機 雪兎さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁 裏」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁小会議室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「よいしょ、よーいーしょー…っとぉ」
風紀委員本庁、その小会議室の一つ
そこによいしょよいしょと大きなダンボールを抱えて入ってくるのは
『黒い灰被り姫』と呼ばれ恐れられる(本人非公認)少女である
会議室の長机にダンボールを降ろし、ふうと一息
■伊都波 凛霞 >
ダンボール箱の中身は、様々な小道具や、ファイルされたレジメ
そこそこ年季が入ったものらしく紙が赤茶けていたりもする
「えーっと…」
ごそごそと一つのファイルを取り出し、眺めながらホワイトボードにきゅきゅっと、内容を書き記してゆく
■伊都波 凛霞 >
"教育訓練及び対異能犯罪者対応模擬訓練の実施要項"
「──んー…とりあえずやり方を何人かで試してみて、
今の島の状態とか情勢・犯罪傾向に応じて内容は改めないと、かな…」
さらっと目を通すレジメは古く、内容もどうにも古臭い
"誇りと使命感に裏打ちされた高い倫理観と職務執行能力を兼ね揃えた風紀委員を育成するための教育訓練の充実強化"
古臭い上に書いてあることがいちいち長い
■伊都波 凛霞 >
「個々の風紀委員の能力や職務に応じた個人指導のほかー…
模擬訓練の実施等により、職務執行能力の向上を図ることを目的と、すーるー…っと」
きゅっきゅっ
長ったらしい文言をとりあえずホワイトボードに書き連ねてゆく
「とりあえず必要なことをまとめて…人員確保も必要かな」
■伊都波 凛霞 >
「個人指導くらいなら、大掛かりなものでもないし私なんかでもできるかな…?」
うーん、と顎先に手をあて考える
風紀委員には個人能力の高い人材も非常に多いのだが
こと教育や訓練においての適正があるかという点
この視点で見た場合はなかなかに両立できる生徒は数少ないだろう
それなりに場数を踏み、規範に基づいた教育が出来る生徒…つまりは指導員だ
それなりに歴の長い風紀委員の中で、特に名前が知られている中で考えるとレイチェル・ラムレイ以外の名をぱっと挙げるのが難しい
■伊都波 凛霞 >
「…と、次々」
つい考え込んでしまった
こういうのは会議の最中に考えるべきだ
きゅっきゅっ
"術科訓練及び異能訓練の充実強化"
凶悪な異能犯罪に的確に対処できる精強な執行力を確保するため、体術、逮捕術、拳銃等の術科訓練の実施
特に、様々に変化する状況に的確に対応する能力を培うため、実際の現場で発生する可能性の高い事案を想定した訓練の充実強化が求められる
「新学期に入ったし、模擬訓練なんかは陳情してやらせてもらうべきだなー…」
ホワイトボードにみっちり書いたものをぐいぐいと小会議室の正面へと移動して、長机の椅子に腰掛け一休み
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁小会議室」に園刃 華霧さんが現れました。
■園刃 華霧 >
「あッツー…」
あついだるいめんどくさい
こんな時は、使われていない会議室なんかでノンビリと過ごすのが最上だ。
誰にも気づかれずに、涼やかに、孤独に……
……うん?
「……」
なんかホワイトボードを目の前にして座ってるリンリンがいた。
しかも、なんかぎっしりと書き込んでる。
――個々の風紀委員の能力や職務に応じた個人指導のほか…
あ、これ多分面倒くさいやつ
「……」
そろーっと逃げようかどうか逡巡する。
■伊都波 凛霞 >
「あ、かぎり…園刃さん!」
仕事場なので相性呼びはいかがなものかと呼び直す、真面目だ
「丁度いいところにー」
こっちきてきて、と笑顔で手招きしている……
■園刃 華霧 >
「ぅっ……」
バレた。
手招きされた。
……此処で逃げられればいいんだけど、そういう精神構造はしていない。
おとなしく観念するか……
「はーイ、リンリン。な二してンのさ」
へらへらと笑っておとなしく会議室に入る。
■伊都波 凛霞 >
「次の会議の準備だよー」
横に置いてあるダンボールの中から古臭いレジメを取り出して、並べてみる
「最近あがってくる報告書の中に、結構取り逃がしとか、風紀委員の不備が多くって。
時期的にこういう模擬訓練なんかが近いから改めて精査したほうがいいんじゃないかなって」
つまり、ようするに
このくそめんどくさげな議題を挙げたのはどうやら目の前のこの少女である
本人は至って真面目にやっているようで、にっこりと笑みまで浮かべている
「模擬訓練なんかは最近はやってなかったみたいで、
犯人役と風紀委員役に分かれてこう、実際の事案を想定して~……
(中略)
良かったら手伝ってみない?犯人役でも逮捕役でも」
どうやら深刻に面倒くさいことに巻き込まれそうである
■園刃 華霧 >
「ァ―……ゥー……」
長々としたご説明を丁重に拝聴した。
細かいことはさておいて。
要するに、最近風紀委員のやらかし案件が多いから
鍛え直しをしようって話だ。
で、前からずっとやってるようなアタシごのみのテキトーなヤツは
ちょっとどうなの?みたいに思うから作り直したい、と。
うん、優等生だな!
そういうところ大好きだぞ!
アタシに関わらないところだったら……だけど……
うん、これ多分どう言っても逃げられないな?
犯人役も逮捕役もヤダっていってもゼッタイなんか飛んでくる。
とすれば……
「ァー……まァ……そーネ。
でモ、多分アタシとリンリンだけじゃ明らカに手が足りナくなイ?
あと、女バっかッテのもアレだロ?」
秘技、被害拡大
みんな一緒に遊ぼうな?
■伊都波 凛霞 >
「うーん。確かにそれはそう」
どうせ会議の議題にするつもりだったし、協力者は多く募ることになる
今丁度かぎりんが通りかかったから声をかけておいただけといえば、それだけである
「結構大掛かりに改修しないといけなさそうだしね…」
台本らしきファイルを取り出す
すっかり紙が焼けて茶色くなってる、いつのだこれ
「迫真の雰囲気を出すのに演技力も必要かもだし…かぎりんはそういうの得意?」
台本をぱらぱらと捲りながら
呼び方が戻ってるのは他に人がいないなら別にいっかーと肩の力を抜いた結果である
■園刃 華霧 >
「ぶっチゃけ、アレ。多分、マジでやルなら……ァー、ほラ。
根回シ? ってノ? 先に約束シちマった方が楽ソ―だナって」
まあどうせ、目の前の優等生のことだからそこまで想定はしてるだろうけれど。
どうせなら、割と早め早めに動いてなんなら計画まで作っちまってもいいだろう、と思う。
なにしろ、そっちはアタシじゃ間違いなく役に立たない。
ってことで役に立てそうといえば
「演技……演技、ねェ。
ァ―……まァ、得意……得意、だヨ。
昔はちょいト色々アったシね」
そりゃもう、犯罪者そのものだったこともあるし。
一応、風紀やって警察っぽいこともしてるし。
どっちも"喰って"きたのは確かだ。
あと、結局呼び名戻ったな?
まあ、気楽な方がいいからいいや。
■伊都波 凛霞 >
「うん。とりあえずは会議で進言してみて感触を探ってからかなー…。
反対する人はそんなにはいないとは思うんだけど」
言いつつ、眼が滑りそうなくらい細々と書かれたホワイトボードを眺める
「…ちょっとフクザツ?」
得意だ、と答えるかぎりんに視線を戻して、少しだけ苦笑
本人的には色々と割り切っているのかどうか
演技とはいえ異能犯罪者を演じることに抵抗がないのかどうか…
そんなところまでは、伺い知れない
だから、そう問いかける
───と、同時に
「この台本じゃ、そこまで演技力関係なさそうだけど」
と苦笑をより深くする
まるでテンプレのような異能犯罪者
異能の力をもち、ひけらかし、歓楽街で一般生徒を人質にとり金を要求する凶悪犯罪者…として書かれている
そしてその犯罪者の保つ異能の設定は「紅蓮の支配王(パイロエンペラー)と書かれていた」
「おれの紅蓮の支配王(ぱいろえんぺらー)は有効射程10メートル、可視範囲に自然発火を起こすことができるぞ!
射程外からの銃撃などすべて炎の壁で阻んでやる!そのたびに人質は熱い思いをすることになるぞ!………」
ものすごい説明セリフを読み上げつつ
なるほど、こういう能力を持った相手にどう対応するかというシミュレートも兼ねているらしい
…にしてももうちょっとどうにかならなかったのだろうか
■園刃 華霧 >
「ンー、ドーだカな。 面倒嫌ウ連中は、意外と多いゾ?
無駄に難しイこと考えルやつラもね。」
そういうのがあってこそ、アタシはこうして此処でのんびりやっていけるわけだし。
それがいいか悪いかはともかく、こんな人が多くなっちゃそりゃそうだっていう話でもある。
後、いざ議題に上げると動かない、なんて連中も意外にいるもんだ。
「ン。いヤ、へーきダよ。
あの時はあの時。今は今、ダしな。
そレにアタシの人生ダ。それはソーいうモンだと思ってル。」
とはいえ。
過去の異名を思い出すと、うん
……異名をからかうのいけないかもしれないな?
「台本? どンな……って……う、ワぁ……」
リンリンの読み上げる台本に思わずすごい顔をしてしまう。
過去、色んな犯罪者をこの目でみて、なんなら喧嘩もしてきた。
けれど
こんな、なんていうか……しょっぱいヤツ、一人も見たことないぞ?
いくらなんでも……こう……アレ、じゃないか?
「……ちょっとこう……センス、ドーなノ、それ?」
■伊都波 凛霞 >
「体面を気にするならとりあえず現場に出る生徒の質のアップは歓迎してくれると思う。
ほら、面倒がる人には及ばないエリアの話なら案外スッと、ね?」
かぎりんの言う通り面倒を嫌う人はきっと多い
特に上役…というのも語弊があるが現場に出ない風紀委員の方々
自分たちに面倒が及ばないなら、現場風紀委員の不信による影響は少ないほうが彼らもきっと良い
「──そっか」
ちゃんと割り切れてる、と話すかぎりんに眉尻を下げて微笑む
じゃあ、むしろリアルな犯罪者の台本なんかを書いてもらうのなんかもいけるのかな?
「うーん…10年ぐらい前のヤツなのかな…?にしても、ちょっとヒドい…」
少しだけ読んでて恥ずかしくなってしまった
「わかりやすさだけをこう…形にしましたみたいな…?
わかりやすくはあるけどリアリティないなあ……」
あと恥ずかしい
■園刃 華霧 >
「そレならソれでイッかネ。
まー、りおちーとか話放っテおクと『良い提案です』とカいってノってクんじゃナい?
ってダケの話ダし。」
交渉ごと、みたいなものは本来自分の領分でナシ。
リンリンがそういうなら、それでいいだろう。
まあそも、他人をさっさと巻き込みたかったっていうのが本当のところだし。
「……ナんてーカさ。しょうガないノかもシんないケど……
こう、そンなペラペラ自分の異能を話す馬鹿、まズいないヨね……」
当たり前だが、そんなことすればさっさと対策を取られてしまう。
黙って不意打ち。
さもなければ手を出せないように不気味さを残す。
それが普通だろう。
「デもなー……リアルすぎテもハードすギんのカねえ……」
相手の力が分からないところで突っ込んでいく……
なんて無謀は、まあ昔にさんざやったけれど。
そんなもの、誰も彼もにやらせたら絶対ダメだろ
■伊都波 凛霞 >
「神代くんなんかも真面目だからね~」
たしかにそう言って乗ってくれそう!と笑う
「まー訓練、だからねえ……
こう、相手の異能が判明してないと踏み込めないし…
踏み込めないと逮捕術とかの訓練にならないし…」
そうリアルすぎても難しいのだ
あくまでも手順を覚え込むための訓練みたいなもの、なのだろう
「作り直すにも経験豊富な先輩の経験なんかを元にして…みたいな感じのがいいのかも」
いいつつ、赤茶けた台本をダンボールに仕舞いしまい
…なんか下の方にもっと古い台本があったりするけど、見なくても良さそうだ
■園刃 華霧 >
りおちーもそうだが、なんだかんだでリンリンが声をかければ載ってるメンツは多いだろう。
そういうのを先に作っておけば色々楽そうって思ったわけだ。
まあ、それはそれとして。
問題は次。
「っテ、なルとー……多分、アレだナ。
何サせっかヲちゃンと決めテおくコと、か。
取っツかマえ方、トか。隙ノ狙い方、トか。」
それによって多分筋書きとかも色々変わるはずだ。
あと、教える内容とか。
訓練だもの。
勘でなんとかする、ってわけにもいかんだろうし。
「そーダな。雨夜先輩とカ、ゼッタイ性能高いシ候補ダよな。
……幌川のおっさん、トかだと口先ダケの勝負にナりそーダな……
いヤ、それもソれでアリ……?」
説得術、なんて項目があればありかもしれない。
まあ、やっぱりなしな気もする。
いいや、リンリンがその辺は判断するだろう。
■伊都波 凛霞 >
「そうだね。人質に危害が及ばない執行の仕方…、
この場合は異能や拳銃の行使はとりあえずおいといて、術科講習での体術とか逮捕術を使ってどう対応するか
とかそういう部分がきっと大事かな…あとは、現場の緊迫感を知ること?」
後者はかなり演技力が重要視されそうだが
いざそういう現場に立ち会って満足に仕事ができない、では困ってしまう
直近の報告の中でも犯人を取り逃がしたりだとか、現場の保全を怠ったりだとか…ミスが目立つ
「幌川先輩はそういうの得意そうだねえ。
でもどちらかというと実施訓練よりは部屋での講習向けかな?
説得というか…交渉術だねえ」
巧みな話術で凶悪な異能犯罪者を誘導する
そういったスキルの持ち主も幾人かはいても良い
全員ができればそれに越したことはないが…どうしても向き不向きがある
「それなりに経験ある人に声かけてはみるつもり。
犯人を逃がしちゃたり、うっかりミスをしちゃったり、
きっとみんな報告書をあげながら、自分の失敗に歯噛みしてるはずだもん。
こういう訓練があったら参加してくれる…かなぁ」
うーん、失敗を気にしない人もいるかもしれない
「でもなんとなく方針は固まったかな。
とりあえず動きつつ、台本は新しいのを考えよう!」
さらば紅蓮の支配王(パイロエンペラー)
よし!と立ち上がって、とりあえず資料の詰まったダンボール箱は小会議室の隅っこへ
会議で使うかも知れないし使わないかも知れない
「とりあえず後日の会議の準備はできたから今日はこのへんであがりにしようかなーなんて思うけど…
かぎりんはまだお仕事?なにもないなら、お茶して帰らない?」
相談?に乗ってくれたお礼に、ちょっと奢ろう
そんな気持ちで、にっこりお誘い
■園刃 華霧 >
「ン。そンなトコ、だローね。
異能ダなんだッテなると、逆にややコしーしネぇ……」
そこにはだいぶ個人差もあるだろうし。
まあ、わかりやすいのが一番だ。
「緊迫感……ねェ……
そこモ、どこマでやルか、ダな。
……ガチの殺気ダしていいのか、トか」
多分、マジでビビるやつとかいるから考えどころだ。
やれって言うならやるけど。
そういうの大得意。
「マ、アレやこれヤ、色んなコト準備スんのも多分、悪くナいんだろーナ……
気づいタら、中からナんかデてくるかモしンないシ」
最後はぽそりと。
そういう事態でも、自分で動けるような連中が増えればきっといいだろう。
「そーソー。後はやりナがら、ナ。
ン、アタシ? アタシは……まあ、暇だヨ」
暇だから、会議室でのんびりしようとしていた、とは流石に言わない。
言わないけれど、バレてる可能性もあるな。
まあ、それはそれ。
■伊都波 凛霞 >
「模擬訓練なら本番に近ければ近いほどいい、けど…。
レイチェルさんなんかが犯人役で本気の殺気出したらきっと誰も手出せないもん」
本物の凶悪異能犯罪者より圧が強いのは、きっとやりすぎな部類
さて、かぎりんが暇であるとのことを表明してくれたので、テンションがあがる
「良かった!実はカフェで気になるスイーツがいくつかあるんだけど一人だと迷っちゃって、
かぎりんが一緒してくれるならまとめて注文してシェアできるかなーって!」
お礼も兼ねてはいるものの自分のためでもあったらしい
半ば無理やりのような感じもするけれど、本人が暇だというのなら付き合ってもらっちゃおう
会議室は中に資料があるので出るときにちゃんと鍵をかけて…
カフェへの道中、やっぱり真面目な凛霞は訓練まわりの話なんかをまた少しだけしたりして
風紀委員の腕章から解き放たれれば今日はスイーツ三昧、凛霞にとってはちょっぴり至福タイム
付き合ってくれた、というか付き合わされたかぎりんにとってはどうだったか──
そんな風紀委員の一幕でした
■園刃 華霧 >
「まー、なンだカんだでチェル、甘いかンなー。
本気の殺気、とかデきっかネ」
けたけた笑う。
本気のシゴキはするだろうけれど、殺気となるとどうなるか。
想像したらちょっと逆に面白かった。
どっちでも笑えそう。
「うン? アー、いいヨ。
食べル食べる!」
食べるのは大好き。
それは満たされるから。
それが友だちと一緒なら……
もっと満たされる。
満足気にささやかなスイーツパーティーを楽しんだことだろう。
……店員にとってはささやかに視えたかは不明だが
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁小会議室」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁小会議室」から園刃 華霧さんが去りました。