2020/09/18 のログ
ご案内:「委員会街・風紀委員会本部ロビー」に追影切人さんが現れました。
風紀幹部の一人 > 『では、今回の第一級監視対象『影切る凶刃』及びー―”仮性怪異”『マーナガルム』の定期報告はこれにて終了とする。ご苦労だったな、追影君』

その男は、怜悧な表情でそう告げた。やっと終わったかとばかりに自分は立ち上がり、さっさと堅苦しいこの部屋を後にしようとする。

――その背中に、一度だけ声が掛かった。

『ああ、そうそう――そろそろ君をまた”投入”するかもしれない。よろしく頼むよ。
―――監視対象とはいえ、”追影”の苗字を持つなら――きっちりやり遂げてくれると私は信じているよ』

――答える気も起きず、さっさと乱暴にドアを閉めてその部屋を後にしたのが10分程度前の事。

追影切人 > 「――クソうぜぇ、これだから婉曲な言い方をするヤツは苦手だ」
追影切人 > 叫びには遠く、大声を挙げた訳でもない。しかし、心底うんざりだ、という気分を隠しもせずにぶちまけた。

ここは風紀委員貝本部のロビーだ――人の行き来もそれなりに多い。
ある者は無視し、ある者は視線を向けながら通り過ぎ、ある者は「うげっ!?」といった表情を浮かべて逃げるように方向転換する。

――そんな周囲の様子を気にした様子も無く…と、いうか本部に訪れる度にこんな反応ばかりだからもう慣れた。

(――しっかし、俺を投入だぁ?どうせ監視付きで限定条件化での”運用”だろーがよ)

ああ、クソうぜぇ、ともう一度今度は小さく呟いて舌打ち。ロビーの一角のソファーを占拠しながらだらける。
そもそも、この赤い制服は趣味じゃないし堅苦しい。だから着崩している…正直脱ぎたい。

追影切人 > 「…そもそも、仮性怪異だとかマーナガルムって何だよ、変な呼び名が増えてんじゃねーか」

まぁ、識別コードみたいなものだとは分かっているが。事実、今の自分は徐々にだが怪異化が進行している。
既に左手首から先は怪異になっており、こうして左手だけ黒い革手袋を嵌めている…蒸れるから外したい。

「――ったく、怪異化の解除の仕方も手掛かりすらねーし、どうしたもんかな」

別に自分がどうなろうが因果応報の末路だろうが、怪異に成り果てるのはちょっと困る。
ロビーにある自販機で買い込んだコーヒー(無糖)をぐびっと飲みながら黄昏モードだ。

まぁ、周囲から見れば眼帯のチンピラじみた奴が不機嫌そうな表情で座っているように見えるかもしれないが。

追影切人 > 「――つーか、あの野郎…苗字の事にまで触れやがって。嫌がらせかよ」

そもそも、本来この男に名前も苗字も無い。切人は便宜上名乗っているだけだったが苗字は――


『――私のを君にあげよう。苗字くらいないと格好つかないだろう?』


――ああ、くっそ、わーってるよ。アンタから貰った苗字は俺がきっちり受け継いでるさ。
だから、今の名前を捨てる気は無いし、この苗字は数少ない、いやほぼ唯一の己の”財産”だ。

「――しかし、俺が投入っつーとどっかの違反組織か違反部活の摘発か――」

あるいは”殲滅”か。『デッドブルー』の山とか面倒臭い事は勘弁なのだが。
コーヒーを合間にちびちびと飲みつつ、煙草も吸いたいが――流石にここではまぁ、そりゃ無理な話だ。

ご案内:「委員会街・風紀委員会本部ロビー」にレオさんが現れました。
レオ > 「ははは…お疲れ様です」

そういって男の横から青年の声が聞こえる。
声の主は……男の真横から。

男がもたれて腕の置き場にしていたのが、『青年の頭』だった。
やけにふさふさした腕置きだと思ったかもしれない(?

苦笑しながら「ど、どうも…」とちびちびとペットボトルの水を飲んで挨拶をしている。

追影切人 > ――そういや、このソファー、やたらと感触が独特だな…こう、ふさふさって感じの…。
と、何となくそのまま隻眼を横に向けた――何時の間にか一人の少年が居た。

(…あ?何時から居やがったんだコイツ?つーか、何だ。どういう状況?)

確かなのは、自分が腕の置き場にしていたのが彼の頭だったという事…ああ、道理でさっきからすげぇ目で偶に周囲から見られていた訳だ。
――いや、気付かなかった俺も俺だがよ?周囲もちったぁ一言くらい指摘してもいいんじゃねーのか?

「あーー…わりぃな、気付かなかった」

と、ぞんざいだが一応謝罪はちゃんとしておきつつ、腕を彼の頭から退かしておく。
…見覚えの無い顔だ。まぁ、基本的にあまり周囲と接点がある訳でもないし物覚えはあんまり良くない。

「――――しっかし…また”おかしな鍛え方”してんだなオマエ…その指とかよ?」

と、ペットボトルを持つ彼の手指を軽く顎でくいっと示しながら。一目だけで何かを見抜いたらしい。

(――そっち方面はよくわかんねーが…剣術の類、しかもかなり独特のヤツを修めてるっぽいな。
――”切れ味”も悪くねぇ)

『斬る事』に少しでも関連するなら、その点だけは男の洞察力は異常なレベルだ。だから見抜けた。

レオ > 「いえ、こちらこそ…すごく怒っていたようなので、何時声かけようかなーと思ってましたが…」

あはは、と苦笑をする。苦笑の多い青年だ。
のかされればぴょんと跳ねた頭が復活する。中々癖毛のようで、あちこち髪の毛が跳ねている。

目の傷に、絞った筋肉……風紀委員の腕章はあるけど、風紀の人なのかな…?
そう思っているうちに、相手の方から声をかけられる。
え?と驚きながらも、それに応対するだろう。

「あ、あぁー…教わった剣術がちょっと特徴的で、人差し指と中指を凄い使うから鍛錬でも重視されるんです。」

前に出会った先輩にも同じように指摘された、肉刺を何度も潰し骨折や突き指を繰り返した結果に出来た指。
前の…月夜見先輩は不思議な雰囲気の人だった。目の前に広がる情報を取り漏らさないような、そんな事が出来てしまう雰囲気の、不思議な先輩。

この人のは、感覚だけど少し違う。
体格、視線、振舞いが戦う人間の動き。
指先に気が付いたのも、指の歪さに気が付いて聞いてきたのだろうと察するだろう。

―――強そうだな、でも変な死の気配がする。
特に、左手から。

男を見ながら、そう思った。

「…と、すみません名乗りもせずに。
 レオ・スプリッグス・ウイットフォードです。最近から風紀委員にお世話になっています。
 先輩の方は…どういった名前で?」