2020/10/06 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」に神代理央さんが現れました。
真面目そうな風紀委員 >  
「……かの怪異『朧車』の出現報告から既に10日が経過しました。
各委員会及び有志の手によって討伐が進んでいますが、未だ根絶には至っていません」

司会進行を勤める風紀委員が壇上で資料に目を通しながら言葉を続ける。
並べられた机には複数の風紀委員が腰掛けており、上座と思しき場所に設置された長机には数名の風紀委員が資料に目を通している。

「これまで、最初に報告された個体以外にも多種多様な朧車の報告が上がっています。
それらの情報を精査しつつ、今後の対応策について意見の擦り合わせを行う事が主目的となります。宜しくお願いします。
それでは、資料の3ページ目をご覧ください――」

真面目そうな風紀委員 >  
「『朧車・イ号』
怪異発生時、最初期に確認された怪異です。
車両の先頭に鬼の様な顔が現れており、外観や動力機関を変異させる事も可能です。
重火器を搭載しているタイプ。小型怪異を率いるタイプ等々。
所謂基本となる通常個体という認識を持つには、危険度の高い相手になります」

「続いて『朧車・ロ号』
イ号に比べると炎系の攻撃に特化した個体です。
石炭の様な物を搭載している事が確認されている事から、動力機関として石炭機関車をイメージしている可能性があります。
イ号に比べると、炎属性の攻撃力が極めて高く、戦闘面において非常に危険な個体です。
ただ、交戦した委員等の報告によると、内部に小型怪異が存在しないとされていますので、潜入しての破壊は容易かと思われます。
潜入出来れば、の話ですが」

真面目そうな風紀委員 >  
「『朧車・G号』
高速移動型の朧車です。
何より脅威となるのはその加速力です。
あれほどの質量の怪異が、数百キロで襲い掛かってくるというのはそれ自体が純粋な打撃力となります。
純粋ゆえに、一度加速されてからの対処は困難を極めるでしょう。
防御力がイ号に比べて低い、交戦記録が上がっておりますので、迅速な対応が必要となるでしょう」

「『朧車・カ号』
貨物運搬型の朧車です。
特殊能力自体はイ号と大差ありませんが、搭載した小型怪異の数が膨大であると報告が上がっています。
物量戦、消耗戦を強いられるかと思いますので、遭遇した際にはその点を考慮した戦術立案が必要です」

「『朧車・キ号』及び『キ号・車掌亜種』
猛毒の煙を特殊能力とする個体です。
この個体は、搭載した小型怪異も毒性の強い煙を吐き出しておりますので、対毒装備が必要になるでしょう。
それ以外の能力については、イ号と同様であると思われます。
『車掌亜種』については少々特殊であり、搭載した小型怪異が先頭車両の朧車破壊後に、二両目に憑りついて新たな『朧車』へと変異した事例となります。
これがキ号に限ったものなのか。それとも他の朧車においても発生し得る事例であるのか。
調査が必要となるでしょう」

真面目そうな風紀委員 >  
「『朧車・ハ号』
突撃型の朧車です。
表情は終始笑顔であり、変化は観測できませんでした。
車両には刃のように鋭い箇所を多く持っており、突撃によって対象を両断しようとしてきます。
イ号の無限軌道と同じ能力を使って空中レールで特攻を仕掛けてきます。
物理的な攻撃力の高い、近接型の朧車です。交戦記録によると、火器類を使用した形跡は見られませんでした。
よって、遠距離からのアウトレンジ。または、ハ号に対抗し得る近接攻撃が必要になるでしょう」

「最後に『弩級朧車「大朧轟だいろうごう」』
非常に強力な個体です。装甲列車、列車砲、人型兵器への変形などなど。
その戦闘能力は他の朧車を寄せ付けない強さを誇っています。
重武装、重装甲。再生能力をも持ち合わせており、車両内部の情報は不明です。
遭遇した際には、速やかな撤退を進言します」


延々と語り続けていた委員は、其処で一旦言葉を区切る。


「以上が、現在報告の上がっている特殊個体の情報になります。
当然、これ以外にも様々な個体は存在しますし、風紀委員会として情報を得られていない個体も現存するでしょう。
皆様方におかれましては、交戦の際にはくれぐれも留意頂きたいと思う次第です」

神代理央 >  
己が交戦した以外にも、随分と沢山の個体が居たものだ、と感心するばかり。
単なる列車の怪異かと侮ってはいたが…異界にのみ存在するものだから、と慢心していたところもあるのだろう。
これ等の怪異が。朧車が、現実世界に顕現すれば――

「…発言の許可を求める」

ゆっくりと手を上げて、司会の委員に発言を求める。
上座に座る小太りの風紀委員が、口元を歪めて嗤っていた。

真面目そうな風紀委員 >  
「どうぞ、神代君――…ああ、今は『神代部長』と御呼びすべきでしょうか?編成途中の新組織にたった一人では、色々と御苦労も溜まるでしょうね」

神代理央。
風紀委員会上層部に居座る神宮司蒼太朗の子飼い。
忌々しい暴力の権化。

風紀委員会のイメージを著しく損ないかねない彼の存在は、決して好ましく思ってはいない。
だからといって、発言を認めない訳にもいかない。
不承不承ではあるが、彼に発言を認めるだろうか。
チクリ、と嫌味を挟むのを忘れずに。

神代理央 >  
「先ず、朧車に対しては各委員会との連携が必要かと思われる。
尤も戦力を有している…筈だが。兎も角、火力面において充実している筈の風紀委員会であっても、単独での撃滅は非常に困難だと思われる。
直接の被害に合った鉄道委員会。異世界への造詣に深い祭祀局。
情報面において我等より優れており、戦力を有する公安委員会。
各組織との連携が必要不可欠であろう。
まあ、此れは言うまでも無い事ではあるが」

机に置かれたお冷を一口。

「後は、朧車に注力するが故に落第街や違反組織への対応が後手に回らない事を憂慮したいものだ。
特務広報部は本来、違反組織への対処を目的とした組織。
現在は学園全体の問題として朧車戦へ注力しているが、本来の任務に早急に戻りたいと考えている。
よって、朧車討伐戦に時間をかけるのは好ましく思わない。
出来れば、今週中には。対応を完了してしまいたいものだ」

「であるならば、戦力の集中を行うべきだろう。
投入可能な戦力を可能な限り常世渋谷へ配置し、朧車への戦いにリソースを割く。
…古来より、二正面作戦というのは得てして失敗するものだ。
二兎を追うが故に全てを失う様な事には、ならないでほしいものだな」

そう締め括って、再びお冷で喉を潤した。

神宮司蒼太朗 >  
「うんうん。無難かつ優等生なご意見ありがとお。
まあ実際、それくらいしかないしねえ。建設的な意見を出すには性急杉ると思うなあ」

「こっちでも、装備の充実は図っておくし、各委員会との情報共有も密にしておくよ。
今回は、それでいいかな?」

辺りを見渡せば、まあ会議を長々したい訳でも無いし…と言いたげな委員達は概ね同意する様な表情を浮かべているだろう。
彼等にも、此の後の予定がある。

友人との約束。恋人との逢瀬。家族との団欒。
彼等には『学生』として謳歌すべき時間があるのだ。
だから、つけこみやすい。

「じゃ!これで解散解散!お疲れ様でしたあ。
あ、神代部長は後で報告書回してねえ」

ひらひらと手を振って、率先して会議室から立ち去る。
今日は№1の子を予約出来ているんだから、定時で上がらないとね!

神代理央 >  
神宮寺に続いて、他の委員達も次々と退室していく。
己も資料を纏め、部屋から立ち去ろうとして――


『……君は、本当にあの神宮寺の言いなりで良いのかい?』


真面目そうな委員から、声をかけられた。
静かに彼女に視線を向けると、にっこりと微笑んで。

「…神宮司先輩は、有能な風紀委員です。先輩に教示頂く事も多々ありますから。
ですから、宮野先輩に御心配される事は何もありません。
何も、ありませんよ」

社交的な笑みと柔らかな言葉遣い。
何処までも詮索を拒否する様なその態度と共に、己も会議室を後にした。

ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」から神代理央さんが去りました。