2020/11/23 のログ
ご案内:「風紀委員会」に幣美奈穂さんが現れました。
幣美奈穂 >  
すぴすぴと眠っている白毛のにゃんこさん。
それを優しく抱えて美奈穂は委員会になのです。
足下にはトラ外の太目なにゃんこさんが、美奈穂の足にまとわりつくようにしながら、
時折上を見上げて小さく啼きます。

「大丈夫です。わたくしがなんとかしますから」

こくりっとそんなトラ猫を見下ろして頷きます。
胸元の白猫は疲れているのか、まだすぴすぴと。
そんな猫連れの美奈穂は、風紀委員会の入り口を通り抜けます。

受付のところに向かいますと、慣れない場所にそわそわとするトラ猫ですが。
美奈穂の足元からは離れません。
そんな美奈穂も、巫女服の装いが少し汚れていたり、葉っぱが頭についていたりします。

「・・犯人さんが自首してきました」

任されたお仕事、連続窃盗犯を連行してきたのです。
なんのこと?、と首を傾げる受付のお姉様ですけど。
美奈穂が下を見ると、同じく下を見れば・・
「なんや?」といいたげなお顔で見上げるトラ猫さんです。

幣美奈穂 >  
委員会のお仕事として、常にあるような巡回や、
祭りの期間なので、警備や窃盗や、そんなものへの警戒のお仕事もある時期。
それだけでなく、スラムでの騒動・・などもあるのですけど。
遠くに行かせれば迷子になりそう、荒事はとうていできそうにない。
なにより、見た目からしてまだ小さい。
そんな美奈穂に、お仕事をします!、と元気にやってきたので、
受付のお姉様が言ったのが、商店街に現れる食べ物を盗んじゃうどら猫の警備です。
時たま、商店街でお店の人たちが「おれんとこもやられてさー」なんて
笑いながら言っていたのを聞いていたお姉様。
捕まえたらめっしてね、とか言われてたのですけど。
そんな、他から見たら『遊び』なお仕事を教えてあげたのですが。

まさか、犯人?を連れてくるなんて・・という事態なのです。

幣美奈穂 >  
「でもでも、この寅太郎ちゃんもやむにやまれぬ事情があったのです!
 それにこうして、自首してきましたし!」

寝ている白猫を抱えながら、美奈穂は弁護します。
力が入ってます。
どうしたの?、と問われるままに。

「それは・・この白いにゃんこさん、あっ、スノウちゃんってお名前だそうです。
 この子が怪我して動けなくなってたから・・。
 寅太郎ちゃん、お食事を運んでたみたいなのです!」

何か名前を呼ばれるたびにお耳をぴくぴくさせる寅次郎さん。
「なんぞようかいな?」とのんびりしたご様子で、床に座ると
後ろ足を上げてぺろぺろ毛づくろいです。
自首してきた犯人の姿ではありません。

「いつもなら餌場とかでお食事貰えますけど。
 そこまで行けないスノウちゃんのために・・」

それまで、動くことも出来ずどんどん衰弱していて、
目の前に食べ物があっても満足に食べることも出来なかった白猫さん。

もう、美奈穂の力で怪我が治り。それまでの疲れからかすぴすぴ大人しく寝ているのです。

「やったことは悪い事かもしれませんけど。
 そういう事情があったですし、こうして自首してきたのです・・」

スノウちゃんの背中を撫でながら、寅次郎ちゃんを見ます。
・・寅次郎、えぇ温度や、と風紀委員会のロビーの床にのびーんと寝転んでます。

幣美奈穂 >  
「だ、だから。
 捕まえて取り調べたり、尻尾をちょっきんしましたり。
 労苦の様を眺めましたり。
 し、死刑にして三味線にするのとか、許してあげれませんでしょうか!」

受付嬢、痛恨の一撃。
なんか随分と悪者のような気分になってます。
「あ、あのね。みなほちゃん・・」と声が大きい美奈穂を止めようとする受付嬢。
それに対し、澄んだ目にうるるっと潤ませている美奈穂なのです。

「風紀委員として、風紀委員としたら。
 そういうのは駄目かもしれませんけれど・・。
 でも寅次郎ちゃんも反省しておりますの!」

止める言葉を聞いていない美奈穂。
こう、情に訴えるお声なのです。
「いや、猫のしたことだから・・」と慌てる受付嬢。
寅次郎、床が気持ちいいのかすぴすぴしだしてます。

「お姉様は職務として、皮をはぎたいかもしれませんけど。
 わ、わたくしはそんなことしないでって。
 きちんと寅次郎ちゃんを更生させますから・・!」

なんだなんだ、と注目を浴びるやりとり。
そう、なんか受付嬢が猫の皮をはぐつもりなんだって、と風評被害。
そんなやりとり・・「み・な・ほちゃん。ちょぉっとお話ししましょうか・・?」と
ぴきっと青筋が立ったお顔で、美奈穂の耳を摘まみますと。
ずりずりと受付の奥にと引っ張っていかれます。

「わ、わたくしは負けません!。
 この子たちを守る為なら・・!」

寅次郎、起きてなんか食わして貰えるのかとついていきます。
・・美奈穂、釈放に30分。
二匹の猫は無罪放免となる一幕なのでした・・。

ご案内:「風紀委員会」から幣美奈穂さんが去りました。
ご案内:「委員会街/公安本庁」に東山 正治さんが現れました。
東山 正治 >  
某日、同時刻。公安委員会本庁。
明かりの消えた暗い一室には、窓を叩きつける雨音ばかりが響いた。
暗闇を照らすのは、窓から差し込み月明りと、携帯電話の画面位だ。

「ひっでェ雨。」

退屈そうに、東山は一人吐き捨てた。
誰もいないこういう場所のが、なんとなく落ち着く。
電話を耳に当て、今か今かと待機音を聞いて数秒。
何とも間の抜けた声が鼓膜を揺らした。
聞きなれない声だが、とりあえずムカつく。

「よぉ、神宮司ちゃん?ああ、俺俺。詐欺じゃねェよ、公安委員会なんだけどさァ……。」

いつもと変わらない。
とぼけた様子でへらへらと笑いながら通話を始める。

東山 正治 >  
神宮司 蒼太朗。
風紀委員上層部の人間。
ふくよかな体系が特徴的であり、"よくいる小悪党"程度の評価だ。
上の方で何かと甘い汁を啜るのが得意。
ある種、組織の腐敗部分を象徴するが
存外こういう場所で汁だけほしければ、相応の手腕が必要になってくる。
その差異はともあれ、上等なポストに居座るなら、相応に骨は折るものだ。
だから、と言う訳でも無い。東山は油断の微塵も無い。

「ああ、そうそう。お話があんのよ。神代…理央君、いるでしょ?
 ア?いいんだよ、そういうの。今日そう言うの求めちゃねェから。お前の小間使いのクソガキ。」

東山にとって、その程度の認識でしかない。
とはいえ、今回の一件。神宮寺の襲撃の一連の騒動は、"これ以上看過出来ない"。
組織としての潤滑油は必要だ。
故に、組織に飛び火しない限りは、存外目に留まらないものだ。
東山的に言えば、『バレなきゃ犯罪じゃない』これに尽きる。

「とりあえず、お前ンとこの小間使い共は暫く活動停止。
 ま、神宮司ちゃんならさ、理由は言わなくても大体検討着くよね?それでさァ……。」

東山 正治 >  
「ちょーっと、今回。死にかけた所悪いけど、"悪趣味"が過ぎるんだよねェ。
 オタクん所のワンちゃん、"歓楽街"でちょーっと暴れすぎ、と言うかさ……。」

ヘンデルヤークトだか何だか知らないが、こっちから見ればチンピラ集団だ。
理由はともあれ、"歓楽街"で一件は明らかな過剰戦力。
異能者同士の戦闘が、"殺し合い"に発展するのはザラだ。
かと言って、人殺しの是非を問われれば言うまでもない。
それが許される時は、"正当性"が保証される場合のみだ。
"過剰な行い"も功績次第では"多少"暗黙されるだろうが、度が過ぎれば人柱。

「いやいや、オタクが"頑張ってる"のはわかんだよ。
 なァ、神宮司ちゃんさ。首とか言わねェよ。飛ばしたって、意味ないでしょ?」

思わず、噴き出すように言ってしまった。
神宮司は既に、上層部のポストについて"留年"までして着く"優秀"な人材だ。
要するにもう、彼は風紀委員での汁は吸いつくしたと言ってもいい。
責任追及して首を飛ばした所で、彼自身にダメージは無い。
だが、公安委員会とは諜報機関。侮ってはいけない。

「いやいや、別に脅すワケじゃねェよ。ありがてェ話よォ。
 教員でもねーのに、わざわざ留年してまで風紀でせっせこ働いてさ……頭が上がんねェッつーかさァ……。」

窓の向こうの夜景を見やった。
酷い雨だ。雨脚が強くなって、景色さえ見えない。
思わず、ため息だ。

「だから、さァ……"卒業後の進路"とか大丈夫?」

くつくつと、喉を鳴らして東山は笑う。

東山 正治 >  
電話の向こうで、絶句しているのが手に取る様にわかった。
東山の口元は、悪趣味なほどに歪んでいた。
彼は馬鹿でも間抜けでもない。
"これだけ言えば十分伝わる"。

「……なァ、"神宮司 蒼太郎"。」

東山から、笑顔が消えた。

「俺たちもさァ、余計な事したかねェんだよ。
 オタクが神代家に恩を押し売りしようが何しようが、卒業後は知った事じゃねェ。
 此処は腐っても"学園"だ。俺たち教師は、テメェ等の面倒を見るが、進路ってのは自分で決めるモンだ。」

「テメェも、理央の坊ちゃんもだ。」

特殊な立場であり、教師とは生徒を教育し、導く立場だ。
だが、何時までも親鳥をしている訳じゃない。
巣立った雛は、自分の羽で飛ばなくてはいけない。
もちろん、飛び方も自由。楽をしたければ、そう言う根回しをすればいい。
だからこそ、その翼に言葉の刃を突き付けておいた。

「……わかったら、卒業まで少しは大人しくしときなよォ……?
 なァ、俺がこう言ってる内がハナだと思わねェとな……。"二度目は無い、上手くやれよ"?」

乱暴に通話を切れば、掴んだスマホを乱暴に床に叩きつけた。
僅かに亀裂の入る音がしたが、完全に壊れはしない。
最近の科学って凄い。

「チッ……クソみてェな尻拭いだな。剱菊ちゃんに理央ちゃんよォ。コイツは貸しだぜ?」

苛立ちを吐き捨て、ため息を吐いた。
まぁいい。これ位脅しておけば、暫く神宮司も大人しくはなる。
最悪、もう一つ脅して"飼い殺し"出来るようにしておけばいい。
今まで自分がしてきたように、弱みを握られる立場をわかればいいんだ。
けだるそうに胸ポケットから煙草を取り出し、口に咥える。

東山 正治 >  
ハッキリ言って、東山にとって神宮司などどうでもよかった。
己のポリシーから言えば、許せる存在ではない。
東山は、法を遵守する。だからこそ、『バレなきゃ犯罪ではない』と言った。
そう、他でもない。"己に言い聞かせる為に"。
そんな綺麗事で社会が動かないのも知っている。
汚職、と言う意味ではこの学園だけでも、どれだけ蔓延っているか分かったものじゃない。
他でもない、自分自身も、時には"法の為に法を破る"。
これは他でもない、己を嘯く為のモットーだ。
だからこそ、成るべくなら直視したくも無い。
おかげで不機嫌だ。反吐が出る。しかめっ面が戻らない。
煙草に火をつければ、大袈裟に煙を吐き捨てた。

「それよりも問題は……アイツだろ。」

水無月 沙羅。
他でもない、神宮司を襲撃した"風紀委員"。
今回の事件が、明るみになっただけだ。
ハッキリ言って、彼女の起こした事件を顧みれば、堂々と表を歩けるのが不思議で仕方ない。

「何時から風紀は、表立って"犯罪者"を雇える組織だったんかね?」

そう言われても、仕方ない。
少なくとも、二回以上の"殺人未遂"を起こしている。
あのトゥルーバイツですら、トップ以外でさえ暫く留置所行きだったのだ。
多重人格、人間関係。『そんなものは言い訳にすらならない』
罪には罰を。受けるべき咎は、関係ない。
学園と言う体制、救いの手を自ら振り払い、地獄に堕ちた女の末路など惨めで当然だ。

「死刑制度が適用されんなら、妥当だろうが……。」

仮にも学園、あるはずもなし。

「まァ、少なくとも数年は地下教室だな。
 阿頼耶ちゃん達もバカじぇねェし、仕事はしてもらうとするか……俺もらくしないと、ねェ?」

少なくとも最早、表に入れるご身分ではない。
学園である以上、手を打つなら此処が妥当だ。

東山 正治 >  
「まだまだ問題は山積みだってのにねェ……"フェニーチェ"、な。
 不死鳥かなんか知らねェけど、もうオタク等の上がる舞台はねェっつーのになァ……。」

不死鳥は炎の中で蘇ると言うが
今時、不死殺しも珍しくは無い。
喜劇を語る狂人共は、炎に焼かれる断末魔がお似合いだ。

「そう言えば、いたっけ。三日でやめた"不死殺し"。元気してるかねェ……。」

くつくつと喉を鳴らし、楽しげに笑った。
不死鳥の残党だけではない。
よもやよもや、水面下だけでも問題は山積みだ。
立ち上る白い煙を一瞥し、思わず肩を竦めた。

東山 正治 >  
「さァて、と。俺も仕事をしますか……。」

未だに休める兆しは無い。
影より除くこの目を休める暇もない。
煙草の火が、宵闇へと消えた。
後にはもう、何も残りはしない……。

ご案内:「委員会街/公安本庁」から東山 正治さんが去りました。
ご案内:「委員会街」に東山、誤字修正するってよさんが現れました。
ご案内:「委員会街」から東山、誤字修正するってよさんが去りました。